宿屋やどや)” の例文
宿屋やどやへ帰っておいで」とかれは言った。「犬といっしょに待っておいで。あとで口上こうじょうで言ってこすから(ことずてをするから)」
けれども、まだ宿屋やどやが見つかりません。それで王子は、今夜はどこでをあかしたものだろうかと、とほうにくれてしまいました。
使いの人物にも老臣の宿屋やどや七左衛門をえらび、ほかに心の利く家臣二名を添えて立たせ、何か重大な内意を含ませてやったようである。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おとこは、さまざまな空想くうそうにふけりました。そして幾日いくにち幾日いくにちたびをつづけました。おとこは、よるになるとさびしい宿屋やどやまりました。
おかしいまちがい (新字新仮名) / 小川未明(著)
この驕々たる三馬が一日思い立って日本橋から遠い四谷の端れまで駕輿かごをやったのは、狂歌師宿屋やどや飯盛めしもりとしての雅望と、否
仇討たれ戯作 (新字新仮名) / 林不忘(著)
高信たかのぶさんが、そこへ、ひよつくりあらはれた、神職かんぬしらしいのに挨拶あいさつすると、附添つきそつて宿屋やどや番頭ばんとうらしいのが、づうと
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
これで諭吉ゆきちは、ぶじにふねにのり、いのちびろいをしたわけですが、神戸こうべ宿屋やどやについてみると、東京とうきょう塾頭じゅくとう小幡おばたから、手紙てがみがきていました。
そこでマタンは、もうひとばん、そこの宿屋やどやにとめてもらうことになりました。夜がふけてねるときになると、マタンは宿屋の主人にいいました。
名なし指物語 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
出し御見付にてしかられ候と申立るに今一人も進み出おそれながら申します私しは神田佐久間町一丁目番組ばんぐみ宿屋やどや上州屋軍助ぐんすけ方手代利三郎と申者私の金を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
られては野宿のじゆくでもしなければなるまい、宿屋やどや此近所このきんじよにはなし、うムむかうにえるが人家じんかがあるのだらう。
このうたいて、大工だいくはほっとしました。そうしてかえったように、元気げんきをとりもどして、宿屋やどやかえってました。
鬼六 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
宗助そうすけ御米およねは一しうばかり宿屋やどや住居ずまひをして、それからいまところうつつた。其時そのとき叔父をぢ夫婦ふうふ色々いろ/\世話せわいてれた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ふなのりは、その時、なぜともなく宿屋やどやの前で会ったシルクハットをかぶったみょうな男のことと、そのとき空中くうちゅうからきこえた声のことをふっと思いだした。
終電車しゆうでんしやとほすぎころにつかまへたきやく宿屋やどやつてから翌朝よくあさまでとまりたいと言出いひだ始末しまつであつた。
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
昨年は宿屋やどやもなく、道路も悪く、旅行に不便ふべんであったところが、今年は大いに改良され、車も通ずれば旅館もできるというふうで、台湾の旅といえば、難儀とのみ思うが
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
宿屋やどやについて、おくのせまいへやにはいっていきますと、コスマはぼんやり考えこんでいました。
活人形 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
英吉利イギリス海岸かいがんけば何所どこにでも、うみなかおよいでる澤山たくさん機械きかいられる、子供等こどもらくわすなぽじりをしてゐる、そして一れつならんでる宿屋やどや、それからそのうしろには停車場ステーシヨン
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
ずつとさかしたはうの三浦屋うらやという宿屋やどやはうんでくのもあります。むら染物そめものをする峯屋みねやへも、俵屋たはらやのおばあさんのうちへも、和泉屋いづみや和太郎わたらうさんのおうちへもんできました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
その後もなく、ちやうど三うらさき宿屋やどや滯在たいざい中に訃音にせつした時、わたしはまだあまりにまざまざしいそのをり印象いんせうおもひ出させられるだけに、哀悼あいとう持も一そう痛切つうせつだつた。
文壇球突物語 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
一寸ちょっとおたずねいたしますが、このへん宿屋やどやがあるそうですがどっちでしょうか。)
泉ある家 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
十九日、朝起きて、かおあらうべき所やあると問えば、家の前なるながれを指さしぬ。ギヨオテが伊太利紀行もおもい出でられておかし。温泉をめぐりて立てる家数三十戸ばかり、宿屋やどやは七戸のみ。
みちの記 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
むかし、鳥取とっとりのある町に、新しく小さな一けん宿屋やどやが出来ました。
神様の布団 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
頂上ちようじようちかくに茶店ちやみせ宿屋やどや數軒すうけんあり、冬季とうきでも登攀とうはん不可能ふかのうでない。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
宿屋やどや夜具やぐのこころよさかな
