療治れうぢ)” の例文
さわがしたるに依て此方へ召捕めしとり置たり但し吟味致すべきなれども亂心にまぎれなき故今日引渡し遣す尤も由緒ゆゐしよも是有家來ならば隨分ずゐぶんねんを入て療治れうぢ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
年紀としわかし……許嫁いひなづけか、なにか、へておもひとでも、入院にふゐんしてて、療治れうぢとゞかなかつたところから、無理むりとはつても、世間せけんには愚癡ぐちからおこる、人怨ひとうらみ。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
へえゝ綺麗きれいなもんですなア、私共わたしども家内かないは、時々とき/″\わたし貴方あなたところへお療治れうぢまゐつてるとむかひにた事もありますが、わたし女房にようばうは今のやうなをんなですか。
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
二三にんちひさな療治れうぢんで十二三のをとこ仕事衣しごとぎまゝな二十四五の百姓ひやくしやうはれて醫者いしやまへゑられた。醫者いしや縁側えんがはあかるみへ座蒲團ざぶとんいてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
光線くわうせんるべく餘計よけいれるやうあかるくこしらへた部屋へや二側ふたがはに、手術用しゆじゆつよう椅子いす四臺よだいほどゑて、しろ胸掛むねかけをかけた受持うけもちをとこが、一人ひとりづゝ別々べつ/\療治れうぢをしてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
玄竹げんちく藥箱くすりばこなりおもいものであつた。これは玉造たまつくり稻荷いなり祭禮さいれい御輿みこしかついだまちわかしうがひどい怪我けがをしたとき玄竹げんちく療治れうぢをしてやつたおれいもらつたものであつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
このひととうさんたちちがひまして、療治れうぢ東京とうきやうまで出掛でかけるといふことでした。なにしろとうさんはまだ九さい少年せうねんでしたから、草鞋わらぢをはくといふこと出來できません。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
くてイワン、デミトリチは宿やどかりことも、療治れうぢすることも、ぜにいので出來兼できかぬるところから、幾干いくばくもなくして町立病院ちやうりつびやうゐんれられ、梅毒病患者ばいどくびやうくわんじや同室どうしつすることとなつた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
尤も見えると申したところで、まるつきり見えなかつた前にくらべての話で、不自由には大した變りはございません。相變らず療治れうぢをして、細々と暮して居ります。へエ
通りたる時不※ふと竹本政太夫方へ呼込よびこまれ療治をなし居けるうち五六人義太夫をならひに來りしに元より城富も好のみちゆゑ我を忘れて聞ながら長く療治れうぢ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
頭痛の所へ打ちますとかへつ天窓あたまが痛んだり致しますので、あまり療治れうぢたのむ者はありません。
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
「さうぐにやなほらねえな」醫者いしや無愛想ぶあいそにいつた。百姓ひやくしやう依然いぜんとしてあをかほをしながら怪我人けがにん脊負しよつてかへつてつた。それから二三にん療治れうぢんで勘次かんじばんつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
按摩あんまどのは、團栗どんぐりごととがつたあたまで、黒目金くろめがねけて、しろ筒袖つゝそで上被うはつぱりで、革鞄かはかばんげて、そくにつて、「お療治れうぢ。」とあらはれた。——勝手かつてちがつて、わたし一寸ちよつと不平ふへいだつた。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
さうしてれからうちあたゝか閑靜かんせい書齋しよさいかへつて……名醫めいゝかゝつて頭痛づつう療治れうぢでもらつたら、ひさしいあひだわたくしはもうこの人間にんげんらしい生活せいくわつないが、それにしても此處こゝじつ不好いやところだ。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
療治れうぢ報酬はうしう藥箱くすりばこ進物しんもつといふのは、すこへんだが、本道ほんだうのほかに外療げれう巧者かうしや玄竹げんちくは、わかもの怪我けが十針とはりほどもつて、いとからんだ血腥ちなまぐさいものを、自分じぶんくちるといふやうな苦勞くらうまでして
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
めされ城富を呼寄せ療治れうぢ致させたきよし申されければ新左衞門はかしこまりて次へ下り早々手紙てがみを認めて中間ちうげんに持せ遣しける斯くて使ひの者は長谷川町なる城富のたくゆき状箱じやうばこ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
この戸棚とだな夜具やぐ蒲団ふとんもあるよとなにからなにまでのこらずしてすだすつてよ、つた当座たうざだから療治れうぢはないや、退屈たいくつだらうと思つて岩田屋いはたや御夫婦ごふうふて、四方山よもやまの話をしてると
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
さて療治れうぢとなるとれいごとむすめ背後うしろからいてたから、脂汗あぶらあせながしながられものがはいるのを、感心かんしんにじつとこらへたのに、何処どこ切違きりちがへたか、それからながしたまらず
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
昨日きのふきみ逆上のぼせられたのちわたしはハヾトフとながいこと、きみのことを相談さうだんしましたがね、いやきみ此度こんど本氣ほんきになつて、病氣びやうき療治れうぢたまはんとかんです。わたし友人いうじんとしてなに打明うちあけます。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
いま白痴ばかも、くだん評判ひやうばんたかかつたころ医者いしやうち病人びやうにん其頃そのころ子供こども朴訥ぼくとつ父親てゝおや附添つきそひ、かみながい、兄貴あにきがおぶつてやまからた。あし難渋なんじう腫物しゆもつがあつた、療治れうぢたのんだので。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
怜悧りこううまれ聞分きゝわけがあるから、三ツづつあひかはらず鶏卵たまごはせられるつゆも、いま療治れうぢとき不残のこらずになつてることゝ推量すゐりやうして、べそをいても、兄者あにじやくなといはしつたと、こらへてこゝろうち
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)