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筋
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すじ
ふりがな文庫
“
筋
(
すじ
)” の例文
為朝
(
ためとも
)
は
筋
(
すじ
)
を
抜
(
ぬ
)
かれて
弓
(
ゆみ
)
は
少
(
すこ
)
し
弱
(
よわ
)
くなりましたが、ひじがのびたので、
前
(
まえ
)
よりもかえって
長
(
なが
)
い
矢
(
や
)
を
射
(
い
)
ることができるようになりました。
鎮西八郎
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
脇差の
切先
(
きっさき
)
を調べて見ると肉には触れている、橋の上をよくよく見ると血の
滴
(
したた
)
りが小指で
捺
(
お
)
したほどずつ
筋
(
すじ
)
を引いてこぼれております。
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
部屋へ入ると、よくこういう街道
筋
(
すじ
)
に建っている小さな木造の料理屋では、誰でもぶつかるようないろんな
古馴染
(
ふるなじみ
)
が眼についた。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
その席亭の
主人
(
あるじ
)
というのは、町内の
鳶頭
(
とびがしら
)
で、時々
目暗縞
(
めくらじま
)
の腹掛に赤い
筋
(
すじ
)
の入った
印袢纏
(
しるしばんてん
)
を着て、突っかけ
草履
(
ぞうり
)
か何かでよく表を歩いていた。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
火先はさんらんと
縞目
(
しまめ
)
の
筋
(
すじ
)
をえがいて、
人穴城
(
ひとあなじょう
)
へそそぎ、三千の
野武士
(
のぶし
)
の巣を、たちまち大こんらんにおとし入れてしまった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
いや、取出せばその
筋
(
すじ
)
へ届けるつもりだった、本当です。しかし世間を
呀
(
あ
)
っといわせたかった。そこで思いついたのが、赤見沢博士の研究だ。
鞄らしくない鞄
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「
申上
(
もうしあ
)
げたいのは
山々
(
やまやま
)
でござんすが、ちと
厚
(
あつ
)
かましい
筋
(
すじ
)
だもんでげすから、ついその、あっしの
口
(
くち
)
からも、
申上
(
もうしあ
)
げにくかったような
訳
(
わけ
)
でげして」
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
その男の手の甲に、
斜
(
はす
)
かけに、
傷痕
(
きずあと
)
らしい黒い
筋
(
すじ
)
のあったのが、いつまでも、いつまでも、私の目に残っていました。
湖畔亭事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「へい、ある
筋
(
すじ
)
より頼まれまして、風呂敷に包んだ木箱を一つ、
預
(
あず
)
かっておりますが、何がはいっておるかは、この爺いはすこしも存じませんので」
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
私
(
わたくし
)
の
任務
(
つとめ
)
というのはごく一と
筋
(
すじ
)
のもので、
従
(
したが
)
って
格別
(
かくべつ
)
取
(
と
)
り
立
(
た
)
てて
吹聴
(
ふいちょう
)
するような
珍
(
めず
)
らしい
話
(
はなし
)
の
種
(
たね
)
とてもありませぬが
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
露子
(
つゆこ
)
はつばめに、その
船
(
ふね
)
は
赤
(
あか
)
い
筋
(
すじ
)
の
入
(
はい
)
った
船
(
ふね
)
で、三
本
(
ぼん
)
の
高
(
たか
)
いほばしらがあることから、
自分
(
じぶん
)
の
見
(
み
)
た
記憶
(
きおく
)
のままを、いちいち
語
(
かた
)
り
聞
(
き
)
かせたのであります。
赤い船
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
卯ノ花の
汗袴
(
かざみ
)
を着て式台に這いつくばってとぼけているが、首筋に深く斬れこんだ太刀傷があり、手足も並々ならず
筋
(
すじ
)
張っていて、素性を洗いだせば
無月物語
