トップ
>
媚
>
なまめ
ふりがな文庫
“
媚
(
なまめ
)” の例文
妹は
媚
(
なまめ
)
かしい派手づくりで、僕等の町でみる酌婦などよりは遥かに高等、おそらく何処かの芸妓であろうと想像されることであった。
水鬼
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
紅
(
くれない
)
の
括紐
(
くくりひも
)
、
襷
(
たすき
)
か何ぞ、間に合わせに、ト風入れに掲げたのが、横に流れて、
地
(
じ
)
が
縮緬
(
ちりめん
)
の
媚
(
なまめ
)
かしく、
朧
(
おぼろ
)
に
颯
(
さっ
)
と紅梅の友染を
捌
(
さば
)
いたような。
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
森槐南
(
もりかいなん
)
、
依田学海
(
よだがっかい
)
というような顔振れも見えたが、大部分は若い女で、紅葉さん漣さんという
媚
(
なまめ
)
かしい
囁嚅
(
ささやき
)
が
其処
(
そこ
)
にも
此処
(
ここ
)
にも
洩
(
も
)
れて
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
奥には
媚
(
なまめ
)
いた女の声などが聞えていた。
草双紙
(
くさぞうし
)
の絵にでもありそうな花園に灯影が青白く映って、夜風がしめやかに動いていた。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「あなたはいつでもそうね。わたしは柿はやっぱり柿の方がいいわ。食べられるんですもの」と言って母は
媚
(
なまめ
)
かしく笑った。
闇の書
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
▼ もっと見る
小藤次は、今朝結立ての御守殿髷の舞台香の匂、京白粉の
媚
(
なまめ
)
いて匂う襟頸、薄紅に染まった耳朶に、血を熱くしながら、深雪を抱きしめようとした。
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
プーンと洩れてくる酒の薫り、朱の塗膳、銀の銚子、
衣桁
(
いこう
)
の乱れ
衣
(
ぎぬ
)
、すべてが
媚
(
なまめ
)
いて取り散らされている中に、御方は男と向い合って
艶
(
あでや
)
かな笑顔を微酔に染めていた。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
留
(
とど
)
められたる
袖
(
そで
)
思い
切
(
きっ
)
て振払いしならばかくまでの切なる
苦
(
くるしみ
)
とはなるまじき者をと、恋しを恨む恋の愚痴、
吾
(
われ
)
から吾を
弁
(
わきま
)
え難く、
恍惚
(
うっとり
)
とする所へ
著
(
あらわ
)
るゝお辰の姿、
眉付
(
まゆつき
)
媚
(
なまめ
)
かしく
生々
(
いきいき
)
として
睛
(
ひとみ
)
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
この眼の前の
媚
(
なまめ
)
かしい青年に対する感覚だけの快さとが心の中に触れ合うと、まるで神経が感電したようにじりりと震え
痺
(
しび
)
れ、石灰の中へ投げ飛ばされたような、白く
爛
(
ただ
)
れた自己嫌悪に陥った。
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
その明りの蔭に白い浴衣の女の姿が
媚
(
なまめ
)
いた袖の
靡
(
なび
)
きを見せて立つてゐた
門
(
かど
)
もあつた。通りに出るといつも
寂
(
さ
)
びれた塲末の町は夜店の灯と人混みの裾の
縺
(
もつ
)
れの目眩しさとで新たな世界が動いてゐた。
木乃伊の口紅
(旧字旧仮名)
/
田村俊子
(著)
九州
(
きうしう
)
の
猿
(
さる
)
が
狙
(
ねら
)
ふやうな
褄
(
つま
)
の
媚
(
なまめ
)
かしい
姿
(
すがた
)
をしても、
下枝
(
したえだ
)
までも
屆
(
とゞ
)
くまい。
小鳥
(
ことり
)
の
啄
(
ついば
)
んで
落
(
おと
)
したのを
通
(
とほ
)
りがかりに
拾
(
ひろ
)
つて
來
(
き
)
たものであらう。
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
日に日に
気懈
(
けだる
)
そうにみえて来るおゆうの
媚
(
なまめ
)
いた姿や、良人に甘えるような素振が、母親には見ていられないほど腹立しくてならなかった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
その
媚
(
なまめ
)
いた口ぶりに門番も不審を打ったらしい。やがて行燈を持ち出して来て、窓のあいだから表の人の立ち姿を子細らしく照らして見た。
両国の秋
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
この
媚
(
なまめ
)
かしい羽織が女のような眉山の顔と
能
(
よ
)
く
釣合
(
つりあ
)
