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遣
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や
ふりがな文庫
“
遣
(
や
)” の例文
が、それが無謀な、不可能な、ただ快を一時に
遣
(
や
)
る方法であることは、誰にもわかっていた。隣藩の亀山も、津の藤堂も勤王である。
乱世
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
番
(
ばん
)
ごと
喧嘩
(
けんくわ
)
をして
遣
(
や
)
り
込
(
こ
)
めてやるのだが
隨分
(
ずゐぶん
)
おもしろいよと
話
(
はな
)
しながら、
鐵網
(
かなあみ
)
の
上
(
うへ
)
へ
餅
(
もち
)
をのせて、おゝ
熱々
(
あつ/\
)
と
指先
(
ゆびさき
)
を
吹
(
ふ
)
いてかゝりぬ。
わかれ道
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
(その内娘は左手の箪笥を開け探す。画家絵具入の
抽斗
(
ひきだし
)
を抜き
出
(
いだ
)
す。)ここだ、ここだ。(抽斗にある
艶拭巾
(
つやぶきん
)
を二枚
出
(
いだ
)
して投げ
遣
(
や
)
る。 ...
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
お父様が古かね屋にでも
遣
(
や
)
っておしまいなさるお積で、
疾
(
と
)
うから蔵にしまってあったのを、引き出してお置になったのかも知れない。
ヰタ・セクスアリス
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
彼等の忠告のすぐその後で、すぐその場へ行くといふ事が、彼等に対する憤懣の唯一の
遣
(
や
)
り
場
(
ば
)
であり、彼等に
酬
(
むく
)
いる唯一の道なんだ!
良友悪友
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
▼ もっと見る
まず朝
勃然
(
むっくり
)
起る、弁当を
背負
(
しょ
)
わせて学校へ
出
(
だし
)
て
遣
(
や
)
る、帰ッて来る、直ちに傍近の私塾へ通わせると言うのだから、あけしい間がない。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「勝負事もいいけれど、あの連中は腹を合わせて何をするかも知れやしないから、ここで
遣
(
や
)
るのは不利益ですよ。」と
諫
(
いさ
)
めてみるが
世間師
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
何がさて娘の頼みだ、聴いて
遣
(
や
)
らん法はないと、ミハイロは財布の紐を解いて、
稼
(
かせ
)
ぎ
溜
(
た
)
めた金の中から、十銭
丸
(
だま
)
を一つ出して遣つた。
椋のミハイロ
(新字旧仮名)
/
ボレスワフ・プルス
(著)
八畳の間で、庭の新緑に眼を
遣
(
や
)
りながら四人が一と息入れているところへ、未亡人が
挨拶旁〻
(
あいさつかたがた
)
嫁や孫たちを引き合せに
這入
(
はい
)
って来た。
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
彼
(
かれ
)
は
捕
(
とら
)
へられて
家
(
いへ
)
に
引返
(
ひきかへ
)
されたが、
女主人
(
をんなあるじ
)
は
醫師
(
いしや
)
を
招
(
よ
)
びに
遣
(
や
)
られ、ドクトル、アンドレイ、エヒミチは
來
(
き
)
て
彼
(
かれ
)
を
診察
(
しんさつ
)
したのであつた。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
猶太
(
ユダヤ
)
心理学派の
遣
(
や
)
り方だが、事実どう
算
(
かぞ
)
えたって千
法
(
フラン
)
には二法足らないんだから、やすいこた安いわけで、誰だって文句は言えまい。
踊る地平線:06 ノウトルダムの妖怪
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
時雄は黙って手紙を投げて
遣
(
や
)
った、細君はそれを受取りながら、夫の顔をじろりと見て、暴風の前に来る雲行の甚だ急なのを知った。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
それもそうだ、一旦吐いてしまった自分の息は取り還せるわけはないからな。ではいっそ、何も
