トップ
>
親父
>
おやぢ
ふりがな文庫
“
親父
(
おやぢ
)” の例文
盲目の
親父
(
おやぢ
)
は青い顏をして小さくなつて爐端に坐つてゐる……酒さへ飮まなけりやあ意氣地がね程、まあ確に意氣地がなかつたんだが
酔ひたる商人
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
西尾
(
にしを
)
から
東
(
ひがし
)
を
差
(
さ
)
して
来
(
き
)
た
小僧
(
こぞう
)
皆身
(
みなみ
)
の
為
(
ため
)
に
年季奉公
(
ねんきぼうこう
)
と、
東西南北
(
とうざいなんぼく
)
で書いて
遣
(
や
)
ると、お
前
(
まへ
)
の
親父
(
おやぢ
)
がそれを
国
(
くに
)
へ持つて
往
(
い
)
つて
表装
(
へうさう
)
を加へ
にゆう
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
阿母
(
おふくろ
)
なんかどうだつていいさ。おれにとつてはお前が
阿母
(
おふくろ
)
でもあれば、
親父
(
おやぢ
)
でもあり、この世の中にある限りの大事なものだもの。
ディカーニカ近郷夜話 後篇:02 降誕祭の前夜
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
其處
(
そこ
)
で
其
(
その
)
翌日
(
あくるひ
)
は
愈〻
(
いよ/\
)
怠惰屋
(
なまけや
)
の
弟子入
(
でしいり
)
と、
親父
(
おやぢ
)
は
息子
(
むすこ
)
の
衣裝
(
みなり
)
を
作
(
こし
)
らへ
頭
(
あたま
)
も
奇麗
(
きれい
)
に
刈
(
かつ
)
てやつて、ラクダルの
莊園
(
しやうゑん
)
へと
出
(
で
)
かけて
行
(
い
)
つた。
怠惰屋の弟子入り
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
然し大抵なら
那
(
あ
)
の校長は
此方
(
こツち
)
のいふ通りに都合してくれますよ。謂ツちや變だけれど、僕の
親父
(
おやぢ
)
とは金錢上の關係もあるもんですからね。
漂泊
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
▼ もっと見る
奴
(
やつ
)
め
身體
(
からだ
)
が
痛
(
いた
)
い
癖
(
くせ
)
に
親父
(
おやぢ
)
に
知
(
し
)
らすまいとして
働
(
はたら
)
いて
居
(
ゐ
)
た、
夫
(
そ
)
れを
見
(
み
)
たら
己
(
お
)
れは
口
(
くち
)
が
利
(
き
)
けなかつた、
男
(
をとこ
)
が
泣
(
な
)
くてへのは
可笑
(
をか
)
しいでは
無
(
な
)
いか
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
然るに其
金
(
かね
)
は野々宮さんが、
妹
(
いもと
)
にヷイオリンを
買
(
か
)
つて
遣
(
や
)
らなくてはならないとかで、わざ/\国
元
(
もと
)
の
親父
(
おやぢ
)
さんから
送
(
おく
)
らせたものださうだ。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
施主
(
せしゆ
)
、へい、
施主
(
せしゆ
)
と
申
(
まを
)
しますと……」と
何
(
なに
)
かまぶしさうな
目
(
め
)
を
細
(
ほそ
)
うして、
薄
(
うす
)
い
眉毛
(
まゆげ
)
を
俯向
(
うつむ
)
けた、
窶
(
やつれ
)
た
親父
(
おやぢ
)
が
手拭
(
てぬぐひ
)
で
額
(
ひたひ
)
を
拭
(
ふ
)
く。
月夜車
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
数多い世間の
親父
(
おやぢ
)
よ、牛のやうに愚かな頭を持つた世間の
親父
(
おやぢ
)
よ、
卿
(
おみ
)
達がどんな説明をしようと、多くの子供はそれに満足するものではない。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
僕の隣の部屋へ一月前から移つて来たピエルと云ふ青年は地方官の息子だが、女の為に
巴里
(
パリイ
)
の大学を中途で
止
(
よ
)
して
親父
