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振
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ふり
ふりがな文庫
“
振
(
ふり
)” の例文
主の彼は可笑しさを
堪
(
こら
)
え、素知らぬ
振
(
ふり
)
して、宮前のお広さん処へは、其処の墓地に
傍
(
そ
)
うて、ずッと
往
(
い
)
って、と
馬鹿叮嚀
(
ばかていねい
)
に教えてやった。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
袖
(
そで
)
は
両方
(
りやうはう
)
から
振
(
ふり
)
が
合
(
あ
)
つて、
乳
(
ちゝ
)
のあたりで、
上下
(
うへした
)
に
両手
(
りやうて
)
を
重
(
かさ
)
ねたのが、ふつくりして、
中
(
なか
)
に
何
(
なに
)
か
入
(
はい
)
つて
居
(
ゐ
)
さうで、……
駆
(
か
)
けて
行
(
い
)
つて
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
とあまり露骨に語り出されてお登和嬢急に顔を
紅
(
あか
)
くし半分は聴かぬ
振
(
ふり
)
してサッサと我家へ帰り去りぬ。去られても今は惜しくなし。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
婦人がとかく見て見ぬ
振
(
ふり
)
をしていた自分の最大欠点を暴露してそれを絶滅しようとする誠意と勇気とは私どもの学ぶべき所です。
婦人改造と高等教育
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
氣
(
き
)
の
早
(
はや
)
い
子
(
こ
)
だねとお
京
(
きやう
)
の
諭
(
さと
)
せば、そんならお
妾
(
めかけ
)
に
行
(
ゆ
)
くを
廢
(
や
)
めにしなさるかと
振
(
ふり
)
かへられて、
誰
(
だ
)
れも
願
(
ねが
)
ふて
行
(
ゆ
)
く
處
(
ところ
)
では
無
(
な
)
いけれど
わかれ道
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
▼ もっと見る
二人の親たちも同じような育ちかたで、五郎吉の父はぼて
振
(
ふり
)
の魚屋であり、おふみの父は
屑屋
(
くずや
)
や、人足や、手伝いなどを転々としていた。
赤ひげ診療譚:06 鶯ばか
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
燕
(
つばめ
)
は
嬉
(
うれ
)
しさうに
父
(
とう
)
さんを
見
(
み
)
て
尻尾
(
しつぽ
)
の
羽
(
はね
)
を
左右
(
さいう
)
に
振
(
ふり
)
ながら、
遠
(
とほ
)
い
空
(
そら
)
から
漸
(
やうや
)
くこの
山
(
やま
)
の
中
(
なか
)
へ
着
(
つ
)
いたといふ
話
(
はなし
)
でもするらしいのでした。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
船廻
(
ふなまわ
)
しにした荷の
中
(
うち
)
に、刀剣のあったのを三十五
振
(
ふり
)
質に入れて、金二十五両を借り、それを持って往って貞固を弘前へ案内した。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
左右
(
さいう
)
に
振
(
ふり
)
我元より
言葉
(
ことば
)
を
飾
(
かざ
)
らざるが故に其許の
易
(
えき
)
は申されずと云ふ靱負問て今も申如く假令如何なることなりとも苦しからず夫を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
と少しも
間断
(
たれま
)
なく取巻きますと、嬢様は恥かしいが又嬉しく、萩原新三郎を横目にじろ/\見ない
振
(
ふり
)
をしながら見て居ります。
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
季子は知らない
振
(
ふり
)
もしていられず、ちょっと笑顔を見せて、そのまま歩き過ると、男も少し離れて同じ方向へと歩き初める。
或夜
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
素峰子
(
そほうし
)
は
舳
(
へさき
)
に立って、白に赤の黒の彩雲閣のフラフを高く高く
振
(
ふり
)
なびかす。ちょうど鉄橋をくぐって出たところである。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
老博士はと、
振
(
ふり
)
かえると、かれもまた勇敢に、タラップを登ってくる。中甲板には、五つの
屍骸
(
しがい
)
が、ごろごろしていた。
怪奇人造島
(新字新仮名)
/
寺島柾史
(著)
満枝はさすが
過
(
あやまち
)
を悔いたる
風情
(
ふぜい
)
にて、やをら左の
袂
(
たもと
)
を
膝
(
ひざ
)
に
掻載
(
かきの
)
せ、
牡丹
(
ぼたん
)
の
莟
(
つぼみ
)
の如く
揃
(
そろ
)
へる
紅絹裏
(
もみうら
)
の
振
(
ふり
)
を
弄
(
まさぐ
)
りつつ、彼の
咎
(
とがめ
)
を
懼
(
おそ
)
るる
目遣
(
めづかひ
)
してゐたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
昼間はそ知らぬ
振
(
ふり
)
をして、作り物の様な顔ですましていて、夜になるとムクムクと動き出すのではないかと疑われた。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
起きて来た
連中
(
れんぢゆう
)
が一銭銅貨を投げる
振
(
ふり
)
をすると彼は
頭
(
かぶり
)
を振つて応じない。五銭
白
(
はく
)
銅以上を要求するのである。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
