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景氣
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けいき
可愛さうに
景氣のよい
聲、
肺臟から
出る
聲を
聞いたのは十
年ぶりのやうな
氣がして、
自分は
思はず
立上つた。
見れば
友人M君である。
頭へ
香のする
油を
塗られて、
景氣のいゝ
聲を
後から
掛けられて、
表へ
出たときは、それでも
清々した
心持であつた。
明進軒か
島金、
飛上つて
常磐(はこが
入る)と
云ふ
處を、
奴等の
近頃の
景氣では——
蛉鍋と……
當りがついた。
世の
中に
金解禁が
出來たならば、
經濟界に一
時の
景氣が
出て
來はしないかと
言ふ
人があるが、それは
即ち
過去六
箇月間爲替相場の
上る
爲に、
從て
物價の
下る
爲に
店は二
間間口の二
階作り、
軒には
御神燈さげて
盛り
鹽景氣よく、
空壜か
何か
知らず、
銘酒あまた
棚の
上にならべて
帳塲めきたる
處もみゆ、
勝手元には七
輪を
煽く
音折々に
騷がしく
砂金の波の光を漂はせて、
豪勢な
景氣だつた日光は
成る
程外部から
其の
人の
生活状態を
見ると
至極景氣の
好いやうに
見えるけれども
其状態がどれだけ
續くかと
云ふことを
考へて
見ると、
到底長く
續き
得るものではない。
愉快!
電車が
景氣よく
走り
出す、
函嶺諸峰は
奧ゆかしく、
嚴かに、
面を
壓して
近いて
來る!
輕い、
淡々しい
雲が
沖なる
海の
上を
漂ふて
居る、
鴎が
飛ぶ、
浪が
碎ける
泣くのがおもしろいから「やい、
泣いてらい!」なんて、
景氣のいゝことをいつて
見物して
居る。
宗助は
例刻に
歸つて
來た。
神田の
通りで、
門並旗を
立てゝ、もう
暮の
賣出しを
始めた
事だの、
勸工場で
紅白の
幕を
張つて
樂隊に
景氣を
付けさしてゐる
事だのを
話した
末
障れば
絶ゆる
蛛の
糸のはかない
處を
知る
人はなかりき、七月十六日の
夜は
何處の
店にも
客人入込みて
都々一
端歌の
景氣よく、
菊の
井の
下座敷にはお
店者五六人
寄集まりて
調子の
外れし
紀伊の
國
金澤の
正月は、お
買初め、お
買初めの
景氣の
好い
聲にてはじまる。
初買なり。
二日の
夜中より
出立つ。
元日は
何の
商賣も
皆休む。
初買の
時、
競つて
紅鯛とて
縁起ものを
買ふ。
是は
餘計物を
買へば
内地から
金が
出て
行く、
外國に
餘計物を
賣れば
外國から
金が
這入つて
來て
日本の
通貨が
殖える、さうして
景氣が
恢復する、
斯う
云ふことは
即ち
金本位の
當然の
結果である。
『ヤア、これは
珍らしい
處で』と
景氣よく
聲をかけて
入て
來た
者がある。
三味の
音景氣よく
聞えて
亂舞の
足音これよりぞ
聞え
初ぬ。
三社樣の
御神輿が、
芳原を
渡つた
時であつた。
仲の
町で、
或引手茶屋の
女房の、
久しく
煩つて
居たのが、
祭の
景氣に
漸と
起きて、
微に
嬉しさうに、しかし
悄乎と
店先に
彳んだ。
東京かね——
番町——
海水浴、
避暑にくる
人はありませんかな。……この
景氣だから、
今年は
勉強ぢやよ。
八疊に
十疊、
眞新しいので、
百五十圓の
所を
百に
勉強するですわい。
打ちつゞく
惡鬼ばらひ、
屋を
壓する
黒雲をぬぐつて、
景氣なほしに「
明月」も、しかし
沙汰過ぎるから、せめて「
良夜」とでも
題して、
小篇を、と
思ふうちに……
四五人のお
客があつた。
餘り
眞面目だから
笑ひもならない。「まあ、
落着きたまへ。——
景氣づけに
一杯。」「いゝえ、
歸ります。——
成程、
猫は
屋根づたひをして、
窓を
覗かないものとは
限りません。——
分りました。 ...