“寐静”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ねしず50.0%
ねしずま50.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
いよいよ明日あすが手術という夜は、みんな寐静ねしずまってから、しくしくのように泣いているのを、手水ちょうずに起きた娘が見つけてあまり不便ふびんさに抱いて寝てやった。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
一石橋で赤熊に逢って、浮世を思捨てるばかり、覚悟して取って返した時は、もう世間もここも寐静ねしずまっていた上に、お孝は疲れた、そして酔ってもいた。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
白磨しろみがきの千本格子がぴたりと閉って、寐静ねしずまったように音もしないで、ただ軒に掛けた滝の家の磨硝子すりがらすともしびばかり、瓦斯がすの音が轟々と、物凄い音を立てた。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
君江の目にも寐静ねしずまった路地裏の情景が一段なまめかしく、いかにもけ渡った色町いろまちの夜らしく思いなされて来たと見え、言合したように立止って、その後姿を見送った。
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)