トップ
>
此家
>
このや
ふりがな文庫
“
此家
(
このや
)” の例文
「ありふれたとりかぶと、
此家
(
このや
)
の庭にも、昨年の秋は紫の花を澤山咲かせてゐたが、あの花の根に猛毒のあることは誰でも知つて居る」
銭形平次捕物控:144 茶碗割り
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
其後
(
そののち
)
旗野は
此家
(
このや
)
に
住
(
すま
)
ひつ。先住の
室
(
しつ
)
が自ら
其身
(
そのみ
)
を封じたる一室は、不開室と
称
(
とな
)
へて、開くことを許さず、はた覗くことをも禁じたりけり。
妖怪年代記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
此
(
この
)
温泉
(
をんせん
)
が
果
(
はた
)
して
物質的
(
ぶつしつてき
)
に
僕
(
ぼく
)
の
健康
(
けんかう
)
に
效能
(
かうのう
)
があるか
無
(
な
)
いか、そんな
事
(
こと
)
は
解
(
わか
)
らないが
何
(
なに
)
しろ
温泉
(
をんせん
)
は
惡
(
わる
)
くない。
少
(
すくな
)
くとも
此處
(
こゝ
)
の、
此家
(
このや
)
の
温泉
(
をんせん
)
は
惡
(
わる
)
くない。
都の友へ、B生より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
桂次
(
けいじ
)
が
今
(
いま
)
をる
此許
(
こゝもと
)
は
養家
(
やうか
)
の
縁
(
ゑん
)
に
引
(
ひ
)
かれて
伯父
(
をぢ
)
伯母
(
をば
)
といふ
間
(
あひだ
)
がら
也
(
なり
)
、はじめて
此家
(
このや
)
へ
來
(
き
)
たりしは十八の
春
(
はる
)
、
田舍縞
(
いなかじま
)
の
着物
(
きもの
)
に
肩
(
かた
)
縫
(
ぬひ
)
あげをかしと
笑
(
わら
)
はれ
ゆく雲
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
起きて騒ぎ立てているのは、
此家
(
このや
)
の百姓の家族ばかりだった。
嬰児
(
あかご
)
の泣き声やら、老人のわめき声が、外の矢うなりにつつまれて、哀れに聞えた。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
藥指は
此家
(
このや
)
の娘、身輕な小意氣なヅエルビイヌ、奧樣がたへは
笹縁
(
さゝべり
)
のれいすも賣るが、殿御に
媚
(
こび
)
は賣り申さぬ。
五本の指
(旧字旧仮名)
/
ルイ・ベルトラン
(著)
揉
(
もみ
)
に
揉
(
もん
)
で
丑滿
(
うしみつ
)
の頃漸々にて糸切村に着し彼の茶見世を御用々々と
叩
(
たゝ
)
き起せば
此家
(
このや
)
の亭主何事にやと
起出
(
おきいづ
)
るに
先
(
まづ
)
惣助亭主に向ひ廿二三年
跡
(
あと
)
に澤の井樣より手紙を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
人なる蝋に印を
捺
(
お
)
す諸〻の天の力は、善く己が
技
(
わざ
)
を爲せども
彼家
(
かのや
)
此家
(
このや
)
の
差別
(
けじめ
)
を立てず 一二七—一二九
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
是
(
これ
)
ぞ
此家
(
このや
)
の
旦那
(
だんな
)
殿の
寝所
(
しんじよ
)
ならめと腰障子をすこしつきやぶりて、是より入つて見れば夫婦枕をならべて、前後も知らず連れ
節
(
ぶし
)
の
鼾
(
いびき
)
に、(中略)
先
(
まづ
)
内儀
(
ないぎ
)
の顔をさし
覗
(
のぞ
)
いて見れば
案頭の書
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
主は
家隷
(
けらい
)
を疑い、郎党は主を信ぜぬ今の世に対しての
憤懣
(
ふんまん
)
と悲痛との
慨歎
(
がいたん
)
である。
此家
(
このや
)
