トップ
>
為
>
ため
ふりがな文庫
“
為
(
ため
)” の例文
旧字:
爲
一年と二年とはどうやら無事で、
算盤
(
そろばん
)
の下手な担任教師が斉藤平大の通信簿の点数の勘定を間違った
為
(
ため
)
に首尾よく卒業いたしました。
革トランク
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
朕カ
在廷
(
ざいてい
)
ノ大臣ハ朕カ
為
(
ため
)
ニ此ノ憲法ヲ施行スルノ
責
(
せめ
)
ニ任スヘク朕カ現在及将来ノ臣民ハ此ノ憲法ニ対シ永遠ニ
従順
(
じゅうじゅん
)
ノ義務ヲ負フヘシ
大日本帝国憲法
(旧字旧仮名)
/
日本国
(著)
あの時、彼の顔が青ざめたのは、顔の向きを代えた
為
(
ため
)
に庭の青葉が映ってそう見えたばかりではないと北川氏は固く信じていた。——
恐ろしき錯誤
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
大体、三番の
梶
(
かじ
)
さんと、四番のぼくは
並
(
なら
)
んで引くのが原則ですが、
下手糞
(
へたくそ
)
な
為
(
ため
)
、時々、五番の松山さんや整調の森さんとも引きます。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
逆手
(
さかて
)
にとって万吉がパッと立った。お綱が蝶のように飛び離れると一緒に、三次、
隼人
(
はやと
)
、
為
(
ため
)
なども、腰を立てて凶猛な気配りになる。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
我
(
わが
)
住
(
すむ
)
魚沼郡
(
うをぬまこほり
)
の内にて
雪頽
(
なだれ
)
の
為
(
ため
)
に
非命
(
ひめい
)
の
死
(
し
)
をなしたる事、其村の人のはなしをこゝに
記
(
しる
)
す。しかれども人の
不祥
(
ふしやう
)
なれば
人名
(
じんめい
)
を
詳
(
つまびらか
)
にせず。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
男子の
為
(
ため
)
に作られた女でなくして、女自身のために作られた女、俺は貴女に接していると、
直
(
す
)
ぐそう云う感じが頭に浮かんだのです。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
西尾
(
にしを
)
から
東
(
ひがし
)
を
差
(
さ
)
して
来
(
き
)
た
小僧
(
こぞう
)
皆身
(
みなみ
)
の
為
(
ため
)
に
年季奉公
(
ねんきぼうこう
)
と、
東西南北
(
とうざいなんぼく
)
で書いて
遣
(
や
)
ると、お
前
(
まへ
)
の
親父
(
おやぢ
)
がそれを
国
(
くに
)
へ持つて
往
(
い
)
つて
表装
(
へうさう
)
を加へ
にゆう
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
氏の表面は一層
沈潜
(
ちんせん
)
しましたが、底に
光明
(
こうみょう
)
を宿して
居
(
い
)
る
為
(
ため
)
か、氏の顔には年と共に温和な、平静な相が
拡
(
ひろ
)
がる様に見うけられます。
岡本一平論:――親の前で祈祷
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
善根を
蒔
(
ま
)
く
為
(
ため
)
につかふといふのか、これはしたり、それはまた大したこつたな、さうともそれなら、うつちやるもんぢやないとも。
黄金機会
(新字旧仮名)
/
若松賤子
(著)
私は物を持ちだして売り、何でも通帳で買ってジャンジャン人にやった。欲しくない物まで買った。私が使う
為
(
ため
)
でなく人にやるためだ。
石の思い
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
たゞ其原因結果の発展が余りに人意の
外
(
そと
)
に出て居て、其
為
(
ため
)
に
一人
(
ひとり
)
の若い男が無限の苦悩に沈んで居る事実を貴様が知りましたなら
運命論者
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
何
(
なん
)
の
為
(
ため
)
に
私
(
わたし
)
だの、そらここにいるこの
不幸
(
ふこう
)
な
人達
(
ひとたち
)
ばかりが
恰
(
あだか
)
も
献祭
(
けんさい
)
の
山羊
(
やぎ
)
の
如
(
ごと
)
くに、
衆
(
しゅう
