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甚
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はなは
ふりがな文庫
“
甚
(
はなは
)” の例文
川中島に於ける上杉謙信、武田信玄の一騎討は、誰もよく知って居るところであるが、其合戦の模様については、知る人は
甚
(
はなは
)
だ少い。
川中島合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
然
(
しか
)
りと
雖
(
いえども
)
、本校の恩人大隈公は余を許してその末に加わらしめ、校長・議員・幹事・講師諸君も
亦
(
また
)
、
甚
(
はなは
)
だ余を
擯斥
(
ひんせき
)
せざるものの如し。
祝東京専門学校之開校
(新字新仮名)
/
小野梓
(著)
両性の関係はかくの如く重
且
(
か
)
つ大なるものあるに
拘
(
かか
)
わらず、古来この問題が
如何
(
いか
)
ほど研究されたかというに、
甚
(
はなは
)
だ怠られて来て居る。
婦人問題解決の急務
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
世の伝うるところの賽児の事既に
甚
(
はなは
)
だ奇、修飾を
仮
(
か
)
らずして、一部
稗史
(
はいし
)
たり。女仙外史の作者の
藉
(
か
)
りて
以
(
もっ
)
て筆墨を
鼓
(
こ
)
するも
亦
(
また
)
宜
(
むべ
)
なり。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
俳句は宿命として絵画と
甚
(
はなは
)
だ
似通
(
にかよ
)
ったものである。絵画が色や線で形を現すと同じく、俳句は文字を以て景色や事件を現すのである。
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
▼ もっと見る
先生はこの頃になって酒を
被
(
こうむ
)
ること
益々
(
ますます
)
甚
(
はなは
)
だしく倉蔵の言った通りその言語が益々荒ら荒らしくその
機嫌
(
きげん
)
が
愈々
(
いよいよ
)
難
(
むず
)
かしくなって来た。
富岡先生
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
甚
(
はなは
)
だ
唐突
(
とうとつ
)
でありまするが、昨年夏も、お一人な、やはりかような事から、
貴下
(
あなた
)
がたのような
御仁
(
ごじん
)
の
御宿
(
おやど
)
をいたしたことがありまする。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「人妻ゆゑにわれ恋ひにけり」、「ものもひ
痩
(
や
)
せぬ人の子ゆゑに」、「わがゆゑにいたくなわびそ」等、これらの例万葉に
甚
(
はなは
)
だ多い。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
こうして、長い時の間、弁信はお雪ちゃんにお喋りの株を譲って、自分は全く争うことをしなかったが——その
甚
(
はなは
)
だ長い時間の後に
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
甚
(
はなは
)
だ勝手な申分であるが、私は正月の元旦といえども、ふだん着のまま寝ころんでいたりして、
常
(
つね
)
のままな顔がしていたいのである。
めでたき風景
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
乞
(
こふ
)
に取次出來れば越前守申さるには
夜中
(
やちう
)
甚
(
はなは
)
だ恐入存ずれど天下の一大事に付
越前
(
ゑちぜん
)
推參
(
すゐさん
)
仕つて候何卒中納言樣へ
御目通
(
おめどほり
)
の儀願上奉る
旨
(
むね
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
国の
開鎖
(
かいさ
)
論を云えば
固
(
もと
)
より開国なれども、
甚
(
はなは
)
だしく
之
(
これ
)
を争う者もなく、唯
当
(
とう
)
の敵は漢法医で、医者が憎ければ儒者までも憎くなって
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「いえ」と女中は言ひ
難
(
にく
)
さうに一寸膝の上を見つめた。「
甚
(
はなは
)
だ申し兼ねますが、乃木さんのお手紙を二本ばかし戴かれますれば……」
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
若
(
も
