をさな)” の例文
いとな七日々々なぬか/\追善供養つゐぜんくやうも心の及ぶだけはつとめしが何分男の手一ツでをさなき者の養育やういく當惑たうわくひるは漸く近所きんじよとなりもらちゝなどしよる摺粉すりこ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
あの『をさなきものに』とおなじやうに、今度こんどほん太郎たらう次郎じらうなどにはなかせるつもりできました。それがこの『ふるさと』です。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
小學校へはひつて文字を習ひおぼえ、をさない頭にも自分のさうあらはすことを知つて、初めて書き上げた作文にし思ひ出がのこるならば
処女作の思い出 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
それ純なるをさなき魂は、たゞ己を樂しますものに好みてむかふ(喜悦よろこびの源なる造主つくりぬしよりいづるがゆゑに)ほか何事をも知らず 八五—
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
をさない丑松の眼にも氣の付いたのは、草鞋脚絆わらぢきやはんに足を堅めてゐたことですが、その晩は小雨が降つて、何となく薄寒かつたので
御男子四人は四方へながされ玉ふ、是も時平が毒舌どくぜつによれり。ひめたちは都にとゞまりをさなきはふたり筑紫へしたがへ給へり。
長吉ちやうきちは観劇に対するれまでの経験で「夜」と「川端かはばた」とふ事から、きつところに違ひないとをさない好奇心から丈伸せのびをして首をのばすと、はたせるかな
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
さりながらおうかげをもとゞめざるときだに、いとふべき蛇喰へびくひおもいださしめて、折角せつかく愉快ゆくわい打消うちけされ、掃愁さうしうさけむるは、各自かくじともなをさなもの唱歌しやうかなり。
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
このひとどもがすきだつたゝめに、同時どうじに、どもがんでもわかるようなうたあるひ自分じぶんをさな氣持きもちになりきつてつくつたものがたくさん出來できたものらしくおもはれます。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
をさなきより身を一一五翰墨かんぼくするといへども、国に忠義の聞えなく、家に孝信をつくすことあたはず、一一六いたづらに天地のあひだにうまるるのみ。兄長このかみ赤穴は一生を信義の為に終る。
こぼれるほどにつたきやく行商ぎやうしやう町人ちやうにんがへりの百姓ひやくしやう乳呑兒ちのみごかゝへた町家ちやうか女房にようばうをさなおとうといた町娘まちむすめなぞで、一かゝつたふねが、おほきな武士ぶしめに後戻あともどりさせられたのを
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
さうしてはまたすべてのをさないものゝ特有もちまへ凝然ぢつとしてられなくて可憐かれんをひら/\とうごかしながら、ちからあまみづいきほひにぐつとられつゝおよいでる。與吉よきち鼠麹草はゝこぐさはなみづげた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
幼き戸主の学ぶに先ちては食ふべきの急、食ふべきに先ちてははうむりすべき急、なほこれに先ちては看護医薬の急ありしにあらずや。自活すべくもあらぬをさなき者の如何いかにしてこれ等の急を救得すくひえしか。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
しゆうしゆうと花火ふきる竹の筒をさならすでにきほひそめにし
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
をさなごゝろにも二度と帰宅かへつてくれなくてもよい
父の帰宅 (新字旧仮名) / 小寺菊子(著)
まことに笛はをさならが
故郷の花 (旧字旧仮名) / 三好達治(著)
とうさんがとほ外國ぐわいこくはうからかへつたとき太郎たらう次郎じらうへの土産話みやげばなしにとおもひまして、いろ/\なたびのおはなしをまとめたのが、とうさんの『をさなきものに』でした。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
御男子四人は四方へながされ玉ふ、是も時平が毒舌どくぜつによれり。ひめたちは都にとゞまりをさなきはふたり筑紫へしたがへ給へり。
こゝの障子しやうじは、をさないものの夜更よふかしをまもつて、さむいに一まいけたまゝ、あられなかにも、ちゝ祖母そぼなさけゆめは、紙一重かみひとへさへぎるさへなく、つくゑのあたりにかよつたのであつた。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
きゝいしくも申されたりをさなくして兩親ふたおやはなるゝ者は格別かくべつに發明なりとか婆も今は浮世にのぞみのつなきれたれば只其日々々を送り暮せどはからずも孫君まごぎみと同年ときゝ思はず愚痴ぐち
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
お染はかう言ひながらも、をさない富太郎が、目に見えぬあやかしに惱まされて、夜と共におびえて泣き騷ぐ怖ろしさを思ひ出したものか、肥つちよの肩をすくめて、ゾツと身を顫はせました。
霜夜しもよ着るをさな小衾をぶすまぎあてて仕立て送らなうちのさがりを
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
玉之助たまのすけなづ掌中たなそこの玉といつくしみそだてけるしかるに妻は産後の肥立ひだちあし荏苒ぶら/\わづらひしが秋の末に至りては追々疲勞ひらうつひ泉下せんかの客とはなりけり嘉傳次の悲歎ひたんは更なりをさなきものを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
となりのおゆうさんもあの『おばこ』をつてることをたのしみにするやうなをさな年頃としごろでした。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
神の御ばつ夫婦ふうふえんとなりしも奇遇きぐうといふべし。こは我がをさなかりし時の事也き、筆のついでにしるして御機屋おはたや霊威れいゐある事をわかふどにしらしむ。あなかしこ。おそるべし、つゝしむべし。
つかもりえのきに、線香せんかうけむりあはち、こけいしやしろには燈心とうしんくらともれ、かねさらこだまして、おいたるはうづくまり、をさなきたちはつどふ、やまかひなるさかひ地藏ぢざうのわきには、をんなまへいて
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
父とをさな友達なのに、父が江戸一番の蒔繪師まきゑしと言はれ、後の世まで名が殘るほどの仕事をして居るのをねたみ、自分はこんなに身上が出來て居るのに、長い/\間たくららんで、父をひどい目に逢はせました
をさなごころの日のうれひ
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
平次はあわててこの純情らしいをさない嫁をとめました。
毛のにこもの、をさなし。
新頌 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
毛のにこもの、をさなし。
新頌 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
暮れてゆくをさなあゆみ
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)