)
の
為
(
ため
)
にここに
入
(
い
)
れられていねばならんのか。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
わが子のレヤチーズを、フランスへ遊学にやったのも、一つには、王さまの恐しい
穿鑿
(
せんさく
)
の眼から、のがれさせてやる
為
(
ため
)
でもありました。
新ハムレット
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
然し与次郎が何の
為
(
ため
)
に、
悪戯
(
いたづら
)
に等しい
慝名
(
とくめい
)
を用ひて、彼の
所謂
(
いわゆる
)
大論文をひそかに公けにしつつあるか、
其所
(
そこ
)
が三四郎には
分
(
わか
)
らなかつた。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
然るに、社会に対する義務の
為
(
ため
)
に
止
(
や
)
むを得ずして結婚をなす、舅姑は依然として舅姑たり、関係者、皆依然として渠を窮せしむ。
愛と婚姻
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
現実の復権だとか、
汎神論
(
はんしんろん
)
だとかいう評言がチェーホフの在世中にも行われ、今なお頗る根づよいもののあるのはその
為
(
ため
)
である。
チェーホフ序説:――一つの反措定として――
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
帝の
為
(
ため
)
に
密
(
ひそか
)
に図る者をば
誰
(
たれ
)
となす。
曰
(
いわ
)
く、
黄子澄
(
こうしちょう
)
となし、
斉泰
(
せいたい
)
となす。子澄は既に記しぬ。斉泰は
溧水
(
りっすい
)
の人、洪武十七年より
漸
(
ようや
)
く世に
出
(
い
)
づ。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
おべんちゃらと、お
為
(
ため
)
ごかしを
混合
(
ごっちゃ
)
にして、けだもの茶屋の
飲代
(
のみしろ
)
ぐらいは、たしかにお松からせしめていることは疑うべくもありますまい。
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
おれは、代々、
僅少
(
わずか
)
な
扶持
(
ふち
)
をもらって、生きている
為
(
ため
)
に、人間らしい根性をなくしてしまった、侍という
渡世
(
とせい
)
が、つくづく
厭
(
いや
)
になったんだ。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
我
(
わが
)
越後のごとく年毎に
幾丈
(
いくじょう
)
の雪を視ば何の楽き事かあらん。雪の
為
(
ため
)
に力を尽し財を
費
(
ついや
)
し千辛万苦する事、下に説く所を視ておもひはかるべし。
雪
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
是
(
これ
)
は
私
(
わたし
)
の
竹馬
(
ちくば
)
の
友
(
とも
)
の
久我
(
くが
)
某
(
ぼう
)
が
石橋
(
いしばし
)
とはお
茶
(
ちや
)
の
水
(
みづ
)
の
師範学校
(
しはんがくかう
)
で
同窓
(
どうそう
)
であつた
為
(
ため
)
に
私
(
わたし
)
に
紹介
(
せうかい
)
したのでしたが、
其
(
そ
)
の理由は第一
私
(
わたし
)
と
好
(
このみ
)
を
同
(
おなじ
)
うするし
硯友社の沿革
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「永年
遠国
(
えんごく
)
に
罷在候夫
(
まかりありそろおっと
)
の
為
(
ため
)
、貞節を
尽候趣聞召
(
つくしそろおもむききこしめ
)
され、厚き
思召
(
おぼしめし
)
を
以
(
もっ
)
て
褒美
(
ほうび
)
として銀十枚下し置かる」と云う口上であった。
じいさんばあさん
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「
為
(
ため
)
さあは、何をして六人の子供を育てて行くつもりだかしらねえけれど、取り着くまでには、まあよっぽど骨だぞえ。」
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
側に泣きぬれた妹が、兄を慰める
為
(
ため
)
