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隅
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すみ
ふりがな文庫
“
隅
(
すみ
)” の例文
広い室内の
隅
(
すみ
)
の方へ、
背後
(
うしろ
)
に三角の
空
(
くう
)
を残して、ドカリと、
傍床
(
わきどこ
)
の前に
安坐
(
あんざ
)
を組んだのは、
箏
(
こと
)
の、
京極
(
きょうごく
)
流を創造した鈴木
鼓村
(
こそん
)
だった。
朱絃舎浜子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
夜
(
よる
)
もうっかり
流
(
なが
)
しの
下
(
した
)
や、
台所
(
だいどころ
)
の
隅
(
すみ
)
に
食
(
た
)
べ
物
(
もの
)
をあさりに出ると、
暗
(
くら
)
やみに目が
光
(
ひか
)
っていて、どんな目にあうか
分
(
わ
)
からなくなりました。
猫の草紙
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
ろうをぬったひげだるまの目は、むこうの
隅
(
すみ
)
でぴかぴか光っているし、すさのおのみことは刀を
抜
(
ぬ
)
いて八頭の
大蛇
(
だいじゃ
)
を切っていました。
清造と沼
(新字新仮名)
/
宮島資夫
(著)
「もうおしまひだ、もうおしまひだ、望遠鏡、望遠鏡、望遠鏡」と狐は一心に頭の
隅
(
すみ
)
のとこで考へながら夢のやうに走ってゐました。
土神と狐
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
世に越後の
七不思議
(
なゝふしぎ
)
と
称
(
しよう
)
する其一ツ
蒲原郡
(
かんばらこほり
)
妙法寺村の
農家
(
のうか
)
炉中
(
ろちゆう
)
の
隅
(
すみ
)
石臼
(
いしうす
)
の
孔
(
あな
)
より
出
(
いづ
)
る火、人
皆
(
みな
)
奇
(
き
)
也として
口碑
(
かうひ
)
につたへ
諸書
(
しよしよ
)
に
散見
(
さんけん
)
す。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
▼ もっと見る
部屋の
隅
(
すみ
)
にころがされて、泣き叫ぶ赤児の声も耳にはいらないのか、一日じゅう寝そべったまま、
天床
(
てんじょう
)
か壁をぼんやりと
眺
(
なが
)
めていた。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
なあお
隅
(
すみ
)
、お豊がこう
化粧
(
おつくり
)
した所は随分
別嬪
(
べっぴん
)
だな。色は白し——
姿
(
なり
)
はよし。
内
(
うち
)
じゃそうもないが、外に出りゃちょいとお世辞もよし。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
いつか散歩のついでに町の花屋で買って来たサイネリヤが、雑誌や手紙や原稿紙の散らばった
卓子
(
テイブル
)
の
隅
(
すみ
)
に、
侘
(
わび
)
しく
萎
(
しお
)
れかかっていた。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
さうして
座敷
(
ざしき
)
の
隅
(
すみ
)
に
居
(
ゐ
)
た
瞽女
(
ごぜ
)
が
代
(
かは
)
つて
三味線
(
さみせん
)
の
袋
(
ふくろ
)
をすつと
扱
(
こ
)
きおろした
時
(
とき
)
巫女
(
くちよせ
)
は
荷物
(
にもつ
)
の
箱
(
はこ
)
を
脊負
(
しよ
)
つて
自分
(
じぶん
)
の
泊
(
とま
)
つた
宿
(
やど
)
へ
歸
(
かへ
)
つて
行
(
い
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
雅楽所を出る時は、それがほんのつけたりになってしまった。自分はいよいよ彼に別れる
間際
(
まぎわ
)
になって、始めて
四
(
よ
)
つ
角
(
かど
)
の
隅
(
すみ
)
に立った。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
一体
(
いつたい
)
東海道
(
とうかいだう
)
掛川
(
かけがは
)
の
宿
(
しゆく
)
から
同
(
おなじ
)
汽車
(
きしや
)
に
乗
(
の
)
り
組
(
く
)
んだと
覚
(
おぼ
)
えて
居
(
ゐ
)
る、
腰掛
(
こしかけ
)
の
隅
(
すみ
)
に
頭
(
かうべ
