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寐
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ね
ふりがな文庫
“
寐
(
ね
)” の例文
又
(
また
)
、
何
(
ど
)
うして
寐
(
ね
)
られる……
実
(
じつ
)
は
一刻
(
いつこく
)
も
疾
(
はや
)
く、
此
(
こ
)
の
娑婆
(
しやば
)
へ
連出
(
つれだ
)
すために、お
前
(
まへ
)
の
顔
(
かほ
)
を
見
(
み
)
たらば
其
(
そ
)
の
時
(
とき
)
!
壇
(
だん
)
を
下
(
お
)
りるなぞは
間弛
(
まだる
)
ツこい。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
そのうえ皆は私に「
顔回
(
がんかい
)
」という綽名をつけた。書いたものからだろう。顔回は恐れ入るが
肱枕
(
ひじまくら
)
でごろ
寐
(
ね
)
をするところだけは似ている。
結婚
(新字新仮名)
/
中勘助
(著)
しかし外の時、殊に夜になって若い女の美しい顔をして、目を堅く
瞑
(
つぶ
)
って、ぐっすり
寐
(
ね
)
ているのを見ると、女が際限もなく
可哀
(
かわゆ
)
い。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
「
御米
(
およね
)
、
御前
(
おまへ
)
は
神經
(
しんけい
)
が
過敏
(
くわびん
)
になつて、
近頃
(
ちかごろ
)
何
(
ど
)
うかしてゐるよ。もう
少
(
すこ
)
し
頭
(
あたま
)
を
休
(
やす
)
めて
能
(
よ
)
く
寐
(
ね
)
る
工夫
(
くふう
)
でもしなくつちや
不可
(
いけ
)
ない」と
云
(
い
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
お金はぼんやりして、広間の真中に吊るしてある電灯を見ていた。女中達は皆好く
寐
(
ね
)
ている様子で、所々で歯ぎしりの音がする。
心中
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
いつでも勢力が
漲
(
みな
)
ぎッている天地だ。太陽が
鼾
(
いびき
)
をかいて
寐
(
ね
)
たためしはない。月も星も山も川もなんでも動いていないものはない。
ねじくり博士
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
ゆうべは少し
寐
(
ね
)
られなかった。そうして寐られぬまま、仕事のことを考えているうちに、だんだんいくじがなくなってしまった。
大和路・信濃路
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
待給
(
まちたま
)
へ
諸共
(
もろとも
)
にの
心
(
こヽろ
)
なりけん、
見
(
み
)
し
忍
(
しの
)
び
寐
(
ね
)
に
賜
(
たま
)
はりし
姫
(
ひめ
)
がしごきの
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
を、
最期
(
さいご
)
の
胸
(
むね
)
に
幾重
(
いくへ
)
まきて、
大川
(
おほかわ
)
の
波
(
なみ
)
かへらずぞ
成
(
な
)
りし。
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
十二、三の
小女
(
こおんな
)
が取次に出て、二階へ上って行きました。すると、母は
寐
(
ね
)
ていたものと見えて、
浴衣
(
ゆかた
)
の
寝衣
(
ねまき
)
の前を合せながら降りて来て
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
吉田は何かきっとそれは自分の
寐
(
ね
)
つく前に読んだ小説かなにかのなかにあったことにちがいないと思うのだったがそれが思い出せなかった。
のんきな患者
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
「本当だよ。
盗
(
と
)
った男が今晩
寐
(
ね
)
ると、魔物も其処へ寐に行くんだよ。じきに其の男は病気になるだろうよ。豚を盗った
酬
(
むくい
)
さ。」
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
真沙は
夕餉
(
ゆうげ
)
もとらずに待った。十二時に下女を
寐
(
ね
)