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
江戸は
年々歳々
(
ねんねんさいさい
)
の
御触出
(
おふれだ
)
しあるがゆえに、通り
筋
(
すじ
)
と
間筋
(
あいすじ
)
は
大方
(
おおかた
)
瓦葺
(
かわらぶ
)
きとなったが、はしばしにはたたき屋根が多い。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
わたしが手紙を書くのはこれが
初
(
はじ
)
めてでなかなか
骨
(
ほね
)
が
折
(
お
)
れた。それはひじょうに
痛
(
いた
)
ましいことであったが、わたしたちはまだひと
筋
(
すじ
)
の
希望
(
きぼう
)
を持っていた。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
次に最後の「朝」、この朝の字をここに置きたるが気にくはず。元来この歌に朝といふ字がどれほど必要……図に乗つて余り書きし故
筋
(
すじ
)
痛み出し、やめ。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
私の方からも
願
(
ねがい
)
の
筋
(
すじ
)
がある、兼て長官へ内々御話いたしたこともある通り、
三田
(
みた
)
の
島原
(
しまばら
)
の屋敷地を拝借いたしたい、
是
(
こ
)
れ
丈
(
だ
)
けは厚く
御含
(
おふくみ
)
を願うと云うは
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
鴨
(
かも
)
の流れは水音もなく、河原の小石を洗いながら、南に向かって流れていたが、取り忘れられた
晒
(
さら
)
し布が、二
筋
(
すじ
)
三筋河原に残って、白く月光を吸っていた。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
両者がいずれも貿易の関心によって動いていた点には変りはないが、しかしポルトガル人の運動の
筋
(
すじ
)
がねとなっていたのは航海者ヘンリ王子の精神であった。
鎖国:日本の悲劇
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
探るべき
筋
(
すじ
)
あったればこそ探りに這入った隠密、斬れば主水之介も鬼になろうぞ。素直に帰さば主水之介も仏になろうぞ。どうじゃ。とくと分別して返答せい
旗本退屈男:07 第七話 仙台に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「申しますよ、親分、この話は目黒で知らない者もなく、此家の旦那だって薄々は、呑込んで居る
筋
(
すじ
)
だ」
銭形平次捕物控:241 人違い殺人
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「テクニカラーでした。すばらしく
美
(
うつく
)
しいものでした。
筋
(
すじ
)
はありきたりの
平凡
(
へいぼん
)
なものでしたが……」
金魚は死んでいた
(新字新仮名)
/
大下宇陀児
(著)
及
(
およ
)
ばずながら私がお道
筋
(
すじ
)
をご案内申しあげたいと存じまして、お迎えにまいりましたのでございます
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
掛
(
かけ
)
ける處に町内の
自身番屋
(
じしんばんや
)
へ火附盜賊改役奧田主膳殿組下與力笠原粂之進は同心を
引連
(
ひきつれ
)
來
(
きた
)
りて平兵衞を呼び
其方
(
そのはう
)
店子
(
たなこ
)
煙草屋
(
たばこや
)
喜八事御用の
筋
(
すじ
)
有
(
ある
)
に
依
(
より
)
案内
(
あんない
)
致せとて平兵衞を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
鼻をやつままむ眼をやおさむとまたつくづくと
打
(
うち
)
まもりぬ。ふとその
鼻頭
(
はなさき
)
をねらひて手をふれしに
空
(
くう
)
を
捻
(
ひね
)
りて、うつくしき人は
雛
(
ひな
)
の如く顔の
筋
(
すじ
)
ひとつゆるみもせざりき。
竜潭譚
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
あかるい声でいきをあわせている先生の
頬
(
ほお
)
を、
涙
(
なみだ
)
の
筋
(
すじ
)
が走った。みんなしんとしたなかで、早苗はつと立ち上った。
酔
(
よ
)
ったマスノはひとり手すりによりかかって歌っていた。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