)
を
垂
(
た
)
れて、
死灰
(
しくわい
)
の
如
(
ごと
)
く
控
(
ひか
)
へたから
別段
(
べつだん
)
目
(
め
)
にも
留
(
と
)
まらなかつた。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
天井はエナメル塗りの打ち出しブリキ板で張られ、床は質の好い瀬戸物で敷きつめられてゐた。東の
隅
(
すみ
)
には古びた上流しが附いてゐた。
アリア人の孤独
(新字旧仮名)
/
松永延造
(著)
東京あたりでも
隅
(
すみ
)
のことを隅ッコといい、うんコ・しッコなどと語尾のコを附ける場合が少くないが、東北地方にはことにそれが多い。
春雪の出羽路の三日
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
認めあれはと問えば今が若手の売出し秋子とあるをさりげなく
肚
(
はら
)
にたたみすぐその翌晩月の
出際
(
でぎわ
)
に
隅
(
すみ
)
の
武蔵野
(
むさしの
)
から名も因縁づくの秋子を
かくれんぼ
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
先生と高瀬と一緒にその室へ行った時は、大尉は
隅
(
すみ
)
のところに大きな机を控えていた。高瀬は、大尉とは既に近づきに成っていた。
岩石の間
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
きつとその辺の
隅
(
すみ
)
つこにうち倒れて、口から
泡
(
あわ
)
を吹いてゐるのだらう。ひよつとすると、もう死んじまつてゐるかも知れない……。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
下
(
した
)
には
小石
(
こいし
)
が一
面
(
めん
)
に
敷詰
(
しきづ
)
めてある。
天井
(
てんぜう
)
の
高
(
たか
)
さは
中央部
(
ちうわうぶ
)
は五
尺
(
しやく
)
四
寸
(
ずん
)
あるが。
蒲鉾式
(
かまぼこしき
)
に
圓
(
まる
)
く
張
(
は
)
つて
居
(
ゐ
)
るので、四
隅
(
すみ
)
はそれより
自然
(
しぜん
)
に
低
(
ひく
)
い。
探検実記 地中の秘密:29 お穴様の探検
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
大きい古い
欅
(
けやき
)
の樹と松の樹とが蔽い冠さって、左の
隅
(
すみ
)
に
珊瑚樹
(
さんごじゅ
)
の大きいのが
繁
(
しげ
)
っていた。処々の常夜燈はそろそろ光を放ち始めた。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
僕はいまだに泣き声を絶たない
雌
(
めす
)
の
河童
(
かっぱ
)
に同情しましたから、そっと肩を
抱
(
かか
)
えるようにし、
部屋
(
へや
)
の
隅
(
すみ
)
の
長椅子
(
ながいす
)
へつれていきました。
河童
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その代り、日中でもよく何かにつまずいて、のめる程暗い
隅
(
すみ
)
に転がったまま、その漁夫がうなっているのを、何日も何日も聞かされた。
蟹工船
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
この相談を受けた時、二葉亭の頭の
隅
(
すみ
)
ッコにマダ
三馬
(
さんば
)
か
春水
(
しゅんすい
)
の血が残ってるんじゃないかと、内心成功を危ぶまずにはいられなかった。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
なんという俳優か名前はわからなかったが角帯をしめた四十歳前後の相当の幹部らしいひとが二人、部屋の
隅
(
すみ
)
の
籐椅子
(
とういす
)
に腰かけていた。
正義と微笑
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
そう
思
(
おも
)
えばますます
居堪
(
いたま
)
らず、
衝
(
つ
)
と
立
(
た
)
って
隅
(
すみ
)
から
隅
(
すみ
)
へと
歩
(
ある
)
いて
見
(
み
)
る。『そうしてからどうする、ああ
到底
(
とうてい
)
居堪
(
いたたま
)
らぬ、こんな
風
(
ふう
)
で一
生
(
しょう
)
!』
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
女は激しい
痙攣
(
けいれん
)
でも起したかのように、