彼
(
か
)
も初版どおりにまた
遣
(
や
)
り直しだな。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
理解する事が出来ないのだ。どうかして具体的に分からせて
遣
(
や
)
らなくてはならない。ちょいとこれを見い。ここになんと書いてある。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
声をかけて見ようと思う、嫗は小屋で暗いから、
他
(
ほか
)
の一人はそこへと見
遣
(
や
)
るに、
誰
(
たれ
)
も無し、月を肩なる、山の裾、蘆を
裀
(
しとね
)
の寝姿のみ。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
庄「旦那妙なもので、これは本当に真の友達で、銭が無けりゃア貸して
遣
(
や
)
ろう、
己
(
お
)
らが
持合
(
もちあわ
)
せが有れば貸そうという中で有りますと」
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
内儀
(
かみ
)
さんは
什麽
(
どんな
)
にしても
救
(
すく
)
つて
遣
(
や
)
りたいと
思
(
おも
)
ひ
出
(
だ
)
したら
其處
(
そこ
)
に
障害
(
しやうがい
)
が
起
(
おこ
)
れば
却
(
かへつ
)
てそれを
破
(
やぶ
)
らうと
種々
(
しゆじゆ
)
に
工夫
(
くふう
)
も
凝
(
こら
)
して
見
(
み
)
るのであつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
「そこですよ、私が心配して
遣
(
や
)
るのは。旦那もネ、橋本の家で生れた人ですから、
何卒
(
どうか
)
して私は……あの家で死なして遣りたくてサ」
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「震災でよごれたから手入れに
遣
(
や
)
ったらこんなに白く塗りかえてしまった。弱く見え過ぎて困っているんだが……」と云いました。
所感
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
塾
(
じゆく
)
は
家族的
(
かぞくてき
)
の
組織
(
そしき
)
であるから
各人
(
かくじん
)
共同
(
きようどう
)
の
物
(
もの
)
である、
塾生
(
じゆくせい
)
は
此處
(
こゝ
)
を
自分
(
じぶん
)
の
家
(
いへ
)
と
心得
(
こゝろえ
)
て
何事
(
なにごと
)
も
自分
(
じぶん
)
に
責任
(
せきにん
)
を
持
(
も
)
つて
遣
(
や
)
らねばなりません。
女教邇言
(旧字旧仮名)
/
津田梅子
(著)
晶子君なども
少
(
ち
)
ッと考えればすぐ解りそうな間違を平気で、
遣
(
や
)
ッて居られるようだ、もしこの根本の誤解を反省せらるるの機会あらば
子規と和歌
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
味方の為に泣かず、敵の為に笑はず、天地に敵といふ観念なく、味方といふ思想あらざるなり。基督が世に
遣
(
や
)
れる政治家は即ち彼なり。
最後の勝利者は誰ぞ
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
「あれはね、
自働革砥
(
オートストロツプ
)
の音だ。毎朝髭を
剃
(
そ
)
るんでね、安全髮剃を
革砥
(
かはど
)
へ掛けて
磨
(
と
)
ぐのだよ。今でも
遣
(
や
)
つてる。嘘だと思ふなら來て御覽」
変な音
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
有力な弁護があったりして、一旦帰宅を許されていた好親は、ちょうど好い工合にそのとき、息子からの手紙を受取り、返事を
遣
(
や
)
った。
日は輝けり
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
今夜だけはまあ泊めて
遣
(
や
)
るから、あしたになったら
何処
(
どこ
)
へでも勝手に出て行ってくれ。長く泊めて置くことは出来ねえぞ。いいか。
影:(一幕)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
吐息に蒸されて
滴
(
しずく
)
を結んだ羽根毛がつめたく鼻のあたりを
湿
(
しめ
)
した。それが情感の
遣
(
や
)
