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差向
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さしむか
ふりがな文庫
“
差向
(
さしむか
)” の例文
婦人
(
ふじん
)
の
驚駭
(
きやうがい
)
は
蓋
(
けだ
)
し
察
(
さつ
)
するに
餘
(
あま
)
りある。
卓
(
たく
)
を
隔
(
へだ
)
てて
差向
(
さしむか
)
ひにでも
逢
(
あ
)
ふ
事
(
こと
)
か、
椅子
(
いす
)
を
並
(
なら
)
べて、
肩
(
かた
)
を
合
(
あ
)
はせて
居
(
ゐ
)
るのであるから、
股栗不能聲
(
こりつしてこゑするあたはず
)
。
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
風雨の容易に止みそうもないのをもどかしがっている兵馬には、この女と
差向
(
さしむか
)
いのように坐っていることが気が
咎
(
とが
)
めるようでなりません。
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ば
皆
(
みな
)
斷
(
ことわ
)
り其宵ば部屋に
差向
(
さしむか
)
ひ伯父長庵が
惡巧
(
わるだく
)
み何と御
詫
(
わび
)
の仕樣もなく私しまで
嘸
(
さぞ
)
や
憎
(
にく
)
しと思すらん然は
然
(
さり
)
ながら
夢
(
ゆめ
)
にだも知らぬ此身の事なれば
只
(
たゞ
)
堪忍
(
かんにん
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
臺所
(
だいどころ
)
から
清
(
きよ
)
が
出
(
で
)
て
來
(
き
)
て、
食
(
く
)
ひ
散
(
ち
)
らした
皿小鉢
(
さらこばち
)
を
食卓
(
しよくたく
)
ごと
引
(
ひ
)
いて
行
(
い
)
つた
後
(
あと
)
で、
御米
(
およね
)
も
茶
(
ちや
)
を
入
(
い
)
れ
替
(
か
)
へるために、
次
(
つぎ
)
の
間
(
ま
)
へ
立
(
た
)
つたから、
兄弟
(
きやうだい
)
は
差向
(
さしむか
)
ひになつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
私は
舅姑
(
しゅうと
)
が
郷里
(
きょうり
)
におりましたから
此方
(
こちら
)
では夫婦
差向
(
さしむか
)
いでございましたが二十日ばかり過ぎるとある時
良人
(
やど
)
が家の近所で車から落ちて右の腕を
怪我
(
けが
)
しました。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
▼ もっと見る
邪魔なおじさん達を先へ寝かして
仕舞
(
しま
)
って、あんたとあたしと
差向
(
さしむか
)
いで、ゆっくり夜明しをしましょうよ。
影:(一幕)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
衣食住の安心は
勿論
(
もちろん
)
、随分
金持
(
かねもち
)
になる事も出来るから止まれと
懇
(
ねんごろ
)
に説いたのは、決して尋常の戯れでない。チャント
一間
(
ひとま
)
の中に
差向
(
さしむか
)
いで
真面目
(
まじめ
)
になって話したのである。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
と国貞は鶴屋の
主人
(
あるじ
)
と
差向
(
さしむか
)
って
頻
(
しきり
)
に杯を
取交
(
とりかわ
)
していた時、行き
交
(
ちが
)
う
一艘
(
いっそう
)
の屋根船の中から
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
しかし兄は、長い間のはげしい恋をしてやっと獲ることの出来たいわば恋女房と、これからは
差向
(
さしむか
)
いで暮すわけなのですから私は唯もう兄の弱気を
嗤
(
わら
)
って独逸へ出発いたしました。
赤耀館事件の真相
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
十六
日
(
にち
)
の
朝
(
あさ
)
ぼらけ
昨日
(
きのふ
)
の
掃除
(
そうぢ
)
のあと
清
(
きよ
)
き、
納戸
(
なんど
)
めきたる六
疊
(
でう
)
の
間
(
ま
)
に、
置炬燵
(
おきごたつ
)
して
旦那
(
だんな
)
さま
奧
(
おく
)
さま
差向
(
さしむか
)
ひ、
今朝
(
けさ
)
の
新聞
(
しんぶん
)
おし
開
(
ひら
)
きつゝ、
政界
(
せいくわい
)
の
事
(
こと
)
、
文界
(
ぶんくわい
)
の
事
(
こと
)
、
語
(
かた
)
るに
答
(
こた
)
へもつきなからず
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
お嬢様は
御大家
(
ごたいけ
)
の
婿取
(
むこと
)
り前の
独
(
ひと
)
り娘、
私
(
わしゃ
)
ア
賤
(
いや
)
しい身の上、たとえ
猥
(
いや
)
らしい事はないといっても、
男女
(
なんにょ
)
七歳にして席を同じゅうせず、今
差向
(
さしむか
)
いで話をして
居
(
い
)
れば、世間で
可笑
(
おか
)
しく思います