って、影では
蔭間
(
かげま
)
のようだと
悪語
(
わるくち
)
をいうものもあったが、男の眼にも
恍惚
(
うっとり
)
とするほど美くしかった。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
さすがに
辺鄙
(
ひな
)
でも
媚
(
なまめ
)
き立つ
年頃
(
としごろ
)
だけに
紅
(
あか
)
いものや青いものが遠くからも見え渡る
扮装
(
つくり
)
をして、
小籃
(
こかご
)
を片手に、節こそ
鄙
(
ひな
)
びてはおれど清らかな高い
徹
(
とお
)
る声で、桑の
嫩葉
(
わかば
)
を
摘
(
つ
)
みながら歌を
唄
(
うた
)
っていて
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
着つけは桃に
薄霞
(
うすがすみ
)
、
朱鷺色絹
(
ときいろぎぬ
)
に白い裏、
膚
(
はだえ
)
の雪の
紅
(
くれない
)
の
襲
(
かさね
)
に透くよう
媚
(
なまめ
)
かしく、白の
紗
(
しゃ
)
の、その狩衣を装い澄まして、
黒繻子
(
くろじゅす
)
の帯、箱文庫。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
訳の判らないようなことを
媚
(
なまめ
)
かしい素振りで云い出したので、気の小さい弥三郎は顫えるほどに驚いて、一生懸命に振り切って逃げて帰った。
半七捕物帳:05 お化け師匠
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
髪の抜け替わろうとしている
鬢際
(
びんぎわ
)
の地の薄くすけて見えるお銀のやや
更
(
ふ
)
けたような顔は、前よりはいくらか落ち着いてもいたし、
媚
(
なまめ
)
かしさも見えた。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
折々——というよりは
煩
(
うる
)
さく、多分下宿屋の女中であったろう、十二階下とでもいいそうな
真白
(
まっしろ
)
に塗り立てた女が現われて来て、茶を
汲
(
く
)
んだり炭をついだりしながら
媚
(
なまめ
)
かしい
容子
(
ようす
)
をして
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
厭いて別れし仲ならず、子まで
生
(
な
)
したる語らひなれば、流石男も心動くに、況して女は胸逼りて、語らんとするに言葉を知らず、
巌
(
いは
)
に依りたる幽蘭の
媚
(
なまめ
)
かねども離れ難く、たゞ露けくぞ見えたりける。
二日物語
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
咄嗟
(
とっさ
)
の間、世にも
媚
(
なまめ
)
かしい雪のような女の顔を見たのであった、そうして愛吉がお夏を見たのは、それが
最初
(
はじめて
)
だというのである。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
商家の小僧が
短夜
(
みじかよ
)
恨めしげに店の大戸がらがらと
明
(
あく
)
れば、
寝衣
(
ねまき
)
姿
(
すがた
)
媚
(
なまめ
)
きてしどけなき若き娘が今朝の早起を
誇顔
(
ほこりがお
)
に
銀座の朝
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
今
(
いま
)
一つ
招魂社
(
せうこんしや
)
の
後
(
うしろ
)
の
木立
(
こだち
)
のなかにも、
媚
(
なまめ
)
かしい
此物語
(
このものがたり
)
は
迹
(
あと
)
つけられてあるが、
其後
(
そのゝち
)
の
関係
(
くわんけい
)
は一
切
(
さい
)
解
(
わか
)
らぬ。
今
(
いま
)
も
此
(
こ
)
の
恋
(
こひ
)
なかは
続
(
つゞ
)
いてゐるか
否
(
いな
)
か、
其
(
それ
)
も
判然
(
はんぜん
)
せぬ。
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
しかしこれを供えた白い手首は、野暮なレエスから出たらしい。勿論だ。意気なばかりが女でない。同時に
芬
(
ぷん
)
と、
媚
(
なまめ
)
かしい
白粉
(
おしろい
)
の
薫
(
かおり
)
がした。
灯明之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
氷屋の
簾
(
すだれ
)
、床屋の姿見、
食物屋
(
たべものや
)
の窓の色硝子、
幾個
(
いくつ
)
となく並んだ神燈の蔭からは、
媚
(
なまめ
)
かしい女の姿などが見えて、湿った暗い砂利の道を、人や
俥
(
くるま
)
が忙しく往来した。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
顔を包むためか、白い手拭を吹き流しにかぶって手に笠を持っていた。二人とも素足であった。女の白い
脛
(
はぎ
)
に紅い襦袢がぬれてねばり着いているのは
媚
(
なまめ
)
