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さきのとし
余前年江戸に
在し時右の事を
先の
山東翁にかたりしに、
翁曰世路の
灘は
総滝よりも危からん、世は
足もとを見て
渡るべきにやとて
笑へり。
前年牧之江戸に
旅宿の頃、
文墨の
諸名家に
謁して
書画を
乞ひし時、
前の山東庵には
交情厚くなりてしば/\
訪ひしに、京山翁
当時はいまだ若年なりしが、ある時雪の
話につけて京山翁いへらく
往年、
鬼怒川水電水源地工事の折、世に
喧伝された
状況を幾層倍にして、今は大正の聖代に、
茲北海道は
北見の一角×××川の上流に水力電気の土木工事場とは
表向、監獄部屋の
通称が数倍判りいい