汽車きしゃ)” の例文
最近さいきん汽車きしゃ脱線だっせんしたときも、それだったじゃないか。また、運転手うんてんしゅがむだたのではないか。」と、高等官こうとうかんはいいました。
白い影 (新字新仮名) / 小川未明(著)
えだからもぎとられると、はるばると、汽車きしゃ汽船きせんでゆられてきたくだものは、毎日毎日まいにちまいにち、つぎからつぎへといたみくさっていくのでした。
水菓子屋の要吉 (新字新仮名) / 木内高音(著)
ここからは、フランス行きの便船びんせんがでる。フランスへわたり、汽車きしゃでスペインへいって、そこからアフリカのアルジェリアへいくつもりだ。
それは、まださむい春のはじめで、一ばん汽車きしゃにのるために、あけちかく、山をおりていくいのきちたちのあたまの上には、ほしがきらきらかがやいていた。
ラクダイ横町 (新字新仮名) / 岡本良雄(著)
こんな不都合ふつごうきわま汽車きしゃいとか、みな盗人ぬすびとのような奴等やつらばかりだとか、乗馬じょうばけば一にちに百ヴェルスタもばせて、そのうえ愉快ゆかいかんじられるとか
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ひるちかくまで、清造は、長い町を歩きました。町はずれのむこうの方に、汽車きしゃの通る土手の見えるへんまでくると、その町は少しさびれてきました。
清造と沼 (新字新仮名) / 宮島資夫(著)
汽車きしゃも通らず電車もなし、一日にたった二度乗合自動車のりあいじどうしゃが通るきりの、しずかなしずかなこの町に、だしぬけにこんな行列が来たのですから、大へんです。
曲馬団の「トッテンカン」 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
明治二十三年八月十七日、上野より一番汽車きしゃに乗りていず。途にて一たび車を換うることありて、横川にて車はてぬ。これより鉄道馬車雇いて、薄氷嶺うすいとうげにかかる。
みちの記 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
その上を、汽車きしゃ速力そくりょくをまして走っています。
ばかな汽車 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
おとこは、その汽車きしゃのゆくえをさびしそうに見送みおくっていましたが、やがてとぼとぼと平野へいや一人ひとりであてなくあるいていったのであります。
窓の下を通った男 (新字新仮名) / 小川未明(著)
町の人は、三人四人と組んで自警団じけいだんをつくり、鉄砲てっぽうやこんぼうをもって警戒けいかいにあたった。みなと船着場ふなつきば汽車きしゃ停車場ていしゃば、おもだった道の出入り口。
えきまでいくのに、二時間じかんもあるかねばならなかったし、そのえきから汽車きしゃにのって、日本海にほんかいにでるのに三時間じかん、また、南にむかって、太平洋たいへいようを見ようとすれば
ラクダイ横町 (新字新仮名) / 岡本良雄(著)
松井田にて西洋人のりしとき、車丁の荷物にもつを持ちはこびたると、松井田より本庄まで汽車きしゃのかよわぬ軌道を、洋服きたる人の妻子婢妾にとおらせ、猶きたらでか
みちの記 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
そういう時には、川のそばへさしかかって、水音をきくだけでもうれしかった。——くまなども、はじめは、汽車きしゃを見るとみょうなけものがやってきたぐらいに思ったらしい。
くまと車掌 (新字新仮名) / 木内高音(著)
汽車きしゃ経済けいざいために三とうで、喫烟きつえんをせぬ客車かくしゃった。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
二日ふつかめで、はやこうしてとどく。とおいといっても便利べんりなかじゃ。」と、母親ははおやは、まだ汽車きしゃのなかったときのことを、かんがえていました。
母の心 (新字新仮名) / 小川未明(著)
むこうに見えはじめた汽車きしゃえきのま上に、ぼしが三つ、ものさしではかったように、きちんと一れつにならんで、かがやいていたのを、いのきちは、ふしぎに、はっきりおぼえている。
ラクダイ横町 (新字新仮名) / 岡本良雄(著)