)
しも読者にして、ゆっくり
味読
(
みどく
)
さるるならば、
其
(
そ
)
の分量の少なきを憂えず、得るところ
寧
(
むし
)
ろ
甚
(
はなは
)
だ多かるべきを信ずるものである。
霊訓
(新字新仮名)
/
ウィリアム・ステイントン・モーゼス
(著)
性来、特に現在
甚
(
はなは
)
だ人間嫌いになった私にとってもこの人が島へくることは一尾の
鱒
(
ます
)
が
游
(
およ
)
いできたような喜びを与える。——追記。
島守
(新字新仮名)
/
中勘助
(著)
女は別に
拒
(
こば
)
む色もなく、小女を呼び返して、喬生の
家
(
うち
)
へ戻って来た。初対面ながら
甚
(
はなは
)
だうちとけて、女は自分の身の上を明かした。
世界怪談名作集:18 牡丹灯記
(新字新仮名)
/
瞿佑
(著)
余
(
よ
)
は
曾
(
かつ
)
て
如此
(
かくのごと
)
き事を
試
(
こゝろ
)
みし事なし、
否
(
い
)
な
試
(
こゝろ
)
みて
其
(
その
)
甚
(
はなは
)
だ
馬鹿気
(
ばかげ
)
切
(
きつ
)
たる事を
認
(
みと
)
めたれば
全然
(
ぜん/\
)
之を
放棄
(
はうき
)
せり、
道
(
みち
)
を
行
(
おこな
)
ふ
事
(
こと
)
是
(
こ
)
れ
道
(
みち
)
を
説
(
と
)
く事なり
問答二三
(新字旧仮名)
/
内村鑑三
(著)
甚
(
はなは
)
だ興覚めのものであるから、もう一升、酒屋へ行って、とどけさせなさい、と私は、もっともらしい顔して家の者に言いつけた。
酒ぎらい
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
されば谷川のこの猿ヶ石に落合うもの
甚
(
はなは
)
だ多く、俗に
七内八崎
(
ななないやさき
)
ありと称す。
内
(
ない
)
は沢または谷のことにて、奥州の地名には多くあり。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
皆の顔を見て会釈して、「遅くなりまして
甚
(
はなは
)
だ」と云いながら、畳んだ坐具を右の
脇
(
わき
)
に置いて、戸川と富田との間の処に据わった。
独身
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
結局
(
けつきよく
)
麻雀界
(
マアジヤンかい
)
から
抹殺
(
まつさつ
)
されるに
到
(
いた
)
つたなどは
甚
(
はなは
)
だ
殷鑑
(
ゐんかん
)
遠
(
とほ
)
からざるものとして、その
心根
(
こゝろね
)
の
哀
(
あは
)
れさ、
僕
(
ぼく
)
は
敢
(
あ
)
へて
憎
(
にく
)
む
氣
(
き
)
にさへならない。
麻雀を語る
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
自體彼の頭腦の中には
腐
(
くさ
)
ツたガスのやうな氣が
充滿
(
いつぱい
)
になツてゐて、頭が
甚
(
はなは
)
だ
不透明
(
ふとうめい
)
になツてゐる、彼は
能
(
よ
)
く其れを知ツてゐるから
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
彼は
甚
(
はなは
)
だ事態を楽観しているのである。その言うところによれば、明後日までには、われわれは
鎖
(
とざ
)
された氷から脱出することが出来る。
世界怪談名作集:09 北極星号の船長 医学生ジョン・マリスターレーの奇異なる日記よりの抜萃
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
私の好みはメニューインに傾き過ぎたきらいもあるが、バッハをひいては、この若い天才ヴァイオリニストに及ぶ人は
甚
(
はなは
)
だ少ない。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
その頃はお政も
左様
(
さよう
)
さネと生返事、
何方
(
どっち
)
附かずに
綾
(
あや
)
なして月日を送る内、お勢の
甚
(
はなは
)
だ文三に親しむを見てお政も
遂
(
つい
)
にその気になり
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
われわれの不満を君に聞いてもらう——近来、君たちヤマ族の
海中侵入
(
かいちゅうしんにゅう
)
はひどいではないか。われわれトロ族としては
甚
(
はなは
)
だ不安である。
海底都市
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
甲「いえ/\誠に恐入りました、
酔
(
よい
)
に乗じ
甚
(
はなは
)
だ詰らん事を申して、お気に障ったら幾重にもお