顫
(
ふる
)
える手にいきなり鶴見の見ていた本を取り上げて、引き破って、座敷の
隅
(
すみ
)
に放りやった。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
寅彦のファンは日本中にたくさんあって、先生の全集は
隅
(
すみ
)
から隅まで、何回となく繰り返して読んだという熱心な人がよくある。
天災は忘れた頃来る
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
そしてどこかもぐり込む
隅
(
すみ
)
でもないかと、きょろきょろ探し廻ってるうちに、ある立派な
帽子屋
(
ぼうしや
)
の店が閉め残されてるのを見つけました。
不思議な帽子
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
「今晩あたり来ようものなら、ひと打ちだ」と、台所の
隅
(
すみ
)
で鼻の
端
(
さき
)
を赤くして、おしきせの酒をちびりちびりとやる
僕
(
げなん
)
もあった。
女賊記
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
それよりか、これまでの学校でやって来た白鳥会の気持ちを、塾の共同生活の
隅
(
すみ
)
から隅まで生かす、といったほうが
呑
(
の
)
みこみやすいかね。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
灰及び燒け木は
竪穴
(
たてあな
)
の
隅
(
すみ
)
より出づる事有り、
又
(
また
)
貝塚の中より出づる事有り。
飮食物
(
いんしよくぶつ
)
の
煮焚
(
にた
)
きは屋内にても爲し又屋外にても爲せしが如し。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
アントアネットは車室の向こう
隅
(
すみ
)
にすわり、窓の方を向いて、黙って涙を流した。彼らは三人とも同じ理由で泣いているのではなかった。
ジャン・クリストフ:08 第六巻 アントアネット
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
たとへ汝は世界の涯より涯まで歩めばとて、すべてのものは無なり。たとへ汝の家の
隅
(
すみ
)
に止まりたればとて、すべて在るものはみな無なり
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
このとき
若
(
も
)
し地下室を
覗
(
のぞ
)
いていた者があったとしたら、
隅
(
すみ
)
に
積
(
つ
)
んだ
空樽
(
あきだる
)
の山がすこし変に
捩
(
ね
)
じれているのに気がついたであろう。
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
室の
隅
(
すみ
)
に一つの
瓶
(
かめ
)
があって
佳
(
よ
)
い酒を貯えてあったので、それを取って飲んだが、すこしすくなくなると渓の水を汲んで入れた。
翩翩
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
二室
(
ふたしつ
)
を打抜いた広間には、一列にデスクが並んで、十数名の男女が事務を
執
(
と
)
っている。北川は、その一方の
隅
(
すみ
)
のタイピスト達の席を眺めた。
五階の窓:01 合作の一(発端)
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
『
私
(
わたし
)
は
是非
(
ぜひ
)
怠惰屋
(
なまけや
)
になるのだ、
是非
(
ぜひ
)
なるのだ』と
言張
(
いひは
)
つて
聽
(
き
)
かない。
櫻
(
さくら
)
の
皮
(
かは
)
を
剥
(
む
)
くどころか、
家
(
いへ
)
の
隅
(
すみ
)
の
方
(
はう
)
へすつこんで
了
(
しま
)
つて
茫然
(
ぼんやり
)
して居る。
怠惰屋の弟子入り
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
かくして、お前は心の
隅
(
すみ
)
に容易ならぬ矛盾と、不安と、情なさとを感じながら、
益〻
(
ますます
)
高く
虚妄
(
きょもう
)
なバベルの塔を登りつめて行こうとするのだ。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
鼠はその間に
襖
(
ふすま
)
を伝わって天井の
隅
(
すみ
)
の壁のくずれの穴へ入ってしまいましたが、郁太郎の泣き声は五臓から
絞
(
しぼ
)
り出すようです。
