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秋風
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あきかぜ
ふりがな文庫
“
秋風
(
あきかぜ
)” の例文
さても
秋風
(
あきかぜ
)
の
桐
(
きり
)
の
葉
(
は
)
は
人
(
ひと
)
の
身
(
み
)
か、
知
(
し
)
らねばこそあれ
雪佛
(
ゆきぼとけ
)
の
堂塔
(
だうとう
)
いかめしく
造
(
つく
)
らんとか
立派
(
りつぱ
)
にせんとか、あはれ
草臥
(
くたびれ
)
もうけに
成
(
な
)
るが
多
(
おう
)
し
経つくゑ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
妻
(
つま
)
の
青
(
あを
)
ざめた
顔色
(
かほいろ
)
は
漸
(
やうや
)
く
花
(
はな
)
のためにやはらぎ出した。しかし、やがて、
秋風
(
あきかぜ
)
が立ち出した。
花
(
はな
)
々は
葉
(
は
)
を落す前に、その
花
(
はな
)
を
散
(
ち
)
らすであらう。
美しい家
(新字旧仮名)
/
横光利一
(著)
寂
(
さび
)
しい
一室
(
ひとま
)
に、ひとり
革鞄
(
かばん
)
と
睨
(
にら
)
めくらをした沢は、
頻
(
しきり
)
に
音訪
(
おとな
)
ふ、
颯
(
さっ
)
……颯と云ふ
秋風
(
あきかぜ
)
の
漫
(
そぞ
)
ろ
可懐
(
なつかし
)
さに、窓を
開
(
あ
)
ける、と
冷
(
ひややか
)
な峰が
額
(
ひたい
)
を圧した。
貴婦人
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
さうして
活々
(
いき/\
)
としたものは
自分
(
じぶん
)
のみであることを
誇
(
ほこ
)
るものゝ
如
(
ごと
)
く、
秋風
(
あきかぜ
)
に
吹
(
ふ
)
かれつゝ
白
(
しろ
)
い
布
(
ぬの
)
の
樣
(
やう
)
にふは/\と
動
(
うご
)
いた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
蕾
(
つぼみ
)
はみんなできあがりましてございます。
秋風
(
あきかぜ
)
の
鋭
(
するど
)
い
粉
(
こな
)
がその
頂上
(
ちょうじょう
)
の
緑
(
みどり
)
いろのかけ
金
(
がね
)
を
削
(
けず
)
って
減
(
へ
)
してしまいます。
今朝
(
けさ
)
一斉
(
いっせい
)
にどの花も開くかと思われます
四又の百合
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
▼ もっと見る
八
(
や
)
つ
口
(
くち
)
の
綻
(
ほころ
)
びから
秋風
(
あきかぜ
)
が断わりなしに
膚
(
はだ
)
を
撫
(
な
)
でてはっくしょ
風邪
(
かぜ
)
を引いたと云う頃
熾
(
さかん
)
に尾を
掉
(
ふ
)
り立ててなく。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
馬鹿
(
ばか
)
な
奴
(
やつ
)
らだ。もう
秋風
(
あきかぜ
)
も
立
(
た
)
つたじやないか、
飢
(
う
)
ゑるも
飽
(
あ
)
くも、それがどうした。
運命
(
うんめい
)
はみんな一つだ」
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
それから日に/\
秋風
(
あきかぜ
)
をこゝに見せて、其薄紫の穂が白く、青々とした其葉が黄ばみ、更に白らむ頃は、
漬菜
(
つけな
)
を洗う七ちゃんが
舌鼓
(
したつづみ
)
うつ程、小川の水は浅くなる。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
長
(
なが
)
い
間
(
あいだ
)
、
北
(
きた
)
の
青
(
あお
)
い
海
(
うみ
)
の
上
(
うえ
)
を
飛
(
と
)
んだり、
電信柱
(
でんしんばしら
)
の
上
(
うえ
)
にとまって、さえずっていましたつばめたちは、
秋風
(
あきかぜ
)
がそよそよと
吹
(
ふ
)
いて、
木
(
き
)
の
葉
(
は
)
が
色
(
いろ
)
づくころになると、もはや
赤い船とつばめ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
懐
(
ふとこ
)
ろは
秋風
(
あきかぜ
)
だから、東京や横浜までのして行って、ぶらぶら遊んでいるほどの元気も無し、ここなら誰も気が
注
(
つ
)
く気づかいも無いから、まあ五六日
隠
(
かく
)
まって貰って
影:(一幕)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
下総
(
しもふさ
)
は
市川
(
いちかは
)
、
中山
(
なかやま
)
、
船橋辺
(
ふなばしへん
)
の
郊行
(