(
おやぢ
)
の
仕送
(
しおくり
)
で遊んで居る男だ。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
ば
何日
(
いつ
)
とて云うて來ぬかモウ今日あたりは
來然
(
きさう
)
な物と
親父
(
おやぢ
)
が
言
(
いへ
)
ば
女兒
(
むすめ
)
もまた戀しい人と二世の
縁
(
えん
)
結
(
むす
)
ぶに附て
嬉
(
うれ
)
しさの
一日
(
ひとひ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
永富町
(
ながとみちやう
)
と申候處の
銅物屋
(
かなものや
)
大釜
(
おほがま
)
の中にて、七人やけ死申候、(原註、
親父
(
おやぢ
)
一人、
息子
(
むすこ
)
一人、十五歳に成候見せの者一人、
丁穉
(
でつち
)
三人、抱への
鳶
(
とび
)
の者一人)
寿阿弥の手紙
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
唯
親父
(
おやぢ
)
だのお袋だのの稽古してゐるのを聞き覚えたのである。その
文句
(
もんく
)
は
何
(
なん
)
でも
観世音菩薩
(
くわんぜおんぼさつ
)
の「庭に
年
(
とし
)
経
(
へ
)
し
槐
(
ゑんじゆ
)
の
梢
(
こずゑ
)
」に現れるとか
何
(
なん
)
とか云ふのだつた。
槐
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
僕の
親父
(
おやぢ
)
は水雷専門の
兵曹長
(
へいさうちやう
)
で水雷のことなら、僕も小さい時から、見たり、聞いたりして、よく知つてゐるんだ。
怪艦ウルフ号
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
「浮氣つぽくはないけれど、そりや可愛らしい娘ですよ、尤も
親父
(
おやぢ
)
の由五郎は、あつしの友達の友達の又友達で」
銭形平次捕物控:274 贋金
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「おれがお前の
親父
(
おやぢ
)
だ、
祖父
(
ぢい
)
だ、家を出た日には、まだ若かつた、今日は年寄つたリツプ、フアン、ヰンクルだ。まあ此多人数の
中
(
なか
)
に、誰もおれを見覚えた人はないか、」
新浦島
(新字旧仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
おせいの
親父
(
おやぢ
)
と
義兄
(
にい
)
さんが見えて、おせいを引張つて帰つて行つたのは、たしか五月の三十日だと思ふ。その時も、大変なんでしたよ。僕にはもと/\
掠奪
(
りやくだつ
)
の心はないんだ。
椎の若葉
(新字旧仮名)
/
葛西善蔵
(著)
今日も御留守に米屋の
親父
(
おやぢ
)
が来て
蓄
(
たま
)
つた米代の催促をするやら、それに炭屋や質屋の……
名工出世譚
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
中野宮園町の国民酒場まで
駈
(
か
)
けつけて、籤にはづれて秋風身にしむ夕暮の焼跡の町を歩いて帰つたこともある……長男のやつ、籤運の弱い
親父
(
おやぢ
)
に一杯のませてやりたいと思つたらしく
老残
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
独
(
ひと
)
りでそれを心配して、孫や孫やと
頻
(
しき
)
りに重右衛門ばかりを力にして、何うか貴様は、
親父
(
おやぢ
)
のやうに意気地なしには為つて呉れるな、
祖父
(
ぢいさん
)
の代の
田地
(
でんち
)
を何うか元のやうに
恢復
(
くわいふく
)
して呉れと
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
アジブは
親父
(
おやぢ
)
と一緒に肉屋をやつてゐる。ぶく/\に太つて汚いが、金が出来たな。それで、落ちぶれた友達とは口もきかない。——ブウバケルは結婚してゐた。まだ十五なのに
可笑
(
をか
)
しな事だ。
亜剌比亜人エルアフイ
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
この子供の
親父
(
おやぢ
)
は今
此地
(
ここ
)