の主人はかく云われて、全然意表外のことを聞かされ、へどもどするより外は無かった。
雪たたき
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
... 其家へ行て
此家
(
このや
)
にお紺と云う者は居無いかと問うのサ」谷間田は声を放ッて打笑い
無惨
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
茶を運んできた
此家
(
このや
)
の美しい奥様は、
耳朶
(
みみたぶ
)
を染めながら嬉気に頬笑んだ。
誘拐者
(新字新仮名)
/
山下利三郎
(著)
で、第一日の夜、市勝が
俯向
(
うつむ
)
いて手紙を書いてゐると、鼻の
頭
(
さき
)
の
障子
(
しょうじ
)
が自然にすうと明いた。
之
(
これ
)
を
序開
(
じょびら
)
きとして
種々
(
いろいろ
)
の不思議がある。
段々
(
だんだん
)
詮議すると、これは
此家
(
このや
)
に年古く住む
鼬
(
いたち
)
の
仕業
(
しわざ
)
だと云ふ。
雨夜の怪談
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
此家
(
このや
)
を遠巻きにして、わあッわあアと騒いでいる。——そして大した
弓勢
(
ゆんぜい
)
ではないが、旺んに、矢を送って来た。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
竹原屋の御新造が、
此家
(
このや
)
のお父さんにお願ひして、商賣物の仕入で急に入用になつた、十五兩の金を貸して頂き度いと、お手紙で頼んで來たので御座います。
銭形平次捕物控:169 櫛の文字
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
父上
(
ちゝうへ
)
なくならば
親代
(
おやがは
)
りの
我
(
わ
)
れ、
兄上
(
あにうへ
)
と
捧
(
さゝ
)
げて
竈
(
かまど
)
の
神
(
かみ
)
の
松
(
まつ
)
一
本
(
ぽん
)
も
我
(
わ
)
が
託宣
(
たくせん
)
を
聞
(
き
)
く
心
(
こゝろ
)
ならば、いかにもいかにも
別戸
(
べつこ
)
の
御主人
(
ごしゆじん
)
に
成
(
な
)
りて、
此家
(
このや
)
の
爲
(
ため
)
には
働
(
はたら
)
かぬが
勝手
(
かつて
)
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
腰元は驚き恐れつゝ
件
(
くだん
)
の部屋を覗けば、内には暗く
行灯
(
あんどう
)
点
(
とも
)
りて、お村は
脛
(
はぎ
)
も
露
(
あらは
)
に
横
(
よこた
)
はれる
傍
(
かたはら
)
に、
一人
(
いちにん
)
の男ありて正体も無く眠れるは、
蓋
(
けだし
)
此家
(
このや
)
の用人なるが、
先刻
(
さきに
)
酒席に一座して
妖怪年代記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
告
(
つぐ
)
るに長兵衞夫婦の者
名殘
(
なごり
)
を
惜
(
をし
)
み幸ひ大師河原へ
參詣
(
さんけい
)
ながら川崎宿迄送り申さんと己も
支度
(
したく
)
をなし翌朝後藤は
此家
(
このや
)
を立出るに新藤夫婦も
別
(
わか
)
れを
惜
(
をし
)
み影見えぬまで
見送々々
(
みおくり/\
)
後藤の方を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
此家
(
このや
)
の召使たちへも
憚
(
はばか
)
りがあろう。常磐はあわてて乳をふくませ、柴垣の根に身をかがませて待っていたが、そこの窓も他の戸も、盲のように開かなかった。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
八五郎はあの失敗以來、すつかり御無沙汰して、
此家
(
このや
)
の敷居が
跨
(
また
)
ぎ切れないやうな心持だつたのです。
銭形平次捕物控:071 平次屠蘇機嫌
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