かう/\
)
の
興深
(
きようふか
)
からず、
秋風
(
あきかぜ
)
の
嚏
(
くさめ
)
となるを
覚
(
おぼ
)
えたる時の事に
候
(
そろ
)
。(十七日)
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
二人はそう話し合って、その夜は小屋の
隅
(
すみ
)
へ、テントをゆすぶる
秋風
(
あきかぜ
)
をききながら
寝
(
ね
)
ました。
曲馬団の「トッテンカン」
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
秋風
(
あきかぜ
)
の
樹葉
(
このは
)
をからさんはあすのこと。野も里もなべてに霜の置き
布
(
し
)
けば草のいのちも消えつきて、いましが宿もなかるべし。花をあさるは今のまの、あはれ浮世の夢なりけり。
北村透谷詩集
(旧字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
秋風
(
あきかぜ
)
に
大和
(
やまと
)
へ
越
(
こ
)
ゆる
雁
(
かり
)
がねはいや
遠
(
とほ
)
ざかる
雲
(
くも
)
がくりつつ 〔巻十・二一二八〕 作者不詳
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
秋風
(
あきかぜ
)
に白波さわぎと萬葉集にうたはれたのは
思
(
おも
)
へば久遠の時代であるやうだけれど、
平
(
たひら
)
の
將門
(
まさかど
)
が西の
大串
(
おほくし
)
から、
東
(
ひがし
)
の
小渡
(
こわたり
)
へ船を漕いだ時は、一面の
水海
(
みづうみ
)
だつたとはいふまでもない。
筑波ねのほとり
(旧字旧仮名)
/
横瀬夜雨
(著)
硝子
(
ガラス
)
戸
(
ど
)
の
外
(
そと
)
には
秋風
(
あきかぜ
)
が
吹
(
ふ
)
いて、
木
(
こ
)
の
葉
(
は
)
が
水底
(
みなそこ
)
の
魚
(
さかな
)
のやうに、さむ/″\と
光
(
ひか
)
つてゐた。
彼女こゝに眠る
(旧字旧仮名)
/
若杉鳥子
(著)
見よその高原につくられたる新しき小さき家屋にいかに無限の
秋風
(
あきかぜ
)
の吹渡れるかを。
秋の岐蘇路
(旧字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
秋風
(
あきかぜ
)
やとても
芒
(
すすき
)
はうごくはず
三河
(
みかは
)
、
子尹
(
しゐん
)
澄江堂雑記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
秋風
(
あきかぜ
)
、
肌
(
はだへ
)
に寒しとてや山雀
秋の日
(旧字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
雲
(
くも
)
うすく
秋風
(
あきかぜ
)
吹
(
ふ
)
きて
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
秋風
(
あきかぜ
)
わたる
青木立
(
あをこだち
)
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
凄
(
すご
)
い
程
(
ほど
)
冴
(
さ
)
えた
夜
(
よる
)
の
空
(
そら
)
は
忙
(
いそが
)
しげな
雲
(
くも
)
が
月
(
つき
)
を
呑
(
の
)
んで
直
(
すぐ
)
に
後
(
うしろ
)
へ
吐
(
は
)
き
出
(
だ
)
し/\
走
(
はし
)
つた。
月
(
つき
)
は
反對
(
はんたい
)
に
遁
(
に
)
げつゝ
走
(
はし
)
つた。
秋風
(
あきかぜ
)
だ。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
赤蜻蛉
(
あかとんぼう
)
田圃
(
たんぼ
)
に
亂
(
みだ
)
るれば
横堀
(
よこぼり
)
に
鶉
(
うづら
)
なく
頃
(
ころ
)
も
近
(
ちか
)
づきぬ、
朝夕
(
あさゆふ
)
の
秋風
(
あきかぜ
)
身
(
み
)
にしみ
渡
(
わた
)
りて
上清
(
じやうせい
)
が
店
(
みせ
)
の
蚊遣香
(
かやりかう
)
懷爐灰
(
くわいろばい
)
に
座
(
ざ
)
をゆづり、
石橋
(
いしばし
)
の
田村
(
たむら
)
やが
粉挽
(
こなひ
)
く
臼
(
うす
)
の
音
(
おと
)
さびしく
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
秋風
(
あきかぜ
)
が
吹
(
ふ
)
いています。かなたの
森
(
もり
)
が、
黄色
(
きいろ
)
くなってきました。
白
(
しろ
)
い
雲
(
くも
)
が、
空
(
そら
)
を
飛
(
と
)
んでゆきます。
昼のお月さま
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
秋風
(
あきかぜ
)
の
寒
(
さむ
)
く