にゐねえんです、東京さ稼ぎに行つてるんで、妹はこの子供を連れて、ひと月ばかり前に私を頼つて來たんです。
嘘をつく日
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
彼方
(
あつち
)
此方
(
こつち
)
と
搜
(
さが
)
す中、
漸
(
やつ
)
とのことで大きな
無花果
(
いちじく
)
の
樹蔭
(
こかげ
)
に
臥
(
ね
)
こんで
居
(
ゐ
)
るのを
見
(
み
)
つけ
出
(
だ
)
し、
親父
(
おやぢ
)
は
恭々
(
うや/\
)
しく
近寄
(
ちかよ
)
つて
丁寧
(
ていねい
)
にお
辭儀
(
じぎ
)
をして
言
(
い
)
ふのには
怠惰屋の弟子入り
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
「お福さへ居なきや、俺は勝手だ。
親父
(
おやぢ
)
の
遺言状
(
ゆゐごんじやう
)
が出ても、三千兩の
身上
(
しんしやう
)
を受取るだけで、何の怖いこともない」
銭形平次捕物控:100 ガラツ八祝言
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
とりわけ貧乏人の子供は、
親父
(
おやぢ
)
の言ひ得ない事を言ふものである。彼等は知事の子供を見ると言つたものだ。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
ひよつくり
變
(
へん
)
てこな
夢
(
ゆめ
)
なんかを
見
(
み
)
てね、
平常
(
ふだん
)
優
(
やさ
)
しい
事
(
こと
)
の
一言
(
ひとこと
)
も
言
(
い
)
つて
呉
(
く
)
れる
人
(
ひと
)
が
母親
(
おふくろ
)
や
親父
(
おやぢ
)
や
姉
(
あね
)
さんや
兄
(
あに
)
さんのやうに
思
(
おも
)
はれて、もう
少
(
すこ
)
し
生
(
い
)
きて
居
(
ゐ
)
やうかしら
わかれ道
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
これは前の銃を折つてからキクッタの
親父
(
おやぢ
)
が熊の皮十枚を出して
和人
(
シヤモ
)
から買ひ取つたもので、最新式の軍用銃だといふことでしたから、キクッタは、今度こそは
熊捕り競争
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
それに今朝
親父
(
おやぢ
)
が
然
(
さう
)
言つてましたから、先刻話した校長の所へ、これから𢌞つて見ようかと思ふんです。
漂泊
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
親父
(
おやぢ
)
にも、
倅
(
せがれ
)
にも、風景にも、
朴
(
ぼく
)
にして
雅
(
が
)
を破らざること、もろこしの
餅
(
もち
)
の如き味はひありと言ふべし。その
手際
(
てぎは
)
の
鮮
(
あざや
)
かなるは恐らくは九月小説中の第一ならん
乎
(
か
)
。
病牀雑記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ひどく
降
(
ふ
)
るな、
久
(
ひさ
)
しいあとに
親父
(
おやぢ
)
が
身延山
(
みのぶさん
)
へ
参詣
(
さんけい
)
に
行
(
い
)
つた時にやつぱり雪の
為
(
た
)
めに
難渋
(
なんじふ
)
して木の下で
夜
(
よ
)
を
明
(
あか
)
したとのことだがお
祖師様
(
そしさま
)
の
罰
(
ばち
)
でもあたつてゐるのかしら
鰍沢雪の夜噺(小室山の御封、玉子酒、熊の膏薬)
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それに
親父
(
おやぢ
)
が金属の
彫刻師
(
ほりし
)
だものですから、
盃
(
さかづき
)
、香炉、
最
(
も
)
う
目貫縁頭
(
めぬきふちがしら
)
などはありませんが、其仕事をさせる積りだつたので、絵を習へと云ふので少しばかりネ、
薄
(
すゝき
)
、
蘭
(
らん
)
いろ扱ひ
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
なに
親父
(
おやぢ
)
の
代
(
だい
)
から
贔屓
(
ひいき
)
にして
