)” の例文
旧字:
そらこが狼火のろし……そして最後さいご武運ぶうんいよいよきてのあの落城らくじょう……四百年後ねんご今日こんにちおもしてみるだけでも滅入めいるようにかんじます。
孔子は子路ほど早く見切をつけず、なおくせるだけの手段を尽くそうとする。子路は孔子に早くめてもらいたくて仕方が無い。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
むかし、あるくに金持かねもちのおうさまがありました。その御殿ごてんはたいそうりっぱなもので、ぜいたくのあらんかぎりをくしていました。
北海の白鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)
その時、こっち岸の河原はきてしまって、もっと川を溯るには、どうしてもまた水を渉らなければならないようになりました。
鳥をとるやなぎ (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
鶴ヶ岳と白沢山の間に大白沢山と地図に記してあるが、これは平ヶ岳の尾根がきた処であって山というよりは平地と見るべきであろう
平ヶ岳登攀記 (新字新仮名) / 高頭仁兵衛(著)
その兵は敗れ、その財はきてそのときなお起るの精力を蓄うるものであります。これはまことに国民の試練の時であります。
古今来ここんらいむなしゅうして、東西位とうざいいくしたる世界のほかなる世界に片足を踏み込んでこそ——それでなければ化石かせきになりたい。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
愛想あいそきたけだものだな、おのれいやしくも諸生を教へる松川の妹でありながら、十二にもなつて何の事だ、うしたらまたそんなに学校がいやなのだ。
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
未明みめい食事をおはりて出立し又水流すいりうさかのぼる、無数の瀑布を経過けいくわして五千五百呎のたかきに至れば水流まつたき、源泉は岩罅かんこより混々こん/\として出できた
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
その間、博士は、或る時は山師とあざけられ、また或る時は資金はきて、ナイフやフォークまで売り払わねばならなかったこともあった。
火星探険 (新字新仮名) / 海野十三(著)
アカシアの並木は何処どこまで行ってもきないように見えた。私はとうとう或る大きなアカシアをえらんでその前に立ち止まった。
美しい村 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
わたしの勉強に対する母の配慮はいりょが、わずかこの数語にきていることは、わたしも心得ているから、別に口答えをする必要はないと思った。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
そのうちに都夫良つぶらはとうとうひどい手傷てきずを負いました。みんなも矢だねがすっかりきてしまいました。それで都夫良つぶら目弱王まよわのみこに向かって
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
このまますてておけば、いまにこのの中にねずみのたねきてしまうことになるのです。いったいどうしたらいいでしょう。
猫の草紙 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
中村の町のきるところ、月輪一刀流月輪軍之助つきのわぐんのすけの道場では、江戸へつかわすふしぎな人選の儀が行なわれているのだった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
そして、咲耶子を道のきるところまでいこんで、ここぞと、気合きあいをあわせて、二そうしょに彼女の胸板むないたいていった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
実際に力きてしかる後にたおるるはこれまた人情のしからしむるところにして、その趣をたとえていえば、父母の大病に回復の望なしとは知りながらも
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
ムヽー、あれだけの手当てあておよんでも息が出んとまうせば最早もはやまつた命数めいすうきたのかも知れぬて、うしてもかぬか。
華族のお医者 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
すでにすべからざるを知るといえども、つかうるところのそんせんかぎりは一日も政府の任をくさざるべからずとて極力きょくりょく計画けいかくしたるところ少なからず
この親切なるかつ明鬯めいちょう平易なる手紙は甚だ余の心をたものであつて、余の考も殆どこの手紙の中にきて居る。
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
話の種もきて、退屈したお互いに顔を情けなく見かわしながら店番していると、いっそ恥かしい想いがした。
夫婦善哉 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
一言いちげんにしてくせば、自分の昵近じっこんな人の間に何か不吉なことがあると、それが必らず前兆になって現われる。いかなる前兆となって現われるかというに叩く音!
