トップ
>
芙蓉
>
ふよう
ふりがな文庫
“
芙蓉
(
ふよう
)” の例文
今になつて思へば白
芙蓉
(
ふよう
)
のやうな感じの女だつた大田ノ王女が、病身ながらまだ存命で、正妃であつてくれた頃はまだしもよかつた。
鸚鵡:『白鳳』第二部
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
白馬は
疎林
(
そりん
)
の細道を西北へ向ってまっしぐらに駆けて行った。秋風に舞う木の葉は、鞍上の
劉備
(
りゅうび
)
と
芙蓉
(
ふよう
)
の影を、
征箭
(
そや
)
のようにかすめた。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
繼
(
つぎ
)
て
御小姓組
(
おこしやうぐみ
)
と
成
(
なる
)
勤仕
(
きんし
)
の
功
(
こう
)
を
顯
(
あらは
)
し
有章公
(
いうしやうこう
)
の御代に
御徒頭
(
おかちがしら
)
となり其後伊勢山田
奉行
(
ぶぎやう
)
仰付られ初て
芙蓉
(
ふよう
)
の
間
(
ま
)
御役人の
列
(
れつ
)
に入りけるなり
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
今日
(
けふ
)
の
如
(
ごと
)
く
浪路
(
なみぢ
)
穩
(
おだや
)
かに、
頓
(
やが
)
て
相
(
あひ
)
共
(
とも
)
に
※去
(
くわこ
)
の
平安
(
へいあん
)
を
祝
(
いは
)
ひつゝ
芙蓉
(
ふよう
)
の
峯
(
みね
)
を
仰
(
あふ
)
ぐ
事
(
こと
)
が
出來
(
でき
)
るやうにと
只管
(
ひたすら
)
天
(
てん
)
に
祈
(
いの
)
るの
他
(
ほか
)
はないのである。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
甲斐は暗い庭を見やりながら、今年はまだ
芙蓉
(
ふよう
)
が咲かないな、と思った。その庭の芙蓉はいつも、よそよりもずっと早く咲いた。
樅ノ木は残った:03 第三部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
▼ もっと見る
こっちの
手水鉢
(
ちょうずばち
)
の
側
(
かたわら
)
にある
芙蓉
(
ふよう
)
は、もう花が
疎
(
まばら
)
になったが、向うの、
袖垣
(
そでがき
)
の外に植えた
木犀
(
もくせい
)
は、まだその甘い匂いが衰えない。
戯作三昧
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
萩に、ススキに、
芙蓉
(
ふよう
)
が咲いて、昼の虫が、絶え絶えに鳴く。いわゆる造庭の法則を無視して、しかも無限の味わいがあった。
胡堂百話
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
唐物
(
からもの
)
の
籠
(
かご
)
に
芙蓉
(
ふよう
)
に
桔梗
(
ききょう
)
刈萱
(
かるかや
)
など秋草を十分に
活
(
い
)
けまして、床脇の棚
等
(
とう
)
にも結構な飛び青磁の
香炉
(
こうろ
)
がございまして、左右に
古代蒔絵
(
こだいまきえ
)
の料紙箱があります。
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
また紅い
芙蓉
(
ふよう
)
や黄のカンナを、妻と二人の子を、その一人は生れてやっと一と月にしかならぬ
篁子
(
こうこ
)
のことを
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
纔
(
わず
)
かに
築山
(
つきやま
)
の蔭に貧弱な
芙蓉
(
ふよう
)
が咲いているのと、シュトルツ邸の境界寄りに、
一叢
(
ひとむら
)
の
白萩
(
しらはぎ
)
がしなだれている外には、今は格別人眼を
惹
(
ひ
)
くような色どりもない。
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
芭蕉
(
ばしょう
)
、
芙蓉
(
ふよう
)
、
萩
(
はぎ
)
、
野菊
(
のぎく
)
、
撫子
(
なでしこ
)
、
楓
(
かえで
)
の枝。雨に打たれる
種々
(
いろいろ
)
な植物は、それぞれその枝や茎の強弱に従って
或
(
ある
)
ものは地に伏し或ものはかえって高く
反
(
そ
)
り返ります。
監獄署の裏
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
狭いが、
群集
(
ぐんじゅ
)
の
夥
(
おびただ
)
しい町筋を、斜めに
奴
(
やっこ
)
を連れて帰る——
二個
(
ふたつ
)
、
前後
(
あとさき
)
にすっと並んだ薄色の