遣
(
や
)
つてるものですから、
時々
(
とき/″\
)
何
(
なん
)
だ
蚊
(
か
)
だつて
持
(
も
)
つて
來
(
く
)
るんです。
所
(
ところ
)
が
眼
(
め
)
も
利
(
き
)
かない
癖
(
くせ
)
に、
只
(
たゞ
)
慾
(
よく
)
ばりたがつてね、まことに
取扱
(
とりあつか
)
ひ
惡
(
にく
)
い
代物
(
しろもの
)
です。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
しますね、西洋人の親子はさうして肉体が触れるのですね、僕等は日本へ帰つたらゆきなり
親父
(
おやぢ
)
にぶん
撲
(
なぐ
)
られるんです、さうしてそれが親子の肉体が触れる時なんです。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
急ぐ程に
頓
(
やが
)
て
宿場
(
しゆくば
)
共思はるゝ所へ出し頃は夜は
白々
(
ほの/″\
)
と
明放
(
あけはな
)
れ往來の旅人も多く有ければ兩人は
漸々
(
やう/\
)
心落付初めて勞れを覺え
先
(
ま
)
づ此邊にて
一息
(
ひといき
)
繼
(
つか
)
んと茶見世に立寄て腰を掛ければ茶店の
親父
(
おやぢ
)
は茶を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
『
親父
(
おやぢ
)
さんが何でも陸軍の中將だか少將だので、その男爵を貰つたんですな、たしか從五位だか、いや正六位だつたかな……』
酔ひたる商人
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
櫻
(
さくら
)
の
皮
(
かは
)
を
剥
(
むか
)
されては
大變
(
たいへん
)
と、
兒童
(
こども
)
は
早速
(
さつそく
)
親父
(
おやぢ
)
の
言
(
い
)
ふ
通
(
とほ
)
りになつて
其
(
その
)
翌日
(
よくじつ
)
から
平常
(
いつも
)
の
如
(
ごと
)
く
學校
(
がくかう
)
へ
行
(
ゆ
)
く
風
(
ふう
)
で
家
(
うち
)
を
出
(
で
)
た。けれども
決
(
けつ
)
して
學校
(
がくかう
)
には
行
(
い
)
かない。
怠惰屋の弟子入り
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
「行くよ、行くには行くがな、——
親父
(
おやぢ
)
が娘の嫁入先へ、ウロウロ行くのは、あまり見つともいいものぢやねえ」
銭形平次捕物控:075 巾着切の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
親父
(
おやぢ
)
さん躍起になつて運動した結果、
漸
(
やつ
)
と許されて割合に仕事の楽な兵站部に働く事になつたが、不思議にも朝夕顔を合はせる上長官は、自分の
子息
(
むすこ
)
であつた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
おゝ/\……お
美那
(
みな
)
、
可愛想
(
かあいさう
)
ぢやアないか……見なよ……
人品
(
ひとがら
)
の
好
(
よ
)
い
可愛
(
かあい
)
らしい
子供
(
こぞう
)
だが、
生来
(
はら
)
からの
乞食
(
こじき
)
でもあるまいがの……あれまア
親父
(
おやぢ
)
が
負傷
(
けが
)
をしたといふので
大仏餅。袴着の祝。新まへの盲目乞食
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
あれはまた、あれなりに露悪家だから面白い。昔しは殿様と
親父
(
おやぢ
)
丈が露悪家で済んでゐたが、
今日
(
こんにち
)
では
各自
(
めい/\
)
同等の権利で露悪家になりたがる。尤も
悪
(
わる
)
い事でも何でもない。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
あゝ
此樣
(
こん
)
な
浮氣者
(
うわきもの
)
には
誰
(
た
)
れがしたと
思召
(
おぼしめす
)
、三
代
(
だい
)
傳
(
つた
)
はつての
出來
(
でき
)
そこね、
親父
(
おやぢ
)
が一
生
(
せう
)
もかなしい
事
(
こと
)
でござんしたとてほろりとするに、
