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相
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あい
ふりがな文庫
“
相
(
あい
)” の例文
中央には富嶽の
麗
(
うる
)
わしい姿を中心に山脈が
相
(
あい
)
連り、幾多の河川や湖沼がその間を縫い、下には模様のように平野の
裳裾
(
もすそ
)
が広がります。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
○物理の要するところ、人と教とは人間の幸福において互に
相
(
あい
)
連結するをもって、これを担当すべき人の
督理
(
とくり
)
に多少相従わざるを得ず。
「ヒリモア」万国公法の内宗教を論ずる章(撮要)
(新字新仮名)
/
ロバート・フィリモア
(著)
日本における教育を昔と今とに区別して
相
(
あい
)
比較するに、昔の教育は、一種の理想を立て、その理想を是非実現しようとする教育である。
教育と文芸
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
互いにへだてられたるふたりの恋人は、その
相
(
あい
)
見
(
まみ
)
えない間を多くの空想によって紛らす。しかもその空想は彼らにとっては現実である。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
徳もなく不徳もなき有様なれども、
後
(
のち
)
にここに配偶を生じ、男女
二人
(
ににん
)
相
(
あい
)
伴
(
ともの
)
うて同居するに至り、始めて道徳の要用を見出したり。
日本男子論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
▼ もっと見る
ただ一つ、気になるといえば気になるのは、前から
相
(
あい
)
も変らず、同じ場所にポツンと止まっている黒い大きい蠅が一匹であった。
蠅
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
乃
(
すなわ
)
ち剣を
提
(
ひっさ
)
げて、衆に先だちて敵に入り、左右奮撃す。
剣鋒
(
けんぽう
)
折れ欠けて、
撃
(
う
)
つに
堪
(
た
)
えざるに至る。
瞿能
(
くのう
)
と
相
(
あい
)
遇
(
あ
)
う。
幾
(
ほと
)
んど能の為に及ばる。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
つくづく見ていると、この紙片に魂がはいって、ほんとうに二匹の獅子が遊び戯れ
相
(
あい
)
角逐
(
かくちく
)
しまた跳躍しているような幻覚をひき起こさせた。
錯覚数題
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
毎夜
頬冠
(
ほおかむり
)
して
吉原
(
よしわら
)
の
河岸通
(
かしどおり
)
をぞめいて歩くその連中と同じような身なりの男が
相
(
あい
)
も変らずその辺をぶらりぶらり歩いていたが
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
長男
義一
(
ぎいち
)
は十六才になって、いよいよ学問はだめだときまりがついた。北海道に走って
牧夫
(
ぼくふ
)
をしている。三
里塚
(
りづか
)
の両親も
相
(
あい
)
ついで世を
去
(
さ
)
った。
老獣医
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
携
(
たずさ
)
えて、急使の役、仰せつけられる。御用済みの上もお沙汰あるまで、出先大石殿の手に
従
(
つ
)
いて在役の事。よろしいか、数右衛門、
相
(
あい
)
分ったか
濞かみ浪人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もっともよき敵はもっともよき友である、他山の石は
相
(
あい
)
砥礪
(
しれい
)
して珠になるのだ。千三があるために光一が進み、光一があるために千三が進む。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
……この絵巻物の一巻は、今までの間に多くの人々を狂乱させ、迷動させ、互いに
相
(
あい
)
殺傷させ合いつつ知らん顔をして来た。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
先生の
親友
(
しんゆう
)
に
高橋順益
(
たかはしじゅんえき
)
という
医師
(
いし
)
あり。
至
(
いたっ
)
て
莫逆
(
ばくげき
)
にして
管鮑
(
かんぽう
)
啻
(
ただ
)
ならず。いつも二人
相
(
あい
