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際
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ぎは
ふりがな文庫
“
際
(
ぎは
)” の例文
別
(
わか
)
れ
際
(
ぎは
)
に父は、舎費を三ヶ月分納めたので、
先刻
(
さつき
)
渡した
小遣銭
(
こづかひせん
)
を半分ほどこつちに
寄越
(
よこ
)
せ、宿屋の払ひが不足するからと言つた。
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
学期の始まり
際
(
ぎは
)
なので新らしい高等学校の帽子を被つた生徒が大分通る。野々宮君は愉快さうに、此連中を見てゐる。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
千代子は夜ふけの風のまだ寒かつた晩、店のしまひ
際
(
ぎは
)
にふと見かけた人の姿は他人の
空似
(
そらに
)
であつたのかも知れない。
にぎり飯
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
すると、發車間
際
(
ぎは
)
に慌てゝのつたらしい、
鞄
(
かばん
)
を持つた、
營
(
えい
)
利會社の外交風の男が二人、金太郎のうしろの、も一つうしろのボツクスに
腰
(
こし
)
を
卸
(
おろ
)
して何か話し出した。
坂道
(旧字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
大燒原
(
おほやけはら
)
の
野
(
の
)
と
成
(
な
)
つた、
下町
(
したまち
)
とおなじ
事
(
こと
)
、
殆
(
ほとん
)
ど
麹町
(
かうぢまち
)
の
九分
(
くぶ
)
どほりを
燒
(
や
)
いた
火
(
ひ
)
の、やゝしめり
際
(
ぎは
)
を、
我
(
わ
)
が
家
(
いへ
)
を
逃出
(
にげで
)
たまゝの
土手
(
どて
)
の
向越
(
むかうご
)
しに
見
(
み
)
たが、
黒煙
(
くろけむり
)
は、
殘月
(
ざんげつ
)
の
下
(
した
)
に
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
▼ もっと見る
然
(
しか
)
しお
品
(
しな
)
が
死
(
し
)
んだ
時
(
とき
)
野田
(
のだ
)
への
立
(
た
)
ち
際
(
ぎは
)
がよくなかつたことを
彼自身
(
かれじしん
)
の
心
(
こゝろ
)
にも
悔
(
く
)
ゆる
處
(
ところ
)
があつたので
強
(
し
)
ひて
厭
(
いや
)
な
勘次
(
かんじ
)
へ
挨拶
(
あいさつ
)
をして
一時
(
いつとき
)
なりとも
肩身
(
かたみ
)
を
狹
(
せま
)
くせねばならないのを
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
而
(
さう
)
して
頭
(
あたま
)
を
冷
(
ひや
)
す
藥
(
くすり
)
と、
桂梅水
(
けいばいすゐ
)
とを
服用
(
ふくよう
)
するやうにと
云
(
い
)
つて、
不好
(
いや
)
さうに
頭
(
かしら
)
を
振
(
ふ
)
つて、
立歸
(
たちかへ
)
り
際
(
ぎは
)
に、もう二
度
(
ど
)
とは
來
(
こ
)
ぬ、
人
(
ひと
)
の
氣
(
き
)
の
狂
(
くる
)
ふ
邪魔
(
じやま
)
を
爲
(
す
)
るにも
當
(
あた
)
らないからとさう
云
(
い
)
つた。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「恭やんの
生
(
は
)
え
際
(
ぎは
)
えい生え際やえな。富士額えな。妾のと変つて居たらよかつた。」
世の中へ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
其子
(
そのこ
)
も
昨年
(
さくねん
)
の
暮
(
くれ
)
チプスに
懸
(
かゝ
)
つて
死
(
し
)
んださうに
聞
(
きゝ
)
ました、
女
(
をんな
)
はませな
物
(
もの
)
ではあり、
死
(
し
)
ぬ
際
(
ぎは
)
には
定
(
さだ
)
めし
父樣
(
とゝさん
)
とか
何
(
なん
)
とか
言
(
い
)
ふたので
御座
(
ござ
)
りましよう、
今年
(
ことし
)
居
(
ゐ
)
れば五つになるので
御座
(
ござ
)
りました