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
土佐の山村でも、
隅葺
(
すみふ
)
きさんというただ一人の屋根葺き職を頼み、
隅
(
すみ
)
のむつかしい仕事だけを引受けてもらうことにしていた。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「どうか、平和で、静かで、風にも散らぬ樹となり、花を結ぶよう——」母性のうれいを眸にこめて、隣の室の
隅
(
すみ
)
をながめた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ニヤリと
笑
(
わら
)
った
松
(
まつ
)
五
郎
(
ろう
)
が、
障子
(
しょうじ
)
の
隅
(
すみ
)
へ、まるくなった
時
(
とき
)
だった。
藤吉
(
とうきち
)
に
案内
(
あんない
)
されたおこのの
姿
(
すがた
)
が、
影絵
(
かげえ
)
のように
縁先
(
えんさき
)
へ
現
(
あらわ
)
れた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
身屋
(
むや
)
の
贄殿
(
にえどの
)
の二つの
隅
(
すみ
)
には松明が燃えていた。一人の
膳夫
(
かしわで
)
は松明の
焔
(
ほのお
)
の上で、鹿の骨を
焙
(
あぶ
)
りながら明日の運命を占っていた。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
「あなたがもう少し落着かれるまでは。部屋の向うの
隅
(
すみ
)
に行ってください、あすこなら私たちの話すことが聞えませんから」
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
彼は久し振りに学校へ出掛けて行く中学生のようであったが、その昔の中学生がまだ根強く心の
隅
(
すみ
)
に
蔓
(
はびこ
)
っているのであった。
冬日記
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
「殿様は今お帰りになるではありませんか。どこの
隅
(
すみ
)
にはいっておいでになったのでしょう。あのお年になって
浮気
(
うわき
)
はおやめにならない方ね」
源氏物語:21 乙女
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
幸
(
さいはひ
)
に
美吉屋
(
みよしや
)
の家には、
坤
(
ひつじさる
)
の
隅
(
すみ
)
に
離座敷
(
はなれざしき
)
がある。
周囲
(
まはり
)
は
小庭
(
こには
)
になつてゐて、
母屋
(
おもや
)
との間には、小さい戸口の附いた
板塀
(
いたべい
)
がある。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
或庭の光景で、
其処
(
そこ
)
の紅梅はもう散ってしまったが、その頃庭の
隅
(
すみ
)
には連翹がもう黄色い花をつけていた、というのである。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
森要人先生は、その女学校でもたいした重要なひとでもないらしく、朝礼の時間でも、庭の
隅
(
すみ
)
に呆んやり立っていられた。
私の先生
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
私はゆうべこのホテルに着くなりすぐ目に入れたところの、廊下の
隅
(
すみ
)
にほうり出されていた、
錆
(
さ
)
びかかったようなタイプライタアを思い出した。
旅の絵
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
「さア、親分何うです、中が死んで、
隅
(
すみ
)
が死んで、目のあるのは幾つもありませんぜ。——今更
征
(
しちやう
)
の當りなんか打つたつて追つ付くもんですか」
銭形平次捕物控:022 名馬罪あり
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
隣の物干しの暗い
隅
(
すみ
)
でガサガサという音が聞こえる。セキセイだ。小鳥が
流行
(
はや
)
った時分にはこの町では
怪我人
(
けがにん
)
まで出した。
交尾
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
隅
常用漢字
中学
部首:⾩
12画
“隅”を含む語句
一隅
隅々
隅田
片隅
隅田川
隅隅
四隅
大隅
大隅守
大隅流
夷隅
隅田堤
二隅
辺隅
隅柱
室隅
隅々隈々
隅棚
海隅
八隅知之
...