)
伴
(
ともな
)
いて予が家に来り、
互
(
たがい
)
に
相
(
あい
)
調謔
(
ちょうぎゃく
)
して
旁人
(
ぼうじん
)
を笑わしめたり。
瘠我慢の説:05 福沢先生を憶う
(新字新仮名)
/
木村芥舟
(著)
シリア人は、ラファン体に歩く馬を賞美し、右の前足と右の後足と、
而
(
しか
)
して左の前足と左の後足を
相
(
あい
)
繋
(
つな
)
いで、稽古せしむ。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
含水炭素と脂肪とは
互
(
たがい
)
に
相
(
あい
)
融通するものにて含水炭素体中に不足すれば脂肪来りてその役目を助け、脂肪不足すれば含水炭素
往
(
ゆ
)
きて脂肪に化す。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
また「孔子世家」によれば、有若の状孔子に似たるをもって、弟子
相
(
あい
)
与
(
とも
)
に立てて師となし、孔子に仕えたように仕えた。
孔子
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
相
(
あい
)
後見の田村右京は温厚だけの人だし、周防にしても、主膳にしても、大条はむろんのこと、一ノ関を抑えることはできまい、大学はこう思った。
樅ノ木は残った:01 第一部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
で、
相
(
あい
)
共に死のうとした二人の人物のうちで、どちらが他人の同情をひいたかといえば、それは自動車の運転手であった
倉持陸助
(
くらもちりくすけ
)
という青年であった。
芳川鎌子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
かくのごとく
勢
(
いきおい
)
強き恐ろしき歌はまたと
有之間敷
(
これあるまじく
)
、八大竜王を
叱咤
(
しった
)
するところ竜王も
懾伏
(
しょうふく
)
致すべき勢
相
(
あい
)
現れ
申
(
もうし
)
候。
歌よみに与ふる書
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
司令部の門を出ると、佐山君と
相
(
あい
)
前後して戸塚
特務曹長
(
とくむそうちょう
)
が出て行った。特務曹長とも平素から懇意にしているので、佐山君は一緒にあるきながら又訊いた。
火薬庫
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
小使
(
こづかい
)
のニキタは
相
(
あい
)
も
変
(
かわ
)
らず、
雑具
(
がらくた
)
の
塚
(
つか
)
の
上
(
うえ
)
に
転
(
ころが
)
っていたのであるが、
院長
(
いんちょう
)
の
入
(
はい
)
って
来
(
き
)
たのに
吃驚
(
びっくり
)
して
跳起
(
はねお
)
きた。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
君の実父の奥村源造は外から、君は邸内に
在
(
あ
)
って、
相
(
あい
)
呼応し、着々として復讐事業を進めて行ったのです。……
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
夫
(
そ
)
れが
實際問題
(
じつさいもんだい
)
になると、
土地
(
とち
)
の
状態
(
じやうたい
)
風土
(
ふうど
)
の
關係
(
くわんけい
)
、
住者
(
ぢうしや
)
の
身分
(
みぶん
)
、
境遇
(
きやうぐう
)
、
趣味
(
しゆみ
)
、
性癖
(
せいへき
)
、
資産
(
しさん
)
、
家族
(
かぞく
)
、
職業
(
しよくげふ
)
その
他
(
た
)
種々雜多
(
しゆ/″\ざつた
)
の
素因
(
そいん
)
が
混亂
(
こんらん
)
して
互
(
たがひ
)
に
相
(
あい
)
交渉
(
かうせう
)
するので
建築の本義
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
是等諸種の摸樣は
通例
(
つうれい
)
彼此
(
ひが
)
相
(
あい
)
混
(
こん
)
じて施され居るなり。彩色には
總塗
(
そうぬ
)
り
有
(
あ
)
り、畫紋有り、兩種を合算するも其數甚少し。色は何れも赤なれど其内に四五種の別有り。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
これをかの活動写真が、実に涙の流れている実況までも、大映しにして見せる丁寧な写実主義と比較すれば、東西地球の
相
(
あい
)
距
(
へだた
)
ること、正に煙外三万里の感がある。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
