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兩側
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りやうがは
路の
兩側しばらくのあひだ、
人家が
斷えては
續いたが、いづれも
寢靜まつて、
白けた
藁屋の
中に、
何家も
何家も
人の
氣勢がせぬ。
盛りと
咲亂れ晝と雖も
花明りまばゆきまでの
別世界兩側の引手茶屋も
水道尻まで
花染の
暖簾提灯軒を揃へて
掛列ね萬客の出入袖を
夫婦は
毎夜同じ
火鉢の
兩側に
向き
合つて、
食後一
時間位話をした。
話の
題目は
彼等の
生活状態に
相應した
程度のものであつた。
しかし
汽車が
今將に
隧道の
口へさしかからうとしてゐる
事は、
暮色の
中に
枯草ばかり
明い
兩側の
山腹が、
間近く
窓側に
迫つて
來たのでも、すぐに
合點の
行く
事であつた。
松並木が
盡きると、
石だたみのだら/\
坂があつて、
其の
邊から
兩側に
茶店が
並んでゐた。
と
呟いて
一ツ
溜息する。……
橋詰から
打向ふ
眞直な
前途は、
土塀の
續いた
場末の
屋敷町で、
門の
軒もまばらだけれども、
其でも
兩側は
家續き……
宗助は
淋しいでせうと
云つて、つい
座敷に
上り
込んで、
一つ
火鉢の
兩側に
手を
翳しながら、
思つたより
長話をして
歸つた。
俥は
幌を
深くしたが、
雨を
灌いで、
鬱陶しくはない。
兩側が
高い
屋並に
成つたと
思ふと、
立迎ふる
山の
影が
濃い
緑を
籠めて、
輻とともに
動いて
行く。
夜は
煤竹の
臺を
着けた
洋燈の
兩側に、
長い
影を
描いて
坐つてゐた。
話が
途切れた
時はひそりとして、
柱時計の
振子の
音丈が
聞える
事も
稀ではなかつた。
路に
門あり、
門内兩側に
小松をならべ
植ゑて、
奧深く
住へる
家なり。
主人は、
巣鴨邊の
學校の
教授にて
知つた
人。
兩側に
大藪があるから、
俗に
暗がり
坂と
稱へる
位、
竹の
葉の
空を
鎖して
眞暗な
中から、
烏瓜の
花が
一面に、
白い
星のやうな
瓣を
吐いて、
東雲の
色が
颯と
射す。
まだ
此の
間は
氣丈夫でありました。
町の
中ですから
兩側に
家が
續いて
居ります。
此の
邊は
水の
綺麗な
處で、
軒下の
兩側を、
清い
波を
打つた
小川が
流れて
居ます。
殊に
夜であつた。むかし
住んだ
家は
一寸見富が
着かない。さうだらう
兩側とも
生垣つゞきで、
私の
家などは、
木戸内の
空地に
井戸を
取りまいて
李の
樹が
幾本も
茂つて
居た。
來る
道でも、
村を
拔けて、
藪の
前など
通る
折は、
兩側から
倒れ
伏して、
竹も三
尺の
雪を
被いで、
或は五
間、
或は十
間、
恰も
眞綿の
隧道のやうであつたを、
手で
拂ひ
笠で
拂ひ
洵は、
兩側にまだ
家のありました
頃は、——
中に
旅籠も
交つて
居ます——
一面識はなくつても、
同じ
汽車に
乘つた
人たちが、
疎にも、それ/″\の
二階に
籠つて
居るらしい
横町の
道の
兩側は、
荷と
人と、
兩側二列の
人のたゝずまひである。
私たちより、もつと
火に
近いのが
先んじて
此の
町内へ
避難したので、……
皆茫然として
火の
手を
見て
居る。
驛路の
馬の
鈴の
音、しやんと
來る
道筋ながら、
時世といひ、
大晦日、
道中寂りとして、
兩側に
廂を
並ぶる
商賈の
家、
薪を
揃へて
根占にしたる、
門松を
早や
建て
連ねて、
歳の
神を
送るといふ
其の、いま、
鎭守の
宮から——
道を
横ぎる、
早や
巖に
水のせかるゝ、……
音に
聞く
溪河の
分を
思はせる、
流の
上の
小橋を
渡ると、
次第に
兩側に
家が
續く。——
小屋が
藁屋、
藁屋茅屋が
板廂。