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「え、どうぞ、親分と
差向
(
さしむか
)
ひなら」
銭形平次捕物控:311 鬼女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
後の烏、此の時、
三羽
(
みっつ
)
とも無言にて近づき、手伝ふ
状
(
さま
)
にて、二脚のズツク製、おなじ組立ての
床几
(
しょうぎ
)
を
卓子
(
テエブル
)
の
差向
(
さしむか
)
ひに置く。
紅玉
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
差向
(
さしむか
)
いで色々の話をした。しかしそれは特色のないただの談話だから、今ではまるで忘れてしまった。そのうちでたった一つ私の耳に留まったものがある。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
竜之助は横になったまま、
郁太郎
(
いくたろう
)
に乳をのませている
差向
(
さしむか
)
いの炬燵越しにお浜を見て
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
懸
(
かけ
)
ながら入來りしに長八夫婦が
巨燵
(
こたつ
)
の中に
差向
(
さしむか
)
ひ何か
睦
(
むつま
)
じき咄しの樣子ゆゑ長兵衞は見て是はしたり
相惚
(
あひぼれ
)
の夫婦は
又
(
また
)
格別
(
かくべつ
)
樂
(
たのし
)
みな物私は此年になつても
隨分
(
ずゐぶん
)
浦山
(
うらやま
)
しいと
放氣
(
おどけ
)
交
(
まじ
)
りに
贅口
(
むだぐち
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
私も怪談を探り出す
端緒
(
いちぐち
)
に困ったが、更に
左
(
さ
)
あらぬ
体
(
てい
)
で、「
併
(
しか
)
しお前さん達は夫婦
差向
(
さしむか
)
いで、こんな広い別荘に十何年も住んでいて、寂しいとか怖いとか思うような事はありませんかね」
画工と幽霊
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
と
仲働
(
なかばたらき
)
のお兼が気をきかし、其の場を
外
(
はず
)
して
梯子
(
はしご
)
を降りる、跡には若い同士の
差向
(
さしむか
)
い、心には一杯云いたい事はあるが、おぼこ
気
(
き
)
の口に出し兼ね、もじ/\して居ましたがなに思いましたか
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
引き移った当日、
階下
(
した
)
から茶の案内があったので、降りて行って見ると、家族は誰もいない。北向の小さい食堂に、自分は主婦とたった二人
差向
(
さしむか
)
いに坐った。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
夫人
(
ふじん
)
は、さて
唯
(
たゞ
)
一人
(
ひとり
)
、
壁
(
かべ
)
に
寄
(
よ
)
せた
塗棚
(
ぬりだな
)
に
据置
(
すゑお
)
いた、
籠
(
かご
)
の
中
(
なか
)
なる、
雪衣
(
せつい
)
の
鸚鵡
(
あうむ
)
と、
差向
(
さしむか
)
ひに
居
(
ゐ
)
るのである。
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
和
(
やは
)
らげられ越前天一坊儀と
有
(
あれ
)
ば伊豆守も
承
(
うけたま
)
はらねばならぬ事
也
(
なり
)
とて
頓
(
やが
)
て公用人をも
退
(
しりぞ
)
けられ今は
全
(
まつた
)
く二人
差向
(
さしむか
)
ひに成れける
此時
(
このとき
)
越前守申さるゝ樣は
私
(
わたく
)
し先達てより天一坊の身分
再吟味
(
さいぎんみ
)
の役を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
前祝いに一杯やろうと夫婦
差向
(
さしむか
)
いで
互
(
たがい
)
に
打解
(
うちと
)
け
酌交
(
くみかわ
)
し、
最
(
も
)
う今に八ツになる頃だからというので、女房は戸棚へ
這入
(
はい
)
り、伴藏一人酒を飲んで待っているうちに、八ツの鐘が忍ヶ岡に響いて聞えますと
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「えゝ
食
(
た
)
べます」と
云
(
い
)
ふ
小六
(
ころく
)
の
返事
(
へんじ
)
を
聞
(
き
)
き
流
(
なが
)
して、ついと
茶
(
ちや
)
の
間
(
ま
)
へ
立
(
た
)
つて
行
(
い
)
つた。
兄弟
(
きやうだい
)
は
又
(
また
)
差向
(
さしむか
)
ひになつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
夫人は、さて
唯
(
ただ
)
一人、壁に寄せた
塗棚
(
ぬりだな
)
に
据置
(
すえお
)
いた、
籠
(
かご
)
の中なる、
雪衣
(
せつい
)
の
鸚鵡
(
おうむ
)
と、
差向
(
さしむか
)
ひに居るのである。
印度更紗
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
と云いながら出て
往
(
ゆ
)
きますと、
後
(
あと
)
は両人が
差向
(
さしむか