かしいというよりも痛々しかった。
箕輪心中
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
すると……
其
(
そ
)
の
婦人
(
をんな
)
の
主人
(
あるじ
)
と
云
(
い
)
ふのは……
二階座敷
(
にかいざしき
)
の
火
(
ひ
)
のない
中
(
なか
)
を、
媚
(
なまめ
)
かしい
人
(
ひと
)
の
周圍
(
まはり
)
を、ふら/\とまはり
繞
(
めぐ
)
つた
影法師
(
かげぼふし
)
とは
違
(
ちが
)
ふらしい。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
奥では又もやお葉の笑い声が聞えた。が、恋しい人の
媚
(
なまめ
)
かしい声も、熱したる彼の耳には
既
(
も
)
う入らなかった。復讐の一念に前後を
顧
(
かえり
)
みぬ重太郎は雪を蹴立てて
手負猪
(
ておいじし
)
のように駈け出した。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
その
媚
(
なまめ
)
かしさと申すものは、暖かに流れる蝋燭より
前
(
さき
)
に、見るものの身が泥になって、
熔
(
と
)
けるのでございます。忘れません。
菎蒻本
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ここらに見馴れない彼女の
媚
(
なまめ
)
いた
艶
(
あで
)
すがたはいつか人の眼について、十吉の家にはこのごろ妙な泊まり客がいるようだと、村の若い衆たちの
茶話
(
ちゃばなし
)
にものぼっていることを、お米からそっと知らされて
箕輪心中
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
抜けるほど色の白い処へ、その姿だから、
媚
(
なまめ
)
かしさは媚かし、美しさは美ししで、まるで
画
(
え
)
に描いたように見えましたって。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
莞爾
(
にっこり
)
した
流眄
(
ながしめ
)
の
媚
(
なまめ
)
かしさ。
熟
(
じっ
)
と見られて、青年は目を外らしたが、今は仕切の外に控えた、ボオイと
硝子
(
がらす
)
越に顔の合ったのを、手招きして
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
どうでしょう、
傘
(
からかさ
)
まで天井に干した、その下で、
熟
(
じっ
)
と、
此方
(
こっち
)
を、私を見たと思うと、
撫肩
(
なでがた
)
をくねって、
媚
(
なまめ
)
かしく、小菊の枝で一寸あやしながら
菊あわせ
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
百合
(
ゆり
)
は、
薔薇
(
ばら
)
は、
撫子
(
なでしこ
)
は
露
(
つゆ
)
も
輝
(
かゞや
)
くばかりに
見
(
み
)
えたが、それよりも
其
(
そ
)
の
唇
(
くちびる
)
は、
此
(
こ
)
の
時
(
とき
)
、
鐵漿
(
かね
)
を
含
(
ふく
)
んだか、と
影
(
かげ
)
さして、
言
(
い
)
はれぬ
媚
(
なまめ
)
かしいものであつた。
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
何とも
容子
(
ようす
)
のいい、何処かさみしいが、目鼻
立
(
だち
)
のきりりとした、
帯腰
(
おびごし
)
がしまっていて、そして
媚
(
なまめ
)
かしい、なり恰好は女中らしいが、すてきな年増だ。
甲乙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
中形模様の
媚
(
なまめ
)
かしいのに、
藍
(
あい
)
の香が
芬
(
ぷん
)
とする。突立って見ていると、夫人は中腰に膝を
支
(
つ
)
いて、鉄瓶を掛けながら
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
途端
(
とたん
)
に
又
(
また
)
指
(
ゆび
)
を
立
(
た
)
てつゝ、
足
(
あし
)
を
一巾
(
ひとはゞ
)
、
坊主
(
ばうず
)
が
退
(
さが
)
つた。
孰
(
いづれ
)
も
首垂
(
うなだ
)
れた
二人
(
ふたり
)
の
中
(
なか
)
へ、
草
(
くさ
)
に
甲
(
かう
)
をつけて、あはれや、
其
(
それ
)
でも
媚
(
なまめ
)
かしい、
優
(
やさ
)
しい
腕
(
かひな
)
が
仰向
(
あふむ
)
けに
落
(
お
)
ちた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
然
(
そ
)
ういへば
沢山
(
たんと
)
古い昔ではない、此の国の
歴々
(
れきれき
)
が、
此処
(
ここ
)
に
鷹狩
(
たかがり
)
をして帰りがけ、
秋草
(
あきぐさ
)
の中に立つて居た
媚
(
なまめ
)
かしい
婦人
