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棟
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むね
ふりがな文庫
“
棟
(
むね
)” の例文
旧冬
(
きうとう
)
より
降積
(
ふりつもり
)
たる雪家の
棟
(
むね
)
よりも高く、春になりても家内
薄暗
(
うすくら
)
きゆゑ、
高窓
(
たかまど
)
を
埋
(
うづめ
)
たる雪を
掘
(
ほり
)
のけて
明
(
あかり
)
をとること前にもいへるが如し。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
おもしろいことには東京地方へ旅行すると、農家の大きな
藁葺
(
わらぶき
)
屋根の高い
棟
(
むね
)
にオニユリが
幾株
(
いくかぶ
)
も
生
(
は
)
えて花を咲かせている
風情
(
ふぜい
)
である。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
笠森
(
かさもり
)
のおせんだと、
誰
(
だれ
)
いうとなく
口
(
くち
)
から
耳
(
みみ
)
へ
伝
(
つた
)
わって
白壁町
(
しろかべちょう
)
まで
往
(
ゆ
)
くうちにゃァ、この
駕籠
(
かご
)
の
棟
(
むね
)
ッ
鼻
(
ぱな
)
にゃ、
人垣
(
ひとがき
)
が
出来
(
でき
)
やすぜ。のう
竹
(
たけ
)
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
むさゝびか
知
(
し
)
らぬがきツ/\といつて
屋
(
や
)
の
棟
(
むね
)
へ、
軈
(
やが
)
て
凡
(
およ
)
そ
小山
(
こやま
)
ほどあらうと
気取
(
けど
)
られるのが
胸
(
むね
)
を
圧
(
お
)
すほどに
近
(
ちかづ
)
いて
来
(
き
)
て、
牛
(
うし
)
が
啼
(
な
)
いた。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
陸
(
おか
)
には
南蛮
(
なんばん
)
屋敷があり、
唐人館
(
とうじんかん
)
の
棟
(
むね
)
がならび、
湾
(
わん
)
には
福州船
(
ふくしゅうぶね
)
やスペイン船などの影がたえない
角鹿
(
つるが
)
(いまは
敦賀
(
つるが
)
と書く)の町である。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
「これから、あなたとは永らく一つ家の
棟
(
むね
)
の下に住んで貰わなければならん。遠慮はなるべく早く切り上げるようになさるがいい」
扉の彼方へ
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
長さも
左
(
さ
)
のみならざる
棟
(
むね
)
に、一重の梅や八重桜、桃はまだしも、菊の花、
薄荷
(
はっか
)
の花の
眼
(
め
)
も及ばぬまで
濃
(
こまか
)
きを浮き彫にして
香
(
にお
)
う
計
(
ばか
)
り
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
今では土地の名も宿の名も、まるで忘れてしまった。第一宿屋へとまったのかが問題である。
棟
(
むね
)
の高い大きな家に女がたった二人いた。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その他、別に
養禽場
(
ようきんじょう
)
一
棟
(
むね
)
を建てた。そこにはしちめんちょう、野がん、ほろほろちょう、きじの類をとらえしだいにはなちがいにした。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
いい残して明智も屋上に
這上
(
はいあが
)
った。長い
棟
(
むね
)
の上を、夕暗の空を背景にして、畸形児の白衣と明智の黒い支那服とがもつれ合って走った。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
S——町の
垠
(
はずれ
)
を流れている川を
溯
(
さかのぼ
)
って、重なり合った
幾箇
(
いくつ
)
かの
山裾
(
やますそ
)
を
辿
(
たど
)
って行くと、
直
(
じき
)
にその温泉場の白壁や
屋
(
や
)
の
棟
(
むね
)
が目についた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
道悪
(
みちわる
)
を七八丁
飯田町
(
いいだまち
)
の
河岸
(
かし
)
のほうへ歩いて暗い狭い路地をはいると突き当たりにブリキ
