往年いんぬるとし)” の例文
往年いんぬるとし、雨上りの朝、ちょうどこのあたり通掛とおりかかった時、松のしずくに濡色見せた、紺青こんじょうの尾をゆたかに、の間の蒼空あおぞらくぐり潜り、かささぎが急ぎもせず、翼で真白まっしろな雲を泳いで、すいとし、すいと伸して
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)