(
おんな
)
の、あまりの美しさに、
予
(
かね
)
ての
色好
(
いろごの
)
み
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
百合 (人形を抱き、
媚
(
なまめ
)
かしき風情にて戸を開き
戸外
(
こがい
)
に出づ。)夜の長い事、長い事……何の夏が
明易
(
あけやす
)
かろう。
夜叉ヶ池
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
内証ながら、山田の
御師
(
おし
)
、
何某
(
なにがし
)
にひかされて、成程、現に師匠をしている、が、それは、山田の廓、新道の、俗に螢小路と云う処に
媚
(
なまめ
)
かしく、意気である。
浮舟
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
さりとて
用人
(
ようにん
)
の
若御新姐
(
わかごしんぞ
)
、さして
深窓
(
しんさう
)
のと
云
(
い
)
ふではないから、
隨分
(
ずゐぶん
)
臺所口
(
だいどころぐち
)
、
庭前
(
にはさき
)
では、
朝
(
あさ
)
に、
夕
(
ゆふ
)
に、
其
(
そ
)
の
下
(
した
)
がひの
褄
(
つま
)
の、
媚
(
なまめ
)
かしいのさへ、ちら/\
見
(
み
)
られる。
片しぐれ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
空にふらふらとなり、しなしなとして、按摩の手の
裡
(
うち
)
に糸の乱るるがごとく
縺
(
もつ
)
れて、
艶
(
えん
)
に
媚
(
なまめ
)
かしい
上掻
(
うわがい
)
、
下掻
(
したがい
)
、ただ
卍巴
(
まんじともえ
)
に降る雪の中を
倒
(
さかし
)
に
歩行
(
ある
)
く風情になる。
怨霊借用
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
上を
蔽
(
おお
)
うた黒布の下に、色が沈んで、際立って、ちょうど、間近な縁台の、美しい
女
(
ひと
)
と
向合
(
むきあわ
)
せに据えたので、雪なす
面
(
おもて
)
に影を投げて、
媚
(
なまめ
)
かしくも
凄
(
すご
)
くも見える。
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
眉が意気で、口許に情が
籠
(
こも
)
って、きりりとしながら、ちょっとお転婆に
片褄
(
かたづま
)
の緋の
紋縮緬
(
もんちりめん
)
の崩れた
媚
(
なまめ
)
かしさは、田舎源氏の——名も通う——
桂樹
(
かつらぎ
)
という風がある。
怨霊借用
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
色めいた
媚
(
なまめ
)
かしさ、弱々と優しく、直ぐに男の腕へ入りそうに、怪しい翼を
掻窘
(
かいすく
)
めて誘込むといった形。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
而已
(
のみ
)
ならず、乙姫様が囲われたか、
玄人
(
くろうと
)
でなし、
堅気
(
かたぎ
)
でなし、粋で
自堕落
(
じだらく
)
の風のない、品がいいのに、
媚
(
なまめ
)
かしく、澄ましたようで
優容
(
おとなし
)
やか、お
侠
(
きゃん
)
に見えて懐かしい。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一人がもう、空気草履の、
媚
(
なまめ
)
かしい
褄捌
(
つまさば
)
きで駆けて来る。目鼻は玉江。……もう一人は玉野であった。
伯爵の釵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一人が
最
(
も
)
う、
空気草履
(
くうきぞうり
)
の、
媚
(
なまめ
)
かしい
褄捌
(
つまさば
)
きで駆けて来る、目鼻は
玉江
(
たまえ
)
。……
最
(
も
)
う一人は
玉野
(
たまの
)
であつた。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
浦子の姿は、無事に
厠
(
かわや
)
を
背後
(
うしろ
)
にして、さし置いたその
洋燈
(
ランプ
)
の前、廊下のはずれに、
媚
(
なまめ
)
かしく
露
(
あら
)
われた。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その
右斜
(
みぎななめ
)
な二階の廊下に、欄干に白い手を掛けて立っていた、
媚
(
なまめ
)
かしい女があります。切組の板で半身です、が、少し伸上るようにしたから、帯腰がすらりと見える。
半島一奇抄
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
媚
漢検1級
部首:⼥
12画
“媚”を含む語句
媚態
柔媚
媚笑
媚色
媚態的
艶媚
明媚
媚薬
風光明媚
嬌媚
媚言
佞媚
媚藥
媚沢山
妍媚
百媚
阿媚
媚々
狐媚狐惑
敵媚
...