洋傘
(
こうもり
)
は、大輪の
芙蓉
(
ふよう
)
の
太陽
(
ひ
)
を浴びて、冷たく輝くがごとくに見えた。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
大変
窶
(
やつ
)
れていたけれど美しい人の窶れたのは
芙蓉
(
ふよう
)
に雨が
懸
(
か
)
かったようなものでその美しさを二倍にする。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
風雅な屋根付きの門のなかには、
芙蓉
(
ふよう
)
のほの白く咲いているのが夕闇の底から浮いているように見えた。
両国の秋
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そして、彼女等の視線は、あからめもせず、半開きにした銀扇で、横がおを
蔽
(
かく
)
すようにした雪之丞の、白く匂う
芙蓉
(
ふよう
)
の花のようなおもばせにそそがれているのだ。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
と正三君はあやまりながら
抱
(
だ
)
きおこした。
照彦
(
てるひこ
)
様は
刺繍台
(
ししゅうだい
)
をつぶしたことに気がつくと、正三君を突きのけて逃げていった。ご
丹精
(
たんせい
)
の
芙蓉
(
ふよう
)
が
落花狼藉
(
らっかろうぜき
)
になっている。
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
瑠璃
(
るり
)
色なる不二の
翅脈
(
しみやく
)
なだらかに、
絮
(
じよ
)
の如き積雪を
膚
(
はだへ
)
の衣に
著
(
つ
)
けて、
悠々
(
いう/\
)
と天空に
伸
(
の
)
ぶるを仰ぐに、絶高にして
一朶
(
いちだ
)
の
芙蓉
(
ふよう
)
、人間の光学的分析を許さゞる天色を
佩
(
お
)
ぶ
霧の不二、月の不二
(新字旧仮名)
/
小島烏水
(著)
そうして
梨
(
なし
)
を作り、墨絵をかきなぐり、めりやすを着用し、
午
(
ひる
)
の貝をぶうぶうと鳴らし、
茣蓙
(
ござ
)
に
寝
(
い
)
ね、
芙蓉
(
ふよう
)
の散るを賞し、そうして
水前寺
(
すいぜんじ
)
の吸い物をすするのである。
連句雑俎
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
大目付は
芙蓉
(
ふよう
)
の間詰、禄は三千石、相役四人ともに旗本ばかりで、時には老中の耳目となり、時にはまた、将軍家の耳目となり、大名旗本の
行状素行
(
ぎょうじょうそこう
)
にわたる事から
旗本退屈男:11 第十一話 千代田城へ乗り込んだ退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
曇る
鑑
(
かがみ
)
の霧を含みて、
芙蓉
(
ふよう
)
に
滴
(
した
)
たる音を
聴
(
き
)
くとき、
対
(
むか
)
える人の身の上に危うき事あり。
砉然
(
けきぜん
)
と
故
(
ゆえ
)
なきに響を起して、白き筋の横縦に鏡に浮くとき、その人
末期
(
まつご
)
の覚悟せよ。
薤露行
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
二十分の後此
楽屋
(
がくや
)
から現われ出た
花嫁君
(
はなよめぎみ
)
を見ると、秋草の
裾模様
(
すそもよう
)
をつけた
淡紅色
(
ときいろ
)
絽
(
ろ
)
の晴着で、今咲いた
芙蓉
(
ふよう
)
の花の様だ。花婿も黒絽紋付、仙台平の袴、
凜
(
りゅう
)
として座って居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
ホースで水を
撒
(
ま
)
いたり、
鍬
(
くわ
)
やシャベルを持ち出して、
萩
(
はぎ
)
や
芙蓉
(
ふよう
)
の植え替えをしたり、
薔薇
(
ばら
)
やダリヤの手入れをしていると、老いた孤独の姿がますます侘しく心に反映して来て
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
これは
芙蓉
(
ふよう
)
の花の形をしてるという湖のそのひとつの花びらのなかにある住む人もない小島である。この山国の湖には夏がすぎてからはほとんど日として嵐の吹かぬことがない。
島守
(新字新仮名)
/
中勘助
(著)
海はなめらかにひろがり、はるか水平線の上に白くうかぶは
芙蓉
(
ふよう
)
の峰、——富士山だ。
昭和遊撃隊
(新字新仮名)
/
平田晋策
(著)
名ばかりの垣根で、育ちのわるい貧弱なマサキがまばらに立っているだけだが、その前の
芙蓉
(
ふよう
)
が、いまをさかりと咲きほこっているので、花の陰になって、ひとのすがたは見えない。