かし、幾たびも迷ったのち、二時の鐘を聞いたので、常着のまま自分も夜具の中へはいった。
柘榴
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そこは家のものの居間にしてあるところで、
襖
(
ふすま
)
一つ隔てて娘達の
寐
(
ね
)
る部屋に続いている。「お仙や」とお種は茶戸棚の前に坐りながら呼んだ。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「気の毒気の毒」と思い
寐
(
ね
)
にうとうととして眼を覚まして見れば、
烏
(
からす
)
の
啼声
(
なきごえ
)
、雨戸を繰る音、裏の井戸で
釣瓶
(
つるべ
)
を
軋
(
きし
)
らせる
響
(
ひびき
)
。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
始終子供に
斗
(
ばか
)
り
掛
(
かか
)
っていれば生活が出来ないから、
拠無
(
よんどころな
)
くこの
児
(
こ
)
を
寐
(
ね
)
かしつけ、
泣
(
ない
)
たらこれを与えてくれと、おもゆを
拵
(
こしら
)
えて隣家の女房に頼み
枯尾花
(新字新仮名)
/
関根黙庵
(著)
此家には
寐
(
ね
)
て居れぬ(妾)何故ですえ(金)先程から目を醒して居るのに賊でも這入て居るのか押入の中で変な音がする
無惨
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
梅喜
(
ばいき
)
さん/\、こんな
処
(
ところ
)
に
寐
(
ね
)
て
居
(
ゐ
)
ちやアいけないよ、
風
(
かぜ
)
え引くよ……。梅「はい/\……(
眼
(
め
)
を
擦
(
こす
)
り
此方
(
こつち
)
を見る)×「おや……お
前
(
まい
)
眼
(
め
)
が
開
(
あ
)
いたぜ。 ...
心眼
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
花影(高山植物の)を印する万古の雪も、幾回か人の影が落ちたかは、疑問である、げに不断の冬は、山の一角に結象して、寂寥の姿をここに
寐
(
ね
)
かしている。
奥常念岳の絶巓に立つ記
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
室内
(
しつない
)
には
螺旋
(
ねぢ
)
で
床
(
ゆか
)
に
止
(
と
)
められた
寐臺
(
ねだい
)
が
數脚
(
すうきやく
)
。
其上
(
そのうへ
)
には
青
(
あを
)
い
病院服
(
びやうゐんふく
)
を
着
(
き
)
て、
昔風
(
むかしふう
)
に
頭巾
(
づきん
)
を
被
(
かぶ
)
つてゐる
患者等
(
くわんじやら
)
が
坐
(
すわ
)
つたり、
寐
(
ね
)
たりして、
是
(
これ
)
は
皆
(
みんな
)
瘋癲患者
(
ふうてんくわんじや
)
なのである。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
不意のことだし、不愉快になりかけてゐた矢先のことだしするので、そのぎよつとした感じが、しこりのやうに残つて変に腹だたしく、
暫
(
しばら
)
くは
寐
(
ね
)
つけなかつた。
夜の鳥
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
それを読んで行くうちに、
寐
(
ね
)
ぼけていた頭が、一度にハッキリして、私は何もかも悟ることができました。
覆面の舞踏者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
しかしいずれも身体は綿のように疲れているので、シートの上に
寐
(
ね
)
るや否やぐっすりと寐込んで了った。
月世界跋渉記
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
人
(
ひと
)
の
寐
(
ね
)
る
味宿
(
うまい
)
は
寐
(
ね
)
ずて
愛
(
は
)
しきやし
君
(
きみ
)
が
目
(
め
)
すらを
欲
(
ほ
)
りて
歎
(
なげ
)
くも 〔巻十一・二三六九〕 柿本人麿歌集
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
中には
寐
(
ね
)
ていながら多分の利欲を
貪
(
むさぼ
)
る事を相考え候者もこれ有るよう相聞え、
以
(
もっ
)
ての外の事なり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
(初めて気の付きたる如く顔を見る。)今日は大変に
血色
(
けっしょく
)
が悪いよ。ゆうべ