我らにとって熊や猪は、仲のよい友達でございます。その仲のよい友達同士が、
相
(
あい
)
搏
(
う
)
ち
相
(
あい
)
戯
(
たわむ
)
れる光景は必ず馬鹿者の下界人にも、興味あることでございましょう。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
誰も知った通り、この三丁目、
中橋
(
なかばし
)
などは、
通
(
とおり
)
の中でも
相
(
あい
)
の
宿
(
しゅく
)
で、電車の
出入
(
ではい
)
りが余り混雑せぬ。
妖術
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「どうもまことに
相
(
あい
)
すみません。実はこの
旦那
(
だんな
)
の気味悪がるのがおもしろかったものですから、つい調子に乗って
悪戯
(
いたずら
)
をしたのです。どうか旦那も
堪忍
(
かんにん
)
してください。」
河童
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
相
(
あい
)
かはらず
父樣
(
とゝさま
)
の
御機嫌
(
ごきげん
)
、
母
(
はゝ
)
の
氣
(
き
)
をはかりて、
我身
(
わがみ
)
をない
物
(
もの
)
にして
上杉家
(
うへすぎけ
)
の
安隱
(
あんおん
)
をはかりぬれど。
ゆく雲
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
元日が最もはげしく、暮れたばかりの夜空に、さながら幾千百の
銀蛇
(
ぎんだ
)
が尾をひくように絢爛と
流星
(
りゅうせい
)
が乱れ散り、約四
半時
(
はんどき
)
の間、
光芒
(
こうぼう
)
相
(
あい
)
映
(
えい
)
じてすさまじいほどの光景だった。
平賀源内捕物帳:萩寺の女
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
この
開展
(
かいてん
)
せる
瑩白色花蓋
(
えいはくしょくかがい
)
六
片
(
へん
)
の中央に、
鮮黄色
(
せんおうしょく
)
を呈せる
皿状花冕
(
さらじょうかべん
)
を
据
(
す
)
え、花より放つ
佳香
(
かこう
)
と
相
(
あい
)
まって、その花の
品位
(
ひんい
)
きわめて
高尚
(
こうしょう
)
であることに、われらは
讃辞
(
さんじ
)
を
吝
(
お
)
しまない。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
船と船とが、すれ違いになったとき、方船は黒船の
舷側
(
げんそく
)
にぴったりと吸付いてしまった。いや、吸付いたとみたのは、
汐
(
しお
)
のために、
舷々
(
げんげん
)
相
(
あい
)
摩
(
ま
)
したのだ。方船の生残者たちは
怪奇人造島
(新字新仮名)
/
寺島柾史
(著)
節供は本来はこの食事を意味する語であった。供とは共同食事、神や祖霊とともにすべての家族が
相
(
あい
)
饗することであり、節はすなわち折目、改まった日ということであった。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
他人と共ならでは立ち得ざる人は独立には非らざるなり、
独立
(
どくりつ
)
を
望
(
のぞ
)
むものは
先
(
ま
)
づ
独
(
ひと
)
りで立つべきなり、而して
独立
(
どくりつ
)
の
人
(
ひと
)
相
(
あい
)
集
(
あつまり
)
て始めて
独立
(
どくりつ
)
の
教会
(
けふくわい
)
もあり、
独立
(
どくりつ
)
の
国家
(
こくか
)
もあるなり
時事雑評二三
(新字旧仮名)
/
内村鑑三
(著)
上面および底面上にて対角線によって結び付けられた頂点に位置を占むる趣味は
相
(
あい
)
対立する一対を示す。もとより何と何とを一対として考えるかは絶対的には決定されていない。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
酔払った連中は、二つ返事で
銘々
(
めいめい
)
美女を
相
(
あい
)
擁
(
よう
)
し、
威勢
(
いせい
)
よくシャムパングラスを左手に
捧
(
ささ
)
げ立った
処
(
ところ
)
を、ポッカアンとマグネシュウムが
弾
(
はじ
)
けて一同、写真に撮られてしまいました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
山々の
麓
(
ふもと
)
には村あり、村々の奥には墓あり、墓はこの時
覚
(
さ
)
め、人はこの時眠り、夢の世界にて故人
相
(
あい
)
まみえ泣きつ笑いつす。影のごとき人今しも広辻を横ぎりて小橋の上をゆけり。