一握の砂 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
獣医じゅういにはていねいに世話になった礼を言って、手をにぎってさようならを言った。そして宿屋やどやに帰ると、雌牛めうしをうまやにつないだ。
おじいさんは、こまったすえに、とうとうからすにかなしいわかれをげて、それを宿屋やどや主人しゅじんから、金持かねもちにってもらうことにいたしました。
からすの唄うたい (新字新仮名) / 小川未明(著)
宿屋やどやの主人はすみっこに立って、このありさまをながめていました。主人はあきれすぎて、なんといったらいいのかわかりませんでしたが
さあ、みんなかへれ。してたれ宿屋やどやつて、わたし大鞄おほかばん脊負しよつてもらはう。——なかにすべて仕事しごと必要ひつえう道具だうぐがある。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
明日あす午前ひたし、と薄墨うすずみはしがきの簡単極るもので、表に裏神保町の宿屋やどや平岡常ひらをかつね次郎といふ差出人の姓名が、表と同じ乱暴さ加減で書いてある。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
いっぽう、宿屋やどやのまえは、ものめずらしげにあつまってきた村の人びとで、黒山くろやまの人だかりになっている。
そこでふたりは、その日の夕方たどりついた道ばたの宿屋やどやに、いっしょにとまることになりました。
名なし指物語 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
此噺このはなし日外いつぞやしも日待ひまちとき開始ひらきはじめしより、いざや一くわいもよほさんと、四方赤良大人よものあからうし朱楽管江大人あけらくわんかううし鹿都辺真顔しかつべまがほ大屋おほや裏住うらずみ竹杖たけづゑ為軽すがる、つむりの光、宿屋やどや飯盛めしもりを始めとして
落語の濫觴 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
大阪おおさかまでは十五(やく六十キロ)あるとききました。おかねがないものですから、すきばらをかかえて、とぼとぼとあるきつづけました。宿屋やどやにとまることもできません。
大きなぼだいじゅのあるターコール僧正そうじょうの家から、一ばかりはなれた町のはずれに、きたない宿屋やどやがありました。見すぼらしい年とった男は、そこへ僧正そうじょう案内あんないしてきました。
活人形 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
毎夜まいよとまりのきやく連込つれこ本所ほんじよ河岸かし宿屋やどやて、電車通でんしやどほりでそのきやくとわかれ、道子みちこ裏通うらどほりにあるアパートへかへつてると、まどしたとなりてら墓地ぼちになつてゐるから
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
諸国しょこく諸道しょどうからここに雲集うんしゅうした人々は、あすの日を待ちかまえて、空を気にしたり、足ごしらえの用意よういをしたり、またはその日の予想よそう往年おうねんの思い出ばなしなどで、どこの宿屋やどやもすしづめのさわぎ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
宿屋やどや安けし
一握の砂 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「さようでございます。おじいさんにつれられて街々まちまちあるいて、うたをうたったからすはこれでございます。」と、宿屋やどや主人しゅじんこたえました。
からすの唄うたい (新字新仮名) / 小川未明(著)
どこへ行っても食べるには金がるし、宿屋やどやへとまれば宿銭やどせんを取られる。それにねむる場所を見つけるくらいはたいしたことではなかった。
日がくれてから、ふたりはとある宿屋やどやにつきました。ふたりはここにとまることにしました。若者は、へやへはいろうとして、またもや大声で
そして宿屋やどや女主人おんなしゅじんはおそろしさのために、寝こんでしまったのか。なんというおそろしいことをやる男だ
それ何處どこに」と宗助そうすけいたとき、かれ自分じぶんいまとまつてゐる宿屋やどや名前なまへを、宗助そうすけをしへた。それは三條さんでうへんの三流位りうぐらゐいへであつた。宗助そうすけその名前なまへつてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
たいへん不自由ふじゆうしていたので、宿屋やどやにとまっている、じょうずなわかい木ぐつ屋のうわさを聞くと、われもわれもと、木ぐつの注文をしに、やってきたのでありました。
名なし指物語 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
まるで、大名だいみょう東海道とうかいどうをとおって、宿屋やどやにとまるときとおなじような用意よういをしたわけでした。
わたし身延山みのぶさん参詣さんけいまゐつた者ですが、雪のめに難渋なんじふして宿屋やどやもなにもないやうでございますが、まことにうも御厄介ごやくかいでございませうが今晩こんばんたゞあかけでよろしうございます
寝静ねしづまつた宿屋やどやはうこぶし突出つきだして呵々から/\わらつた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「どこへくんだ。宿屋やどやがあるのか。」
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
「こんやの宿屋やどやはどこにしようか」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わたしはすぐにこの問題をくことができた。というのは、そのとき村の広告屋こうこくやが赤いぼうしをかぶってやって来て、宿屋やどやの前に止まった。
こうして、うちにかえるとちゅう、日がくれましたので、とある宿屋やどやにとまりました。宿屋はおきゃくでいっぱいでした。