“往年”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
おうねん30.8%
むかし30.8%
わうねん15.4%
いんぬるとし7.7%
さいつとし7.7%
さきのとし7.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
あきらかに、師時親は、往年おうねんの弟子正成が、築城に先だって、これへ見えないことを、不満としている口吻こうふんであった。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
卯平うへい村落むらかへつてから往年むかし伴侶なかまあひだふたゝくはゝつて念佛衆ねんぶつしゆうの一にんになつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
かれしばらすき煙草たばこ屈託くつたくしてたがやうやあたゝかけたので、まれ生存せいぞんして往年わうねん朋輩ほうばい近所きんじよへの義理ぎりかた/″\かほつもりそとた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
往年いんぬるとし、雨上りの朝、ちょうどこのあたり通掛とおりかかった時、松のしずくに濡色見せた、紺青こんじょうの尾をゆたかに、の間の蒼空あおぞらくぐり潜り、かささぎが急ぎもせず、翼で真白まっしろな雲を泳いで、すいとし、すいと伸して
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
往年さいつとし宮は田鶴見たずみの邸内に彼を見しより、いとど忍びかねたる胸の内の訴へんかたもあらぬ切なさに、唯心寛ただこころゆかし仮初かりそめりける筆ながら、なかなか口には打出うちいだし難き事を最好いとよく書きてつづけもしを
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
往年さきのとし鬼怒川きぬがわ水電水源地工事の折、世に喧伝けんでんされた状況ありさまを幾層倍にして、今は大正の聖代に、ここ北海道は北見きたみの一角×××川の上流に水力電気の土木工事場とは表向おもてむき、監獄部屋の通称とおりなが数倍判りいい
監獄部屋 (新字新仮名) / 羽志主水(著)