葺
(
ぶき
)
の
棟
(
むね
)
の低い家がある。もう雨戸が引きよせてある。
窮死
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
山裾
(
やますそ
)
に石の小さい門があって、そこから松並木が山腹までつづき、その松並木の尽きるあたりに、二
棟
(
むね
)
の建物の屋根が見える。
パンドラの匣
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
視野を
遮
(
さえぎ
)
るのは長崎屋の巨大な
棟
(
むね
)
、——その下には、巨万の富を護るために抱えておくという、二人の浪人者の住んでいる
離室
(
はなれ
)
も見えます。
銭形平次捕物控:080 捕物仁義
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
この
棟
(
むね
)
だけ石垣を高く積み上げて、中二階のように立ててある。まだ雨戸が締めてないので、
燈火
(
ともしび
)
の光が障子にさしている。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
宮は
稍羞
(
ややはぢら
)
ひて、
葉隠
(
はがくれ
)
に咲遅れたる花の如く、夕月の
涼
(
すずし
)
う
棟
(
むね
)
を離れたるやうに満枝は彼の前に
進出
(
すすみい
)
でて、互に対面の礼せし後
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
他
(
た
)
の
村落
(
むら
)
の
人々
(
ひと/″\
)
が
聞
(
き
)
き
傳
(
つた
)
へて
田圃
(
たんぼ
)
や
林
(
はやし
)
を
越
(
こ
)
えて、
其
(
そ
)
の
間
(
あひだ
)
に
各自
(
かくじ
)
の
體力
(
たいりよく
)
を
消耗
(
せうまう
)
しつゝ
驅
(
か
)
けつけるまでには
大
(
おほ
)
きな
棟
(
むね
)
は
熱火
(
ねつくわ
)
を四
方
(
はう
)
に
煽
(
あふ
)
つて
落
(
お
)
ちた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
孟春
(
もうしゅん
)
四月の半ばをすぎた城下の夜半は、しんとぬばたまのやみに眠って、まこと家の
棟
(
むね
)
も三寸下がらんばかりな、底気味のわるい静けさでした。
右門捕物帖:03 血染めの手形
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
お前の死は僕を
震駭
(
しんがい
)
させた。病苦はあのとき家の
棟
(
むね
)
をゆすぶった。お前の堪えていたものの
巨
(
おお
)
きさが僕の胸を
押潰
(
おしつぶ
)
した。
鎮魂歌
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
畑の中に百姓屋めいた
萱屋
(
かやや
)
の寺はあわれにさびしい、せめて母の記念の松杉が堂の
棟
(
むね
)
を隠すだけにのびたらばと思う。
紅黄録
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
客殿と住居とを一つ
棟
(
むね
)
の下に作ることのできた結果であり、また一つには
足利
(
あしかが
)
時代の社会相として、主人が頻繁に臣下の家に客に来ることになって
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
玉敷
(
たましき
)
の都の中に、
棟
(
むね
)
を並べ
甍
(
いらか
)
を争へる、
尊
(
たか
)
き
卑
(
いや
)
しき人の
住居
(
すまひ
)
は、
代々
(
よよ
)
を
経
(
へ
)
てつきせぬものなれど、これをまことかと
尋
(
たづ
)
ぬれば、昔ありし家は
稀
(
まれ
)
なり。
本所両国
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
とある
駄菓子屋
(
だがしや
)
の奥から出て来た古老らしい人が縁先に立って指さしてくれたのは、街道の左側の、小高い段の上に見える
一
(
ひ
)
と
棟
(
むね
)
の草屋根であった。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
この夜中に屋根の上へ登った道庵先生は、それでも
辷
(
すべ
)
り落ちもしないで、やがて屋の
棟
(
むね
)
の上へスックと立ちました。
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
利久の納屋はあたしの家の物置と一ツ
棟
(