吹
(
ふ
)
くなべ
吾
(
わ
)
が
屋前
(
やど
)
の
浅茅
(
あさぢ
)
がもとに
蟋蟀
(
こほろぎ
)
鳴
(
な
)
くも 〔巻十・二一五八〕 作者不詳
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
秋風
(
あきかぜ
)
わたる
青木立
(
あをこだち
)
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
秋風
(
あきかぜ
)
吹
(
ふ
)
いて
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
洪水
(
こうずゐ
)
の
去
(
さ
)
つた
後
(
あと
)
は、
丁度
(
ちやうど
)
過激
(
くわげき
)
な
精神
(
せいしん
)
の
疲勞
(
ひらう
)
から
俄
(
にはか
)
に
老衰
(
らうすゐ
)
した
者
(
もの
)
の
如
(
ごと
)
く、
半死
(
はんし
)
の
状態
(
じやうたい
)
を
呈
(
てい
)
した
草木
(
さうもく
)
は
皆
(
みな
)
白髮
(
はくはつ
)
に
變
(
へん
)
じて
其
(
そ
)
の
力
(
ちから
)
ない
葉先
(
はさき
)
を
秋風
(
あきかぜ
)
に
吹
(
ふ
)
き
靡
(
なび
)
かされた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
秋風
(
あきかぜ
)
が
吹
(
ふ
)
きはじめると、
高原
(
こうげん
)
の
別荘
(
べっそう
)
にきていた
都
(
みやこ
)
の
人
(
ひと
)
たちは、あわただしく
逃
(
に
)
げるように
街
(
まち
)
へ
帰
(
かえ
)
ってゆきました。そのあたりには、もはや
人影
(
ひとかげ
)
が
見
(
み
)
えなかったのであります。
手風琴
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
真葛原
(
まくずはら
)
なびく
秋風
(
あきかぜ
)
吹くごとに
阿太
(
あた
)
の
大野
(
おほぬ
)
の
萩
(
はぎ
)
が
花
(
はな
)
散
(
ち
)
る 〔巻十・二〇九六〕 作者不詳
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
洗
(
あら
)
ひ
髮
(
がみ
)
の
束髮
(
そくはつ
)
に
薔薇
(
ばら
)
の
花
(
はな
)
の
飾
(
かざ
)
りもなき
湯上
(
ゆあが
)
りの
單衣
(
ゆかた
)
でたち、
素顏
(
すがほ
)
うつくしき
夏
(
なつ
)
の
富士
(
ふじ
)
の
額
(
ひたひ
)
つき
眼
(
め
)
に
殘
(
のこ
)
りて、
世
(
よ
)
は
荻
(
をぎ
)
の
葉
(
は
)
に
秋風
(
あきかぜ
)
ふけど
螢
(
ほたる
)
を
招
(
ま
)
ねきし
塗柄
(
ぬりゑ
)
の
團扇
(
うちは
)
、
面影
(
おもかげ
)
はなれぬ
貴公子
(
きこうし
)
あり
たま襻
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
いつぞは
正氣
(
しやうき
)
に
復
(
かへ
)
りて
夢
(
ゆめ
)
のさめたる
如
(
ごと
)
く、
父樣
(
とゝさま
)
母樣
(
かゝさま
)
といふ
折
(
をり
)
のありもやすると
覺束
(
おぼつか
)
なくも
一日
(
ひとひ
)
二日
(
ふたひ
)
と
待
(
ま
)
たれぬ、
空蝉
(
うつせみ
)
はからを
見
(
み
)
つゝもなぐさめつ、あはれ
門
(
かど
)
なる
柳
(
やなぎ
)
に
秋風
(
あきかぜ
)
のおと
聞
(
き
)
こえずもがな。
うつせみ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
その
笛
(
ふえ
)
は、ちょうど
秋風
(
あきかぜ
)
が、
枯
(
か
)
れた
木
(
き
)
の
葉
(
は
)
を
鳴
(
な
)
らすように、
哀
(
あわ
)
れな
音
(
おと
)
をたてるかと
思
(
おも
)
うと、
春
(
はる
)
のうららかな
日
(
ひ
)
に、
緑
(
みどり
)
の
色
(
いろ
)
の
美
(
うつく
)
しい、
森
(
もり
)
の
中
(
なか
)
でなく
小鳥
(
ことり
)
の
声
(
こえ
)
のように、かわいらしい
音
(
おと
)
をたてていました。
港に着いた黒んぼ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
“秋風”の意味
《名詞》
(あきかぜ、しゅうふう)冬の訪れを告げる秋吹く風。(秋の季語)
(しゅうふう)コオロギ。
(しゅうふう 形容動詞語幹)金に困っていること。懐がさびしいこと。江戸時代、漢学生などの隠語。
(出典:Wiktionary)
秋
常用漢字
小2
部首:⽲
9画
風
常用漢字
小2
部首:⾵
9画
“秋風”で始まる語句
秋風落莫
秋風の
秋風嶺
秋風庵
秋風林
秋風楽
秋風陣
秋風蕭殺