歸
(
かへ
)
れ、
何處
(
どこ
)
へでも
歸
(
かへ
)
れ、
此家
(
このや
)
に
恥
(
はぢ
)
は
見
(
み
)
するなとて
父
(
ちゝ
)
は
奧深
(
おくふか
)
く
這入
(
はい
)
りて、
金
(
かね
)
は
石之助
(
いしのすけ
)
が
懷中
(
ふところ
)
に
入
(
い
)
りぬ。
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
はじめお村を
讒
(
ざん
)
ししお春は、素知らぬ顔にもてなしつゝ
此家
(
このや
)
に勤め続けたり。
妖怪年代記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
考へとつ追つ相談なし居たるに或日
此家
(
このや
)
の
手代
(
てだい
)
來
(
きた
)
り決して御催促を
申
(
まをす
)
譯
(
わけ
)
には是なく候へども
最早
(
もはや
)
暫時
(
しばらく
)
の御逗留ゆゑ
御旅籠
(
おはたご
)
も
餘程
(
よほど
)
溜
(
たま
)
りしにより少々にても御拂ひ下さるべきや又は後藤樣の御歸りを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
我欲
(
がよく
)
の
目當
(
めあ
)
てが
明
(
あき
)
らかに
見
(
み
)
えねば
笑
(
わら
)
ひかけた
口
(
くち
)
もとまで
結
(
むす
)
んで
見
(
み
)
せる
現金
(
げんきん
)
の
樣子
(
やうす
)
まで、
度〻
(
たび/\
)
の
經驗
(
けいけん
)
に
大方
(
おほかた
)
は
會得
(
えとく
)
のつきて、
此家
(
このや
)
にあらんとには
金
(
かね
)
づかひ
奇麗
(
きれい
)
に
損
(
そん
)
をかけず
ゆく雲
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
菰
(
こも
)
の十郎と、お
稚児
(
ちご
)
の小六という者を、あなたのために斬り殺されたため、それを恨んで、あなたが一歩でも
此家
(
このや
)
の軒下を出たら喧嘩をしかけようと、待ち構えておりまする。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
到頭嫁入の時を遲らせて、
二十歳
(
はたち
)
島田の歎きを見たお勇が、近く
此家
(
このや
)
から放り出されさうな良助の爲に、大事な繪圖面を隱して、一か八かの大論判を、父親と開くつもりだつたのでせう。
銭形平次捕物控:062 城の絵図面
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
かげに
廻
(
まわ
)
りては
家
(
うち
)
の
書生
(
しよせい
)
がと
安々
(
やす/\
)
こなされて、
御玄關番
(
おげんくわんばん
)
同樣
(
どうやう
)
にいはれる
事
(
こと
)
馬鹿
(
ばか
)
らしさの
頂上
(
てうじよう
)
なれば、これのみにても
寄
(
よ
)
りつかれぬ
價値
(
ねうち
)
はたしかなるに、しかも
此家
(
このや
)
の
立
(
たち
)
はなれにくゝ
ゆく雲
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
『いけません。てまえが、
此家
(
このや
)
の
主
(
あるじ
)
でいる以上は、一足でも』
山浦清麿
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
美尾
(
みを
)
は
私
(
わたし
)
が
娘
(
むすめ
)
なれば
私
(
わたし
)
の
思
(
おも
)
ふやうに
成
(
な
)
らぬ
事
(
こと
)
は
有
(
あ
)
るまじ、
何
(
なに
)
もお
前
(
まへ
)
さんの
思案
(
しあん
)
一つと
母親
(
はゝおや
)
お
美尾
(
みを
)
の
産前
(
さんまへ
)
よりかけて、
萬
(
よろ
)
づの
世話
(
せわ
)
にと
此家
(
このや
)
へ
入
(
い
)
り
込
(
こ
)
みつゝ、
兎
(
と
)
もすれば
