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谷間
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たにま
ふりがな文庫
“
谷間
(
たにま
)” の例文
こう言って、三人を或
谷間
(
たにま
)
へつれていき、そこに
生
(
は
)
えている、薬になる草や木を一々おしえておいて、ふたたび湖水へかえりました。
湖水の女
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
縛られているのもある、
一目
(
ひとめ
)
見たが、それだけで、遠くの方は、小さくなって、
幽
(
かすか
)
になって、
唯
(
ただ
)
顔ばかり
谷間
(
たにま
)
に
白百合
(
しろゆり
)
の咲いたよう。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
もう
好
(
い
)
い
加減
(
かげん
)
歩
(
ある
)
いて
行
(
い
)
つて、
谷
(
たに
)
がお
仕舞
(
しまひ
)
になつたかと
思
(
おも
)
ふ
時分
(
じぶん
)
には、また
向
(
むか
)
ふの
方
(
はう
)
の
谷間
(
たにま
)
の
板屋根
(
いたやね
)
から
煙
(
けむり
)
の
立
(
た
)
ち
登
(
のぼ
)
るのが
見
(
み
)
えました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
うっかりしようものなら、
冷
(
つめた
)
い
風
(
かぜ
)
が、
小
(
ちい
)
さな
体
(
からだ
)
をさらって、もう
暗
(
くら
)
くなった
谷間
(
たにま
)
へたたき
落
(
お
)
とそうとしたのであります。
しんぱくの話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
と身を
屈
(
かゞ
)
めて
透
(
すか
)
して見ますと、
谷間
(
たにま
)
に繁茂致して
居
(
お
)
る樹木にからんで居ます藤蔓は、井戸綱ぐらいもある太い奴が幾つも八重になって
紮
(
から
)
んで居ます
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
その翌九日また同じような枯れた
淋
(
さび
)
しい山中を東南に進んで行くこと六里半にしてある山を
踰
(
こ
)
えて
谷間
(
たにま
)
に着きました。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
もう
夜
(
よ
)
になつた
頃
(
ころ
)
だ。
深
(
ふか
)
い
谷間
(
たにま
)
の
底
(
そこ
)
で
天幕
(
テント
)
を
張
(
は
)
つた
回々教
(
フイフイけう
)
の
旅行者
(
りよかうしや
)
が二三
人
(
にん
)
、
篝火
(
かがりび
)
を
囲
(
かこ
)
んでがやがや
話
(
はな
)
してゐた。
火を喰つた鴉
(新字旧仮名)
/
逸見猶吉
(著)
谷間
(
たにま
)
はひっそりとしていて、まだお日さまはのぼっていませんでした。ニールスが二あし三あしいくかいかないうちに、なんだかきれいなものが目にはいりました。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
それは私に彼の妻たることを要求することだ、私に對して、向うの
谷間
(
たにま
)
へと流れる小川を足下に泡立たせてゐる、あの恐ろしい巨人のやうな岩よりも、夫らしくはない彼が。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
むこうの
峰
(
みね
)
までは
渡
(
わた
)
りきれずに、千
仭
(
じん
)
のふかさを思わす
小太郎山
(
こたろうざん
)
の
谷間
(
たにま
)
へとさがっていった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
此處
(
こゝ
)
は
谷間
(
たにま
)
に
據
(
よ
)
る一
小村
(
せうそん
)
で
急斜面
(
きふしやめん
)
は
茅屋
(
くさや
)
が
段
(
だん
)
を
作
(
つく
)
つて
叢
(
むらが
)
つて
居
(
ゐ
)
るらしい、
車
(
くるま
)
を
出
(
で
)
て
見
(
み
)
ないから
能
(
よ
)
くは
解
(
わか
)
らないが
漁村
(
ぎよそん
)
の
小
(
せう
)
なる
者
(
もの
)
、
蜜柑
(
みかん
)
が
山
(
やま
)
の
産物
(
さんぶつ
)
らしい。
人車
(
じんしや
)
の
軌道
(
きだう
)
は
村
(
むら
)
の
上端
(
じやうたん
)
を
横
(
よこぎ
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
自分は
谷間
(
たにま
)
のやうな處を歩いてゐるやうになツた。それと氣が付くと
水郷
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
山ぎりのかゝる
谷間
(
たにま
)
を夢のごとほの青くして咲ける紫陽花
雲仙岳
(新字新仮名)
/
菊池幽芳
(著)
摩耶
(
まや
)
の
谷間
(
たにま
)
にほろほろと
どんたく:絵入り小唄集
(新字旧仮名)
/
竹久夢二
(著)
谷間
(
たにま
)
の
歌
(
うた
)
は
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
見捨
(
みす
)
てゝ
行
(
ゆ
)
く
情
(
じやう
)
なしがお
前
(
まへ
)
は
好
(
す
)
きか
憐
(
あは
)
れといへば
深山
(
みやま
)
がくれの
花
(
はな
)
の
心
(
こゝろ
)
が
嘸
(
さぞ
)
かしと
察
(
さつ
)
しられる
世
(
よ
)
にも
知
(
し
)
られず
人
(
ひと
)
にも
知
(
し
)
られず
咲
(
さき
)
て
散
(
ち
)
るが
本意
(
ほんい
)
であらうか
同
(
おな
)
じ
嵐
(
あらし
)
に
誘
(
さそ
)
はれても
思
(
おも
)
ふ
人
(
ひと
)
の
宿
(
やど
)
に
咲
(
さ
)
きて
思
(
おも
)
ふ
人
(
ひと
)
に
思
(
おも
)
はれたら
散
(
ち
)
るとも
恨
(
うら
)
みは
有
(
あ
)
るまいもの
谷間
(
たにま
)
の
水
(
みづ
)
の
便
(
たよ
)
りがなくは
五月雨
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
十五、六
丁
(
ちょう
)
いった
谷間
(
たにま
)
に、一つの
清水
(
しみず
)
がありました。それが、この
旱魃
(
ひでり
)
にも
尽
(
つ
)
きず、
滾々
(
こんこん
)
としてわき
出
(
で
)
ていました。これはいい
清水
(
しみず
)
を
見
(
み
)
つけたものだ。
神は弱いものを助けた
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
これはしたり!
