其樣そのやう)” の例文
新字:其様
カピ妻 さいの、其時分そのじぶんにはきつ鼠捕ねずみとりであったさうな。したが、わたしが不寢ねずばんをするゆゑ、いま其樣そのやうねずみをばらすことぢゃない。
かほをあげしときほうなみだあとはみゆれどもさびしげのみをさへせて、わたし其樣そのやう貧乏人びんぼうにんむすめ氣違きちがひはおやゆづりでおりふしおこるのでござります
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
其樣そのやうこと如何どうして出來できませう。れば百計ひやくけいつき塲合ばあひには、たとへ海底戰鬪艇かいていせんとうていとも永久えいきゆうこの孤島はなれじま朽果くちはつるとも、無謀むぼう本島ほんたう出發しゆつぱつすること出來できません。きみ左樣さうでせう。
云るゝものかと我が身親子がうゑもせず今日迄くらしけるは皆此方のかげなり今更老たる叔母此梅諸共もろとも置去おきざりにせんとならば勿々なか/\とめはせじ夫ならば其樣そのやう白地あからさまに申給はれと云けるにぞ傳吉大いに迷惑めいわくし是は/\叔母や女房を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ヂュリ さ、乳母うばいの。……ま、なん其樣そのやうなさけないかほしてゐやる? かなしい消息しらせであらうとも、せめてうれしさうにうてたも。
わたし不運ふうん御座ござりますとて口惜くやしさかなしさ打出うちいだし、おもひもらぬことかたれば兩親ふたおやかほ見合みあはせて、さては其樣そのやうなかかとあきれて暫時しばしいふこともなし。
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
奇變あやなししやう三郎にいつはりていま辨濟へんさいせざれども長兵衞は催促さいそくもなさず彼是するうちまたとしすぎ翌年よくどしなり身代しんだいひだり前にて難儀なんぎなるよしちう八より申せしかば庄三郎も不審ふしんに思ひ何とて其樣そのやうなりしぞと云に忠八御屋敷おやしき普請ふしんぞんじのほかつもちがひにて一はこ損金そんきんになり其外そのほか彼是かれこれにて二千兩餘のそんに爲たりとくちから出任でまかせにいつはるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
藥種屋 されば、其樣そのやう大毒藥だいどくやくをばたくはへてはをりまするが、マンチュアの御法度ごはっとでは、ったりゃ、いのちがござりませぬ。
其樣そのやうなつまらぬことはづい、おまへおもふてれるほど世間せけんしをおもふてれぬから、まあ安心あんしんしてるがいと子細わけことつれば
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
るゝに重助ハイ兩親りやうしんはなきとのこと藤助のいもとが一人御座り年は十九歳ばかりにて未だ亭主ていしゆも是なきよしなりと申しければ大岡殿其者は人の世話にでもなりて居る樣子かと申さるゝに重助はこまりし面色おももちにて其樣そのやうは一向存じませぬと云ば大岡殿汝は傍輩のことゆゑ病氣見舞みまひゆきしならん夫れとも見舞には行ぬかどうぢや少しにても僞るに於ては
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
おぬひあきれて貴君あなた其樣そのやうこと正氣せうきおつしやりますか、平常つねはやさしいかたぞんじましたに、お作樣さくさま頓死とんししろとはかげながらのうそにしろあんまりでござります
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
またしても其樣そのやうなこと御前おまへさま此々これ/\とおつたへ申さばきお返事へんじれたことなり最早もうくよ/\とはおぼしめすな
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
れにちからおとさせまじとて八重やへつくろひてるにはあらずやや/\八重やへとして其樣そのやうのことあるはづなしひと
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
糸織いとをりのなへたるにふらんねるをかさねし寐間着ねまき小袖こそでめさせかへ、いざ御就蓐おやすみをとりてたすければ、なに其樣そのやうふてはないとおつしやつて、滄浪よろめきながら寐間ねまへと入給いりたまふ。
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
にたのまれぬを男心をとこごゝろといふ、それよあきそら夕日ゆふひにはかにきくもりて、かさなき野道のみちよこしぶきの難義なんぎさ、あひしものはみな其樣そのやうまをせどもれみなときのはづみぞかし
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
もんをしめてうちれずにかしてやらん、とふをめて、其樣そのやう意地いぢわるはおつしやるな、母樣かあさまがおきヽにならばるし、れでも姉樣ねえさまたちは自分じぶんばかり演藝會えんげいくわい花見はなみきて
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
此通このとほ謝罪あやまりますほどに、うぞゆるあそばして、いつものやう打解うちとけたかほせてくだされ、御嫌機ごきげんなほしてくだされとぶるに、さては左樣さうかとすこれて、れならば其樣そのやう
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
亥之助ゐのすけなにきまりをるがつて其樣そのやうものはおよしなされとふし、十五にあげなんだから片月見かたつきみつてもるし、べさせたいとおもひながらおもふばかりであげこと出來できなんだに
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ぼくれかくらしければと、おもふまヽを遠慮ゑんりよもなく可愛かあいさ、左樣さうおもふてくださるはうれしけれど、其樣そのやうのこと他人ひとふてたまはるなよ、芝居しばゐ花見はなみかぬのはわたしのきにて
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
せしがまたことさらにホヽとわらつてじやうさま一寸ちよつ御覽ごらんあそばせこのマア樣子やうす可笑をかしいことよと面白おもしろげにいざなはれてなんぞとばかり立出たちいづ優子いうこ八重やへ何故なぜ其樣そのやうなことが可笑をかしいぞわたしにはなんともきを
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
いつ賃仕事ちんしごとしてもおそばくらしたはうつぽどこゝろよう御座ございますとすに、馬鹿ばか馬鹿ばか其樣そのやうことかりにもふてはならぬ、よめつた實家さとおやみつぎをするなどゝおもひもらぬこと
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
あのやうなたぬきわすれられぬはなん因果ゐんぐわかとむねなかかきまわされるやうなるに、れながら未練みれんものめとしかりつけて、いやれだとて其樣そのやう何時いつまでも馬鹿ばかではぬ、おりきなどゝ名計なばかりもいつてれるな
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ながうとはまをしませぬまをしあげたきこと一通ひととほりとことばきれ/″\になみだみなぎりて引止ひきとむるかひなほそけれど懸命けんめいこゝろ蜘蛛くも千筋ちすぢ百筋もゝすぢちからなきちからはらひかねて五尺ごしやくなよ/\となれどわざ荒々あら/\しく退けてお人違ひとちがひならん其樣そのやうおほうけたまはるわたくしにはあらずいけはたよりおともせし車夫しやふみゝにはなんのことやら理由わけすこしもわかりませぬ車代しやだいたま
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)