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
貸
(
かし
)
遣
(
つかは
)
したるが
着替
(
きかゆ
)
る時に
一寸
(
ちよつ
)
と見し
懷中
(
ふところ
)
の金は七八百兩と
白眼
(
にらん
)
だ大膳が
眼力
(
がんりき
)
はよも
違
(
たが
)
ふまじ
明朝
(
みやうてう
)
まで
休息
(
きうそく
)
させ明日は
道案内
(
みちあんない
)
に途中まで
連出
(
つれだ
)
して
別
(
わか
)
れ
際
(
ぎは
)
に只一刀
大
(
だい
)
まいの金は手を
濡
(
ぬら
)
さずと語る聲を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
恐れ乍ら、御墨附と短刀は、此御屋敷の中にあるに相違御座いません、——御屋敷中の物で、私
奴
(
め
)
の調べの屆かない品と申せば、殿樣御出發
際
(
ぎは
)
錠前をおろされた御手元の御用箪笥だけで御座います。
銭形平次捕物控:035 傀儡名臣
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
発
(
た
)
ち
際
(
ぎは
)
のあわたゞしさの中でも、彼を思ひ、是を思ひ、時に
朦朧
(
もうろう
)
とした、時に
炳焉
(
へいえん
)
とした悲しみに胴を顫ひ立たせ
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
勿論其の住民の階級職業によつて路地は
種々
(
しゆ/″\
)
異つた体裁をなしてゐる。日本橋
際
(
ぎは
)
の
木原店
(
きはらだな
)
は
軒並
(
のきなみ
)
飲食店の
行灯
(
あんどう
)
が出てゐる処から今だに
食傷新道
(
しよくしやうじんみち
)
の名がついてゐる。
路地
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
今
(
いま
)
別
(
わか
)
れ
際
(
ぎは
)
に
声
(
こゑ
)
を
懸
(
か
)
けられたので、
先方
(
むかう
)
は
道中
(
だうちう
)
の
商売人
(
しやうばいにん
)
と
見
(
み
)
たゞけに、まさかと
思
(
おも
)
つても
気迷
(
きまよひ
)
がするので、
今朝
(
けさ
)
も
立
(
た
)
ちぎはによく
見
(
み
)
て
来
(
き
)
た、
前
(
まへ
)
にも
申
(
まを
)
す、
其
(
そ
)
の
図面
(
づめん
)
をな
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
やがて又動く気になつたので腰を
上
(
あ
)
げて、立ちながら、靴の
踵
(
かゝと
)
を向け直すと、岡の
上
(
のぼ
)
り
際
(
ぎは
)
の、
薄
(
うす
)
く色づいた
紅葉
(
もみぢ
)
の
間
(
あひだ
)
に、
先刻
(
さつき
)
の女の影が見えた。
並
(
なら
)
んで岡の
裾
(
すそ
)
を通る。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「そんなこといはねえで
幾
(
いく
)
つでも
取
(
と
)
つて
置
(
お
)
けよ、
癒
(
なほ
)
り
際
(
ぎは
)
が
氣
(
き
)
を
附
(
つ
)
けねえぢやえかねえもんだから」
勘次
(
かんじ
)
は
漬菜
(
つけな
)
の
手
(
て
)
を
放
(
はな
)
して
檐下
(
のきした
)
へ
來
(
き
)
た。
手
(
て
)
も
足
(
あし
)
も
茹
(
ゆ
)
でたやうに
赤
(
あか
)
くなつて
居
(
ゐ
)
る。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
我
(
わ
)
れは
知
(
し
)
らねど
胸
(
むね
)
にや
刻
(
きざ
)
まれし
學士
(
がくし
)
が
言
(
い
)
ひし
詞
(
ことば
)
一
言
(
ごん
)
半句
(
はんく
)
も
忘
(
わす
)
れず、
歸
(
かへ
)
り
際
(
ぎは
)
は
此袖
(
このそで
)
をかく
捉
(
と
)
らへて
待
(
ま
)
つとし
聞
(
き
)
かば
今
(
いま
)
かへり
來
(
こ
)
んと
笑
(
わら
)
ひながらに
仰
(
おほ
)
せられし
被
(
あ
)
のお
聲
(
こゑ
)
も
最
(
も
)
う
聞
(
き
)
くことは
出來
(
でき
)
ず
経つくゑ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
