寐静ねしずま)” の例文
白磨しろみがきの千本格子がぴたりと閉って、寐静ねしずまったように音もしないで、ただ軒に掛けた滝の家の磨硝子すりがらすともしびばかり、瓦斯がすの音が轟々と、物凄い音を立てた。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
君江の目にも寐静ねしずまった路地裏の情景が一段なまめかしく、いかにもけ渡った色町いろまちの夜らしく思いなされて来たと見え、言合したように立止って、その後姿を見送った。
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)