詫
(
わび
)
を致します、どうか御勘弁を願います」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それで、
天皇
(
てんのう
)
は
殉死
(
じゆんし
)
の
風俗
(
ふうぞく
)
は
甚
(
はなは
)
だ
人情
(
にんじよう
)
にそむいた
殘酷
(
ざんこく
)
なことであるから、これはどうしてもやめなければならぬとお
考
(
かんが
)
へになりました。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
宗助
(
そうすけ
)
は
此
(
この
)
可憐
(
かれん
)
な
自白
(
じはく
)
を
何
(
ど
)
う
慰
(
なぐ
)
さめて
可
(
い
)
いか
分別
(
ふんべつ
)
に
餘
(
あま
)
つて
當惑
(
たうわく
)
してゐたうちにも、
御米
(
およね
)
に
對
(
たい
)
して
甚
(
はなは
)
だ
氣
(
き
)
の
毒
(
どく
)
だといふ
思
(
おもひ
)
が
非常
(
ひじやう
)
に
高
(
たか
)
まつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
それも
神様
(
かみさま
)
のお
使者
(
つかい
)
や、
大人
(
おとな
)
ならば
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
も、
斯
(
こ
)
うした
小供
(
こども
)
さんの
場合
(
ばあい
)
には、いかにも
手持無沙汰
(
てもちぶさた
)
で
甚
(
はなは
)
だ
当惑
(
とうわく
)
するのでございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
風呂場に
入
(
い
)
れば、
一箇
(
ひとり
)
の客
先
(
まづ
)
在りて、
未
(
ま
)
だ
燈点
(
ひとも
)
さぬ
微黯
(
うすくらがり
)
の
湯槽
(
ゆぶね
)
に
漬
(
ひた
)
りけるが、何様人の
来
(
きた
)
るに
駭
(
おどろ
)
けると
覚
(
おぼし
)
く、
甚
(
はなは
)
だ
忙
(
せは
)
しげに身を起しつ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「チベット政府には従来我が日本の名さえ知って居る者が
甚
(
はなは
)
だ少ない。だからその考えのここに出でぬのは当り前の事であります」
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
具体的に云うと、
甚
(
はなは
)
だしい場合には、彼女の父母は、半間
乃至
(
ないし
)
一間の距離で蘭子の柔い肉塊を、ゴムまりみたいに
抛
(
ほう
)
りっこするのである。
江川蘭子
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
動物性毒に関する迷信も
甚
(
はなは
)
だ数多いが、
就中
(
なかんづく
)
毒蛇に関しては古来色々の伝説が行はれて居るから
茲
(
こゝ
)
に
其
(
そ
)
れを説いて見ようと思ふ。
毒と迷信
(新字旧仮名)
/
小酒井不木
(著)
江戸の
開城
(
かいじょう
)
その事
甚
(
はなは
)
だ
奇
(
き
)
にして当局者の
心事
(
しんじ
)
は
解
(
かい
)
すべからずといえども、
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
その
出来上
(
できあが
)
りたる
結果
(
けっか
)
を見れば
大成功
(
だいせいこう
)
と認めざるを得ず。
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
どうもこれは、
甚
(
はなは
)
だ心外な所で乗り合せたものですな。宮子嬢、これはわれわれの強敵のジー・イーだ。
何
(
な
)
あんだ、左様か。……
上海
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
されば殿ほどのお方の口より、智恵負けいたしたといわれましたこと、かえって
甚
(
はなは
)
だ光栄の至り、名誉と存じますでござります。
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
彼は目的においては誠実なり、
然
(
しか
)
れども手段においては、
甚
(
はなは
)
だ術策に富み、
而
(
しこう
)
してその術策中、
不謹慎
(
ふきんしん
)
なるもの一にして足らず。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
