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はひ
ふりがな文庫
“
這入
(
はひ
)” の例文
大手町で電車を降り、停留場前のバラック仮建築の内務省の門衛に訊き、砂利を踏んで
這入
(
はひ
)
つて、玄関で竹草履に
履
(
は
)
きかへてゐると
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
そこで本町橋の
東詰
(
ひがしづめ
)
まで引き上げて、二
人
(
にん
)
は
袂
(
たもと
)
を分ち、堀は石川と米倉とを借りて、西町奉行所へ連れて帰り、跡部は城へ
這入
(
はひ
)
つた。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
ハヾトフは
其間
(
そのあひだ
)
何故
(
なにゆゑ
)
か
默
(
もく
)
した
儘
(
まゝ
)
、さツさと六
號室
(
がうしつ
)
へ
這入
(
はひ
)
つて
行
(
い
)
つたが、ニキタは
例
(
れい
)
の
通
(
とほ
)
り
雜具
(
がらくた
)
の
塚
(
つか
)
の
上
(
うへ
)
から
起上
(
おきあが
)
つて、
彼等
(
かれら
)
に
禮
(
れい
)
をする。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
小売店で、高野山一覧を買ひ、直接に
鯖
(
さば
)
を焼くにほひを
嗅
(
か
)
ぎながら、裏通にまはつて、山下といふ小料理店にも
這入
(
はひ
)
つて見た。
仏法僧鳥
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
やがて
彼等
(
かれら
)
は
板
(
いた
)
の
間
(
ま
)
の
藁屑
(
わらくづ
)
を
土間
(
どま
)
へ
掃
(
は
)
きおろしてそれから
交代
(
かうたい
)
に
風呂
(
ふろ
)
へ
這入
(
はひ
)
つた。お
品
(
しな
)
はそれを
見
(
み
)
ながら
默
(
だま
)
つて
待
(
ま
)
つて
居
(
ゐ
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
▼ もっと見る
「この箱には一疋の犬が
這入
(
はひ
)
つてゐる。これはお前が天の羽衣を
私
(
わたし
)
に贈つてくれたお礼です。侍女から、よくその養ひ方を教はつて行きなさい。」
竜宮の犬
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
「人がましくも、殿方が
頭
(
つむり
)
を下げての
御依頼
(
おんたのみ
)
とあるからは、そりや随分火の中へも
這入
(
はひ
)
りませう、してお名前は」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
皇太子はお玉
母娘
(
おやこ
)
を先立てゝやがて
此家
(
このうち
)
に
這入
(
はひ
)
りまして眼の前の不思議に感心をしました、
左様
(
さう
)
して
此
(
この
)
娘が大きくなつたらば自分の
后
(
きさき
)
に貰ひたいと望みました。
金銀の衣裳
(新字旧仮名)
/
夢野久作
(著)
然
(
しか
)
しもう少し低い見地に立つて、もつと手近な所を眺めると、
此
(
この
)
戦争の当然将来に
齎
(
もたら
)
すべき結果は、いくらでも吾々の視線の
中
(
うち
)
に
這入
(
はひ
)
つて来なければならない。
点頭録
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
中学校に
這入
(
はひ
)
るために私が、再び東京の家へ戻つて来た頃に、姉は木村の義兄と結婚したのだつた。
イボタの虫
(新字旧仮名)
/
中戸川吉二
(著)
覚束
(
おぼつか
)
ない、極めて不調法の手附きで、しかも
滑稽
(
こつけい
)
な
程
(
ほど
)
真面目
(
まじめ
)
な顔附をしてカチヤン/\と使ひつけないナイフを動かしてゐると、どうした
機
(
はず
)
みにか余計な力がその手に
這入
(
はひ
)
つて
夢
(新字旧仮名)
/
相馬泰三
(著)
重苦しい趣味が幾分支那に似て居ると自分は感じた。
大通
(
おほどほり
)
から少し横へ
這入
(
はひ
)
れば
何
(
ど
)
の家も四方を庭園で
繞
(
めぐ
)
らし、
蔦
(
つた
)
などを窓や壁に
這
(
は
)
はせた家も
少
(
すくな
)
く無いのは
仏蘭西
(
フランス
)
と
異
(
ことな
)
つて居る。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
人目にはかなりにやつて行けるらしく見えたが、中へ
這入
(
はひ
)
つて見ればいろ/\あれがあつて、おかみさんは、月末になると、よく浮かない顔をして、ペンと帳面を手に持つたまゝ
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
全然の責任を負つて呉れて僕とおせいの一族との中に
這入
(
はひ
)
つてくれてる中村氏を
