トップ
>
塗
>
ぬり
ふりがな文庫
“
塗
(
ぬり
)” の例文
其處
(
そこ
)
へ
古
(
ふる
)
ちよツけた
能代
(
のしろ
)
の
膳
(
ぜん
)
。
碗
(
わん
)
の
塗
(
ぬり
)
も
嬰兒
(
あかんぼ
)
が
嘗
(
な
)
め
剥
(
は
)
がしたか、と
汚
(
きたな
)
らしいが、さすがに
味噌汁
(
みそしる
)
の
香
(
か
)
が、
芬
(
ぷん
)
とすき
腹
(
はら
)
をそゝつて
香
(
にほ
)
ふ。
二た面
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
梯子
(
はしご
)
の
樣
(
やう
)
な
細長
(
ほそなが
)
い
枠
(
わく
)
へ
紙
(
かみ
)
を
張
(
は
)
つたり、ペンキ
塗
(
ぬり
)
の一
枚板
(
まいいた
)
へ
模樣畫
(
もやうぐわ
)
見
(
み
)
た
樣
(
やう
)
な
色彩
(
しきさい
)
を
施
(
ほど
)
こしたりしてある。
宗助
(
そうすけ
)
はそれを
一々
(
いち/\
)
讀
(
よ
)
んだ。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
誇ってよい点は
塗
(
ぬり
)
が正直で手堅いことで、村の人たちもその名誉を
涜
(
けが
)
しません。この村に住む者はいずれも「
隠念仏
(
かくしねんぶつ
)
」の信者であります。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
依て此石を庚申塚に祭り上に
泥土
(
どろ
)
を
塗
(
ぬり
)
て光をかくす、今
猶
(
なほ
)
苔
(
こけ
)
むしてあり。
好事
(
かうず
)
の人この石を
乞
(
こ
)
へども
村人
(
そんじん
)
祟
(
たゝり
)
あらん㕝を
惧
(
おそれ
)
てゆるさずとぞ。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
地中海から吹く北風に石炭の
埃
(
ほこり
)
が煙の様に渦を巻いて
少時
(
しばらく
)
の
間
(
あひだ
)
に美しい白
塗
(
ぬり
)
の𤍠田丸も
真黒
(
まつくろ
)
に成つて居た。出帆時間が来た。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
▼ もっと見る
こってりと濃い
白粉
(
おしろい
)
にいくらか
荒性
(
あれしょう
)
の皮膚を
塗
(
ぬり
)
つぶして、首だけ出来あがったところで、何を着て行こうかと思惑っていた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
残暑
(
ざんしよ
)
の
夕日
(
ゆふひ
)
が一しきり夏の
盛
(
さかり
)
よりも
烈
(
はげ
)
しく、ひろ/″\した
河面
(
かはづら
)
一帯に燃え立ち、
殊更
(
ことさら
)
に大学の
艇庫
(
ていこ
)
の
真白
(
まつしろ
)
なペンキ
塗
(
ぬり
)
の
板目
(
はめ
)
に反映してゐたが
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
軒下の暗がり伝いに足音を
窃
(
ぬす
)
み窃み、台所の角に取付けた新しいコールタ
塗
(
ぬり
)
の
雨樋
(
あまどい
)
をめぐって、裏手の風呂場と、納屋の物置の
廂合
(
ひさしあ
)
いの下に来た。
笑う唖女
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「少し気が付けば、誰にでもわかる事だよ。あの女は、粗末ながら身扮がキチンとしているくせに、
履物
(
はきもの
)
が右と左が違っていた——
鼻緒
(
はなお
)
も、
塗
(
ぬり
)
も——」
銭形平次捕物控:101 お秀の父
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「上出来でございました。はやく、お父君にも、このことを」
穿物
(
はきもの
)
をそろえて、
塗
(
ぬり
)
の
剥
(
は
)
げた貧しい
輦
(
くるま
)
の
轅
(
ながえ
)
を向ける。彼が、それに乗ると、学舎の窓から
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
雨の日雪の日の自動車は、本所行、市外行、深川行といふ風に、一目でわかるやうに赤い
塗
(
ぬり
)
や青い色で現はし、なる可く無料で老幼婦女から送り出すやうにする。
むぐらの吐息
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
或は
白木
(
しらき
)
の
指物細工
(
さしものざいく
)
に
漆
(
うるし
)
を
塗
(
ぬり
)
てその品位を増す者あり、或は
戸
(
と
)
障子
(
しょうじ
)
等を
作
(
つくっ
)
て本職の
大工
(
だいく
)
と
巧拙
(
こうせつ
)
を争う者あり、しかのみならず、近年に
至
(
いたり
)
ては
手業
(
てわざ
)
の外に商売を兼ね
旧藩情
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