寐
(
ね
)
なかったのかい。
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
卯平
(
うへい
)
は
斯
(
か
)
うして
仕事
(
しごと
)
をして
見
(
み
)
たり
寐
(
ね
)
て
見
(
み
)
たり、それから
自分
(
じぶん
)
で
小鍋立
(
こなべだて
)
をするかと
思
(
おも
)
へば
家族
(
かぞく
)
三
人
(
にん
)
と
共
(
とも
)
に
膳
(
ぜん
)
へ
向
(
むか
)
つたり、
側
(
そば
)
から
見
(
み
)
て
居
(
ゐ
)
る
勘次
(
かんじ
)
には
氣
(
き
)
が
知
(
し
)
れぬ
爺
(
ぢい
)
さんであつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
船に乗ッてしまえば艪も櫂もいらない、ただ片瀬の浪さえあれば流れて行くから、安心して
寐
(
ね
)
て行くことが出来る。悟道の道に入れば、もう安心じゃというた尼の歌がある。
人格の養成
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
そこにもここにも、寒そうにいじけた、
寐
(
ね
)
の足りないらしい人が人道を馳せ違っている。高架鉄道を汽車がはためいて過ぎる。乗合馬車が通る。もう開けた店には客が這入る。
罪人
(新字新仮名)
/
ミハイル・ペトローヴィチ・アルチバシェッフ
(著)
寤
(
さ
)
むる時人真に寤めず、
寐
(
ね
)
る時往々にして至楽の境にあり、身躰四肢必らずしも人間の
運作
(
うんさく
)
を示すにあらず、別に人間大に施為する所あり、ひそかに思ふ終に寤ざるもの真の寤か
唯心的、凡神的傾向に就て(承前)
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
下からスーと出たかと思うと、それが
燈心
(
とうしん
)
の
灯
(
あかり
)
が薄赤く店の方の、つまり私の
寐
(
ね
)
ていた、蒲団の
裾
(
すそ
)
の方へ、流れ込んで映っている、ここに三尺ばかり
開
(
あ
)
いてる障子のところを通って
子供の霊
(新字新仮名)
/
岡崎雪声
(著)
もう
寐
(
ね
)
るのだろうか、イヤそうではない、今ヤット九時を
少
(
すこし
)
過ぎたばかりである。それに試験中だから未だ寐ないのには
定
(
きま
)
っている。多分淋しい処だから早くから
戸締
(
とじまり
)
をしたのだろう。
愛か
(新字新仮名)
/
李光洙
(著)
「ゆうべも九つ(午後十二時)を合図におせきの寝床へ忍んで行つて、
寐
(
ね
)
ぼけてぼんやりしてゐるのを抱き起して、内の人が蝋燭をかざしてみると——壁には
骸骨
(
がいこつ
)
の影が映つて……。」
影を踏まれた女:近代異妖編
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
天王寺の西門に数知れざる病人が
寐
(
ね
)
ていたのを一人の聖が鉢に
粥
(
かゆ
)
を入れて
匙
(
さじ
)
を持って病人の口毎に粥を入れてやっているのを見て、あれは誰人かしらんと尋ねると傍にいる人が答えて
法然行伝
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
三四年の
後
(
のち
)
のことであった、自分もその時分は三十前後のことだったが、冬のことで、ふと
或
(
ある
)
晩、
庫裏
(
くり
)
の
大戸
(
おおと
)
を叩いて訪れるものがある、寺男は
最早
(
もはや
)
寐
(
ね
)
ていたが、その音に眼を覚まして
雪の透く袖
(新字新仮名)
/
鈴木鼓村
(著)
その晩十時過ぎに、もう内中のものが
寐
(
ね
)
てしまってから、己は物案じをしながら、薄暗い庭を歩いて、
凪
(
な
)
いだ海の鈍い波の音を、ぼんやりして聞いていた。その時己の目に明りが見えた。
冬の王
(新字新仮名)
/
ハンス・ランド
(著)
それは昼間であったか夜であったか忘れたが多分夜であったのであろう。一等客は漱石氏と私との二人きりであった。漱石氏は棚になっている上の
寐台
(
ねだい
)
に
寐
(
い
)
ね、私は下の方の寐台に
寐
(
ね
)
た。
漱石氏と私
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
「あら、
貫一
(
かんいつ
)
さん、こんな所に
寐
(
ね
)
ちや困るわ。さあ、早くお上りなさいよ」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
○かくてその
妻
(
つま
)
は母も
臥
(
ふ
)