)
いで
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
其
(
そ
)
の
上
(
うへ
)
、
野
(
の
)
の
果
(
はて
)
を
引上
(
ひきあげ
)
る
雲
(
くも
)
も
此方
(
こなた
)
をさして
畳
(
たゝ
)
まつて
来
(
く
)
るやうで、
老爺
(
ぢゞい
)
と
差向
(
さしむか
)
つた
中空
(
なかぞら
)
は
厚
(
あつ
)
さが
増
(
ま
)
す。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
私はそのうち先生の留守に行って、奥さんと二人
差向
(
さしむか
)
いで話をする機会に出合った。先生はその日
横浜
(
よこはま
)
を
出帆
(
しゅっぱん
)
する汽船に乗って外国へ行くべき友人を
新橋
(
しんばし
)
へ送りに行って留守であった。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
……ぢきその
飛石
(
とびいし
)
を
渡
(
わた
)
つた
小流
(
こながれ
)
から、お
前
(
まへ
)
さん、
苫船
(
とまぶね
)
、
屋根船
(
やねぶね
)
に
炬燵
(
こたつ
)
を
入
(
い
)
れて、
美
(
うつく
)
しいのと
差向
(
さしむか
)
ひで、
湯豆府
(
ゆどうふ
)
で
飮
(
の
)
みながら、
唄
(
うた
)
で
漕
(
こ
)
いで、あの
川裾
(
かはすそ
)
から、
玄武洞
(
げんぶどう
)
、
對居山
(
つゐやま
)
まで
城崎を憶ふ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
そうして若い女とただ
差向
(
さしむか
)
いで坐っているのが不安なのだとばかりは思えませんでした。私は何だかそわそわし出すのです。自分で自分を裏切るような不自然な態度が私を苦しめるのです。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
窓
(
まど
)
と
筋斜
(
すぢかひ
)
に
上下
(
うへした
)
差向
(
さしむか
)
つて
居
(
ゐ
)
る
二階
(
にかい
)
から、
一度
(
いちど
)
東京
(
とうきやう
)
に
來
(
き
)
て
博文館
(
はくぶんくわん
)
の
店
(
みせ
)
で
働
(
はたら
)
いて
居
(
ゐ
)
たことのある、
山田
(
やまだ
)
なにがしといふ
名代
(
なだい
)
の
臆病
(
おくびやう
)
ものが、あてもなく、おい/\と
沈
(
しづ
)
んだ
聲
(
こゑ
)
でいつた。
怪談女の輪
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
三四日前
(
さんよつかぜん
)
彼
(
かれ
)
は
御米
(
およね
)
と
差向
(
さしむか
)
ひで、
夕飯
(
ゆふはん
)
の
膳
(
ぜん
)
に
着
(
つ
)
いて、
話
(
はな
)
しながら
箸
(
はし
)
を
取
(
と
)
つてゐる
際
(
さい
)
に、
何
(
ど
)
うした
拍子
(
ひやうし
)
か、
前齒
(
まへば
)
を
逆
(
ぎやく
)
にぎりゝと
噛
(
か
)
んでから、それが
急
(
きふ
)
に
痛
(
いた
)
み
出
(
だ
)
した。
指
(
ゆび
)
で
搖
(
うご
)
かすと、
根
(
ね
)
がぐら/\する。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
土手
(
どて
)
の
霞
(
かすみ
)
暮
(
く
)
れんとして、
櫻
(
さくら
)
あかるき
三
(
み
)
めぐりあたり、
新
(
あたら
)
しき
五大力
(
ごだいりき
)
の
舷
(
ふなばた
)
の
高
(
たか
)
くすぐれたるに、
衣紋
(
えもん
)
も
帶
(
おび
)
も
差向
(
さしむか
)
へる、
二人
(
ふたり
)
の
婦
(
をんな
)
ありけり、
一人
(
ひとり
)
は
高尚
(
かうしやう
)
に
圓髷
(
まげ
)
ゆひ、
一人
(
ひとり
)
は
島田
(
しまだ
)
艷
(
つやゝか
)
也
(
なり
)
。
婦人十一題
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と
高調子
(
たかぢょうし
)
で門を入ったのが、
此処
(
ここ
)
に
差向
(
さしむか
)
ったこの、平吉の
平
(
へい
)
さんであった。
国貞えがく
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
床店
(
とこみせ
)
の
筋向
(
すじむこ
)
うが、やはりその
荒物店
(
あらものみせ
)
であります
処
(
ところ
)
、
戸外
(
おもて
)
へは水を打って、
軒
(
のき
)
の
提灯
(
ちょうちん
)
にはまだ火を
点
(
とも
)
さぬ、
溝石
(
みぞいし
)
から往来へ
縁台
(
えんだい
)
を
跨
(
また
)
がせて、
差向
(
さしむか
)
いに
将棊
(
しょうぎ
)
を
行
(
や
)
っています。
端
(
はし
)
の
歩
(
ふ
)
が
附木
(
つけぎ
)
、お
定
(
さだま
)
りの奴で。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
差
常用漢字
小4
部首:⼯
10画
向
常用漢字
小3
部首:⼝
6画
“差向”で始まる語句
差向い
差向ひ