「それじゃ、まあ、とにかく一番丁へ行ってみて、どこかあらたに開拓するとしよう。おいしい
蒲焼
(
かばやき
)
でもたべさせる家があるといいんだが、どうも、仙台の
鰻
(
うなぎ
)
には
筋
(
すじ
)
がある。」
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
西を見れば、茶褐色に
焦
(
こが
)
れた雑木山の向うに、濃い
黛色
(
たいしょく
)
の低い山が横長く出没して居る。
多摩川
(
たまがわ
)
の西岸を
縁
(
ふち
)
どる所謂多摩の横山で、川は見えぬが流れの
筋
(
すじ
)
は
分明
(
ぶんみょう
)
に指さゝれる。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
ここらあたりにも
又
(
また
)
沢山
(
たくさん
)
の湯がわいておる。
湯坪
(
ゆつぼ
)
という村には
筋
(
すじ
)
湯、
大岳
(
おおたけ
)
地獄、
疥癬
(
ひぜん
)
湯、河原の湯、
田野
(
たの
)
という村には
星生
(
ほっしょう
)
の湯、中野の湯、
寒
(
かん
)
の地獄、
筌
(
うけ
)
の
口
(
くち
)
温泉というのがある。
別府温泉
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
横
筋
(
すじ
)
かいに照し出している茶色のリノリウム張りの床の上には、そうと察して見なければ解らない程のウッスリとした、細長い、女の右足の爪先だけの靴痕が
印
(
しる
)
されているのであった。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
また十節—十二節は「汝は我を乳の如く
斟
(
そそ
)
ぎ
牛酪
(
ぎゅうらく
)
の如くに固め給いしに
非
(
あら
)
ずや、汝は皮と肉とを我に着せ骨と
筋
(
すじ
)
とをもて我を
編
(
あ
)
み、
生命
(
いのち
)
と
恩恵
(
めぐみ
)
とを我に授け我を
顧
(
かえり
)
みてわが
息
(
いき
)
を守り給えり」
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
飯台の上に
筋
(
すじ
)
を引いて、黒い
駒
(
こま
)
をあっちに動かし、こっちに飛ばしている。
糞尿譚
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
そこでこれは大変だ、念力には感光作用もあるらしいということになったのだそうである。実際はもっと
紆余
(
うよ
)
曲折はあったのであるが、結局
筋
(
すじ
)
はそういうことらしい。これでは話にもならない。
千里眼その他
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
これは海の中に
自
(
おのず
)
から水の流れる
筋
(
すじ
)
がありますから、その筋をたよって舟を
潮
(
しお
)
なりにちゃんと
止
(
と
)
めまして、お客は
将監
(
しょうげん
)
——つまり舟の
頭
(
かしら
)
の方からの第一の
室
(
ま
)
——に向うを向いてしゃんと坐って
幻談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
もっとも
冬場
(
ふゆば
)
でも、まぐろの腹部の肉、俗に
砂摺
(
すなず
)
りというところが
脂身
(
あぶらみ
)
であるゆえに、
木目
(
もくめ
)
のような皮の部分が
噛
(
か
)
み切れない
筋
(
すじ
)
となるから、この部分は細切りして、「ねぎま」というなべものにして
鮪を食う話
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
「どんな
筋
(
すじ
)
なんでしょう」という問いに主人は答えて
猫八
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
マギイ婆さんが顔の
筋
(
すじ
)
一つ動かさずに云った。
売春婦リゼット
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「てっきりお手の
筋
(
すじ
)
ですよ。」
雪解
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
大切そうに二
筋
(
すじ
)
の林檎の皮を
花束の虫
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
筋
(
すじ
)
かひにふとん
敷
(
しき
)
たり宵の春
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
瞼
(
まぶた
)
の
周囲
(
まわり
)
