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磨
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みが
ふりがな文庫
“
磨
(
みが
)” の例文
なるほど、近世自然科学の発達によって人間の理性が
磨
(
みが
)
かれ、人々の考え方が合理的になってきたことは、否定することができない。
キリスト教入門
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
湯呑みは、長い間使わずに
放
(
ほう
)
ってある。すると、女中のオノリイヌが、その中へ、ランプの金具を
磨
(
みが
)
く赤い
磨
(
みが
)
き砂を
容
(
い
)
れてしまった。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
般若の智慧を、親しく
磨
(
みが
)
いて、一切は空なりということを、体得せられたればこそ、
衆生
(
ひとびと
)
のあらゆる
苦悩
(
なやみ
)
を救うことができるのです。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
それが
耳白
(
みみしろ
)
のわざわざ
磨
(
みが
)
いたかと思うほどの美しい銭ばかりであったために、私は何ともいい現わせないような妙な気持になった。
幻覚の実験
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
或人
(
あるひと
)
は、大女の
靴
(
くつ
)
を女中が
磨
(
みが
)
いてゐるのを見たと言ひます。その靴は、ちやうど
乾草
(
ほしくさ
)
をつんだ大きな荷車ほどあつたといふ話です。
虹猫の大女退治
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
▼ もっと見る
錦絵、芝居から見ても、洗いだしの
木目
(
もくめ
)
をこのんだような、江戸系の素質を
磨
(
みが
)
き出そうとした文化、文政以後の好みといえもする。
明治美人伝
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
今また新しい「知識」としてこの国にはいって来た西洋思想をもその砥石として、さらに日本的なものを
磨
(
みが
)
きあげられるであろう。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
猛狒
(
ゴリラ
)
の
類
(
るい
)
は
此
(
この
)
穴
(
あな
)
の
周圍
(
しうゐ
)
に
牙
(
きば
)
を
鳴
(
なら
)
し、
爪
(
つめ
)
を
磨
(
みが
)
いて
居
(
を
)
るのだから、
一寸
(
ちよつと
)
でも
鐵檻車
(
てつおりくるま
)
の
外
(
そと
)
へ
出
(
で
)
たら
最後
(
さいご
)
、
直
(
たゞ
)
ちに
無殘
(
むざん
)
の
死
(
し
)
を
遂
(
と
)
げてしまうのだ。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
『一年の熱去り、気は水のごとくに澄み、天は鏡のごとくに
磨
(
みが
)
かれ、光と陰といよいよ明らかにして、いよいよ映照せらるる時』
小春
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
彼女の顔は、昨日より一層
魅力
(
みりょく
)
が増して見えた。目鼻だちが何から何まで、実にほっそりと
磨
(
みが
)
かれて、じつに
聡明
(
そうめい
)
で実に
可愛
(
かわい
)
らしかった。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
荒っぽい原石から綺麗な
艶
(
つや
)
を有った品になるまでの手間は大変なものでありましょう。「玉
磨
(
みが
)
かざれば光なし」とはよい言葉であります。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
教會から歸ると、私は、
邸
(
やしき
)
の臺所へ行つて、そこで食事の用意をしてゐるメァリーと、ナイフを
磨
(
みが
)
いてゐるジョンとに云つた——
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
千束守はかなりの歌手で、喜田川三郎氏に比べると年も若く、第一南欧で長い間
磨
(
みが
)
き抜いて、申分のない男前でもありました。
奇談クラブ〔戦後版〕:01 第四の場合
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
彼はそれを