然
(
しか
)
し
彼
(
かれ
)
が
自分
(
じぶん
)
から
甚
(
はなは
)
だしく
悔
(
く
)
いつゝあるらしいのを
心
(
こゝろ
)
に
確
(
たしか
)
めて
強
(
し
)
ひては
追求
(
つゐきう
)
しようといふ
念慮
(
ねんりよ
)
も
起
(
おこ
)
し
得
(
え
)
なかつた。
勘次
(
かんじ
)
は
只
(
たゞ
)
不便
(
ふびん
)
に
見
(
み
)
えた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
甚
(
はなは
)
だ低いが、鋭い声で云った。關内は茶碗の中で見て、呑み込んでしまった気味の悪い、美しい顔、——例の妖怪を今眼の前に見て驚いた。
茶碗の中
(新字新仮名)
/
小泉八雲
(著)
臥薪
(
ぐわしん
)
十年の後、
甚
(
はなは
)
だ高価なる同胞の資財と生血とを投じて
贏
(
か
)
ち得たる光栄の戦信に接しては、誰か満腔の誠意を以て歓呼の声を揚げざらむ。
渋民村より
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
然
(
しか
)
らば
如何
(
いか
)
なる
種類
(
しゆるゐ
)
の
食物
(
しよくもつ
)
が
適當
(
てきたう
)
であるかと
云
(
い
)
ふ
具體的
(
ぐたいてき
)
の
實際問題
(
じつさいもんだい
)
になると、その
解決
(
かいけつ
)
は
甚
(
はなは
)
だ
面倒
(
めんだう
)
になる。
熱國
(
ねつこく
)
と
寒國
(
かんこく
)
では
食
(
しよく
)
の
適否
(
てきひ
)
が
違
(
ちが
)
ふ。
建築の本義
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
これは自分としては
甚
(
はなは
)
だ残念であった。最も努力した本だったのと、日本の手仕事の各部門の学問的記述も
怠
(
おこた
)
らなかったので。
四十年の回想:『民藝四十年』を読んで
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
徳利式
(
とくりしき
)
の
貝塚土器
(
かひづかどき
)
は、
東北
(
とうほく
)
に
多
(
おほ
)
くして、
關東
(
くわんとう
)
には
甚
(
はなは
)
だ
少
(
すく
)
ない。——
出
(
で
)
ない
事
(
こと
)
はないが、
先
(
ま
)
づ
出
(
で
)
たとしたら
異例
(
ゐれい
)
と
云
(
い
)
つても
好
(
い
)
い。
探検実記 地中の秘密:06 疑問の加瀬貝塚
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
弟子たちは
甚
(
はなは
)
だしく怖れて、「先生はなんという人だろう、風も海も
順
(
したが
)
うとは!」と、互いに語り合ったのであります(四の三五—四一)。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
私もまた人間の一人として、人間並みにこの時個性と顔を見合わしたに過ぎない。或る人よりは少し早く、そして或る人よりは
甚
(
はなは
)
だおそく。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
けれど、心ある幕将たちは、
甚
(
はなは
)
だ心もとない顔いろをしていた。うかとは眠られぬ——というような緊張を顔から容易に
解
(
と
)
かないのである。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「突然
甚
(
はなは
)
だ失礼ですが、あんたさんは英語の避妊法の本を中川さんの奥様にお貸しになったことありますか」とけったいなこと
尋
(
た
)
ンねます。
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
○水飴は半ば有益なる葡萄糖に変化したる糖分六割と糊精一割六分と少量の蛋白質を含み、滋養分
甚
(
はなは
)
だ多く、最も小児と老人の食物に適す。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
実に近代の新しき抒情詩に比較する時、叙事詩や劇詩の長篇詩は、尚
甚
(
はなは
)
だしく客観的で、真の純粋なる主観表現と言い得ない。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
甚
常用漢字
中学
部首:⽢
9画
“甚”を含む語句
太甚
甚麽
甚大
甚兵衛
幸甚
甚麼
甚太夫
甚振
佐橋甚五郎
甚深微妙
甚句
深甚
甚深
激甚
甚助
左甚五郎
甚平
脇坂甚内
甚五郎
甚内
...