唯
(
ト
)
、
其
(
そ
)
の
橋
(
はし
)
の
向
(
むか
)
う
際
(
ぎは
)
に、
淺
(
あさ
)
い
岸
(
きし
)
の
流
(
ながれ
)
に
臨
(
のぞ
)
んで、
束
(
たば
)
ね
髮
(
がみ
)
の
襟許
(
えりもと
)
白
(
しろ
)
く、
褄端折
(
つまはしよ
)
りした
蹴出
(
けだ
)
しの
薄
(
うす
)
ら
蒼
(
あを
)
いのが、
朦朧
(
もうろう
)
として
其處
(
そこ
)
に
俯向
(
うつむ
)
いて
菜
(
な
)
を
洗
(
あら
)
ふ、と
見
(
み
)
た。
其
(
そ
)
の
菜
(
な
)
が
大根
(
だいこん
)
の
葉
(
は
)
とは
違
(
ちが
)
ふ。
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
与次郎と敷居
際
(
ぎは
)
で
擦
(
す
)
れ
違
(
ちが
)
つて、原口さんが這入つて
来
(
き
)
た。原口さんは仏蘭西式の
髭
(
ひげ
)
を
生
(
は
)
やして、
頭
(
あたま
)
を五分刈にした、脂肪の多い男である。野々宮さんより
年
(
とし
)
が二つ三つ
上
(
うへ
)
に見える。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
その子も昨年の暮チプスに懸つて死んださうに聞ました、女はませな物ではあり、死ぬ
際
(
ぎは
)
には定めし
父様
(
ととさん
)
とか何とか言ふたので御座りましよう、今年居れば五つになるので御座りました
十三夜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
婦同士
(
をんなどうし
)
も
見惚
(
みと
)
れたげで、
前
(
まへ
)
へ
𢌞
(
まは
)
り、
背後
(
うしろ
)
で
視
(
なが
)
め、
姿見
(
すがたみ
)
に
透
(
す
)
かして、
裸身
(
はだか
)
のまゝ、つけまはいて、
黒子
(
ほくろ
)
が
一
(
ひと
)
つ、
左
(
ひだり
)
の
乳
(
ちゝ
)
の、
白
(
しろ
)
いつけ
際
(
ぎは
)
に、ほつりとある
事
(
こと
)
まで、よう
知
(
し
)
つたと
云
(
い
)
ふ
話
(
はなし
)
。
三人の盲の話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
莊子
(
さうし
)
が
蝶
(
てふ
)
の
夢
(
ゆめ
)
といふ
世
(
よ
)
に
義理
(
ぎり
)
や
誠
(
まこと
)
は
邪魔
(
じやま
)
くさし
覺
(
さ
)
め
際
(
ぎは
)
まではと
引
(
ひき
)
しむる
利慾
(
りよく
)
の
心
(
こゝろ
)
の
秤
(
はかり
)
には
黄金
(
こがね
)
といふ
字
(
じ
)
に
重
(
おも
)
りつきて
増
(
ま
)
す
寶
(
たから
)
なき
子寶
(
こだから
)
のうへも
忘
(
わす
)
るゝ
小利
(
せうり
)
大損
(
だいそん
)
いまに
初
(
はじ
)
めぬ
覆車
(
ふくしや
)
のそしりも
我
(
わ
)
が
梶棒
(
かぢぼう
)
には
心
(
こゝろ
)
もつかず
握
(
にぎ
)
つて
放
(
はな
)
さぬ
熊鷹主義
(
くまたかしゆぎ
)
に
理窟
(
りくつ
)
はいつも
筋違
(
すぢちがひ
)
なる
内神田
(
うちかんだ
)
連雀町
(
れんじやくちやう
)
とかや
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
後
(
のち
)
に——
丸山
(
まるやま
)
福山町
(
ふくやまちやう
)
に、はじめて
一葉女史
(
いちえふぢよし
)
を
訪
(
たづ
)
ねた
歸
(
かへ
)
り
際
(
ぎは
)
に、
襟
(
えり
)
つき、
銀杏返
(
いてふがへ
)
し、
前垂掛
(
まへだれがけ
)
と
云
(
い
)
ふ
姿
(
すがた
)
に、
部屋
(
へや
)
を
送
(
おく
)
られて
出
(
で
)
ると、
勝手元
(
かつてもと
)
から、
島田
(
しまだ
)
の十八九、
色白
(
いろじろ
)
で、
脊
(
せ
)
のすらりとした
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
際
常用漢字
小5
部首:⾩
14画
“際”を含む語句
交際
水際
際涯
際限
実際
額際
水際立
間際
際立
生際
空際
出際
人交際
手際
壁際
死際
分際
瀬戸際
山際
溝際
...