愛撫
(
あいぶ
)
するというよりも、何か器具の光沢を
磨
(
みが
)
いているような錯覚に陥りながら、やがて摩擦は上半身へ移って行く。
冬日記
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
そのほか、ばくらふ、炭焼き、
烏帽子
(
えぼし
)
折り、鏡
磨
(
みが
)
きといふやうに、いろんなことをしながら、あちこちとさまよひ歩きました。
鳥右ヱ門諸国をめぐる
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
しかし踊りやお茶の修養があるのと、気質が伝統的に
磨
(
みが
)
かれてきているのと、様子がいいのとで、どことなし落ち著いていた。
挿話
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
おぬし達が今をしのんで、きょう喰いたいものは明日に、ことし楽しみたいことは来年に——自分自分を、こここの
秋
(
とき
)
と、
磨
(
みが
)
きあうことだぞ
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こんなきたないなりをして世の中を歩きまわって、至るところで、少しずつでも智慧を
磨
(
みが
)
こうとしているのだと思ったのです。
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
チャンと仕事場におって、道具を
磨
(
みが
)
いているとか、木ごしらえをしているとか、何かしら、彫刻の事をやっているのである。
幕末維新懐古談:78 谷中時代の弟子のこと
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
このとき、
無頓着
(
むとんちゃく
)
な
石
(
いし
)
は、
黙
(
だま
)
って
眠
(
ねむ
)
っていました。
小鳥
(
ことり
)
は、その
石
(
いし
)
の
頭
(
あたま
)
で、くちばしを
磨
(
みが
)
きました。そして、
花
(
はな
)
を
見守
(
みまも
)
って
公園の花と毒蛾
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
復一はボートの中へ
仰向
(
あおむ
)
けに
臥
(
ね
)
そべった。空の
肌質
(
きじ
)
はいつの間にか夕日の
余燼
(
ほとぼり
)
を
冷
(
さ
)
まして
磨
(
みが
)
いた銅鉄色に
冴
(
さ
)
えかかっていた。
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
金次郎は
親戚
(
しんせき
)
と父の門人らとに強要せられて退学し、好まぬ三味線を手に取って、杵勝分派諸老輩の
鞭策
(
べんさく
)
の下に、いやいやながら腕を
磨
(
みが
)
いた。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
それよりは今霎時、
牙
(
きば
)
を
磨
(
みが
)
き爪を鍛へ、まづ彼の聴水めを噛み殺し、その上時節の
到
(
いた
)
るを
待
(
まっ
)
て、彼の金眸を打ち取るべし。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
ふらんす語に「
磨
(
みが
)
きをかける」ために
巴里
(
パリー
)
へ行ってきたベルゲンの富豪のお婆さん。ブダペストから来た
埃及
(
エジプト
)
人の医学生。
踊る地平線:05 白夜幻想曲
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
例
(
たと
)
へば
平
(
ひら
)
たく
刃
(
は
)
が
兩方
(
りようほう
)
から
磨
(
みが
)
き
出
(
だ
)
してゐる
石斧
(
せきふ
)
、あるひは
長
(
なが
)
い
槍
(
やり
)
、あるひは
庖丁
(
ほうちよう
)
といつたふうに、
使用
(
しよう
)
に
便利
(
べんり
)
な
種々
(
しゆ/″\
)
の
形
(
かたち
)
が
出來
(
でき
)
たのであります。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
一例を挙げれば西洋人は二週間に一度か三週間に一度の
外
(
ほか
)
風呂に入らない。日本婦人は大概毎日入浴して二
時
(
とき
)
以上ずつも顔や手足を
磨
(
みが
)
いている。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
格子の太い鉄棒は、群集の足に
磨
(
みが
)
かれて光っており、馬車にはすべりやすくて危険であり、馬もよくころぶほどだった。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