し子どもゝ
寐
(
ね
)
かしたれば、この雪あれに
夫
(
をつと
)
はさこそ
凍
(
こゞ
)
え玉ふらめ、
行
(
ゆき
)
むかへてつれ
皈
(
かへ
)
らんと、
蓑
(
みの
)
にみの
帽子
(
ばうし
)
をかふり、
松明
(
たいまつ
)
をてらし、ほかに二本を
用意
(
ようい
)
して
腰
(
こし
)
にさし
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
寐
(
いね
)
ても
寐
(
ね
)
つかれずや、コホンコホンと
咳
(
しはぶ
)
く声の、骨身に
徹
(
こた
)
へてセツナそうなるにぞ、そのつど少女は、慌てて父が枕
上
(
もと
)
なる洗ひ洒しの
布片
(
きれ
)
を取りて父に与へ、赤きものの交りたる啖を拭はせて
小むすめ
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
寐
(
ね
)
ても
醒
(
さめ
)
ても余の思想はこの
国土
(
こくど
)
より離れざりしなり、
真
(
まこと
)
にや
古昔
(
こせき
)
のギリシヤ人は現世を以て最上の楽園と信じ、彼らの思想は現世外に
出
(
いで
)
しこと実に
希
(
ま
)
れなりしとは、余も余の国を以て満足し
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
その
駭
(
おどろ
)
きに父さまの事は忘れたらしく候へば、箱根へかかり候まで泣きいぢれて、よう
寐
(
ね
)
てをり候
秀
(
しげる
)
を起しなど致し候へば、また去年の旅のやうに虫を出だし候てはと、
呑
(
の
)
まさぬはずの私の乳
啣
(
ふく
)
ませ
ひらきぶみ
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
冬、
炬燵
(
こたつ
)
の上にまあるくなって、
寐
(
ね
)
ていたんで
御座
(
ござ
)
いますって。
「ああしんど」
(新字新仮名)
/
池田蕉園
(著)
寐
(
ね
)
られぬ夜の窓にもたれて
一握の砂
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
これも何者かに命ぜられて
然
(
し
)
かく
寐
(
ね
)
入つて居るらしい、起してはならないやうに思はれ、アヽ
復
(
また
)
横になつて、足を
屈
(
かが
)
めて、目を
塞
(
ふさ
)
いだ。
処方秘箋
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
其時平岡は座敷の
真中
(
まんなか
)
に
引繰
(
ひつく
)
り
返
(
かへ
)
つて
寐
(
ね
)
てゐた。
昨夕
(
ゆふべ
)
どこかの
会
(
くわい
)
へ
出
(
で
)
て、飲み
過
(
す
)
ごした
結果
(
けつくわ
)
だと云つて、赤い
眼
(
め
)
をしきりに
摩
(
こす
)
つた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
夏の留守番のあいだ母の希望によって私どもは隣り合いの部屋に
寐
(
ね
)
る習慣だったが、それでもまだ淋しがって母は境の
襖
(
ふすま
)
をあけて眠った。
母の死
(新字新仮名)
/
中勘助
(著)
そのあとがひどく疲れて一週間ばかり
寐
(
ね
)
たり何かしているうちに、つい出そびれて、やっと十二月になってこちらに来たような始末です。
大和路・信濃路
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
純一は何事をも忘れて
寐
(
ね
)
ようと思ったが、とても寐附かれそうにはない。過度に緊張した神経が、どんな微細な刺戟にも異様に
感応
(
かんおう
)
する。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
幼い頃からひどく気管の弱かった少年スティヴンスンは、冬の暁毎に何時も烈しい咳の発作に襲われて、
寐
(
ね
)
ていられなかった。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
人びとは
寐
(
ね
)
静まっている。——私の立っているのは、半ば朽ちかけた、家の物干し場だ。ここからは家の裏横手の露路を見通すことが出来る。
交尾
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
寐
漢検1級
部首:⼧
12画
“寐”を含む語句
仮寐
寐転
寐鎮
夢寐
寐入
寐起
寤寐
転寐
寐轉
寐惚
寐付
御寐
寐顔
寐返
宵寐
寐静
寐坊
一寐入
狸寐入
寐耳
...