源おじ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
右のごとく長州の
騒動
(
そうどう
)
に対して
痛痒
(
つうよう
)
相
(
あい
)
関
(
かん
)
せざりしに反し、官軍の東下に
引続
(
ひきつづ
)
き奥羽の
戦争
(
せんそう
)
に付き横浜外人中に一方ならぬ
恐惶
(
きょうこう
)
を起したるその
次第
(
しだい
)
は、中国辺にいかなる
騒乱
(
そうらん
)
あるも
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
がこの点についても今後両性が
相
(
あい
)
類似するときは同等となり、一方が一方を保護する必要がなくなりそうであるが、おそらくはそれは空想にとどまり、動物の例により
推測
(
すいそく
)
するに
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
大空より
天降
(
アモ
)
る神が、
目的
(
メド
)
と定めた木に憑りゐるのが、たゝるである。即、示現して居られるのである。神の
現
(
タヽ
)
り木・
現
(
タヽ
)
りの
場
(
ニハ
)
は、人
相
(
あい
)
戒めて、近づいて神の咎めを蒙るのを避けた。
幣束から旗さし物へ
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
と、見ているうちに、二つの影は
相
(
あい
)
擁
(
よう
)
して、その蘆荻の中へ没入してしまいました。
大菩薩峠:34 白雲の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
食国
(
をすくに
)
の
遠
(
とほ
)
の
御朝廷
(
みかど
)
に、
汝等
(
いましら
)
が
斯
(
か
)
く
罷
(
まか
)
りなば、平らけく吾は遊ばむ、
手抱
(
たうだ
)
きて我は
御在
(
いま
)
さむ、
天皇
(
すめら
)
朕
(
わ
)
がうづの
御手
(
みて
)
もち、
掻撫
(
かきな
)
でぞ
労
(
ね
)
ぎたまふ、うち撫でぞ
労
(
ね
)
ぎたまふ、
還
(
かへ
)
り来む日
相
(
あい
)
飲
(
の
)
まむ
酒
(
き
)
ぞ
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
こうして魯侯の心を
蕩
(
とろ
)
かし定公と孔子との間を
離間
(
りかん
)
しようとしたのだ。ところで、更に古代支那式なのは、この幼稚な策が、魯国内反孔子派の策動と
相
(
あい
)
俟
(
ま
)
って、余りにも速く効を奏したことである。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
「一円ばかしでは——、この暑いに——」と仲間
相
(
あい
)
顧みて
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
未だ知らず
何
(
いず
)
れの日にか更に
相
(
あい
)
聚
(
あつま
)
らん
愛卿伝
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「まことに
相
(
あい
)
すみません。」
花のき村と盗人たち
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
虹の橋渡り
交
(
かわ
)
して
相
(
あい
)
見舞ひ
六百五十句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
それとも
相
(
あい
)
の
子
(
こ
)
か。
杯
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
帝室
(
ていしつ
)
をば政治社外の
高処
(
こうしょ
)
に
仰
(
あお
)
ぎ
奉
(
たてまつ
)
りて
一様
(
いちよう
)
にその
恩徳
(
おんとく
)
に
浴
(
よく
)
しながら、
下界
(
げかい
)
に
居
(
おっ
)
て
相
(
あい
)
争
(
あらそ
)
う者あるときは敵味方の区別なきを得ず。
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
“相”の意味
《名詞》
(あい)相づちを打つこと。
(あい)酒の相手をすること
(あい)共謀すること。また、その仲間。
(あい)あいこ
(ソウ)姿。外見。顔つき。
(ソウ)運勢や吉凶の兆し。
(ショウ)宰相。大臣。
(シャン)象棋の駒の一つ。
(出典:Wiktionary)
相
常用漢字
小3
部首:⽬
9画
“相”を含む語句
形相
相応
相撲
相対
相見
相互
相違
相貌
相識
面相
相合
相伴
相成
相済
相好
相談
相当
相棒
相手
相應
...