)” の例文
あとではむしいるまでも羞恥はぢ恐怖おそれとそれから勘次かんじはゞかることからつてきた抑制よくせいねんとがあわてゝもきらせるのであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
さむゆきくにまれたものが、あたたかな、いつもはるのような気候きこうくにまれなかったことをい、貧乏びんぼういえまれたものが
小さな赤い花 (新字新仮名) / 小川未明(著)
秦王しんわうのちこれい、ひとをしてこれゆるさしむれば、すでせり。申子しんし韓子かんしみなしよあらはし後世こうせいつたふ、(一二一)學者がくしやおほり。
それがたとえ指導上やむを得なかったことにしろ、相手の今後の任務を思うと、ただ私は自分の不徳のみがいられてならないのである。
愛情にいのない楽しい生活の記憶だけが、むしろ会う人ごとに感謝かんしゃしたい思いで、一つ一つ、くっきりとうかびあがってくる。
親馬鹿入堂記 (新字新仮名) / 尾崎士郎(著)
康頼 (成経をきとめる)成経殿。軽はずみをしてあとでいないために! あなたは敵をほうるようにして友をころす気か!
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
しかはあれ、こゝにては我等いず、たゞ笑ふ、こは罪の爲ならで(再び心に浮ばざれば)、定め、とゝのふる力のためなり 一〇三—一〇五
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
そういう石念のすがたをいとし子のように見入った、彼はまだ道念の至らないこの若僧のいに打ちのめされて慚愧ざんきしている有様を見ると
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ひそかに思ふに英文学もまたかくの如きものなるべし、かくの如きものならば生涯を挙げてこれを学ぶも、あながちにゆることなかるべしと。
『文学論』序 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
私は私で相變あひかはらず貧乏世帶びんばふじよたいりになやまされてゐます。けれど私達はしてそれをいることはなかつたと思ひます。
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
糟谷かすやはつくづくと、自分が過渡期かとき中間ちゅうかん入用にゅうようざいとなって、仮小屋的任務かりごやてきにんむにあたったことをやんだ。なみだがいつのまにかまぶたをうるおしていた。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
佐助はこのことを、春琴の瞳の光を一度も見なかったことを後年に至るまでいていないかえって幸福であるとした。
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
しかしわたしはこれがために幾多の日子にっしと紙料とを徒費したことをいていない。わたしは平生へいぜい草稿をつくるに必ず石州製の生紙きがみを選んで用いている。
十日の菊 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
はじ息子せがれ長三郎にもはなしたるに息子は然もこそあらんと思ひ夫婦はしきり麁忽そこつ再度ふたゝび婚姻を結んとて翌日忠兵衞を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
甚だしきは家に帰りて学校の科程を復習せざる事のために食物を与へずしてこれを苦めこれをいしめんとする者あり。子を愛するの極、子をそこなはんとす。
病牀譫語 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
私は別に悲しいとも、やしいとも思わなかった。ただ絶望的な気分がぶつぶつときたっているのを感じた。
い改めます。許して下さい。私どももみんなビジテリアンになります。」と声をそろえて云ったのです。
ビジテリアン大祭 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
それが、もし、僕の努力にもかかわらず不成功に終わったら、少なくとも僕はみずからゆるところなしだ。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
私は繋獄けいごくの身となるもゆることがない、ついては若干じゃっかんの金を得て老母の養老金にしたいと頼まれ、わが輩一ぺん義侠ぎきょう、これをいなむにしのびず、彼のために出金しゅっきんした
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
「人のいのちは、いつ尽きるか分らぬもの——そなたの大望、早うげねば、ゆることがあろうよ」
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
さては一大事、医師の診察によりて、分娩ぶんべんの事発覚はつかくせば、せふは兎も角、折角おこたりたる母上の病気の、又はそれが為めにつのり行きて、ゆとも及ばざる事ともならん。
母となる (新字旧仮名) / 福田英子(著)
さう云ふ口論の間中、わたしは唯やし泣きに泣き続けてゐたのでございます。丸佐の主人を送り出した父が無尽燈を持つた儘、見世からこちらへはひつて来る迄は。
(新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
それに一生をささげていない青年、そうした青年が輩出はいしゅつしてこそ、日本の国士がすみずみまで若返り、民族の将来が真にかがやかしい生命の力にあふれるのであります。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
「もう失敗してもいない。おれは昔の怜悧者りこうものではない。おれは明治めいじの人間だ。明治の天子様は、たとえ若崎が今度失敗しても、畢竟ひっきょうみとめて下さることを疑わない」
鵞鳥 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
稲川先生の母親は、まるで気ちがいのように息子むすこをかばい、今では彼が前非ぜんぴいあらためていると、会う人ごとに吹聴ふいちょうしてまわるのにいそがしいといううわさを聞いた。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
「我れ知るなんじは一切の事をなすを得給う」といい、また「われ汝の事を耳にて聞きいたりしが今は目をもて汝を見奉みたてまつる、これをもて我れ自ら恨み、塵灰ちりはいの中にてゆ」
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
貴君こそ、自分の不明を恥じて、私の前でいつかの暴言を謝しなさい! 唐沢のお嬢さんは、もうの通り、ちゃんと前非ぜんぴいている。御覧なさい! 此の手紙を!