あなたも私も
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
僕は、無念の心が未だ晴れず、そんな物を飲む気になれぬので、一人車房に残つた。
暫
(
しばら
)
くして車房をいで、
藪
(
やぶ
)
の方に小便をしに行くと、そこに日本にあるやうな白
芙蓉
(
ふよう
)
が咲いてゐる。
ヴエスヴイオ山
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
芙蓉
(
ふよう
)
、古木の
高野槇
(
かうやまき
)
、山茶花、萩、蘭の鉢、大きな自然石、むくむくと盛上つた
青苔
(
あをごけ
)
、
枝垂桜
(
しだれざくら
)
、黒竹、
常夏
(
とこなつ
)
、
花柘榴
(
はなざくろ
)
の大木、それに水の近くには
鳶尾
(
いちはつ
)
、其他のものが、程よく
按排
(
あんばい
)
され
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
それは
芙蓉
(
ふよう
)
の花のように美しい中にも、清楚な趣のあった女のように思われる。
愛卿伝
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
犬山
道節
(
どうせつ
)
が森鴎外で、色は黒、花では
紫苑
(
しおん
)
。
犬飼現八
(
いぬかいげんぱち
)
は森田思軒で、紫に
猿猴杉
(
えんこうすぎ
)
。犬塚
信乃
(
しの
)
が尾崎紅葉で
緋色
(
ひいろ
)
と
芙蓉
(
ふよう
)
。犬田
小文吾
(
こぶんご
)
が幸田露伴、栗とカリン。大法師が坪内逍遥で白とタコ。
田沢稲船
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
芙蓉
(
ふよう
)
の
花
(
はな
)
が
清々
(
すがすが
)
しくも
色
(
いろ
)
を
染
(
そ
)
めて、
西
(
にし
)
の
空
(
そら
)
に
澄
(
す
)
み
渡
(
わた
)
った
富岳
(
ふがく
)
の
雪
(
ゆき
)
に
映
(
は
)
えていた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
さっきお蓮様が丹精していると言った、うす紅色の
芙蓉
(
ふよう
)
の花は、無残に散り敷いている。それは、いまのお蓮様の姿のように、憐れにも同情すべきものとして、源三郎の眼に映ったのでした。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
下界から見る
芙蓉
(
ふよう
)
の峯とは思いもつかぬような醜い形と色とをしていた。
富士登山
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
その
春
(
はる
)
来
(
きた
)
るごとに余に永遠希望の雅歌を歌いくれし
比翼
(
ひよく
)
を
(
ママ
)
有する森林の親友も、その菊花
香
(
かんば
)
しき頃
巍々
(
ぎぎ
)
として千秋に
聳
(
そび
)
え常に余に愛国の情を喚起せし
芙蓉
(
ふよう
)
の山も、余が愛するものの失せてより
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
芙蓉
(
ふよう
)
の葉は舌を垂らす。
智恵子抄
(新字旧仮名)
/
高村光太郎
(著)
花の色——
芙蓉
(
ふよう
)
の
萎
(
しな
)
へ
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
芙蓉
(
ふよう
)
を
前
(
さき
)
の身とすれば
若菜集
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
芙蓉
(
ふよう
)
の花の
雨情民謡百篇
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
芙蓉
(
ふよう
)
の
花
(
はな
)
の
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
さあれ、その艶姿は、
海棠
(
かいどう
)
が持ち前の色を燃やし、
芙蓉
(
ふよう
)
が葉陰に
棘
(
とげ
)
を持ったようでなお悩ましい。いってみれば、これや
裏店
(
うらだな
)
の
楊貴妃
(
ようきひ
)
ともいえようか。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
風呂屋で水を浴び、庭へ出てまだほの暗い光りのなかで、枯れたままの、萩や
芒
(
すすき
)
や
芙蓉
(
ふよう
)
などを、根から刈ったり、父の好きな、白桃の枝をおろしたりした。
竹柏記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
