がは)” の例文
「まあ、大概たいがいのことはわかつてゐるつもりですが、貴女あなたがはからなら、大久保おほくぼ生活せいくわつがいつそくはしくわかつてゐるはずぢやないですか。」
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
りたけとほはなれて、むかがはをおとほんなさい。なんならあらかじ用心ようじんで、ちやううして人通ひとゞほりはなし——かまはず駈出かけだしたらいでせう……
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
私さう申すと何で御座いますけれど、これでも女子をんなにしては極未練の無い方で、手短てみじかに一かばちか決して了ふがはなので御座います。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「今までで一番大きいか知れんぞう! ところどころかうしたでかいのが坐つとるんだ。がはをしつかりさせるためにわざわざしたこつた。」
生活の探求 (旧字旧仮名) / 島木健作(著)
腕時計をするなら、プラチナがはの余り光らない丸い7形か8形ぐらゐがよい。リボンの色は、淡ママ色系統のものがよい。
その大きな鏡に 太陽の光をうけさせて光らすと 火星のがはから見るとだい等級とうきふの星の光ほどに光つてみえる……
だから日本の文学者が、好んで不安と云ふがはからのみ社会をゑがき出すのを、舶来の唐物とうぶつの様に見傚してゐる。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
あいちやんの紅鶴べにづる花園はなぞのがはしてつてしまつてたことで、其處そこあいちやんは、それがむなしく一ぽんあがらうとして、それをこゝろみてるのをました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
さういふ場合ばあひに、そんなどもが、におりてつて、かりのこぼしてつたはねひろつてよろこんでゐるといふうたです。それをすっかり、大人おとながはからつくつてゐるのです。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
ひろしつならば、其中央部そのちゆうおうぶ、もしくは煙突えんとつてる反對はんたいがはなど、やゝそれにちか條件じようけんであらう。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
文学者のがはには髪や髭に手入をして居る者もあるが、画家はおほむそれ等のことに無頓着な風をして居る。名物男の老主人フレデリツクは断えず酒臭い気息いきをして客ごとに話して居る。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
そのころ、それが賭博とばくとのうたがひをけて、ばんどうがそのすぢから調しらべをけるやうな事件じけんあがつたが、調しらべるがはがその技法ぎはふらないのでだれかが滔滔たうたう講釋かうしやくをはじめ
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
新大橋の日本橋區がはの方をいつてみると、人形町通、および大門通おほもんどほりの舊吉原(元和三年に商賣はじめ)と歌舞伎芝居の勢力を見逃すことも出來ず、魚市場、金座、大商賣、本丸も控えてゐる。
花火と大川端 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
それから幾分いくふんぎたのちであつた。ふとなにかにおびやかされたやうなこころもちがして、おもはずあたりをまはすと、何時いつにかれい小娘こむすめが、むかがはからせきわたくしとなりうつして、しきりまどけようとしてゐる。
蜜柑 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
生命いのちみちのもろがはそびやぎてる
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
反対ながはの屋根の上には
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
自分達じぶんだちつたがはは、かへつて此方こなたやますそみづせまつて、丁度ちやうど切穴きりあなかたちになつて、其処そこいしめたやうなあつらへ
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
数寄屋すきや橋でえ様と思つて、くろみちなかに、待ちはしてゐると、小供をおぶつたかみさんが、退儀たいぎさうにむかふから近つてた。電車はむかがはを二三度とほつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
漏つてゐるのは、底は兎も角、今すぐに眼につく所では桶のがはなのであつた。一つの桶の側の一ヶ所或ひは二ヶ所から、細い紐のやうな線を成して、水が垂れてゐるのだ。
続生活の探求 (旧字旧仮名) / 島木健作(著)
むかがは湯屋ゆややなぎがある。此間このあひだを、をとこをんなも、一頃ひところそろつて、縮緬ちりめん七子なゝこ羽二重はぶたへの、くろ五紋いつゝもんした。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
小川おがはいて、草をもぢや/\やして、其縁そのふちひつじを二匹かして、其向ふがはに大きな男が洋杖ステツキを持つて立つてゐる所を写したものである。男のかほが甚だ獰猛に出来てゐる。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
無精ぶしやうしてがはの石をそのままにしといてかかるものもないことはないが、さうすつと、掘り下げ中に側が崩れ落ちてからに、底で作業中の者が生き埋めにならんとも限らんのぢや。」
生活の探求 (旧字旧仮名) / 島木健作(著)
で、何時いつ何處どこから乘組のりくんだか、つい、それはらなかつたが、ちやうわたしたちのならんでけたむかがは——墓地ぼちとは反對はんたい——のところに、二十三四のいろしろ婦人ふじんる……
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ほがらかにかぜの往来をわたる午後であつた。新橋の勧工一回ひとまはりして、広い通りをぶら/\と京橋の方へくだつた。其時そのとき代助のには、向ふがはいへが、芝居の書割かきわりの様にひらたく見えた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それを、四五軒しごけんつたむかがはに、はゞひろはしまへにして、木戸きど貸屋札かしやふだとして二階家にかいやがあつた。
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
裸体の女の腰からしたさかなになつて、さかなどうが、ぐるりと腰をまはつて、向ふがはに尾だけ出てゐる。女は長いかみくしきながら、き余つたのを手に受けながら、此方こつちを向いてゐる。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
もやゝさわやかにつて、ほつ呼吸いきをしたとき——ふと、いや、はじめてとはう、——かれけたはすに、むかがは腰掛こしかけに、たゝまりつもきりなかに、ちておちかさなつたうつくしいかげた。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
なかから矢が二本てゐる。鼠色の羽根と羽根のあひだが金箔でつよひかる。其傍そのそばよろひもあつた。三四郎は卯の花おどしと云ふのだらうと思つた。向ふがはの隅にぱつとを射るものがある。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
御神輿おみこしは、あらぬむかがはつて、振向ふりむきもしないで四五十間しごじつけんずつとぎる。
祭のこと (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
すると唐紙からかみをぴたりとてゝ、むかがは三四人さんよにんこゑあはしてわらした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)