汽車きしゃふねに乗って、逃げられないように、えきみなとにも見はりをつけてほしいですな。あの男は、かけがえのない物と考えているノートを取りもどすまでは、この町をはなれないと思います。
汽車きしゃの中等室にて英吉利婦人にう。「カバン」の中より英文の道中記どうちゅうき取出して読み、眼鏡めがねかけて車窓の外の山をのぞみ居たりしが、記中には此山三千尺とあり、見る所はあまりにひくしなどいう。
みちの記 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
もとより、これは、べつ運転手うんてんしゅで、もっととしをとった熟練じゅくれんおとこでありました。その汽車きしゃには、大臣だいじんとたくさんな高等官こうとうかんっていました。
白い影 (新字新仮名) / 小川未明(著)
この野原のはらにさしかかると、汽車きしゃはしきりに警笛けいてきらしつづけましたが、不意ふいに、停車場ていしゃばでもないのにまってしまったのです。
白い影 (新字新仮名) / 小川未明(著)
汽車きしゃは、たか山々やまやまのふもとをとおりました。おおきなかわにかかっている鉄橋てっきょうわたりました。また、くろいこんもりとしたはやしってはしりました。
山へ帰りゆく父 (新字新仮名) / 小川未明(著)
真吉しんきちは、ひさしぶりで、叔父おじさんのうちへいこうとかけたのであります。ふと、あちらの停車場ていしゃばはっしてゆく、汽車きしゃふえおとをききました。
真吉とお母さん (新字新仮名) / 小川未明(著)
「とまれ、とまれ、とまれ!」と、汽車きしゃはしってくるのをながめながら、ぜんぜん子供こども気持きもちになって、汽車きしゃかっていったのでした。
窓の下を通った男 (新字新仮名) / 小川未明(著)
今度こんどは、すこしみちからはなれたうえいていました。ちょうどそのしたには汽車きしゃ線路せんろがあって、土手どてがつづいていました。
長ぐつの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
佐吉さきちいえ貧乏びんぼうでありましたから、ほかののようにしいふえや、らっぱや、汽車きしゃなどのおもちゃをってもらうことができなかったのです。
酔っぱらい星 (新字新仮名) / 小川未明(著)
夜中よなかごろ、汽車きしゃ山間やまあいにかかりました。やまにはゆきがつもっていました。きゅう寒気かんきがくわわって、わすれていた傷口きずぐちがずきずきといたしました。
村へ帰った傷兵 (新字新仮名) / 小川未明(著)
としちゃん、汽車きしゃがてんぷくしたよ、たいへんだからきておくれよ。」と、にいさんは、おとうと年雄としおくんをびました。けれど、返事へんじがありません。
ゆずの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かれは、都会とかいるとき、まだちいさかったから、汽車きしゃなかでは、故郷こきょうこいしくてきつづけました。そのことをわすれません。
隣村の子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
晩方ばんがたそらは、くもっていました。おりおり、おもしたように、高架線こうかせんうえ汽車きしゃや、電車でんしゃおとをたててはしってゆきました。
新しい町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「たとえ、とおいたって、ここから二筋ふたすじ線路せんろわたしまちまでつづいているのよ。汽車きしゃにさえれば、ひとりでにつれていってくれるのですもの。」
青い星の国へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
はなは、もうまったくしおれかかっていたので、かぜくたびに、汽車きしゃまどから、ぎる村々むらむらへ、ってんでゆきました。
なまずとあざみの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
汽車きしゃや、線路せんろは、てつつくられてはいますが、その月日つきひのたつうちにはいつかはしらず、磨滅まめつしてしまうのです。みんな、あなたに征服せいふくされます。
ある夜の星たちの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
武男たけおは、ふでをつかったあとで、かなだらいに、みずをいれてあらうと、もくもくと、ちょうど汽車きしゃけむりのように、まっくろすみを、ふでからはきします。