薬師三尊に仰がるる白鳳の光りは、天武天皇の信仰を源泉とし、これを受け継がれた三帝が御祈りによって
磨
(
みが
)
きあげたものと申していいであろう。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
其所
(
そこ
)
で
叮嚀
(
ていねい
)
に
歯
(
は
)
を
磨
(
みが
)
いた。
彼
(
かれ
)
は
歯並
(
はならび
)
の
好
(
い
)
いのを常に嬉しく思つてゐる。
肌
(
はだ
)
を
脱
(
ぬ
)
いで
綺麗
(
きれい
)
に
胸
(
むね
)
と
脊
(
せ
)
を
摩擦
(
まさつ
)
した。
彼
(
かれ
)
の
皮膚
(
ひふ
)
には
濃
(
こまや
)
かな一種の
光沢
(
つや
)
がある。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
綾子は
頤
(
おとがい
)
を襟に
埋
(
うず
)
めぬ。
磨
(
みが
)
かぬ玉に
垢
(
あか
)
着きて、清き襟脚
曇
(
くもり
)
を帯び、
憂悶
(
ゆうもん
)
せる心の風雨に、
艶
(
えん
)
なる姿の花
萎
(
しぼ
)
みて、
鬢
(
びん
)
の毛頬に
乱懸
(
みだれかか
)
り、
俤
(
おもかげ
)
太
(
いたく
)
く
窶
(
やつ
)
れたり。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
背広を着こみ、ひどくギュウギュウ鳴る、ピカピカに
磨
(
みが
)
きあげた長靴をはいている。はいってきながら花束を落す。
桜の園
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
画工が人物をかくにあたっても、まず裸体の像で充分に腕を
磨
(
みが
)
いておかぬと、衣裳を着けた姿が満足に画けぬのはすなわちこれと同様な理屈であろう。
動物の私有財産
(新字新仮名)
/
丘浅次郎
(著)
霧が
融
(
と
)
けたのでした。
太陽
(
たいよう
)
は
磨
(
みが
)
きたての
藍銅鉱
(
らんどうこう
)
のそらに
液体
(
えきたい
)
のようにゆらめいてかかり
融
(
と
)
けのこりの霧はまぶしく
蝋
(
ろう
)
のように谷のあちこちに
澱
(
よど
)
みます。
マグノリアの木
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
砂で
磨
(
みが
)
き、
刃物
(
はもの
)
で手入れをされた竹は表皮の
艶
(
つや
)
を消されて落ちついた青さであった。ぱさっと地をはたくように振ると、
一握
(
ひとにぎ
)
りの竹はのたうって
揃
(
そろ
)
う。
暦
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
私
(
わたくし
)
も
時々
(
ときどき
)
こちらの
世界
(
せかい
)
で、
現世生活中
(
げんせせいかつちゅう
)
に
大
(
たい
)
へん
名高
(
なだか
)
かった
方々
(
かたがた
)
にお
逢
(
あ
)
いすることがございますが、そうきれいに
魂
(
みたま
)
が
磨
(
みが
)
かれた
方
(
かた
)
ばかりも
見当
(
みあた
)
りませぬ。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
各
(
おのおの
)
静に窓前の竹の
清韻
(
せいいん
)
を聴きて
相対
(
あひたい
)
せる座敷の
一間
(
ひとま
)
奥に、
主
(
あるじ
)
は
乾魚
(
ひもの
)
の如き
親仁
(
おやぢ
)
の黄なる
髯
(
ひげ
)
を長く
生
(
はや
)
したるが、
兀然
(
こつぜん
)
として
独
(
ひと
)
り盤を
磨
(
みが
)
きゐる傍に通りて
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
他山の石
以
(
もっ
)
て玉を
磨
(
みが
)
くべしという
教
(
おしえ
)
が世に伝えられているが、僕は各国人と交わり、各国人の長所を学びたい
心持
(
こころもち
)
する。例えば
某国人
(
ぼうこくじん
)
は
頗
(
すこぶ
)
る勤勉である。
真の愛国心
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
起きてすぐ、ギタを、
布
(
きれ
)
で
磨
(
みが
)
いた。いとこの慶ちゃんが遊びに来た。商大生になってから、はじめての御入来である。新調の洋服が、まぶしいくらいだ。
正義と微笑
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「