権堂と呼ばれた
乞食体
(
こじきてい
)
の男は、橋の上へ、ヘタヘタと坐ると、その上へ美しい娘の土岐子は、
崩折
(
くずお
)
れた
芙蓉
(
ふよう
)
の花のように、気を
喪
(
うしな
)
って倒れてしまいました。
悪人の娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
無論
(
むろん
)
、
妻
(
つま
)
は
大佐
(
たいさ
)
の
病氣
(
びやうき
)
次第
(
しだい
)
で
早
(
はや
)
かれ
遲
(
おそ
)
かれ
歸
(
かへ
)
つて
來
(
き
)
ますが、
兒
(
こ
)
は
永
(
なが
)
く/\——
日本帝國
(
につぽんていこく
)
の
天晴
(
あつぱ
)
れ
軍人
(
ぐんじん
)
として
世
(
よ
)
に
立
(
た
)
つまでは、
芙蓉
(
ふよう
)
の
峯
(
みね
)
の
麓
(
ふもと
)
を
去
(
さ
)
らせぬ
積
(
つもり
)
です。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
扨
(
さて
)
又大岡越前守には
明六
(
あけむつ
)
のお太鼓を
相※
(
あひづ
)
に登城なされしが
早
(
はや
)
伊豆守殿には登城ありて
芙蓉
(
ふよう
)
の
間
(
ま
)
に
控
(
ひかへ
)
給ひ伊勢守と何か
物語
(
ものがた
)
りの樣子なれば越前守には高木伊勢守を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
留南奇
(
とめき
)
の
薫
(
かおり
)
馥郁
(
ふくいく
)
として、
振
(
ふり
)
を
溢
(
こぼ
)
るる
縮緬
(
ちりめん
)
も、
緋桃
(
ひもも
)
の燃ゆる春ならず、夕焼ながら
芙蓉
(
ふよう
)
の
花片
(
はなびら
)
、水に冷く映るかと、寂しらしく、独り
悄
(
しお
)
れて
彳
(
たたず
)
んだ、一
人
(
にん
)
の
麗人
(
たおやめ
)
あり。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
朱塗りの
欄干
(
らんかん
)
が
画
(
えが
)
いたように、折れ曲っている
容子
(
ようす
)
なぞでは、中々大きな構えらしい。そのまた欄干の続いた外には、紅い
芙蓉
(
ふよう
)
が
何十株
(
なんじっかぶ
)
も、川の水に影を落している。
奇遇
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
たとえば
四
(
よ
)
つ
目垣
(
めがき
)
でも屋根でも
芙蓉
(
ふよう
)
でも
鶏頭
(
けいとう
)
でも、いまだかつてこれでやや満足だと思うようにかけた事は一度もないのだから、いくらかいてもそれはいつでも新しく
写生紀行
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
その狼藉たる真っ只中に一輪の
芙蓉
(
ふよう
)
が咲き
出
(
い
)
でたように、鳰鳥は端座しているのであった。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「もう
大丈夫
(
だいじょうぶ
)
ですよ。内藤君、見たまえ。
芙蓉
(
ふよう
)
だ。これは花壇のを写生したんだぜ」
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
既ニシテ夕陽林梢ニアリ、
落霞飛鳧
(
らっかひふ
)
、垂柳疎松ノ間ニ
閃閃
(
せんせん
)
タリ。長流ハ
滾滾
(
こんこん
)
トシテ潮ハ満チ石ハ鳴ル。西ニ
芙蓉
(
ふよう
)
ヲ仰ゲバ
突兀万仞
(
とっこつばんじん
)
。東ニ波山ヲ
瞻
(
み
)
レバ
翠鬟
(
すいかん
)
拭フガ如シ。マタ宇内ノ絶観ナリ。
向嶋
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
時の勘定奉行
萩原近江守
(
はぎわらおうみのかみ
)
が、小判の
直吹
(
じかぶ
)
き制度を採用することになり、本郷霊雲寺わきの大根畑(地名)に幕府直属の
吹所
(
ふきどころ
)
(鋳造所)をつくり、諸国の金座人をここへ集め、金座を
芙蓉
(
ふよう
)
の
間詰
(
まづめ
)
顎十郎捕物帳:07 紙凧
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
“芙蓉”の意味
《名詞》
芙 蓉(ふよう)
アオイ科ふよう属の落葉低木。(秋の季語)
ハスの花の別名。(夏の季語)
(出典:Wiktionary)
芙
漢検準1級
部首:⾋
7画
蓉
漢検準1級
部首:⾋
13画
“芙蓉”で始まる語句
芙蓉峰
芙蓉娘
芙蓉間詰
芙蓉城
芙蓉紋
芙蓉花
芙蓉帳裡
芙蓉燈籠