店先にはスリッパがひっくりかえっていて、古い型の
塗
(
ぬり
)
の
剥
(
は
)
げた鏡が、曇ったように鈍く光っていた。
冬枯れ
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
童子は、いつも紅い
塗
(
ぬり
)
のある笛を手に
携
(
たずさ
)
えていた。しかしそれを
曾
(
かつ
)
て吹いたことすらなかった。
後の日の童子
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
玄關
(
げんくわん
)
の
先
(
さき
)
は
此
(
こ
)
の
別室全體
(
べつしつぜんたい
)
を
占
(
し
)
めてゐる
廣
(
ひろ
)
い
間
(
ま
)
、
是
(
これ
)
が六
號室
(
がうしつ
)
である。
淺黄色
(
あさぎいろ
)
のペンキ
塗
(
ぬり
)
の
壁
(
かべ
)
は
汚
(
よご
)
れて、
天井
(
てんじやう
)
は
燻
(
くすぶ
)
つてゐる。
冬
(
ふゆ
)
に
暖爐
(
だんろ
)
が
烟
(
けぶ
)
つて
炭氣
(
たんき
)
に
罩
(
こ
)
められたものと
見
(
み
)
える。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
其建物
(
そのたてもの
)
をいへば
松田
(
まつだ
)
は
寿仙
(
じゆせん
)
の
跡也
(
あとなり
)
常磐
(
ときは
)
は
萬梅
(
まんばい
)
の
跡也
(
あとなり
)
今この
両家
(
りやうけ
)
は
御
(
ご
)
一
人
(
にん
)
前
(
まへ
)
四十五銭と呼び、五十銭と呼びて、ペンキ
塗
(
ぬり
)
競争
(
きやうそう
)
硝子張
(
がらすはり
)
競争
(
きやうそう
)
軒
(
のき
)
ランプ
競争
(
きやうそう
)
に
火花
(
ひばな
)
を
散
(
ち
)
らし
居
(
を
)
り
候由
(
そろよし
)
に
候
(
そろ
)
。
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
叩立
(
たゝきたて
)
しかば一村二百軒の百姓
夫
(
そり
)
やこそ名主殿へ盜賊が
這入
(
はひつ
)
たぞ
駈付
(
かけつけ
)
て
打殺
(
うちころ
)
せと
銘々
(
めい/\
)
得物々々
(
えもの/\
)
を
携
(
たづさ
)
へて其處へ來りヤア盜人は面を
墨
(
すみ
)
にて
塗
(
ぬり
)
たるぞ
洗
(
あら
)
ひて見よと
聲々
(
こゑ/″\
)
に
罵
(
のゝし
)
り盜人の面を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
それから廿日正月までに、お
鞘
(
さや
)
の
塗
(
ぬり
)
から
柄糸
(
つかいと
)
を巻上げますのは間に合いますと、そこは酔っていても商売ゆえ、
後藤祐乘
(
ごとうゆうじょう
)
の作にて
縁頭
(
ふちがしら
)
に
赤銅斜子
(
しゃくどうなゝこ
)
に金の二
疋
(
ひき
)
のくるい獅子の一輪牡丹
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「どうも、これはお世話をかけました」と言って留吉がその帽子を受取ろうとしますと、その手をぐっとその男は
掴
(
つか
)
んで「ちょっと来い」と言ってペンキ
塗
(
ぬり
)
の白い家へ連れてゆきました。
都の眼
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
彼岸
(
かのきし
)
の人と聞くつらさ、何年の苦労一トつは国の
為
(
ため
)
なれど、一トつは
色紙
(
しきし
)
のあたった
小袖
(
こそで
)
着て、
塗
(
ぬり
)
の
剥
(
はげ
)
た大小さした見所もなき我を思い込んで女の
捨難
(
すてがた
)
き
外見
(
みえ
)
を捨て、
譏
(
そしり
)
を
関
(
かま
)
わず
危
(
あやう
)
きを
厭
(
いと
)
わず
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
塵ひとつ月に留めじと思ふなり
黝朱
(
うるみ
)
の
塗
(
ぬり
)
の
清
(
さや
)
の
文机
(
ふづくゑ
)
白南風
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
蒸餾
(
じょうりゅう
)
して、下弦の月の夜に旨くお
塗
(
ぬり
)
なさい。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
塗
(
ぬり
)
の
轅
(
ながえ
)
の
牛車
(
うしぐるま
)
、ゆるかにすべる
御生
(
みあれ
)
の
日
(
ひ
)
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
依て此石を庚申塚に祭り上に
泥土
(
どろ
)
を
塗
(
ぬり
)
て光をかくす、今
猶
(
なほ
)
苔
(
こけ
)
むしてあり。
好事
(
かうず
)
の人この石を
乞
(
こ
)
へども
村人
(
そんじん
)
祟
(
