趣味しゆみ)” の例文
そのうへ趣味しゆみひろく——たとへば最近さいきん、その三上みかみ對手あひてとして、いいとしをしながら(失言しつげん?)將棋しやうぎ稽古けいこしかけたりしてゐる。
また支那しなあたりからはひつて文化ぶんかのほかに、むかしから日本人につぽんじんつてをつた固有こゆう文化ぶんか趣味しゆみが、やはりのこつてゐたことがられるのです。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
この深山しんざんすこしばかり迂回うくわいしてかへつたとて、左程さほどおそくもなるまい、またきわめて趣味しゆみあることだらうとかんがへたので、わたくし發議はつぎした。
が、どつちかとへば、愛嬌あいけうもある、く、趣味しゆみわたし莫迦ばかにするほどでもない。これ長所とりゑ面白味おもしろみもないが、気質きしつ如何いかにもまる出来できてゐる。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
かう方面はうめん趣味しゆみのない宗助そうすけは、もとより菜根譚さいこんたん何物なにものなるかをらなかつた。あるひとくるま腰掛こしかけひざならべてつたとき、それはなんだといてた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
坪井博士つぼゐはかせ八木氏等やぎしとう著書ちよしよ東京人類學會雜誌とうきやうじんるゐがくくわいざつしおよ考古界等かうこかいとうみ、また水谷みづたにたに栗島くりしま諸氏しよし各所かくしよ遺跡ゐせき發掘はつくつするにいたつて、益々ます/\趣味しゆみかんじてた。
B ぼく政治上せいぢじやうこと趣味しゆみがないからくはしいことらないが、なんでも請願せいぐわんかはりに、多數たすう人民じんみんから衆議院議長しうぎゐんぎちやうてゝ葉書はがきさうとふのださうな。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
かういふのがよいとかんがへるのは、實際じつさい生活せいかつからはなれたところに、文學ぶんがくがあるのだとするかんがへで、もういまひととは關係かんけいのない、優美ゆうびといふ趣味しゆみであります。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
れが實際問題じつさいもんだいになると、土地とち状態じやうたい風土ふうど關係くわんけい住者ぢうしや身分みぶん境遇きやうぐう趣味しゆみ性癖せいへき資産しさん家族かぞく職業しよくげふその種々雜多しゆ/″\ざつた素因そいん混亂こんらんしてたがひあい交渉かうせうするので
建築の本義 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
趣味しゆみ一致いつちしなければ理想も違ふし、第一人生觀が違ふ………、おツと、またお前のいやむづかしい話になツて來た。此樣こんなことは、あたらくちかぜといふやつなのさ。
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
そして趣味しゆみの惡い裝飾のゴテゴテとした八疊で、書院風になつた床側の柱の側、もたれて酒を呑んで居たといふ障子に、一面の血飛沫ちしぶきがして、脇差を通した跡といふのが
銭形平次捕物控:180 罠 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
とにかく文壇ぶんだんでもわかさくたちあいだにだいぶはやり出したといふ。くわん西では令孃れいぜう人のあいだに大りう行だといふ。球突たまつき趣味しゆみは今のところひろまつて行くばかりらしい。(一五、二、一六)
文壇球突物語 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
現時げんじ見解けんかいおよ趣味しゆみるに、六號室がうしつごときは、まことるにしのびざる、厭惡えんをへざるものである。かゝ病室びやうしつは、鐵道てつだうること、二百露里ヴエルスタ小都會せうとくわいおいてのみるのである。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
わすれがたきとのみに趣味しゆみをみとめませ説かじ紫その秋の花
みだれ髪 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
かういふふうに古墳こふんから品物しなものて、われ/\はその時分じぶん人々ひと/″\が、どういふ心持こゝろもちでをつたか、どういふ趣味しゆみつてをつたかといふことがわかり
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
それはあり相なことでしたが、二階へ雪駄を持つて行くのは、決して良い趣味しゆみではありません。
寫眞しやしんも、このころねこしやく子もやるといふ風な、はやりものになつて、それに趣味しゆみを持つなどゝいふのがへんたり前ぎるかんじで、かへつがひけるやうなことにさへなつてしまつた。
趣味しゆみ高雅かうがな、服装ふくさうだけでも、十ぶんそれが証明しようめいされた。そのいもうと奈美子なみこが、うして大久保おほくぼのところへせるやうになつたかは、かんがへてみても、竹村たけむらにはわからなかつた。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
大佐たいさ少年せうねん其他そのほか三十有餘名いうよめい水兵等すいへいら趣味しゆみある日常にちじやう生活せいくわつのさま/″\、あしたにはほしいたゞいてき、ゆふべにはつきんでかへる、その職務しよくむ餘暇よかには、むつまじき茶話會ちやわくわい面白おもしろ端艇競漕たんていきようそう
したがつて吾々われ/\らずらずばけものからあたへられる趣味しゆみ如何いか豊富ほうふなるかは、想像さうざうあまりあることであつて、たしかにばけものは社會生活しやくわいせいくわつうへに、もつとくべからざる要素えうその一つである。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
いくら注意ちういはらつても、却々なか/\我々われ/\に——其遺物そのゐぶつの一破片はへんでも——れることむづかしからうとかんがへてたのが、う、容易ようゐ發見はつけんせられてると、おほいに趣味しゆみかんぜずんばあらずである。
その趣味しゆみしぶれいげると、三上みかみがその著名ちよめいなる東京市内出沒行脚とうきやうしないしゆつぼつあんぎやをやつて、二十日はつかかへつてないと時雨しぐれさんは、薄暗うすぐら部屋へやなか端座たんざして、たゞ一人ひとり双手もろて香爐かうろさゝげて、かういてゐる。
消えてりて石と成らむの白桔梗しろぎきやう秋の野生のおひ趣味しゆみさて問ふな
みだれ髪 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
これは近頃ちかごろ西洋せいよう文明ぶんめいがはひつててもおなじことで、いかに西洋風せいようふうならつても、あるてんには日本人につぽんじんには日本人につぽんじんらしい趣味しゆみ特質とくしつが、えないのであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
今宵こよひはわけて趣味しゆみあるやうおぼえたのでまなこはなたず、それからそれとながめてうち、ふととまつた一つの有樣ありさま——それは此處こゝから五百米突メートルばかりの距離きより停泊ていはくしてる一そう蒸滊船じようきせん
若旦那新助の趣味しゆみを、歌舞伎芝居なり、江戸小唄なりに振り向け、間がよくば、遊びの一つも覺えさせようとしましたが、それが大當て違ひで、道樂者の茂七までが、木乃伊ミイラ取りが木乃伊になつて
ぐわんわたしせう年時代から寫眞しやしんをやる、こん採集さいしうをやる、草花をつく將棋せうぎをさすといふ風で、せう趣味しゆみ多過おほすぎる方なのだが、そして、一時それぞれにかつとねつ中する方なのだが、球突たまつき御多ごた分にれず
文壇球突物語 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)