其
(
その
)
親父
(
おやぢ
)
さむはと
問
(
と
)
ひかけられて、
親父
(
おやぢ
)
は
職人
(
しよくにん
)
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
子良はもう立派な
漁夫
(
れふし
)
の少年です。
親父
(
おやぢ
)
の
伯良
(
はくりやう
)
を
扶
(
たす
)
けて漁に出ます。けれども母のことばかり考へてゐました。子良の幼ない記憶に残る母は鼻の高い、色の
真白
(
まつしろ
)
な、せいの高い美しい人でした。
子良の昇天
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
云一萬兩程
遣
(
つか
)
ひ
込
(
こみ
)
親父
(
おやぢ
)
から
勘當
(
かんだう
)
を請たりと話すを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
親父
(
おやぢ
)
はおれを蓆の上で、虱と一緒に育てはしたが、全くやくざな親父ではあつたが、親は親だ、なえ、親は親だと、おれはさう思つて孝行をして來た。
酔ひたる商人
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
お
腹
(
なか
)
には弟子
達
(
だち
)
が焼いて呉れた
犢
(
こうし
)
の肉が一杯詰つてゐるしするので、基督はこれ迄にない上機嫌で、
親父
(
おやぢ
)
の神様に代つて、
姦通
(
まをとこ
)
のほかは大抵の罪はかけ構ひなく
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
すると
此
(
こ
)
の
嫁
(
よめ
)
を
姉
(
あね
)
と
番頭
(
ばんとう
)
とで
虐
(
いぢ
)
めたので、
嫁
(
よめ
)
は
辛
(
つら
)
くて
居
(
ゐ
)
られないから、
実家
(
さと
)
へ
帰
(
かへ
)
ると、
親父
(
おやぢ
)
は
昔気質
(
むかしかたぎ
)
の
武士
(
ぶし
)
だから、なか/\
肯
(
き
)
かない、
去
(
さ
)
られて
来
(
く
)
るやうな者は
手打
(
てうち
)
にしてしまふ
塩原多助旅日記
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ああこんな浮気者には
誰
(
た
)
れがしたと
思召
(
おぼしめす
)
、三代伝はつての出来そこね、
親父
(
おやぢ
)
が一生もかなしい事でござんしたとてほろりとするに、その親父さむはと問ひかけられて、親父は職人
にごりえ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「金銀などを扱ふから、人には見せたくないといつてをりました。あの晩も多分そんな片付けをしてゐたのでせう——
親父
(
おやぢ
)
は夜分でもちよい/\一人で土藏へ行つて仕事をしました」
銭形平次捕物控:152 棟梁の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
夫
(
それ
)
でも
一年許
(
いちねんばかり
)
の
間
(
あひだ
)
は、もう一返
親父
(
おやぢ
)
を
説
(
と
)
き
付
(
つ
)
けて、東京へ
出
(
で
)
る
出
(
で
)
ると云つて、うるさい程手紙を
寄
(
よ
)
こしたが、此頃は漸く断念したと
見
(
み
)
えて、大した不平がましい訴もしない様になつた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「やア、
親父
(
おやぢ
)
(熊のこと)がゐるぞ!」
熊捕り競争
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
“親父”の解説
親父(おやじ)とは複数の意味があり、実父の意味を持つ呼称、親しい店の経営者や職場の上長に対するくだけた呼称、単に他人の年配男性に対する呼称にも用いるものの、親父ギャグなど侮蔑や嘲笑の意味を含むことがある。現代での使用頻度は少ないが、北海道に生息するヒグマの俗称(山おやじ)や、江戸時代に廻船乗組員として船内作業に従事した奉公人を呼んだ。
(出典:Wikipedia)
親
常用漢字
小2
部首:⾒
16画
父
常用漢字
小2
部首:⽗
4画
“親父”で始まる語句
親父様
親父橋
親父儀
親父殿