せい)” の例文
ぼく皇甫こうほせいの者で、先祖からせんにいたのですが、今度家が野火に焼けたものですから、ちょっとの間此所を借りて住んでいるのです
嬌娜 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
いま敵國てきこくふかをかして、邦内はうない騷動さうどうし、士卒しそつさかひ(一七)暴露ばくろす。きみねてせきやすんぜず、くらうてあぢはひあましとせず。百せいめいみなきみかる。
せい元來ぐわんらい身分みぶん分類ぶんるゐで、たとへばおみむらじ宿禰すくね朝臣あそんなどのるゐであり、うぢ家系かけい分類ぶんるゐで、たとへば藤原ふじはらみなもとたひら菅原すがはらなどのるゐである。
誤まれる姓名の逆列 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
その男の子——兎三夫とみお君は爾来じらい、母方のせい鴨田を名乗って、途中で亡くなった母の意志をぎ、さてこんなことになったのです
爬虫館事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
てゝせり呉服ごふくるかげもなかりしが六間間口ろくけんまぐちくろぬり土藏どざうときのまに身代しんだいたちあがりてをとこ二人ふたりうちあに無論むろんいへ相續あととりおとゝには母方はゝかたたえたるせい
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ほこらちかところ少年せうねんそうあり。かね聰明そうめいをもつてきこゆ。含春がんしゆん姿すがたて、愛戀あいれんじやうへず、柳氏りうしせい呪願じゆぐわんして、ひそか帝祠ていしたてまつる。ことばいは
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
正直しょうじきにほんとうのせいを名のっている者は、その手がどうにもなりませんが、いつわりを申し立てているものは、たちまち手が焼けただれてしまうので
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
この属名はオランダの学者で日本の植物をも書いたホッタインのせいを取ったものだ。種名のコルダタは心臓形の意で、その葉形ようけいもとづいて名づけたわけだ。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
親房ちかふさの第二子顕信あきのぶの子守親もりちか陸奥守むつのかみに任ぜらる……その孫武蔵むさしに住み相模さがみ扇ヶ谷おうぎがやつに転ず、上杉家うえすぎけつかう、上杉家うえすぎけほろぶるにおよびせいおうぎに改め後青木あおきに改む
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
そのおんなせいは、水野みずのといいましたが、かおつきが、どこかきつねにていましたところから、だれいうとなく「きつね」というあだにしてしまいました。
青いボタン (新字新仮名) / 小川未明(著)
天下に某と云う名前の人があるか。考えてみろ。これでもれっきとしたせいもあり名もあるんだ。系図が見たけりゃ、多田満仲ただのまんじゅう以来の先祖を一人ひとり残らず拝ましてやらあ。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
荒田老の例の付き添いの男——鈴田すずたというせいだった——が、塾長室から急いで出て来てたずねた。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
琴女は生涯しょうがい鵙屋せいを名のっていたけれども「門人」温井検校けんぎょうと事実上の夫婦ふうふ生活をいとなんでいたのでかく鵙屋家の墓地とはなれたところへ別に一基を選んだのであろうか。
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
百官をべ、万機を行ない、天下をはかもうする者、太政大臣だじょうだいじんの上に坐し、一ノ上とも、一ノ人とも、一ノ所とも申し上ぐる御身分、百せいの模範たるべきお方であるはずだ。
血ぬられた懐刀 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ぼくの番になったら、美辞麗句れいくを連ね、あなたに認められようと思っていたのに、はずかしがり屋のぼくは、口のなかで、もぐもぐ、せいと名前を言ったら、もうおしまいでした。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
まことのせいはあかしませぬ。ただみずから、果心居士かしんこじ異号いごうをつけております。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
士卒しそついまかず、百せいしんぜず。ひとにしてけんかろし。ねがはくはきみ寵臣ちようしんくにたつとところもつぐんかんせしめば、すなはならん
外人ぐわいじんがこれを如何いか取扱とりあつかはうとも、それは外人ぐわいじん勝手かつてである。たゞ吾人ごじんだんじて外人ぐわいじん取扱とりあつかひに模倣もほうし、せいめいとをはなしこれを逆列ぎやくれつしてはならぬ。
誤まれる姓名の逆列 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
めいめいいいかげんなかってなせいを名のっているものが多いのをおなげきになり、大和やまとのある村へ玖訂瓮くかえといって、にえ湯のたぎっているかまをおすえになって
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
わるいつはりを申上まをしあげると、またからかれさうにおもつたので、おめ/\とおやせい自分じぶんふ。
麦搗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そしてこの村には「昆布こんぶ」と云う変ったせいが非常に多いのだそうだが、津村の親戚もまた昆布姓を名のり、やはり製紙を業としていて、村では一番手広くやっている家であった。
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
と、先生せんせいはいって、宮川みやがわせいいてあるところへ手帳てちょう点数てんすうれました。
残された日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
重田は道江みちえせいである。次郎は、読みおわると、つめたい葉書の中にこめられた兄の情熱と意志とを感じた。また、おぼろげながら、その情熱と意志との方向をも察することができた。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
「右大臣師房卿もろふさきょう——後一条天皇ごいちじょうてんのうのときはじめて源朝臣みなもとあそんせいたまわる」
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
世界せかい何國なにぐにひと日本にほんではせいさきにし、あとにすることをつてゐるはずであるが、日本人にほんじん率先そつせんしてみづか姓名せいめい轉倒てんたふするから、外人ぐわいじんもこれにしたがふのである。
誤まれる姓名の逆列 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
老子らうし苦縣こけん厲郷らいきやう曲仁里きよくじんりひとなりせい李氏りしあざな伯陽はくやうおくりなたんふ。しう(一)守藏室しゆざうしつなり孔子こうししうき、まされい老子らうしはんとす。
とき方國沴氏はうこくてんし眞四角まつしかく先生せんせいにて、すなはち明州みんしう刺史ししたり。たちまそうとらへてなじつていはく、なんぢなんせいぞ。おそる/\こたへいはく、竺阿彌ちくあみまをしますと。方國はうこくそうをせめていはく、なんぢ職分しよくぶんとしてひとまよひみちびくべし。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それも差出人さしだしにんとはせいのちがった宛名あてなが多かったようだ。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
ねえさんは、おじいさんのせいとをいって
おじいさんの家 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ぶんいはく、『しゆわかうしてくにうたがひ、大臣だいじんいまかず、百せいしんぜず、ときあたつてこれぞくせんこれわれぞくせん』と。默然もくぜんたることややひさしうしていはく、『これぞくせん』
美女びぢよせいで、はおかうちやんとふ。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
良吉りょうきちせいは、村山むらやまであったからです。
隣村の子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
をんな不意ふいせいんだ。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)