祭礼
(
まつり
)
は
谷間
(
たにま
)
の里からかけて、
此処
(
ここ
)
がそのとまりらしい。見た
処
(
ところ
)
で、薄くなって段々に下へ
灯影
(
ひかげ
)
が濃くなって次第に
賑
(
にぎや
)
かになっています。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
父
(
とう
)
さんが
遊
(
あそ
)
び
廻
(
まは
)
つた
谷間
(
たにま
)
と、
谷間
(
たにま
)
の
向
(
むか
)
ふの
林
(
はやし
)
も、その
邊
(
へん
)
からよく
見
(
み
)
えました。
山
(
やま
)
と
山
(
やま
)
の
重
(
かさ
)
なり
合
(
あ
)
つた
向
(
むか
)
ふの
方
(
はう
)
には、
祖父
(
おぢい
)
さんの
好
(
す
)
きな
惠那山
(
ゑなざん
)
が一
番
(
ばん
)
高
(
たか
)
い
所
(
ところ
)
に
見
(
み
)
えました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「それよりきさまも
谷間
(
たにま
)
へ
降
(
お
)
りて、なぜご一同と一しょにはたらかないか、なまけ者めが」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして、せまい
谷間
(
たにま
)
に落ちこみ、
底
(
そこ
)
の岩にあたって、しぶきをあげて飛びちっています。
滝
(
たき
)
の下の、水がものすごく
渦
(
うず
)
を
巻
(
ま
)
いてあわをたてているところに、岩が二つ三つ
突
(
つ
)
きでています。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
この農夫は
谷間
(
たにま
)
に田を作っておりました。ある日農夫は、その田で働いている人たちのたべ物を、うしに負わせて運んで行きますと、その谷間で、
天日矛
(
あめのひほこ
)
という、この国の王子に出会いました。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
あちらの
林
(
はやし
)
に
休
(
やす
)
み、こちらの
森
(
もり
)
におりて、その
方
(
ほう
)
へ
飛
(
と
)
んでいくうちに、
日
(
ひ
)
の
暮
(
く
)
れかかる
前
(
まえ
)
に、
谷間
(
たにま
)
から
白
(
しろ
)
い
湯気
(
ゆげ
)
の
立
(
た
)
ち
上
(
のぼ
)
る、
温泉
(
おんせん
)
を
見
(
み
)
つけたのでした。
温泉へ出かけたすずめ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
永昌寺
(
えいしやうじ
)
のある
山
(
やま
)
の
中途
(
ちうと
)
には、
村中
(
むらぢう
)
のお
墓
(
はか
)
がありました。こんもりと
茂
(
しげ
)
つた
杉
(
すぎ
)
の
林
(
はやし
)
の
間
(
あひだ
)
からは、
石
(
いし
)
を
載
(
の
)
せた
村
(
むら
)
の
板屋根
(
いたやね
)
や、
柿
(
かき
)
の
木
(
き
)
や、
竹籔
(
たけやぶ
)
や、
窪
(
くぼ
)
い
谷間
(
たにま
)
の
畠
(
はたけ
)
まで、一
目
(
め
)
に
見
(
み
)
えました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「おお、ひえびえとしてきた。
二子山
(
ふたごやま
)
に見えた月が、もうあんなに遠い
谷間
(
たにま
)
にある。……あまり
遅
(
おそ
)
うなっては、さだめし、
民部
(
みんぶ
)
さまや
小文治
(
こぶんじ
)
さまがおあんじなされているかもしれぬ……」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あの
辺
(
あたり
)
へ、
夕暮
(
ゆふぐれ
)
の
鐘
(
かね
)
が
響
(
ひゞ
)
いたら、
姿
(
すがた
)
が
近
(
ちか
)
く
戻
(
もど
)
るのだらう、——と
誰
(
た
)
が
言
(
い
)
ふともなく
自分
(
じぶん
)
で
安心
(
あんしん
)
して、
益々
(
ます/\
)
以前
(
もと
)
の
考
(
かんがへ
)
に
耽
(
ふけ
)
つて
居
(
ゐ
)
ると、
榾
(
ほだ
)
を
焚
(
た
)
くか、
炭
(
すみ
)
を
焼
(
や
)
くか、