に言つたであらう言葉は、おそらく私が、前に自殺した友に語つた言葉であつたらう。
田舎の時計他十二篇
(新字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
お
為
(
ため
)
筋により
不埓
(
ふらち
)
の行動をした者は、その趣意が藩家お為にかなった場合、不埓の行動による罪を赦免されることがある。
十八条乙
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
長い年月の間に火事の
為
(
ため
)
に、地震の為、
或
(
ある
)
いは他の色んな変事の為に、立派な美しい家が無くなってしまったり、又お金持の家が貧しくなったり
現代語訳 方丈記
(新字新仮名)
/
鴨長明
(著)
キクッタは折角、自分が見付けた
熊
(
くま
)
をチャラピタの
為
(
ため
)
に打取られ、おまけに
生命
(
いのち
)
までも救つてもらつたことになつたので、
口惜
(
くやし
)
くてたまりません。
熊捕り競争
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
村はずれに家を建てて
住
(
すま
)
うことになり、相当にお金を持って居た
為
(
ため
)
、食うには困らず娘さんと二人で暮して
居
(
お
)
りました。
狂女と犬
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
其れを
紛
(
まぎ
)
らす
為
(
ため
)
に目を開いて何か唱歌でも歌はうと試みたが、
喉
(
のど
)
が
硬張
(
こはゞ
)
つて声が出無かつた。と、突然低い静かな声で
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
向
(
むか
)
うに見える劇場の内部は
天井
(
てんじやう
)
ばかりがいかにも
広々
(
ひろ/″\
)
と見え、舞台は色づき
濁
(
にご
)
つた空気の
為
(
ため
)
に
却
(
かへつ
)
て小さく
甚
(
はなはだ
)
遠く見えた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
此子
(
これ
)
が
為
(
ため
)
、我が為、不自由あらせじ、憂き事のなかれ、少しは余裕もあれかしとて、朝は人より早く起き、
夜
(
よ
)
はこの通り更けての霜に寒さを
堪
(
こら
)
へて
軒もる月
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
虱
(
しらみ
)
を
捫
(
ひね
)
る事一万疋に及びし時
酒屋
(
さかや
)
の
厮童
(
こぞう
)
が「キンライ」
節
(
ふし
)
を聞いて
豁然
(
くわつぜん
)
大悟
(
たいご
)
し、茲に
椽大
(
えんだい
)
の
椎実筆
(
しひのみふで
)
を
揮
(
ふるつ
)
て
洽
(
あまね
)
く
衆生
(
しゆじやう
)
の
為
(
ため
)
に
為
(
ゐ
)
文学者
(
ぶんがくしや
)
経
(
きやう
)
を
説解
(
せつかい
)
せんとす。
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
その子弟に教授して居たが、前にも
云
(
い
)
う通り大阪の書生は修業する
為
(
ため
)
に江戸に行くのではない、行けば教えに行くのだと云う
自
(
おのず
)
から自負心があった。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
頃者
(
このごろ
)
年穀
(
ねんこく
)
豊かならず、
疫癘
(
やくらい
)
頻
(
しき
)
りに至り、
慙懼
(
ざんく
)
交
(
こもごも
)
集りて、
唯
(
ひとり
)
労
(
らう
)
して
己
(
おのれ
)
を罪す。
是
(
これ
)
を以て広く
蒼生
(
さうせい
)
の
為
(
ため
)
に
遍
(
あまね
)
く
景福
(
けいふく
)
を求む。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
吾々に代わって社会の安全を保持する
為
(
ため
)
に、一部少数のものは武器を持つことを許されその故に吾々は法規によって武器を持つことを禁止されている。
二・二六事件に就て
(新字新仮名)
/
河合栄治郎
(著)
ところで、その中、今も
尚
(
なお
)
記誦
(
きしょう
)
せるものが数十ある。これを我が
為
(
ため
)
に伝録して
戴
(
いただ
)
きたいのだ。何も、これに
仍
(
よ
)
って一人前の詩人
面
(
づら
)