磨
(
みが
)
いて見せるほどあたいが打ち込む男は、この国府津にゃアいないよ」とは、かの女がその時の返事であった。
耽溺
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
井戸端
(
ゐどばた
)
の
桶
(
をけ
)
には
芋
(
いも
)
が
少
(
すこ
)
しばかり
水
(
みづ
)
に
浸
(
ひた
)
してあつて、
其
(
その
)
水
(
みづ
)
には
氷
(
こほり
)
がガラス
板
(
いた
)
位
(
ぐらゐ
)
に
閉
(
と
)
ぢて
居
(
ゐ
)
る。おつぎは
鍋
(
なべ
)
をいつも
磨
(
みが
)
いて
居
(
ゐ
)
る
砥石
(
といし
)
の
破片
(
かけ
)
で
氷
(
こほり
)
を
叩
(
たゝ
)
いて
見
(
み
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
つるつるに
磨
(
みが
)
きあげられた板張りの
床
(
ゆか
)
が、うす暗い光線を反射しているのが、寒々として
眼
(
め
)
にしみるようである。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
ケメトスはますますその技を
磨
(
みが
)
くと共に、夜の空の流れ星を眺めては、お祖父さんの言葉を思い出して、一生一代の
晴業
(
はれわざ
)
をして名を上げたいと考えました。
彗星の話
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
街路は清潔に
掃除
(
そうじ
)
されて、
鋪石
(
ほせき
)
がしっとりと露に
濡
(
ぬ
)
れていた。どの商店も
小綺麗
(
こぎれい
)
にさっぱりして、
磨
(
みが
)
いた硝子の
飾窓
(
かざりまど
)
には、様々の珍しい商品が並んでいた。
猫町:散文詩風な小説
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
己
(
おのれ
)
の
珠
(
たま
)
に
非
(
あら
)
ざることを
惧
(
おそ
)
れるが
故
(
ゆえ
)
に、
敢
(
あえ
)
て刻苦して
磨
(
みが
)
こうともせず、又、己の珠なるべきを半ば信ずるが故に、
碌々
(
ろくろく
)
として
瓦
(
かわら
)
に伍することも出来なかった。
山月記
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
二三週間のうちに愛子は山から掘り出されたばかりのルビーと
磨
(
みが
)
きをかけ上げたルビーとほどに変わっていた。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
神経を
磨
(
みが
)
き澄まし、精神を張り切って、眼にも見えず、耳にも聞えない或る事を考え詰めている時に電光のように閃めき出すもので、その鋭くて、早くて
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
磨
(
みが
)
かれた大理石の三面鏡に包まれた光の中で、ナポレオンとルイザとは明暗を
閃
(
ひら
)
めかせつつ、分裂し粘着した。争う色彩の
尖影
(
せんえい
)
が、屈折しながら鏡面で衝撃した。
ナポレオンと田虫
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
天秤棒は細手の、
飴色
(
あめいろ
)
に
磨
(
みが
)
きこんだ、特別製のようであり、手桶は
杉
(
すぎ
)
の
柾目
(
まさめ
)
で、
銅
(
あか
)
の
箍
(
たが
)
がかかっていた。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
フリッツは夕方家内じゅうの
靴
(
くつ
)
を
磨
(
みが
)
かなくてはなりませんし、ローゼマリーは食器を乾かしたりナイフを磨いたり致します。皆とても一生懸命にやってくれます。
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
況
(
ま
)
して、私自身が、生きている人間に対して執刀するような機会などは、勿論無かった。何時まで経っても研究のための実験であり技術を
磨
(
みが
)
くための練習であった。
三稜鏡:(笠松博士の奇怪な外科手術)
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
磨
常用漢字
中学
部首:⽯
16画
“磨”を含む語句
磨上
達磨
磨滅
銷磨
琢磨
消磨
磨臼
本磨
播磨
磨硝子
切磋琢磨
達磨船
歯磨
磨針峠
研磨
銀磨
達磨茶屋
磨製石斧
米磨桶
磨師
...