駒込
(
こまごめ
)
に夜遅く訪ねたのだが、奥さんだけにお目にかゝり、それとなく事情の切迫してゐることを訴へ
椎の若葉
(新字旧仮名)
/
葛西善蔵
(著)
思ひ我が
亡跡
(
なきあと
)
を
弔
(
とふら
)
ひ
呉
(
くれ
)
よ此外に頼み
置事
(
おくこと
)
なし汝に
逢
(
あ
)
ひしも
因縁
(
いんえん
)
ならん
疾々
(
とく/\
)
見付られぬ
中
(
うち
)
歸るべし/\我は
未
(
いま
)
だ
仕殘
(
しのこ
)
したる事ありと云ひつゝ
又
(
また
)
引窓
(
ひきまど
)
よりずる/\と
這入
(
はひ
)
り
質物
(
しちもつ
)
二十餘品を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
話の
数
(
かず
)
もガラン訳の四倍あり其の他のものの三倍はあるが、手の届かぬ所が無いでもない。しかし
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
好訳であるが、私版を五百部刊行しただけで、遂に
稀覯書
(
きこうしよ
)
の
中
(
うち
)
に
這入
(
はひ
)
つて
了
(
しま
)
つた。
リチャード・バートン訳「一千一夜物語」に就いて
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
いつも産をして五日目位から筆を執るのがわたしの習慣になつて居たが、今度は病院へ
這入
(
はひ
)
らねばならぬ程の容体であつたから後の疲労も甚しい。其れに心臓も悪い。熱も少しは出て居る。
産褥の記
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
是
(
これ
)
は
餘計
(
よけい
)
物
(
もの
)
を
買
(
か
)
へば
内地
(
ないち
)
から
金
(
きん
)
が
出
(
で
)
て
行
(
い
)
く、
外國
(
ぐわいこく
)
に
餘計
(
よけい
)
物
(
もの
)
を
賣
(
う
)
れば
外國
(
ぐわいこく
)
から
金
(
きん
)
が
這入
(
はひ
)
つて
來
(
き
)
て
日本
(
にほん
)
の
通貨
(
つうくわ
)
が
殖
(
ふ
)
える、さうして
景氣
(
けいき
)
が
恢復
(
くわいふく
)
する、
斯
(
か
)
う
云
(
い
)
ふことは
即
(
すなは
)
ち
金本位
(
きんほんゐ
)
の
當然
(
たうぜん
)
の
結果
(
けつくわ
)
である。
金解禁前後の経済事情
(旧字旧仮名)
/
井上準之助
(著)
その
水松樹
(
いちゐ
)
の垣に囲まれた、暗い庭さきにみんな
這入
(
はひ
)
って行きました。
種山ヶ原
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
……
南無三寶
(
なむさんぼう
)
、ほんにまア
善
(
よ
)
う
眠込
(
ねこ
)
んでござることぢゃ! でも
是非
(
ぜひ
)
起
(
おこ
)
さにゃならぬ。……
孃
(
ぢゃう
)
さま
孃
(
ぢゃう
)
さま/\!
其
(
その
)
床
(
とこ
)
の
中
(
なか
)
へあの
若
(
わか
)
が
這入
(
はひ
)
らしゃってもよいかや? そしたら
飛起
(
とびお
)
きさっしゃらうがな。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
まぶしくなつたら、日蔭に
這入
(
はひ
)
り
在りし日の歌:亡き児文也の霊に捧ぐ
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
跡
(
あと
)
に残つた人々は
土佐堀川
(
とさぼりがは
)
から
西横堀川
(
にしよこぼりがは
)
に
這入
(
はひ
)
つて、
新築地
(
しんつきぢ
)
に上陸した。平八郎、格之助、瀬田、渡辺、庄司、白井、杉山の七人である。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
『八十吉の
尻
(
けつ
)
の穴さ煙管が五本も六本もずぼずぼ
這入
(
はひ
)
つたどつす。ほして、煙草の
煙
(
けむ
)
が口からもうもう出るまで吹いたどつす』
念珠集
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
そつと
開
(
あ
)
けて
這入
(
はひ
)
つて
見
(
み
)
ると、
自分
(
じぶん
)
の
家
(
うち
)
ながらおつぎはひやりとした。
塒
(
とや
)
の
鷄
(
にはとり
)
は
闇
(
くら
)
い
中
(
なか
)
で
凝然
(
ぢつ
)
として
居
(
ゐ
)
ながらくゝうと
細
(
ほそ
)
い
長
(
なが
)
い
妙
(
めう
)
な
聲
(
こゑ
)
を
出
(
だ
)
した。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
「
其処
(
そこ
)
の篠田さんナ、
彼様
(
あんな
)
不用心な家見たことが
無
(
ね
)
いぜ、暗いうちに
牛乳
(
ちゝ
