信用しんよう)” の例文
ロセツの申出はついにおこなわれざりしかども、彼が日本人に信ぜられたるその信用しんようを利用して利をはかるに抜目ぬけめなかりしはおよそこのたぐいなり。
年よりの仕立屋したてやさんは、そのことばをほんとうに信用しんようしようとはしませんでしたが、それでもとにかく、親類の人たちをあつめました。
わたくしも、同感どうかんでした。それに、おじさんを観察かんさつして、信用しんようしていいとおもったから、いわれるままに、三輪車りんしゃのあきばこへりました。
どこかで呼ぶような (新字新仮名) / 小川未明(著)
韓王かんわうはじもちひず、きふなるにおよんですなはりてしん使つかはす。秦王しんわうこれよろこび、いま信用しんようせず。李斯りし姚賈えうかこれこれそしつていは
こんなことは、盗人ぬすびとのじぶんには、はじめてのことであります。ひと信用しんようされるというのは、なんといううれしいことでありましょう。……
花のき村と盗人たち (新字新仮名) / 新美南吉(著)
「おちつけ、おれはけものじゃないよ。それに、おまえが気がちがったんでもない。おれのいうことを信用しんようしろ。でないと、石をぶつけるぞ」
クローリナも、ヤッローにたいしてなんにもわるいことはしませんでしたが、でも、このネコだけはどうしても信用しんようする気にはなれなかったのです。
「ぼくがスープを飲まないようにさ。ぼくはなべの番を言いつかっているけれど、親方はぼくを信用しんようしないのだ」
新聞しんぶんには講演かうえん梗概かうがいたが、新聞しんぶん記事きじには、信用しんようはらはぬ一にんであるので、しようとせぬ)として、生意氣なまいきながらごとせつするのである。
疑ひし後にて手前に有る事もあれば此儀は右兩人を召捕めしとりとくと吟味の上ならでは決定けつぢやう仕難しかたし其儀如何とあれば今汝が申す方此内記甚だ信用しんようせずとのことばの中にこしらへ事と正鵠ほし
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
畢竟ひつきやう何事なにごとかの手段しゆだんかもれたことならずやさしげな妹御いもとごてにならぬよし折々をり/\たこともあり毒蛇どくじやのやうな人々ひと/″\信用しんようなさるおこゝろにはなにごとまをすとも甲斐かひはあるまじさりとて此儘このまゝ
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
駄目だめよ。だつて、叔父をぢさんにまつた信用しんようがないんですもの」と心細こゝろぼそさうにこたへた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ねんねんゆめぎ、未亡人びぼうじん操行さうかうくわんして誰一人たれひとり陰口かげぐちものもなかつた。まづしくはあつたけれど彼女かのぢよ家柄いへがらもよかつたので、多少たせう尊敬そんけい心持こゝろもちもくはへて人々ひと/″\彼女かのぢよ信用しんようした。
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
御所ごしょ役人やくにんたちはふしぎにおもって、なかなか信用しんようしませんでしたが、なにしろこまりきっているところでしたから、ためしに御寝所ごしんじょ東北うしとらはしらの下をらしてみますと、なるほど童子どうじのいったとおり
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
たゞし信用しんようがないから直接ぢかでは不可いけないのである。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「やはり、時計とけいなんかというものはだめだ。すぐにこわれてしまう。信用しんようのできるものでない。」と、一人ひとりがいいますと
時計のない村 (新字新仮名) / 小川未明(著)
けれども、王さまはお妃さまがかわいくてなりませんので、そんなことは頭から信用しんようしようとはしませんでした。
またこの仔牛こうしも、じぶんをちっともいやがらず、おとなしくしております。じぶんが母牛ははうしででもあるかのように、そばにすりよっています。子供こども仔牛こうしも、じぶんを信用しんようしているのです。
花のき村と盗人たち (新字新仮名) / 新美南吉(著)
むかふぢや此方こつち信用しんようがないかもれないが、此方こつちぢやまたむかふに信用しんようがないんだ」と宗助そうすけ威張ゐばつてしたが、御米およね俯目ふしめになつてゐる樣子やうすると、きふ勇氣ゆうきくじけるふうえた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
男は、おかみさんがじぶんを信用しんようしはじめたと見て、また話しつづけた。
きつはなして急催促きふさいそく言譯いひわけすべきほどもなくたちま表向おもてむきの訴訟沙汰そしようざたとはれりけるもと松澤まつざは數代すだい家柄いへがら信用しんようあつければ僅々きん/\せん二千にせんかね何方いづかたにても調達てうたつ出來得できうべしと世人せじんおもふは反對うらうへにて玉子たまご四角しかくまだ萬國博覽曾ばんこくはくらんくわいにも陳列ちんれつ沙汰さた
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