谷間
(
たにま
)
に、
彼方此方
(
かなたこなた
)
、ひら/\
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
この村は
谷間
(
たにま
)
にあって、ぐるりの山々は、けわしいけれど美しい形をしていました。一つの川が細長い
滝
(
たき
)
になって、
丘
(
おか
)
にそって
流
(
なが
)
れ
落
(
お
)
ちていました。山のふもとには大きな
工場
(
こうば
)
がいくつもありました。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
すずめさん、お
疑
(
うたが
)
いは
無理
(
むり
)
もありません。しかしこれには
子細
(
しさい
)
のあることです。あなたはあの
日輪
(
にちりん
)
が、
深
(
ふか
)
い
谷間
(
たにま
)
に
沈
(
しず
)
んでいたときのことをお
知
(
し
)
りですか。
紅すずめ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
あたかも
大
(
おおい
)
なる
蟇
(
ひきがえる
)
の、明け
行
(
ゆ
)
く海から
掻窘
(
かいすく
)
んで、
谷間
(
たにま
)
に
潜
(
ひそ
)
む
風情
(
ふぜい
)
である。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
黄葉
(
もみぢ
)
の影に啼く鹿の
谷間
(
たにま
)
の水に
喘
(
あへ
)
ぐごと
藤村詩抄:島崎藤村自選
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
彼
(
かれ
)
はかかる
険
(
けわ
)
しい
谷間
(
たにま
)
の
片
(
かた
)
すみにも、こうした
悩
(
なや
)
みと
争
(
あらそ
)
いがあるのかと
痛
(
いた
)
ましく
感
(
かん
)
じました。
谷間のしじゅうから
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
あたりは
蝙蝠傘
(
かうもりがさ
)
を
引
(
ひ
)
つ
擔
(
かつ
)
いで、や
聲
(
ごゑ
)
を
掛
(
か
)
けて、
卍巴
(
まんじともえ
)
を、
薙立
(
なぎた
)
て
薙立
(
なぎた
)
て
驅出
(
かけだ
)
した。
三里
(
さんり
)
の
山道
(
やまみち
)
、
谷間
(
たにま
)
の
唯
(
たゞ
)
破家
(
やぶれや
)
の
屋根
(
やね
)
のみ、
鷲
(
わし
)
の
片翼
(
かたつばさ
)
折伏
(
をれふ
)
した
状
(
さま
)
なのを
見
(
み
)
たばかり、
人
(
ひと
)
らしいものの
影
(
かげ
)
もなかつたのである。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
谷間
(
たにま
)
の笹の葉を分けて
藤村詩抄:島崎藤村自選
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
夜
(
よる
)
となく、
昼
(
ひる
)
となく、
深
(
ふか
)
い
谷底
(
たにそこ
)
からわき
起
(
お
)
こる
霧
(
きり
)
は
転
(
ころ
)
がるように、
高
(
たか
)
い
山脈
(
さんみゃく
)
の
谷間
(
たにま
)
から
離
(
はな
)
れて、ふもとの
高原
(
こうげん
)
を、あるときは、ゆるゆると、あるときは、
駆
(
か
)
け
足
(
あし
)
で、なめつくしてゆくのでした。
公園の花と毒蛾
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
春
(
はる
)
のころ、一
度
(
ど
)
この
谷間
(
たにま
)
を
訪
(
おとず
)
れたことのあるしじゅうからは、やがて
涼風
(
すずかぜ
)
のたとうとする
今日
(
きょう
)
、
谷川
(
たにがわ
)
の
岸
(
きし
)
にあった
同
(
おな
)
じ
石
(
いし
)
の
上
(
うえ
)
に
降
(
お
)
りて、なつかしそうに、あたりの
景色
(
けしき
)
をながめていたのであります。
谷間のしじゅうから
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
谷
常用漢字
小2
部首:⾕
7画
間
常用漢字
小2
部首:⾨
12画
“谷間”で始まる語句
谷間三根子
谷間川
谷間田
谷間百合