默つて顏を
瞶
(
みつ
)
めてゐると、『これ上げようかな?』と言つて、花簪を
弄
(
いぢく
)
つたが、『お前は男だから。』と
後
(
うしろ
)
に隱す
振
(
ふり
)
をするなり、涙に濡れた顏に美しく笑つて
二筋の血
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
(手にて拒む如き
振
(
ふり
)
を
為
(
な
)
し、暫く
間
(
ま
)
を置き、温かに。)僕は幾らか姉さんの
助
(
たすけ
)
になりたいと思うのです。
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
中には迷信的に坊さんを
有難
(
ありがた
)
がっている家もあったが、物をやって、却って村の者から
悪
(
にく
)
まれるようでは馬鹿らしいと言って、坊さんが来ても知らぬ
振
(
ふり
)
をしていた。
僧
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
その歌、その
振
(
ふり
)
、始に讓らざりき。完備せるものゝ上には完備を添ふるに由なし。姫が技藝はまことに其域に達したるなり。こよひは姫また我理想の女子となりぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
球
(
たま
)
の
突
(
つ
)
き
振
(
ふり
)
に
作品
(
さくひん
)
の
感
(
かん
)
じが
現
(
あらは
)
れるといへば、
實
(
じつ
)
に
私
(
わたし
)
にとつて
忘
(
わす
)
れ
難
(
かた
)
いのは亡き岩野泡鳴さんだつた。
文壇球突物語
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
今の華族なんて奴は妙に家柄や何かを
振
(
ふり
)
まわすが、その振まわす根性といったら実に軽薄なものなんだ。よしんば親は泥棒にしても子供同士は清浄無垢なものなんだ。
超人鬚野博士
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
なかに唯一人
質素
(
じみ
)
なフロツクコートを着て、苦り切つた顔をしてゐる男があつた。皇太子はそれを見ると、後を
振
(
ふり
)
かへつた。後には父君のジヨオジ陛下が立つてゐられた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
また
鳥取
(
ととり
)
の
河上
(
かわかみ
)
の宮においでになつて大刀一千
振
(
ふり
)
をお作りになつて、これを
石上
(
いそのかみ
)
の
神宮
(
じんぐう
)
にお
納
(
おさ
)
めなさいました。そこでその宮においでになつて河上部をお定めになりました。
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
Unhappy Far-off Things も戦争中の作で、しんみりした静かな筆で「ウエレランの
剣
(
つるぎ
)
」と同じような優しい書き
振
(
ふり
)
である、あまり面白い物ではない。
ダンセニーの脚本及短篇
(新字新仮名)
/
片山広子
(著)
翌朝
(
よくちょう
)
六時に近所の警察署の警部が駆けつけてきてとり調べた。警部は早速本署へ宛て、犯人の皮帽子と
短劒
(
たんけん
)
一
振
(
ふり
)
を発見したから、至急強盗首領は捕まえる必要があると報告した。
奇巌城:アルセーヌ・ルパン
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
と、呉羽之介は小娘のように、
振
(
ふり
)
の
袂
(
たもと
)
を
膝
(
ひざ
)
に重ね、身をくねらせて話し出すのでした。
艶容万年若衆
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
三田は又してもぎやふんと
參
(
まゐ
)
つた。おつぎやおりか同樣、此の娘も衣食の爲めにもの入りをかけたからには、むげに
振
(
ふり
)
もぎつて逃げては濟まないといふ考を持つて居るのであつた。
大阪の宿
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
知ぬ事は有ますまい、貴方がたが鎌を掛たから
夫
(
それ
)
を幸いに益々知らぬ
振
(
ふり
)
をするのです
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
その男は中田の目の前に、何処に持っていたのか、一
振
(
ふり
)
の短刀を突き出したのだ。
自殺
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
丸山の下の横丁まで來ると、
其角
(
そのかど
)
を曲る出前持の松公に逢つた。松公は
蕎麥
(
そば
)
の出前を、ウンと肩の上へ積上げて、片手に傘を
翳
(
さ
)
して居たが、女の姿を見て見ぬ
振
(
ふり
)
をして行過ぎやうとする。
絶望
(旧字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
そんなことでか、もしくは、この弟子が、すこしばかり
音曲
(
おんぎょく
)
を解するので、教えておいてくださろうとの御志であったのであろうが、御自分の
作
(
もの
)
に
節
(
ふし
)
がつき
振
(
ふり
)
がつくとよく御案内くださった。
古い暦:私と坪内先生
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「さあ、さあ、寝た
振
(
ふり
)
なんぞ
為
(
し
)
ねえで、起きろ、起きろ、横着な
阿魔
(
あま
)
だ。」
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「いいえ、気苦労ばかりしているので、
装
(
なり
)
にも
振
(
ふり
)
にも構えなくなりました」
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と