たゝり
)
あらん㕝を
惧
(
おそれ
)
てゆるさずとぞ。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
(もっともこの黄味を帯びた
春慶
(
しゅんけい
)
は、色や
塗
(
ぬり
)
の関係から上品であっても弱々しく、形も冷たく、同じ品ならまだしも
飛騨高山
(
ひだたかやま
)
産の方が力がある)
思い出す職人
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
九州帝国大学、医学部、精神病科本館というのは、最前の浴場を含んだ青ペンキ
塗
(
ぬり
)
、二階建の木造洋館であった。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
私たちが豆府や
剥身
(
むきみ
)
を買うように、なんでもなく使っていらっしゃるようだけれど、
塗
(
ぬり
)
といい、蒔絵といい、形といい、大した美術品とやらなんですとさ。
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
輿
(
こし
)
に似た
塗
(
ぬり
)
かごであった。いたずらをするなよと、伊織へいって、沢庵はそれへ身をまかせる。ゆらゆらと
紅葉
(
もみじ
)
の陰を、それはのどかに門外へ出て行った。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「額にはめた夜光石の、はめ込んだ根のあたりは、ひどく荒されて、
膠
(
にかは
)
か
塗
(
ぬり
)
か知らないが、珠を留めたものが、——この通り、粉のやうに床の上にこぼれて居ます」
銭形平次捕物控:330 江戸の夜光石
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
県道筋に沿うた
土堤
(
どて
)
上を、鷲尾の末弟たちが勤めている郊外電車が、一時間おき位に通った。
塗
(
ぬり
)
の
剥
(
は
)
げた
赫
(
あか
)
ちゃけた電車はグラグラ揺れながら、いつも
空
(
か
)
らッぽであった。
冬枯れ
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
玄関
(
げんかん
)
の
先
(
さき
)
はこの
別室全体
(
べっしつぜんたい
)
を
占
(
し
)
めている
広
(
ひろ
)
い
間
(
ま
)
、これが六
号室
(
ごうしつ
)
である。
浅黄色
(
あさぎいろ
)
のペンキ
塗
(
ぬり
)
の
壁
(
かべ
)
は
汚
(
よご
)
れて、
天井
(
てんじょう
)
は
燻
(
くすぶ
)
っている。
冬
(
ふゆ
)
に
暖炉
(
だんろ
)
が
烟
(
けぶ
)
って
炭気
(
たんき
)
に
罩
(
こ
)
められたものと
見
(
み
)
える。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
如何
(
いかん
)
となれば現代人の古美術保存という奴がそもそも古美術の風趣を害する原因で、古社寺の周囲に鉄の鎖を張りペンキ
塗
(
ぬり
)
の
立札
(
たてふだ
)
に例の何々スベカラズをやる位ならまだしも結構。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
盜人
(
ぬすびと
)
振
(
ふ
)
り
拂
(
はら
)
ひ
突退
(
つきのけ
)
つゝ互に組付
英々
(
えい/\
)
と
揉
(
もみ
)
合聲に驚き家内の者ども
馳來
(
はせきた
)
り
棒
(
ぼう
)
よ
繩
(
なは
)
よと
呼
(
よば
)
はり/\
漸々
(
やう/\
)
高手
(
たかて
)
小手
(
こて
)
に
縛
(
いまし
)
めたり然ども面體は
眞黒
(
まつくろ
)
に
墨
(
すみ
)
を
塗
(
ぬり
)
たるゆゑ何者とも見分らず此
騷
(
さわ
)
ぎを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
塵ひとつ月に留めじと思ふなり
黝朱
(
うるみ
)
の
塗
(
ぬり
)
の
清
(
さや
)
の
文机
(
ふづくゑ
)
白南風
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
もとより凡てが漆器でありますが、
塗
(
ぬり
)
に手堅い所があり、形にもよく伝統を守りますから、漆器の産地として大切にしたい所の一つであります。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
あがった所は
住吉
(
すみよし
)
村、森囲いで
紅
(
べん
)
がら
塗
(
ぬり
)
の豪家、三次すなわち
主
(
あるじ
)
らしいが、何の稼業か分らない。湯殿から出て、
空腹
(
すきばら
)
を満たして、話していると夜が明けた。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と気が付いた……ものらしい……で、
懐中
(
ふところ
)
へ
顎
(
あご
)
で見当をつけながら、まずその古めかしい
洋傘
(
こうもり
)
を向うの
亜鉛塀
(
トタンべい
)
へ
押
(
おし
)