)
を配るにナ、表の戸を開けて
裡
(
なか
)
へ置くのだ、あれで
能
(
よ
)
く泥棒が
這入
(
はひ
)
らねエものだ」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
処が丁度
此
(
この
)
玉が七つになつた年の春の事で御座いました、
何処
(
どこ
)
から飛んで来たものか一匹の
蠶
(
かひこ
)
の蛾が
這入
(
はひ
)
つて来まして
破
(
あば
)
ら
家
(
や
)
の隅の柱にとまつて卵を沢山に生み付けて
行
(
ゆ
)
きました。
金銀の衣裳
(新字旧仮名)
/
夢野久作
(著)
おくみはそこへ女中代りに
這入
(
はひ
)
つて、
閑々
(
ひま/\
)
にさういふものを教へて貰ふ女になつた。養母は間もなく、考へどほりに、青山の方の或伯爵家へお針女に這入つて今にそこに勤めてゐる。
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
午前四時頃シナイ
山
(
ざん
)
らしい山を右舷に望んだ
其
(
その
)
日の夕暮に
蘇西
(
スエズ
)
の運河へ
這入
(
はひ
)
つた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
おれたち二人が中へ
這入
(
はひ
)
ると、帳場の前の
獅噛
(
しがみ
)
火鉢へ噛りついてゐた番頭が、まだ「
御濯
(
おすす
)
ぎを」とも云は無え内に、意地のきたねえやうだけれど、飯の匂と汁の匂とが、湯気や火つ気と一つになつて
鼠小僧次郎吉
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
偖
(
さて
)
千太郎は
何所
(
どこ
)
を何うか我が家へ歸り
悔
(
くや
)
し涙にかき
暮
(
くれ
)
ながら二階の
小座敷
(
こざしき
)
へ
竊
(
そつ
)
と
這入
(
はひ
)
り心中に思ふ
樣
(
やう
)
如何にしても口惜きは長庵なり
眼前
(
がんぜん
)
渡して其金を知らぬと
言
(
いふ
)
さへ
恐
(
おそろ
)
しきに
己
(
おのれ
)
が惡事を覆はん
爲
(
ため
)
此我を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
私は
劣
(
けおと
)
されて、その家には
這入
(
はひ
)
り切れずに通り過ぎた。
イボタの虫
(新字旧仮名)
/
中戸川吉二
(著)
レストオランに
這入
(
はひ
)
るのだ——
山羊の歌
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
今夜なんか
這入
(
はひ
)
られては
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
戸があくとすぐに、衣の上に
鼠色
(
ねずみいろ
)
の
木綿合羽
(
もめんかつぱ
)
をはおつた僧侶が二人つと
這入
(
はひ
)
つて、低い声に力を入れて、早くその戸を
締
(
し
)
めろと指図した。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
いまやつてゐる僕の脳髄病理の
為事
(
しごと
)
も、前途まだまだ遠いやうな気がする。まだ序論にも
這入
(
はひ
)
らないやうな気がする。
接吻
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
おつたは
濕
(
しめ
)
つた
手拭
(
てぬぐひ
)
を
幾
(
いく
)
つかに
折
(
を
)
つて
手
(
て
)
に
攫
(
つか
)
んだ
儘
(
まゝ
)
、
栗
(
くり
)
の
木
(
き
)
の
側
(
そば
)
に
置
(
お
)
いた
洋傘
(
かうもり
)
を
窄
(
つぼ
)
めてゆつくりと
家
(
うち
)
へ
這入
(
はひ
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
其
(
そり
)
ヤ課長、無理ですよ、初め僕が同胞社に
這入
(
はひ
)
り込んだ頃、僕は報告したぢやありませんか、外で考へると、内で見るとは全く事情が違つて、篠田と云ふ男
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
繞石
(
ぜうせき
)
君に逢はうとは思ひ
掛
(
が
)
けなかつたので、
扉
(
と
)
を開けて
這入
(
はひ
)
つて来たのも、
少時
(
しばらく
)
話した
後
(
あと
)
で
曲
(
くね
)
つた梯子段を寒い
夜更
(
よふけ
)
に降りて
行
(
い
)
つたのも芝居の人物の出入りの様な気がしてならなかつた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
呑
(
のみ
)
こみ私しことは
此家
(
このや
)
へ
盜賊
(
たうぞく
)
に
這入
(
はひ
)
らん爲に只今屋根へ
登
(
のぼ
)
りしなり
見遁
(
みのが
)
したまへと申ければ彼男は
微笑
(
ほゝゑみ
)
ナニ盜賊に這入らんとする者が其樣に
震
(
