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ぜんねん
其の
前年の八
月、
英堂和尚が
南都西大寺から
多田院への
歸りがけに、
疝氣に
惱んで、
玄竹の
診察を
受けたことがあるので、一
度きりではあるが、
玄竹は
英堂和尚と
相識の
仲であつた。
永谷寺へ
入院の
住職あれば此
淵へ
血脉を
投げ入るゝ事
先例なり。さて此永谷寺の住職
遷化の
前年、此
淵より
墓の石になるべき
円き
自然石を一ツ
岸に
出す、
是を
無縫塔と名づけつたふ。
右の
御神剣と
申すのは、あれは
前年わざわざ
伊勢へ
参られた
時に、
姨君から
授けられた
世にも
尊い
御神宝で、
命はいつもそれを
錦の
袋に
納めて、
御自身の
肌身につけて
居られました。