與
(
よ
)
四
郎
(
らう
)
を
責
(
せ
)
めるに
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
女
(
をんな
)
ならぬお
客樣
(
きやくさま
)
は
手前店
(
てまへみせ
)
へお
出
(
で
)
かけを
願
(
ねが
)
ひまするとも
言
(
い
)
ふにかたからん、
世
(
よ
)
は
御方便
(
ごはうべん
)
や
商買
(
しようばい
)
がらを
心得
(
こゝろゑ
)
て
口取
(
くちと
)
り
燒肴
(
やきざかな
)
とあつらへに
來
(
く
)
る
田舍
(
いなか
)
ものもあらざりき、お
力
(
りき
)
といふは
此家
(
このや
)
の一
枚
(
まい
)
看板
(
かんばん
)
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
お
民
(
たみ
)
は
此家
(
このや
)
に十
年
(
ねん
)
あまり
奉公
(
ほうこう
)
して
主人
(
しゆじん
)
といへど
今
(
いま
)
は
我
(
わ
)
が
子
(
こ
)
に
替
(
かは
)
らず、
何
(
なに
)
とぞ
此人
(
このひと
)
を
立派
(
りつぱ
)
に
仕
(
し
)
あげて
我
(
わ
)
れも
世間
(
せけん
)
に
誇
(
ほこ
)
りたき
願
(
ねが
)
ひより、やきもきと
氣
(
き
)
を
揉
(
も
)
むほど
何心
(
なにごヽろ
)
なきお
園
(
その
)
の
体
(
てい
)
のもどかしく
経つくゑ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
其日一日物も仰せられず、一日おいてよりは箸の上げ下しに、
此家
(
このや
)
の品は
無代
(
たゞ
)
では出來ぬ、主の物とて粗末に思ふたら罰が當るぞえと明け暮れの談義、來る人毎に告げられて若き心には恥かしく
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
其日
(
そのひ
)
一
日
(
にち
)
物
(
もの
)
も
仰
(
おほ
)
せられず、一
日
(
にち
)
おいてよりは
箸
(
はし
)
の
上
(
あ
)
げ
下
(
おろ
)
しに、
此家
(
このや
)
の
品
(
しな
)
は
無代
(
たゞ
)
では
出來
(
でき
)
ぬ、
主
(
しゆう
)
の
物
(
もの
)
とて
粗末
(
そまつ
)
に
思
(
おも
)
ふたら
罸
(
ばち
)
が
當
(
あた
)
るぞえと
明
(
あ
)
け
暮
(
く
)
れの
談義
(
だんぎ
)
、
來
(
くる
)
る
人
(
ひと
)
毎
(
ごと
)
に
告
(
つ
)
げられて
若
(
わか
)
き
心
(
こゝろ
)
には
恥
(
はづ
)
かしく
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
此家
(
このや
)
の
内
(
うち
)
に
一人
(
ひとり
)
もなし
老婆
(
ばあ
)
さまも
眉毛
(
まゆげ
)
よまれるなと
憎々
(
にく/\
)
しく
言
(
い
)
ひ
放
(
はな
)
つて
見返
(
みかへ
)
りもせずそれは
御尤
(
ごもつとも
)
の
御立腹
(
ごりつぷく
)
ながら
是
(
こ
)
れまでのこと
露
(
つゆ
)
ばかりも
私
(
わたくし
)
知
(
し
)
りての
事
(
こと
)
はなしお
憎
(
にく
)
しみはさることなれど
申譯
(
まをしわけ
)
の
一通
(
ひととほ
)
りお
聞
(
き
)
き
遊
(
あそ
)
ばして
昔
(
むかし
)
の
通
(
とほ
)
りに
思召
(
おぼしめ
)
してよと
詫入
(
わびい
)
る
詞
(
ことば
)
聞
(
き
)
きも
敢
(
あ
)
へず
何
(
なん
)
といふぞ
父親
(
てゝおや
)
の
罪
(
つみ
)
は
我
(
わ
)
れは
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
此
漢検準1級
部首:⽌
6画
家
常用漢字
小2
部首:⼧
10画
“此”で始まる語句
此方
此
此処
此奴
此處
此所
此間
此頃
此様
此度