り場のない涙の感触に
肖
(
に
)
てゐたのかも知れない。
青いポアン
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
「君と二人で店の
有象無象
(
うぞうむぞう
)
に勤勉の見本を示すんだそうだが、僕は
何
(
ど
)
うも
遣
(
や
)
り切れそうもない。頭がガン/\する。あゝ/\/\」
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
併
(
しか
)
し
此
(
この
)
場を立ち上がって、あの倒れている女学生の所へ行って見るとか、それを
介抱
(
かいほう
)
して
遣
(
や
)
るとか云う事は、どうしても遣りたくない。
女の決闘
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
穏当
(
おとなしく
)
なって
姪子
(
めいっこ
)
を売るのではない養女だか
妾
(
めかけ
)
だか知らぬが百両で縁を
切
(
きっ
)
で
呉
(
く
)
れろという人に
遣
(
や
)
る
計
(
ばかり
)
の事、それをお
辰
(
たつ
)
が
間夫
(
まぶ
)
でもあるか
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
父のそのときの軽い苦笑には、相似るものをなつかしむと同時に嫌厭する
遣
(
や
)
る瀬ない気持が陰になって唇を掠めたのを覚えております。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
だが特報は第一級であり、根深く、広範囲に
拡
(
ひろ
)
まっていた。「幟もおっ立たない」ような息子に、嫁を
遣
(
や
)
ろうという親はなかった。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
庭樹の
茂
(
しげり
)
に隠れ行く篠田の
後影
(
うしろかげ
)
ながめ
遣
(
や
)
りたる渡辺老女の
瞼
(
まぶた
)
には、ポロリ一滴の露ぞコボれぬ「きツと、お
暇乞
(
いとまごひ
)
の
御積
(
おつもり
)
なんでせう」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
それは折々私の
遣
(
や
)
った薬がよく
利
(
き
)
いた事もあるからですが、その薬は私の友達の広岡修造という医師から貰った薬も大分あります。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
そしてお客の持つて来た鱒の子は、
悉皆
(
みんな
)
湖水のなかへ放して
遣
(
や
)
つたら、幾年かの間に湖水は鱒で一杯になるだらうと言ひ/\してゐた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
これもバターが多過ぎてならず
寡
(
すくな
)
くってもなりませんが先ず紙十枚位の厚さに塗るという
心持
(
こころもち
)
で
遣
(
や
)
っていると自然と覚えられます。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
第一、生れて一度も手紙の
遣
(
や
)
り
取
(
と
)
りなんかしたこともない。けれど私は信じていた。行けばきっと私を受け入れてくれるだろうと。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
其処
(
そこ
)
をお考へ遊ばしたら、
如何
(
いか
)
に好かん奴であらうとも、
雫
(
しづく
)
ぐらゐの
情
(
なさけ
)
は懸けて
遣
(
や
)
らう、と御不承が出来さうな者では御座いませんか。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
思ひ
遣
(
や
)
り又も泪に
昏
(
くれ
)
し
機
(
をり
)
丑刻
(
やつ
)
の
鐘
(
かね
)
鐵棒
(
かなぼう
)
の音と諸共に松本理左衞門は
下役
(
したやく
)
二人下男五六人召連
自分
(
じぶん
)
獄屋
(
ごくや
)
に來り
鍵番
(
かぎばん
)
に戸口を明けさせ九助を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
草花いぢりも夏の
一得
(
いつとく
)
であらう。氣を換へるに非常にいゝ。筆の進まぬ時氣持の重い時、ひよいと庭の畑に出て、草をむしり、水を
遣
(
や
)
る。
樹木とその葉:05 夏を愛する言葉