云
(
い
)
ふものは、
碌々
(
ろく/\
)
貝塚
(
かひづか
)
を
發掘
(
はつくつ
)
して
見
(
み
)
もせずに、
直
(
たゞ
)
ちに
地中
(
ちちう
)
の
秘密
(
ひみつ
)
を
知
(
し
)
つた
振
(
ふり
)
をして、
僅少
(
きんせう
)
なる
遺物
(
ゐぶつ
)
を
材料
(
ざいれう
)
に、
堂々
(
だう/\
)
たる
大議論
(
だいぎろん
)
を
並
(
なら
)
べ、
然
(
さ
)
うして
自個
(
じこ
)
の
學説
(
がくせつ
)
を
立
(
た
)
てるのに
急
(
きふ
)
な
人
(
ひと
)
が
無
(
な
)
いでも
無
(
な
)
い。
探検実記 地中の秘密:01 蛮勇の力
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
苦しきを絞りて辛くも呼びたる男の
声音
(
こわね
)
を、仙太は何とか聞きけん、お照は聞くとひとしく抱合いたる手を
振
(
ふり
)
放ちて、思わず
後
(
うしろ
)
を見返りたる時、取附きたる男のあせりて這上らんとする
重量
(
おもみ
)
に
片男波
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
がっかりして、ぼくは一週間死んだようになって寝ていた……やり直しだ。
振
(
ふり
)
だしへもどって、はじめからやり直さねばならない。研究の費用はどうするんだ。何を喰って研究をつづけるのだ。
ふしぎ国探検
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
が、
若
(
も
)
し
這麼事
(
こんなこと
)
を
女主人
(
をんなあるじ
)
にでも
嗅付
(
かぎつ
)
けられたら、
何
(
なに
)
か
良心
(
りやうしん
)
に
咎
(
とが
)
められる
事
(
こと
)
があると
思
(
おも
)
はれやう、
那樣疑
(
そんなうたがひ
)
でも
起
(
おこ
)
されたら
大變
(
たいへん
)
と、
彼
(
かれ
)
はさう
思
(
おも
)
つて
無理
(
むり
)
に
毎晩
(
まいばん
)
眠
(
ね
)
た
振
(
ふり
)
をして、
大鼾
(
おほいびき
)
をさへ
發
(
か
)
いてゐる。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「それじゃあ、ただうんうん云って聞いてる
振
(
ふり
)
をしていりゃよかろう」
琴のそら音
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ドクタアは、岩国の有名な刀鍛冶がつくった、木の箱に入った刀を二
振
(
ふり
)
手に入れ、私は数個の古い岩国陶器を貰った。我々は世話をしてくれた二十二人の人々に、僅かな贈物をすることが出来た。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
冷吉は、さつきからよく寢入つてゐた續きのやうな
振
(
ふり
)
をしてゐた。
赤い鳥
(旧字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
此
(
この
)
跡ががらりと早変りして、さても/\
和御寮
(
わごりょ
)
は踊る
振
(
ふり
)
が見たいか、踊る振が見たくば、木曾路に御座れのなど狂乱の
大陽気
(
おおようき
)
にでも
成
(
なら
)
れまい者でもなしと
亀屋
(
かめや
)
の
爺
(
おやじ
)
心配し、泣くな泣きゃるな浮世は車
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
末恐ろしき
美々
(
びゞ
)
しさとおもたげの
振
(
ふり
)
とを添ふる
汝
(
なんぢ
)
諸金銀よ
エロディヤッド
(旧字旧仮名)
/
ステファヌ・マラルメ
(著)
銀色の
尻
(
しり
)
振
(
ふり
)
時計
(
とけい
)
しりふるをみつつに酒をのめばさびしも
小熊秀雄全集-01:短歌集
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
箱を開くと
古錦襴
(
こきんらん
)
の袋の中には問題の太刀が一
振
(
ふり
)
。
大菩薩峠:12 伯耆の安綱の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
いといと
切
(
せち
)
なる
振
(
ふり
)
に
鳴
(
な
)
くも
秋の日
(旧字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
お
振
(
ふり
)
なさいますと
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
風が添ったか、紙の幕が、
煽
(
あお
)
つ——煽つ。お稲は
言
(
ことば
)
につれて、すべて
科
(
しぐさ
)
を思ったか、
振
(
ふり
)
が手にうっかり乗って、
恍惚
(
うっとり
)
と目を
睜
(
みは
)
った。……
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
振
(
ふり
)
何の用かと思ひましたら今日も亦花見のお
供
(
とも
)
吾儕
(
わたし
)
は
昨日
(
きのふ
)
若旦那に
連
(
つれ
)
られて行き
懲々
(
こり/\
)
したれば
何卒
(
なにとぞ
)
之は長松どんか留吉どんに代らせてと言を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
労
(
つか
)
れた
振
(
ふり
)
をして修行者が寝て居ると、ある月夜の晩に彦五郎の手下が穴の側へ見張に出て見ると、修行者が居るから
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
振
常用漢字
中学
部首:⼿
10画
“振”を含む語句
振舞
振返
身振
振鈴
素振
振向
武者振
振廻
男振
羽振
手振
振顧
振切
立居振舞
一振
振子
頭振
言振
棒手振
振下
...