何年なんねん)” の例文
ひと身體からだ一部分いちぶぶんを、何年なんねんにもないでます場合ばあひおほいから……姿見すがたみむかはなければ、かほにもはないと同一おなじかもれぬ。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そしてそのなきがらをめたおはか将軍塚しょうぐんづかといって、千何年なんねんというながあいだ京都きょうと鎮守ちんじゅ神様かみさまのようにあがめられて、なになかわざわいのこるときには
田村将軍 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
落城後らくじょうごそれが何年なんねんになるかとッしゃるか——それはようやく一年余ねんあまわたくしが三十四さいときでございました。まことに短命たんめいな、つまらない一生涯しょうがいでありました。
この希望きぼうも、たちまちたっせられたのは、十何年なんねんまえに、ちちが、おき時計どけいった、古道具屋ふるどうぐや主人しゅじんが、有田焼ありたやきおおきな丸火鉢まるひばちを、とどけてくれたからでした。
時計と窓の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
……(同族の一老人に對ひて)いや、叔父御をぢご、ままこしおろしめされ、貴下こなたわし最早もう舞踏時代ダンスじだいすごしてしまうた。おたがひに假面めんけて以來このかた、もう何年なんねんにならうかの?
其有耶無耶そのうやむやになつた腦裏なうりに、なほ朧朦氣おぼろげた、つきひかりてらされたる、くろかげのやうなへや人々ひと/″\こそ、何年なんねんことく、かゝ憂目うきめはされつゝりしかと
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
この秋海棠しうかいだう杉垣すぎがきのまだかれないまへから、何年なんねんとなく地下ちかはびこつてゐたもので、古家ふるやこぼたれたいまでも、時節じせつるとむかしとほくものとわかつたとき御米およね
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
これで烟草たばこでもつてとつて、鼻藥はなぐすり次第しだいさ、あれがおまへ素人しろうとだから感心かんしんだとめるに、素人しろうと素人しろうと生無垢きむくむすめあがりだとふではいか、旦那だんなとは十何年なんねんなか
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
広子ひろこは化粧道具や何かを入れた銀細具ぎんざいくのバッグを下げたまま、何年なんねんにもほとんど来たことのない表慶館ひょうけいかん廊下ろうかを歩いて行った。彼女の心は彼女自身の予期していたよりも静かだった。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
けれどとほまはしにしたところによると、田之浦たのうらもの倅夫婦せがれふうふ百姓ひやくしやうをしてなりの生活くらしをしてるが、その夫婦ふうふのしうちがくはぬとつて十何年なんねんまへから一人ひとり此處こゝんでるらしい
都の友へ、B生より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
何故なぜだらう』と帽子屋ばうしやつぶやいて、『おまへ時計とけい何年なんねんだかゞわかるかい?』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
わたくしかんがへるには、いま一個ひとつ堅固けんご紀念塔きねんたふこしらへて、その深山しんざんつてつててゝるのだ、紀念塔きねんたう表面ひやうめんには、ちやんと朝日島あさひじまきざんで、此處こゝ日本帝國につぽんていこく領地りようち御坐ござる、何年なんねん何月なんげつ何日なんにち
「おめえ、いってえ弟子でしてから、何年なんねんつとおもっているんだ」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
こうして何年なんねんも、何年なんねんもこいでかなければならないというおにしまへ、ほんの目をつぶっているたのです。
桃太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
あのときから、何年なんねんたったであろうか、戦時中せんじちゅう空襲くうしゅうで、このあたりは野原のはらになってしまいました。
はたらく二少年 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「おとなしくなさい、はゝゝ。」と國手ドクトルわらはれて、「はい。」とそでをおさへてかへると、ばんあたりから、何年なんねんにもつひぞない、めうな、不思議ふしぎ心持こゝろもちる。
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
これともうすもみな神様かみさま御加護ごかご、おかげ他所よそ銀杏いちょうとはことなり、何年なんねんてどえだれず、みきちず、日本国中にほんこくじゅう無類むるい神木しんぼくとして、いまもこのとおさかえてるような次第しだいじゃ。
その有耶無耶うやむやになった脳裡のうりに、なお朧朦気おぼろげた、つきひかりてらされたる、くろかげのようなこのへや人々ひとびとこそ、何年なんねんうことはく、かかる憂目うきめわされつつありしかと
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
明治めいじ何年なんねん何月なんげつ何日なんにち
「だって、おかあさんは、よく、わたしみたいな不幸ふこうなものはない、芝居しばいなんか、もう何年なんねんたことがないと、おっしゃるじゃありませんか?」と、さきはいいました。
金歯 (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたくし三浦みうらえんづいたときに、香織かおり親元おやもともどりましたが、それでも所中しょっちゅう鎌倉かまくらからはるばるわたくしところたずねてまいり、そして何年なんねんってもわたくしことを『ひいさまひいさま』とんでりました。
しほ時々とき/″\かはるのであらうが、まつりは、思出おもひだしても、何年なんねんにも、いつもくらいやうにおもはれる。時候じこうちやう梅雨つゆにかゝるから、あめらないとしの、つきあるころでも、くもるのであらう。
祭のこと (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
もう何年なんねん何年なんねんふねをこいで行くと、とおとおうみのはてに、おにしまというところがある。わるおにどもが、いかめしいくろがねのおしろの中にんで、ほうぼうのくにからかすめったとうと宝物たからものまもっている。
桃太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
としわかいそうだが、もう、何年なんねんばかりたつと、ちょうどよくなるかな。」とたずねました。しかし、これは、や、人間にんげんのようなものではありません。坑夫こうふわらいながら
かれは、小学校しょうがっこう卒業そつぎょうすると、すぐ都会とかい呉服屋ごふくや奉公ほうこうされました。それから、もう何年なんねんたったでしょう。かれは、勉強べんきょうして、すえにはいい商人しょうにんになろうとおもっているのでした。
隣村の子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
何年なんねんまえにも、どこかでたことがあるような記憶きおくがしました。やせこけた、あばらぼねうまが、全身ぜんしんみずをあびたようにあせにぬれて、おもくるまをひきかねているのでした。
道の上で見た話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ツンドラ地帯ちたいって、沼地ぬまちみたいな、こけばかりはえているところがある。そこへがつくと、なかなかきえない。何年なんねんということなく、りんのようなのがしたからもえがる。
赤土へくる子供たち (新字新仮名) / 小川未明(著)
それから、何年なんねんたったでしょう。
日月ボール (新字新仮名) / 小川未明(著)