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あきかぜ
寂しい
一室に、ひとり
革鞄と
睨めくらをした沢は、
頻に
音訪ふ、
颯……颯と云ふ
秋風の
漫ろ
可懐さに、窓を
開ける、と
冷な峰が
額を圧した。
さうして
活々としたものは
自分のみであることを
誇るものゝ
如く、
秋風に
吹かれつゝ
白い
布の
樣にふは/\と
動いた。
例の
招牌から釣込む植木屋は家々の招きの
旗幟を
翩翻と
金風に
飄し、木戸々々で客を呼ぶ声はかれこれからみ合て
乱合て、
入我我入でメッチャラコ