なおしたってしかたがない。こわれるような時計とけいは、もう信用しんようすることができない。」と、一人ひとりがいいました。
時計のない村 (新字新仮名) / 小川未明(著)
仕立屋さんはむすこのいうことを信用しんようしないで、じぶんでヤギ小屋ごやにおりていって、たずねてみました。
みんながじぶんを信用しんようしてはくれなかったのです。ところが、この草鞋わらじをはいた子供こどもは、盗人ぬすびとであるじぶんにうしをあずけてくれました。じぶんをいい人間にんげんであるとおもってくれたのでした。
花のき村と盗人たち (新字新仮名) / 新美南吉(著)
もししてやらないと自分じぶん信用しんようかゝわるつて奔走ほんそうしてゐるんですからね。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
女ってものは、よそものっていうと、とかく信用しんようしがちなものさね。まして科学者かがくしゃなんていうと、なおさら信用しんようするがね。部屋へやをかりて、名まえを言わねえような男は、ろくな人間にんげんじゃねえやね
いとなむがうへれは本家ほんけとてもちひもおもかるべくわれとて信用しんよううすきならねど彼方かなた七分しちぶえきあるときこゝにはわづかに三分さんぶのみいへ繁榮はんえい長久ちやうきうさく松澤まつざはきにしかずつはむすめ容色きりやうすぐれたればこれとてもまたひとつの金庫かねぐら芳之助よしのすけとのえにしえなばとほちやうかど地面ぢめん持參ぢさんむこもなきにはあらじ一擧兩得いつきよりやうとくとはこれなんめりとおもこゝろ
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
わたくしが、いただいてもよろしいのですけれど、こんなしなをおばなしなさるあなたのばあいをかんがえますと、もっとおおきい、信用しんようのあるみせへおちなさいまし。
ひすいの玉 (新字新仮名) / 小川未明(著)
仕立屋さんはそのことばを信用しんようしないで、じぶんでおりていって、ヤギにきいてみました。
あたりが、やっとおちついて、むかしのような平和へいわがきたとおもったら、いつのまにか、人間にんげんこころわってしまって、信用しんようどころか、なんだか危険きけんで、油断ゆだんができなくなったよ。
春はよみがえる (新字新仮名) / 小川未明(著)
食事のおさらがすっかりさげられて、そのにだれもいなくなりますと、ひとりの信用しんようのあつい召使めしつかいが、いつもきまって、なにかもうひとさらもってくることになっていたのです。
今日きょうじゅうに、これだけたがやしてしまおうとこころめると、たとえれかかっても、やすまずに仕事しごとせいれるという性質せいしつでしたから、むらひとたちからも信用しんようされていました。
僕はこれからだ (新字新仮名) / 小川未明(著)
「もう、だれも信用しんようできねえ。」
先生せんせいは、小田おだ忠実ちゅうじつであって、信用しんようのおける人物じんぶつであることは、とうからていられたので、かれに、学問がくもんをさしたら、ますます人間にんげんになるとおもわれたから、このごろ、ひまのあるときは
空晴れて (新字新仮名) / 小川未明(著)
このあいだから、だれか信用しんようのおける小僧こぞうさんをさがしてくれと、わたしのところへたのんできているのだが、どうだな、苦労くろうもしてきた主人しゅじんだから、ゆけばきっと、きみのためになるとはおもうが。
空晴れて (新字新仮名) / 小川未明(著)
まだなかのほこりにけがされぬ若者わかもの感覚かんかくは、何人ひとびとこころにもないうそをいったり、あるいは、かざらず真実しんじつかたるか、また謙遜けんそんであって、信用しんようするにりるか、どうかということを、わけ
心の芽 (新字新仮名) / 小川未明(著)
きみがきてくれて、わたしは、いい協力者きょうりょくしゃができたとおもっている。ひとは、たくさんあっても、信用しんようのおけるひとというものは、存外ぞんがいすくないものだ。」と、いって、主人しゅじんけん一をはげましてくれました。
空晴れて (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのうそは、無邪気むじゃきなものであっても、それをほんとうにしたひとは、あとでうそということがわかると、ばかにされたとおもった。そして、だんだんみんなは、この少年しょうねん信用しんようしなくなったのでした。
その日から正直になった話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「いいひとだったけれど、あんまりはなしがちょうしよくて、信用しんようがされなかった。」という意見いけんもありました。そんなやさきへ、ちいさなはこが、おじさんの遺族いぞくから、ぼくのところへとどけられたのです。
緑色の時計 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「おじいさんは、そんなくすり信用しんようなさいますかね。」
手風琴 (新字新仮名) / 小川未明(著)
人々ひとびとから信用しんようされるようになったのであります。
おけらになった話 (新字新仮名) / 小川未明(著)