山に雪光る (新字新仮名) / 小川未明(著)
ばかりはなれた田舎いなかだが、なに、汽車きしゃればすぐにゆけるところだ。おおきな酒屋さかや小僧こぞうようだというから、そこへ龍雄たつおをやってはどうだ。
海へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのばんのことでした。清作せいさくさんは、故郷こきょうかえ汽車きしゃなかにいたのであります。かれは、ねむろうとしてもねむられず昼間ひるまのことなどおもしていました。
村へ帰った傷兵 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ちょうど、このとき、あちらのほう汽車きしゃふえおとがしたのでした。やがて平原へいげんを、こちらにかってはしってくる汽車きしゃちいさなかげみとめたのでした。
窓の下を通った男 (新字新仮名) / 小川未明(著)
きよは、そんなことをなんともおもっていないようすで、汽車きしゃうごすと、さも名残惜なごりおしそうに、幾度いくどとなくあたまげて、とおざかってゆきました。
北風にたこは上がる (新字新仮名) / 小川未明(著)
けれど、この時分じぶんには、まだこの地方ちほうには汽車きしゃというものがありませんでした。どこへゆくにも、荒海あらうみ汽船きせんでゆかなければならなかったのです。
二番めの娘 (新字新仮名) / 小川未明(著)
このさきむらへいくのですが、汽車きしゃがおくれてきまして、それにはじめての土地とちなもんで、き、き、まいりました。
とうげの茶屋 (新字新仮名) / 小川未明(著)
一人ひとり、さくにもたれて、汽車きしゃのつくのをまっていると、そばに、きれいなおんなひとが、かばんをさげてっていました。
風七題 (新字新仮名) / 小川未明(著)
龍雄たつおは、父親ちちおやれられて汽車きしゃって田舎いなかにゆきました。そしてやがて父親ちちおやだけが一人ひとりうちかえってきました。龍雄たつお田舎いなかのこされたのであります。
海へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
「あのえりきをして、汽車きしゃからりたとき、だったね。」と、子供こどもらはおもして、おかあさんにいいました。
赤いえり巻き (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたしっている汽車きしゃは、いく百マイルもさきまでゆき、そのあいだに、かぞえきれないほどの停車場ていしゃば通過つうかするのですから……。
青いボタン (新字新仮名) / 小川未明(著)
ちょうど、このとき、一はやくかのじょ出発しゅっぱつをすすめるように、どこかのえきらす汽車きしゃ汽笛きてきおとが、あおざめた夜空よぞらに、とおくひびいたのでした。
だまされた娘とちょうの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
としちゃんは、おかあさんや、いもうとのたつさんと汽車きしゃまどから、青々あおあおとしたそと景色けしきをながめていますと、とお白雲はくうんなかで、ぽかぽかといなづまがしていました。
古いてさげかご (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして汽車きしゃは、またくらくなりかかった、かぜいている野原のはらほうへ、ポッ、ポッとけむりいていってしまいました。
飴チョコの天使 (新字新仮名) / 小川未明(著)
こうかんがえると、もらったお小使こづかいがふところにあったのですぐさま、停車場ていしゃばへかけつけました。ちょうど、きたへゆく汽車きしゃがあって、それにのりました。
真吉とお母さん (新字新仮名) / 小川未明(著)
とおいところとも。汽車きしゃったり、ふねったりしなければ、いかれないところなのだ……。」と、旅人たびびとは、少年しょうねんかおて、わらいながらこたえました。
その日から正直になった話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
はるかなえき出発しゅっぱつするらしい汽車きしゃの、ふえおとがしました。さびしくなって、うちへはいると、おかあさんは、ひとり燈火ともしびしたで、お仕事しごとをしていられました。
夢のような昼と晩 (新字新仮名) / 小川未明(著)