ふる
)
へては
所詮
(
しよせん
)
盜
(
ぬす
)
む事出來ず
偖
(
さて
)
は
貧
(
ひん
)
に
迫
(
せま
)
りし出來心の
新
(
しん
)
まい
盜人
(
どろばう
)
かと云ふに喜八仰せの
通
(
とほ
)
り何を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
勇んで茶店に
這入
(
はひ
)
りはすれど
在りし日の歌:亡き児文也の霊に捧ぐ
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
全
(
まつた
)
く
不思議
(
ふしぎ
)
な
事
(
こと
)
でございました。
或
(
あ
)
る
日
(
ひ
)
山
(
やま
)
から
虎
(
とら
)
に
騎
(
の
)
つて
歸
(
かへ
)
つて
參
(
まゐ
)
られたのでございます。そして
其
(
その
)
儘
(
まゝ
)
廊下
(
らうか
)
へ
這入
(
はひ
)
つて、
虎
(
とら
)
の
背
(
せ
)
で
詩
(
し
)
を
吟
(
ぎん
)
じて
歩
(
ある
)
かれました。
寒山拾得
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
そして独逸語で頭を痛めてゐるときに、
是等
(
これら
)
の言葉はすらすらと私の心に
這入
(
はひ
)
つて来た、のみならず翁の持つ一つの語気が少年以来の私に或る親しみを持たせるのであつた。
日本大地震
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
陽は雲の中に
這入
(
はひ
)
つてゐる
いちじくの葉
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
儒學
(
じゆがく
)
に
入
(
い
)
つても、
道教
(
だうけう
)
に
入
(
い
)
つても、
佛法
(
ぶつぱふ
)
に
入
(
い
)
つても
基督教
(
クリストけう
)
に
入
(
い
)
つても
同
(
おな
)
じ
事
(
こと
)
である。かう
云
(
い
)
ふ
人
(
ひと
)
が
深
(
ふか
)
く
這入
(
はひ
)
り
込
(
こ
)
むと
日々
(
ひゞ
)
の
務
(
つとめ
)
が
即
(
すなは
)
ち
道
(
みち
)
そのものになつてしまふ。
寒山拾得
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
その仁兵衛が或る夜上等の魚を土産に持つて帰途に著くと、すつかり狐に
騙
(
だま
)
されてしまふところを父はよく話した。どろどろの深田に仁兵衛が
這入
(
はひ
)
つて
酒風呂
(
さかぶろ
)
のつもりでゐる。
念珠集
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
壁の中へ
這入
(
はひ
)
つてしまつた。
在りし日の歌:亡き児文也の霊に捧ぐ
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
川は道を
稍
(
やや
)
東の方に取つて、
Deggendorf
(
デツゲンドルフ
)
の近くに来てドナウに
這入
(
はひ
)
る。
Tölz
(
テルツ
)
からもつと
水上
(
みなかみ
)
に
Lenggries
(
レンググリース
)
といふ一
小邑
(
せういふ
)
があり、
眺
(
ながめ
)
のいい城がある。
イーサル川
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
こゝは
湯気
(
ゆげ
)
が一ぱい
籠
(
こ
)
もつてゐて、
遽
(
にはか
)
に
這入
(
はひ
)
つて
見
(
み
)
ると、しかと
物
(
もの
)
を
見定
(
みさだ
)
めることも
出來
(
でき
)
ぬ
位
(
くらゐ
)
である。その
灰色
(
はひいろ
)
の
中
(
なか
)
に
大
(
おほ
)
きい
竈
(
かまど
)
が三つあつて、どれにも
殘
(
のこ
)
つた
薪
(
まき
)
が
眞赤
(
まつか
)
に
燃
(
も
)
えてゐる。
寒山拾得
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
里親の萬屋和助なんぞも、維新前の金持の番附には幕の内に
這入
(
はひ
)
つてゐました。
寿阿弥の手紙
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
そこへ
御一新
(
ごいつしん
)
が来、開化のこゑがかういふ山の中にも
這入
(
はひ
)
つて来るやうになつた。
三島
(
みしま
)
県令が赴任するとたうとう小山の中腹を
鑿開
(
きりひら
)
いて山形から上山を経て
米沢
(
よねざは
)
の方へ通ずる大街道が出来た。
念珠集
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
這
漢検準1級
部首:⾡
11画
入
常用漢字
小1
部首:⼊
2画
“這入”で始まる語句
這入口
這入込
這入來
這入所