むね
)
で、二ツに仕切って使っていた。丁度庭裏の井戸のところに窓があって、井戸をはさんでの
釜場
(
かまば
)
になっていた。
旧聞日本橋:03 蕎麦屋の利久
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
離れのその一
棟
(
むね
)
は、まださっきのまま片づけてなかったとみえ、茶屋の老婆はひどく
慌
(
あわ
)
てて、三棟ある建物の、まん中の一と棟へ、かれらを案内した。
樅ノ木は残った:02 第二部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
御後室お蓮様は、ある夜ひそかに道場を出奔して、行方不明になったものの、丹波はいまだに、その邸内の別
棟
(
むね
)
に頑張って、いっかな動きそうにない。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
赤耀館の悪魔は、もう十年この方、姿を現わさない。悪魔は我が家の
棟
(
むね
)
から永遠に北を指して去ったものとばかり思って、すっかり安心をしていました。
赤耀館事件の真相
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
さればもはや疾翔大力は、われを忘れて、十たびその実をおのがあるじの
棟
(
むね
)
に運び、親子の上より落されたぢゃ。
二十六夜
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
私の母の目を
落
(
おと
)
す時は、私は家内と二人で母を
看
(
み
)
ていたが、母の寝ている部屋の屋根の
棟
(
むね
)
で、タッタ
一声
(
ひとこえ
)
烏がカアと鳴いた。それが夜中の三時であった。
白い光と上野の鐘
(新字新仮名)
/
沼田一雅
(著)
蠣殻町から汚い水の
澱
(
おど
)
んだ堀割を新材木町の方へ渡ってゆくと、短い冬の日はもう高い
棟
(
むね
)
の
彼方
(
かなた
)
に姿を隠して
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
ひなたの
枇杷
(
びは
)
の花に来る蜂の声と、お宮の杉のうへと宝蔵倉の
棟
(
むね
)
にわかれて
喧嘩
(
けんくわ
)
をしてゐる烏の声のほかは何もきこえないくらゐしづかにすぎていきました。
鳥右ヱ門諸国をめぐる
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
爺屋の
棟
(
むね
)
に上ってこれを
撒
(
ま
)
くとて文句を誤り「爺々眼さ灰入れ」と連呼したので向う風が灰を吹き入れてその眼を
潰
(
つぶ
)
し、爺屋根より堕つるを鴈が落ると心得
十二支考:09 犬に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
士族屋敷の中での金持ちの家が
一軒路
(
いっけんみち
)
のほとりにあった。
珊瑚樹
(
さんごじゅ
)
の垣は茂って、はっきりと中は見えないが、それでも白壁の土蔵と
棟
(
むね
)
の高い家屋とはわかった。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
そして
人身御供
(
ひとみごくう
)
に
上
(
あ
)
げられる
者
(
もの
)
も、
一切
(
いっさい
)
神
(
かみ
)
さまのお
心
(
こころ
)
まかせで、
神
(
かみ
)
さまが
今年
(
ことし
)
はここの
家
(
いえ
)
の
者
(
もの
)
を
取
(
と
)
ろうとおぼしめすと、その
家
(
いえ
)
の
屋根
(
やね
)
の
棟
(
むね
)
に
白羽
(
しらは
)
の
矢
(
や
)
が
立
(
た
)
ちます。
しっぺい太郎
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
一間もあろうかと思う
張子
(
はりこ
)
の筆や、畳一畳敷ほどの西瓜の
作
(
つくり
)
ものなどを附け、竹では
撓
(
たわ
)
まって保てなくなると、屋の
棟
(
むね
)
に飾ったなどの、法外に大きなのがあった。
江戸か東京か
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
棟
(
むね
)
には幾つかの空気抜きの小さな塔が並んでいた。屋根裏の窓は広く二層になって、上のは小さかった。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
宵
(
よい
)
から勢いを増した風は、海獣の飢えに吠ゆるような音をたてて、
庫裡
(
くり
)
、本堂の
棟
(
むね
)
をかすめ、大地を崩さんばかりの雨は、時々
砂礫
(
すなつぶて
)