に細い
淡紅色
(
ときいろ
)
の絹糸を縫いつけたような
筋
(
すじ
)
が入っている。眼をぱちつかせるたびに絹糸が急に寄って一本になる。と思うとまた丸くなる。
文鳥
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
中国
筋
(
すじ
)
、大坂、
島原
(
しまばら
)
と、諸国の遊び場所を通って来たが、清吉はこんな馬鹿な女の多い土地はまだ
他
(
ほか
)
では知らなかった。
春の雁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
若者
(
わかもの
)
たちはすぐにこの
港
(
みなと
)
から
出
(
で
)
てゆくように、もし
聞
(
き
)
かなければ、その
船
(
ふね
)
を
取
(
と
)
り
押
(
お
)
さえるなりその
筋
(
すじ
)
へ
訴
(
うった
)
え
出
(
で
)
るなり、するからといったのであります。
カラカラ鳴る海
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
どうも
一
(
ひ
)
と
筋
(
すじ
)
縄
(
なわ
)
や
二
(
ふた
)
筋縄で行かぬ人物であり、しかもその犯人は相当インテリゲンチャであると思うのであります。
国際殺人団の崩壊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
上
(
うえ
)
はお
大名
(
だいみょう
)
のお
姫様
(
ひめさま
)
から、
下
(
した
)
は
橋
(
はし
)
の
下
(
した
)
の
乞食
(
こじき
)
まで、十五から三十までの
女
(
おんな
)
と
名
(
な
)
のつく
女
(
おんな
)
の
髪
(
かみ
)
は、ひと
筋
(
すじ
)
残
(
のこ
)
らずはいってるんだぜ。——どうだ
松
(
まつ
)
つぁん。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
私は探偵小説の
筋
(
すじ
)
を考える
為
(
ため
)
に、
方々
(
ほうぼう
)
をぶらつくことがあるが、東京を離れない場合は、
大抵
(
たいてい
)
行先が
極
(
きま
)
っている。
目羅博士の不思議な犯罪
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
私
(
わたくし
)
はただ
自分
(
じぶん
)
の
気
(
き
)
が
済
(
す
)
むように、一と
筋
(
すじ
)
に
女子
(
おんな
)
として
当
(
あた
)
り
前
(
まえ
)
の
途
(
みち
)
を
踏
(
ふ
)
んだまでのことなのでございまして……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
そこで
為朝
(
ためとも
)
の
死罪
(
しざい
)
を
許
(
ゆる
)
して、その
代
(
かわ
)
り
強
(
つよ
)
い
弓
(
ゆみ
)
の
引
(
ひ
)
けないように、ひじの
筋
(
すじ
)
を
抜
(
ぬ
)
いて
伊豆
(
いず
)
の
大島
(
おおしま
)
に
流
(
なが
)
しました。
鎮西八郎
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
竜之助は
木彫
(
きぼり
)
の像を置いたようにキチンと坐って、
面
(
かお
)
の
筋
(
すじ
)
一つ動かさず、色は例の通り
蒼白
(
あおじろ
)
いくらいで、
一言
(
ひとこと
)
ものを言っては直ぐに唇を固く結んでしまいます。
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
我輩
(
わがはい
)
はこの一段に至りて、勝氏の
私
(
わたくし
)
の
為
(
た
)
めには
甚
(
はなは
)
だ気の毒なる
次第
(
しだい
)
なれども、
聊
(
いささ
)
か
所望
(
しょもう
)
の
筋
(
すじ
)
なきを得ず。
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
ふと北の空に青白い
筋
(
すじ
)
が見えたが、だんだん大きくなってこちらのほうへ向かって来た。そのときわたしたちはきみょうながあがあいうささやき声のような音を聞いた。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
“筋”の意味
《名詞》
(すじ) 匿名条件で情報を明かす内部の関係者。
(出典:Wiktionary)
筋
常用漢字
小6
部首:⽵
12画
“筋”を含む語句
筋違
筋向
筋書
頸筋
筋斗
千筋
道筋
翻筋斗
筋合
筋違橋
一筋
筋骨
首筋
二筋
其筋
筋肉
青筋
三筋町
主筋
飜筋斗
...