つけようとして、べたりと
塗
(
ぬり
)
くった
楽書
(
らくがき
)
を読む。
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その
隙
(
すき
)
に私はアダリーを振離して青ペンキ
塗
(
ぬり
)
の
扉
(
ドア
)
の中に飛込んだ……が……思わずアッと声を立てた。
冥土行進曲
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
切付し
袋
(
ふくろ
)
の
打物
(
うちもの
)
栗色
(
くりいろ
)
網代
(
あじろ
)
の輿物には陸尺十二人近習の侍ひ左右に五人づつ
跡箱
(
あとばこ
)
二ツ是も同く黒
塗
(
ぬり
)
金紋付
紫
(
むらさ
)
きの
化粧紐
(
けしやうひも
)
を掛たり
續
(
つゞ
)
いて
簑箱
(
みのばこ
)
一ツ朱の
爪折傘
(
つまをりがさ
)
は
天鵞絨
(
びろうど
)
の袋に入紫の化粧紐を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「へエ。内箱は桐の白木で、外箱は
塗
(
ぬり
)
がありました。袋は
緞子
(
どんす
)
——」
銭形平次捕物控:133 井戸の茶碗
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ぺんき
塗
(
ぬり
)
褪
(
さ
)
めし
看板
(
かんばん
)
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
武蔵と、伊織のあいだに、
誂
(
あつら
)
えておいた
蕎麦
(
そば
)
がもう来ていた。大きな
塗
(
ぬり
)
の蕎麦箱の中に、蕎麦の玉が六ツ並んでいて、その一山を、
箸
(
はし
)
で
解
(
ほぐ
)
しかけていた所である。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
橋
(
はし
)
がペンキ
塗
(
ぬり
)
になつて、
黒塀
(
くろべい
)
が
煉瓦
(
れんぐわ
)
に
換
(
かは
)
ると、
蛙
(
かはづ
)
、
船蟲
(
ふなむし
)
、そんなものは、
不殘
(
のこらず
)
石灰
(
いしばひ
)
で
殺
(
ころ
)
されよう。
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
時としては青貝もちりばめます。絵模様はなく一種の斑紋を一面に現します。ここにこの
塗
(
ぬり
)
の特色がありまして、その兄弟とも見るべき「
津軽塗
(
つがるぬり
)
」と共に世に聞えます。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
彼のすぐ横には白ペンキ
塗
(
ぬり
)
の信号柱が、
白地
(
しろじ
)
に黒線の
這入
(
はい
)
った横木を傾けて、下り列車が近付いている事を暗示していたが、しかし人影らしいものはどこにも見当らなかった。
木魂
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「ヘエ。内箱は桐の白木で、外箱は
塗
(
ぬり
)
がありました。袋は
緞子
(
どんす
)
——」
銭形平次捕物控:133 井戸の茶碗
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
橋がペンキ
塗
(
ぬり
)
になって、黒塀が
煉瓦
(
れんが
)
に
換
(
かわ
)
ると、
蛙
(
かわず
)
、船虫、そんなものは、
不残
(
のこらず
)
石灰
(
いしばい
)
で殺されよう。
三尺角
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
廊下の突当りに事務室と刻んだ真鍮板を打付けた青ペンキ
塗
(
ぬり
)
の
扉
(
ドア
)
がある。その
扉
(
ドア
)
を開こうとすると、黄色のワンピース……アダリーが、イキナリ私の右腕に飛付いてシッカリと
獅噛
(
しが
)
み付いた。
冥土行進曲
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
塗
(
ぬり
)
の陣笠に、
金箔摺
(
はくずり
)
の紋が、朝露に濡れていた。大きな口、濃い眉、そして滅多にない長
面
(
づら
)
の人物である。年ごろは三十がらみとしか見えないが、
烱々
(
けいけい
)
と光る眼が、むしろ底気味わるいほどだった。
山浦清麿
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
塗
(
ぬり
)
か
紐
(
ひも
)
に汚れはなかったかい、土か砂の付いた跡が——」
銭形平次捕物控:022 名馬罪あり
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
“塗”の意味
《名詞》
(ぬり)塗ること。また、塗った物。
(ぬり)漆塗り。
(出典:Wiktionary)
塗
常用漢字
中学
部首:⼟
13画
“塗”を含む語句
朱塗
塗籠
塗抹
血塗
蝋塗
泥塗
塗料
糊塗
上塗
丹塗
塗師
漆塗
蝋塗鞘
塗香
塗付
塗板
紅殻塗
黒塗
溜塗
白塗
...