を投げつけるように戸を叩いた。
死体蝋燭
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
太い
棟
(
むね
)
や
梁
(
はり
)
の真黒く
煤
(
すす
)
けた台所とは変つて、その家には、板をしきつめた台所に、白足袋を
穿
(
は
)
いて、ぞろぞろ衣服の裾を引摺つた女が、そこで立働くやうになつた。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
小諸の荒町から赤坂を下りて行きますと、右手に当って
宏壮
(
おおき
)
な鼠色の
建築物
(
たてもの
)
は小学校です。その中の一
棟
(
むね
)
は
建増
(
たてまし
)
の最中で、高い足場の内には塔の形が見えるのでした。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
ネコはかまどの上の、あたたかい
灰
(
はい
)
のそばにまるくなり、オンドリは
棟
(
むね
)
の
横木
(
よこぎ
)
の上にとまりました。
ブレーメンの音楽師
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
二十年前にここへ移って来たころには、まだいくらも隣の家の
棟
(
むね
)
を越えないくらいの高さであった。
柿の種
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
ところで、下僕を起すのには前にも申した通り、戸をくり開けて別の
棟
(
むね
)
に行かねばなりません。雨のひどい此の深夜、此れだけの仕事は二人の女には非常な難事でした。
彼が殺したか
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
吹所の一廓は、吹屋、
打物場
(
うちものば
)
、
下鉢取場
(
したはちとりば
)
、吹所棟梁詰所、
細工場
(
さいくば
)
、
色附場
(
いろつけば
)
の六
棟
(
むね
)
にわかれていた。
顎十郎捕物帳:07 紙凧
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
Kの斜め前には、まだ中央の
棟
(
むね
)
にはあるのだが、向う側にある翼の棟がつながる角になっているところに、建物の入口があって、ドアもなく、開いたままになっていた。
城
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
別れた
棟
(
むね
)
のほうに
部屋
(
へや
)
などを持って預かり役は住むらしいが、そことこことはよほど離れている。
源氏物語:04 夕顔
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
自分
(
じぶん
)
で
籠
(
かご
)
に
乘
(
の
)
つて、
綱
(
つな
)
で
高
(
たか
)
い
屋
(
や
)
の
棟
(
むね
)
にひきあげさせて、
燕
(
つばめ
)
が
卵
(
たまご
)
を
産
(
う
)
むところをさぐるうちに、ふと
平
(
ひら
)
たい
物
(
もの
)
をつかみあてたので、
嬉
(
うれ
)
しがつて
籠
(
かご
)
を
降
(
おろ
)
す
合圖
(
あひず
)
をしたところが
竹取物語
(旧字旧仮名)
/
和田万吉
(著)
自分は家々の
棟
(
むね
)
を見渡して、ほとんど倒壊家屋のないことや、その向こうに高く
聳
(
そび
)
えている四連隊の煉瓦建てが崩れていないことなどから、なに、大した地震ではなかったのだ
地異印象記
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
劒ヶ峰の一角先づ
燧
(
ひうち
)
を発する如く反照し、峰に
倚
(
よ
)
れる我が
髭
(
ひげ
)
燃えむとす、光の先づ宿るところは、
棟
(
むね
)
高き真理の
精舎
(
しやうじや
)
にあるを
念
(
おも
)
ふ、太陽なる
哉
(
かな
)
、我は現世に在りて
只
(
たゞ
)
太陽を
讚
(
さん
)
するのみ
霧の不二、月の不二
(新字旧仮名)
/
小島烏水
(著)
三
棟
(
むね
)
から成る二階建の建物で、順吉の病室は第二病棟の階下の五号室であった。
夕張の宿
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
“棟”の解説
棟(むね)は、建築物において複数の屋根が交差して稜線を成す部分である。
(出典:Wikipedia)
棟
常用漢字
中学
部首:⽊
12画
“棟”を含む語句
棟梁
棟瓦
屋棟
棟割
棟上
棟木
一棟
棟割長屋
家棟
大棟梁
棟門
棟梁株
別棟
幾棟
二棟
三棟
汗牛充棟
赤棟蛇
病棟
箱棟
...