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
ゆれど及ばず、かなたなる境内けいだいの鳥居のあたりまで追ひかけたれど、早やその姿は見えざりき。
竜潭譚 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
子曰く、虎をてうち(徒搏)にし、河をかちわた(徒渉)りて、死すともゆるなきものは、吾くみせざるなり、必ずや事に臨みておそれ謀を好みて成すひとに(与する)なり。(一〇)
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
道庵が、寝ながら頭の寒いことを感じ出したのは、今晩に始まったことではなく、つまらない一時の感激から、額をそり上げてしまったことを、今もいているのです。
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
自分も危ふく源次郎と同じやうな事をする氣になつたのを、深くもおそいたのでせう。
「六日の茶会さかいを外したら、いて及ばぬことにもなりましょう。それがすめば、さっそく白金しろかねの上杉家の別邸へ引移られるはずだと、たしかな筋から聞き及んでもいますからな」
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
いきどおりといにギリギリしながら、艇庫につき、念を入れてもう一回、押入れなぞ改めてはみましたが夜もけ、人気ひとけのない二階はたださえ、がらんとして、いよいよ、もう駄目だ
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
そして、二三にちそのつかれのらないのに今更いまさら自分じぶんおろかさをいたやうな始末しまつだつたが、支那人しなじんが二も三たゝかひつづけて平氣へいきだといふのは、ひとつはたしか體力たいりよくのせゐにちがひない。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
夫を殺し、我が産み落した子供をさえしめ殺してゆる所なき極悪人でありながら、このなよなよとした風情はどうだ。この顔の美しさはどうだ。美しいよりも、寧ろなまめかしいのだ。
白髪鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
そこで俄然がぜんその宏大な地方を根拠地として某国の活溌な軍事行動が疾風迅雷しっぷうじんらい的に起されようとしているのだ。うっかり油断をしていたが最後、いて帰らぬ破滅が来るばかりだった。
流線間諜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そこでペンペのはなしをいたラランは、ふか自分じぶんわるかつたことをいて、ペンペをほほむつてくれた旅行者りよかうしやたちにすべてを懺悔ざんげした。翌朝よくてう旅行者りよかうしやたちは天幕テントをたゝんできたほうつた。
火を喰つた鴉 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
女はもう詮方せんかたきたもののように、そんなものにまですべてをまかせるほかなくなった自分の身が、何だかいとおしくていとおしくてならないような、いかにもやしい思いをしながら
曠野 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
い改めよ、その人は天国に入るべければなり……へへ、悔い改めら、ら、られるような罪人なら、俺は初めから罪なんか犯すかい。わたくしは罪人でございます。へえ悔い改めました。
星座 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
そんなつひとおり分疏いいわけを聞くあたいだとお思ひか、帰るならお帰りと心強くいなせしに、一座では口もろくにかぬあのくわせもののおとくめ、みちで待ち受けてきしを今朝聞いたやしさ
そめちがへ (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
いさゝか兼吉を怨む筋は無いといて居りまするが、母親の方は非常な剣幕けんまくで、生涯楽隠居の金蔓かねづるを題無しにしたと云ふ立腹です、——女性をんなと云ふものは、果してかくの如く残忍酷薄なものでせうか
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
れは刑罰けいばつといふものが本人ほんにん悔悟くわいご基礎きそとしなければならぬとかんがへるはう一人ひとりであつた。ころされてしまへば、いることもあらためることも出來できない。したがつて、死刑しけいけいでないといふふうかんがへた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
してみると、楽書としては随分古いもので、なにによらず古いものでさへあれば珍重がる京都大学などでは、この剽軽へうきんな楽書の研究に、一生を棒に振つてもいないだけの学者が出なければならぬ筈だ。
たとえば、過去の嘆きとか悩みとか、罪悪をいる気持ちとか
仏教人生読本 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
このゆふべいおもへども君とほく今し去りゆくいてかへらず
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
直助は己のあさましい心をいながら死んでいった。
南北の東海道四谷怪談 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
い改めは、その救ひだと申しますわ。」
いて、うちわびて
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
始終しじゅう不自由ふじゆうをして、まずしくんでいった母親ははおやのことをおもうと、すこしのたのしみもさせずにしまったのを、こころからいるためもありました。
万の死 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかかれ自分じぶんからはなはだしくいつゝあるらしいのをこゝろたしかめてひては追求つゐきうしようといふ念慮ねんりよおこなかつた。勘次かんじたゞ不便ふびんえた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)