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
舞台の下手まで来て「あゝ、
草臥
(
くたびれ
)
た/\」と腰を伸し、空を見上げて「まだ日が高けえや、一服
遣
(
や
)
つて
往
(
い
)
かう」と下手の
床几
(
しょうぎ
)
に腰を掛け
いがみの権太:(明治二十九年一月、明治座)
(新字旧仮名)
/
三木竹二
(著)
大抵
(
たいてい
)
な人は
財布
(
さいふ
)
の底をはたいて、それを爺さんの手にのせて
遣
(
や
)
りました。私の
乳母
(
ばあや
)
も
巾着
(
きんちゃく
)
にあるだけのお金をみんな遣ってしまいました。
梨の実
(新字新仮名)
/
小山内薫
(著)
韓王
(
かんわう
)
始
(
はじ
)
め
非
(
ひ
)
を
用
(
もち
)
ひず、
急
(
きふ
)
なるに
及
(
およ
)
んで
廼
(
すなは
)
ち
非
(
ひ
)
を
遣
(
や
)
りて
秦
(
しん
)
に
使
(
つか
)
はす。
秦王
(
しんわう
)
之
(
これ
)
を
悦
(
よろこ
)
び、
未
(
いま
)
だ
信用
(
しんよう
)
せず。
李斯
(
りし
)
・
姚賈
(
えうか
)
、
之
(
これ
)
を
害
(
い
)
み
之
(
これ
)
を
毀
(
そし
)
つて
曰
(
いは
)
く
国訳史記列伝:03 老荘申韓列伝第三
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
梅花
(
うめ
)
はもう眼を
遣
(
や
)
る所に咲いていた。けれど
山峡
(
やまあい
)
の冷気が肌身に
沁
(
し
)
みて、梅花に楽しむよりも、心は人里にばかり
牽
(
ひ
)
かれていた。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
... 仕て居るかナア、実に卓眼には恐れ
入
(
いっ
)
た」谷間田は
笑壷
(
えつぼ
)
に入り「フム恐れ入たか、
爾
(
そう
)
折
(
おれ
)
て出れば未だ
聞
(
きか
)
せて
遣
(
や
)
る事が有る実はナ」
無惨
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
「国歌の人を鼓舞して忠誠を貫かしめ人を
劇奨
(
げきしょう
)
して
孝貞
(
こうてい
)
を
竭
(
つ
)
くさしめ」云々「
豈
(
あに
)
翅
(
ただ
)
に花を賞し月を
愛
(
め
)
で春霞に
思
(
おもい
)
を
遣
(
や
)
り風鳥に心を傾くる」
人々に答ふ
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
植木屋を寄越したのではなくってあるいは家主自身で
遣
(
や
)
ったものとしてもよいのである。いずれにしても感じは同じことである。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
之
(
これ
)
が
俗
(
ぞく
)
に
謂
(
い
)
ふ
虫
(
むし
)
の
知
(
し
)
らせとでもいふものであらうかと、
後
(
のち
)
に
思
(
おも
)
ひ
當
(
あた
)
つたが、
此時
(
このとき
)
はたゞ
離別
(
りべつ
)
の
情
(
じやう
)
さこそと
思
(
おも
)
ひ
遣
(
や
)
るばかりで、
私
(
わたくし
)
は
打點頭
(
うちうなづ
)
き
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
普通の目かくしでは、外から見て疑われる心配があるので、繃帯を使って怪我人と見せかけるのであろう。実に万
遺漏
(
いろう
)
なき
遣
(
や
)
り
口
(
くち
)
である。
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
所が困るのはその読合せだが、お前はどうか原書を見て居て
呉
(
く
)
れぬか、私が写したのを読むから。実は昼
遣
(
や
)
りたいが、昼は出来られない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
暫くした時に、その前をズッシズッシと通ったのは、昨日、笹子峠の坊主沢のあたりで
遣
(
や
)
り過ごした八州の役人という一隊でありました。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
遣
常用漢字
中学
部首:⾡
13画
“遣”を含む語句
気遣
心遣
打遣
小遣
遣放
小遣銭
御遣
目遣
小遣錢
詞遣
遣度
思遣
氣遣
差遣
遣付
小遣取
遣込
見遣
遣切
眼遣
...