衣服いふく)” の例文
うりに參らんといましちより受出して來たる衣服いふくならび省愼たしなみの大小をたいし立派なる出立いでたちに支度なして居たる處へ同じ長家に居る彼張子かのはりこ釣鐘つりがね
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
余はコロボツクルは衣服いふくいうすれどときとしては屋内抔にて之を脱ぐ事有りしならんと想像そうぞうす。以上は口碑にをもきをきての説なり。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
宗助そうすけにはそれが意外いぐわいであつた。しかたいした綺羅きら着飾きかざつたわけでもないので、衣服いふくいろも、おびひかりも、夫程それほどかれおどろかすまでにはいたらなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
家内のものいづれも衣服いふくをあらため神使じんしをまつ、神使いたるときけば、親あるものは親子麻上下にて地上にいでて神使をむかふ。
見えぬ目をしばたたきつつ、かれは、じぶんの名をあきらかにんだ者を、だれかしらとあやしむように、両手でその人の衣服いふくをなでまわした。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
衣服いふく調度類ちょうどるいでございますか——鎌倉かまくらにもそうした品物しなものさば商人あきうどみせがあるにはありましたが、さきほどももうしたとおり、べつ人目ひとめくように
第九 食物しよくもつ衣服いふくごと分限ぶんげんによるは勿論もちろんなれど、肉食にくしよくあざらけくあたらしきしな野菜やさいわかやわらかなるしなえらぶべし。よく烹熟にたきして、五穀ごこくまじくらふをよしとすること
養生心得草 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
性質せいしつというものは、そう容易よういわらないものじゃ、けれどおじょうさんは、金持かねもちのいえまれながら、衣服いふくや、宝石ほうせきなどよりも、そらほしあいされるところをみると
笑わない娘 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして、またここで、人間が器具きぐ武器ぶき衣服いふくや家や家具かぐなどを考えだしてつくるのには、長いあいだ、たゆまず努力どりょくしたものだということを説明しはじめました。
さうして日本人にほんじん衣服いふく絹物きぬもののぞいたほかのものはこと/″\外國ぐわいこくから輸入ゆにふされるものである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
代診だいしんちひさい、まるふとつたをとこ頬髯ほゝひげ綺麗きれいつて、まるかほいつあらはれてゐて、氣取きどつた樣子やうすで、あたらしいゆつとりした衣服いふくけ、しろ襟飾えりかざりをしたところ
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
やがてみずから麺粉めんふん鶏卵けいらんを合せき居られしが、高橋も来りてこれを見て居けるうち、鶏卵の加減かげん少しぎたるゆえ、ぱちぱちと刎出はねだし、先生の衣服いふく勿論もちろん余滴よてき、高橋にも及びしかば
あはれ悲しいで衣服いふくをぬがばやと思ふ海は青き魚の如くうねり光れり
樹木とその葉:03 島三題 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
「いや、ごもっともで。」と、そのりっぱな客人きゃくじんはいいました。「たぶんごしょうちでしょう。なにしろこのとおり、からだができましてね。おいおい肉がつき、衣服いふくも身にそったというわけです。 ...
りよ衣服いふくあらた輿つて、台州たいしう官舍くわんしやた。從者じゆうしやすうにんある。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
前々ぜん/\より述べきたりしが如き衣服いふく飮食いんしよくを採り、竪穴に住ひ、噐具を用ゐたる人民じんみん、即ちコロボックル、の日常生活にちじようせいくわつは如何なりしか
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
○さておしきたりし男女まづ普光寺ふくわうじに入りて衣服いふく脱了ぬぎすて、身に持たる物もみだりに置棄おきすて婦人ふじん浴衣ゆかた細帯ほそおびまれにははだかもあり、男は皆はだかなり。
資本もとでに初めし醫者家業いしやかげふ傷寒論しやうかんろんよめねどもなりとて衣服いふくおどかし馬鹿にて付る藥までした三寸の匙加減さじかげんでやつて退のいたる御醫者樣もう成ては長棒ながぼうかごよりいのち
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
この代診だいしんちいさい、まるふとったおとこ頬髯ほおひげ綺麗きれいって、まるかおはいつもよくあらわれていて、その気取きどった様子ようすで、あたらしいゆっとりした衣服いふくけ、しろ襟飾えりかざりをしたところ
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
うえに、あかいところや、しろいところのえるのは、はないているのだとおもわれました。そのうちに、したみちしろ衣服いふくをまとった人々ひとびとが、脇見わきみもせずにあるいていくのがえました。
町の天使 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのうちに神官しんかんのひとりが、どこからか、ふたりのたけに合いそうな着物きものをもらってきてくれた。なにしろ、衣服いふくがぬれていては、山をりるにしても、とちゅうのさむさにたえられない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
第八 衣服いふく精粗美惡よしあしひと分限ぶんげんるといへども、肌着はだぎ木綿もめんフラン子ルをよしとす。蒲團ふとん中心なかわたあたらしくかはきたるものをたつとゆゑに、綿花わたかぎらずかま穗苗藁ほわら其外そのほかやわらかかはきたるものをえらぶべし。
養生心得草 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
としころは三十ばかりには丸味まるみがかったそで浅黄あさぎ衣服いふくけ、そしてひざあたりでくくった、矢張やは浅黄色あさぎいろはかま穿き、あし草履ぞうり足袋たびった、はなは身軽みがる扮装いでたちでした。頭髪かみ茶筌ちゃせんっていました。
○さておしきたりし男女まづ普光寺ふくわうじに入りて衣服いふく脱了ぬぎすて、身に持たる物もみだりに置棄おきすて婦人ふじん浴衣ゆかた細帯ほそおびまれにははだかもあり、男は皆はだかなり。
既に身体裝飾しんたいそうしよく衣服いふく等の事をべし折に言ひしが如く、本邦石噐時代の諸遺跡しよいせきよりはき物の人形にんぎよう屡ば發見はつけんさるるなり。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
かれは、ちかづいてみると、無数むすうちいさなビーズを、ひざのあたり、くろ衣服いふくうえにまいて、その一つ一つにはりとおしながら、それらのあかしろあおむらさきのビーズをいとにつないでいました。
死と話した人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
見て氣のどくにや思ひけん其衣類そのいるゐではさぞかし難儀なんぎなるべし麁末そまつなれども此方の衣服いふくかし申さん其衣類は明朝みやうてうまで竿さをにでも掛てほし玉へとのこる方なき心切なる言葉ことばに吉兵衞はます/\よろこび衣類を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
竹童は四方よもの話をしているあいだに、ぬれた衣服いふく焚火たきびにほして身にまとった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
江戸の鳥追とりおひといふは非人ひにん婦女ふぢよ音曲おんきよくするを女太夫とて木綿もめん衣服いふくをうつくしくなし、かほよそほひ、編笠あみがさをかむり、三弦さみせん胡弓こきうなどをあはせ、賀唱めでたきうたをおもしろくうたひ、門々かど/\に立て銭をふ。
いいおかんがえですね。時勢じせいがこんなですから、衣服いふくのほうもはたらきいいように改良かいりょうされましょうし、わたしなど、こうおばあさんになっては、あたらしい研究けんきゅうほねがおれますし、わかひとにやってもらわなければ。
汽車は走る (新字新仮名) / 小川未明(著)
江戸の鳥追とりおひといふは非人ひにん婦女ふぢよ音曲おんきよくするを女太夫とて木綿もめん衣服いふくをうつくしくなし、かほよそほひ、編笠あみがさをかむり、三弦さみせん胡弓こきうなどをあはせ、賀唱めでたきうたをおもしろくうたひ、門々かど/\に立て銭をふ。