不吉の音と学士会院の鐘 (新字新仮名) / 岩村透(著)
そこでもかれ宿やどからずに、終日しゅうじつ相変あいかわらず長椅子ながいすうえころがり、相変あいかわらずとも挙動きょどう愛想あいそうかしている。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
勝は外を通ってる人の声を聞いても時々気疎けうといことがありますぞな。ようあんな下卑げびたことを大きな声で喋舌しゃべってげらげら笑っておられると愛想がきてしまう。
入江のほとり (新字新仮名) / 正宗白鳥(著)
一三一上皇じやうくわう幸福さいはひいまだきず。重盛が忠信ちかづきがたし。今より一三二支干えとめぐりを待たば、重盛が命数よはひ既に尽きなん。かれせば一族の幸福さいはひ此の時に亡ぶべし。
またむかし武田勝頼たけだかつより三河みかわ長篠城ながしのじょうを囲み、城中しょくきもはや旬日じゅんじつを支え得なかった時、鳥居強右衛門とりいすねえもん万苦ばんくおかして重囲をくぐり、徳川家康とくがわいえやすまみえて救いを乞い
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
女にふんした役者は花道はなみちきるあたりまで出てうしろ見返みかへりながら台詞せりふを述べた。あとうたがつづく。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
「飛んでもございません。だいいち、刃物も持っては居りません。ただ、心をくして話しましたら、また考えも変わるだろうと、それだけが、望みでございました」
しかしその市のくる処、すなわち町ずれはかならず抹殺してはならぬ。僕が考えには武蔵野の詩趣を描くにはかならずこの町はずれを一の題目だいもくとせねばならぬと思う。
武蔵野 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
それでも彼女の名前を当てにして病院に尋ねて来る患者は、まだなかなかきない。私の病院は彼女のために存在していたのじゃないか知らんと疑われるくらいである。
少女地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
案のごとくその坊主きょうもきて、餅を取りて食うこと昨日のごとし。餅きてのちその白石をも同じように口に入れたりしが、大いに驚きて小屋を飛び出し姿見えずなれり。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
而して又た日暮れみちくるに及びては年金なるものありて以て晩年を閑遊するに足る。
主のつとめ (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
三の戸まで何ほどの里程みちのりかと問いしに、三里と答えければ、いでや一走りといきせきたって進むに、とうげ一つありて登ることやや長けれどもきず、雨はいよいよ強く面をあげがたく
突貫紀行 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
すそ曳摺ひきずりて奥様おくさまといへど、女はついに女なり当世たうせい臍繰へそくり要訣えうけついわく出るに酒入さけいつてもさけ、つく/\良人やど酒浸さけびたして愛想あいそうきる事もございますれど、其代そのかはりの一とくには月々つき/\遣払つかひはらひに
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
僕の所謂いはゆる「話」らしい話のない小説はどう云ふ小説を指してゐるか、なぜ又僕はかう云ふ小説に興味を持つてゐるか、——それ等は大体上に書いた数十行の文章にきてゐるであらう。
道はき、林に入った。見張台に行く方向である。あの健康な展望が、私の心をまぎらして呉れるかも知れない。私は、空を仰いだ。入り組んだこずえを通すまだらの光線が、私の顔に当った。
桜島 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
「八ヶ嶽山上窩人に対しては、深讐しんしゅう綿々ときけん、これ水狐族の遺訓たり」
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
主人岩太郎も、今度はよくよくこの風流な石灯籠に愛憎あいそかした様子です。
銭形平次捕物控:245 春宵 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
彼は財力もきるといっしょに白痴はくちのようになって行衛ゆくえ知れずになった。「赫耶姫かぐやひめ!」G氏は創造する金魚につけるはずのこの名を呼びながら、乞食こじきのような服装ふくそうをして蒼惶そうこうとして去った。
金魚撩乱 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
取り返しのつかないようないやな心持がした。どうせああいう種類の女だ。かまうものかとも思った。それから今考えても自分に愛想のきるような気持を起させるのはその翌日のことだ。
星座 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
どうしてああもさっぱりと都の生活に愛想をかしておしまいになったのかは手前などが詮索せんさくしても仕方がございませんが、……手前にはどうしてもせぬことがひとつあるのでございます。
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
一つの花が咲き、次のつぼみが咲き、株上のいくつかの花が残らず咲きくすまで見て、二十日はつかもかかったというのであろう。いくら牡丹でも、一りんの花が二十日はつか間もしぼまず咲いているわけはない。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
ついには大坂の商賈しょうここういけ、加島屋、辰巳屋などいえるものどもに借財して一時いっときの乏しきを救うといえども、またその利息返償に一層の苦を増し、ついに窮迫、せんかたきて、家中の禄をかりあげ
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
両眼殆んど凍傷にかかりたるか、色朱のごとく、また足は氷雪の上を引摺ひきずりしため、全く凍傷に罹る等実に散々のていに打ち悩まされ、ここに気力全くてて、終に何時いつとなく、人事不省におちいりたり
梅も大方はちりくした頃であるが、名にし負う信濃路は二月の末からふりつづく大雪で宿屋より外へは一歩ひとあしも踏出されぬ位、日々炉を囲んで春の寒さにふるえていると、ある日の夕ぐれ、山の猟師が一匹
手力たぢからのほこりもきて弱心よわこゝろなやむひととき
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
くして倒れれば、天命です。
きせぬうらみに 泣くねは共々ともども
七里ヶ浜の哀歌 (新字新仮名) / 三角錫子(著)
わがさむこと世にきて
一握の砂 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
わたくし岩屋いわや修行しゅぎょうというのは、つまりうした失敗しっぱいとお叱言こごとりかえしで、自分じぶんながらほとほと愛想あいそきるくらいでございました。