をしたいのではない。
山月記
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
何が自分の
為
(
ため
)
になり、何が自分の害になるか、の自分自身の観察が、健康を保つ最上の物理学であるということには、物理学の規則を超えた
智慧
(
ちえ
)
がある。
人生論ノート
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
そのくせ、何かをモウレツに書きたい。心がその
為
(
ため
)
にはじける。毎日火事をかかえて歩いているようなものだ。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
中には
為
(
ため
)
にするところあって、
人為的
(
じんいてき
)
形式的に定めたと思わるる決勝点なきにしもあらぬ。たとえば
相撲
(
すもう
)
のごときも一つの形式で勝敗を定むるものである。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
まあすべてがその
調子
(
ちょうし
)
でした。
震災
(
しんさい
)
以来
(
いらい
)
は
身体
(
からだ
)
の
弱
(
よわ
)
い
為
(
ため
)
もあったでしょうが
蒐集癖
(
しゅうしゅうへき
)
は
大分
(
だいぶ
)
薄
(
うす
)
らいだようです。
夏目先生と滝田さん
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
私
(
わたし
)
は
子供心
(
こどもごゝろ
)
に、父親のことを考へた。国の
為
(
ため
)
に死んだ
豪
(
えら
)
い父親!
其
(
その
)
墓のある
処
(
ところ
)
はどんな
処
(
ところ
)
だらうと思つた。
父の墓
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
もっとも出発のときの理由は、水戸城に籠城したお
為
(
ため
)
派鎮圧のためということになっている。が、実は——。
斬られの仙太
(新字新仮名)
/
三好十郎
(著)
敢
(
あへ
)
て往路を
俯瞰
(
ふかん
)
するものなし、
荊棘
(
けいきよく
)
の中黄蜂の
巣窟
(
すうくつ
)
あり、先鋒
誤
(
あやまつ
)
て之を
乱
(
みだ
)
す、後に
継
(
つ
)
ぐもの其
襲撃
(
しうげき
)
を被ふるも
敢
(
あへ
)
て之を
避
(
さ
)
くるの
道
(
みち
)
なし、顔面
為
(
ため
)
に
腫
(
は
)
れし者
多
(
おう
)
し
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
七八年過ぎてから人の話に聞けば、お松は浜の船方の妻になったが、夫が酒呑で乱暴で、お松はその
為
(
ため
)
に憂鬱性の狂いになって間もなく死んだという事であった。
守の家
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
その
為
(
ため
)
に若し佐川二等兵の技術的な進歩に影響があったら一大事だと考え、ちっとぐらいよけい使ってもいいじゃないか、なにも故意にやってるわけでもないし
指導物語:或る国鉄機関士の述懐
(新字新仮名)
/
上田広
(著)
その水溜りはのちに小さき池になりて、今も家の
旁
(
かたわら
)
にあり。家の名を池の端というもその
為
(
ため
)
なりという。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「ええ、そのような世迷いごとに、聴く耳は持たぬわ。この島の
法
(
のり
)
は、とりも直さず妾自身なのじゃ。とくと
真実
(
まこと
)
を打ち明けて、来世を願うのが、
為
(
ため
)
であろうぞ」
紅毛傾城
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
御存知の通り文三は
生得
(
しょうとく
)
の親おもい、母親の写真を視て、我が辛苦を
甞
(
な
)
め
艱難
(
かんなん
)
を忍びながら定めない浮世に
存生
(
なが
)
らえていたる、自分
一個
(
ひとり
)
の
為
(
ため
)
而已
(
のみ
)
でない事を
想出
(
おもいいだ
)
し
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
その子がつまらぬものになったからといって弱められるものでもなく、子が恩を忘れても消えるものではない。彼女はあらゆる安楽を犠牲にして子の
為
(
ため
)
をはかるのだ。
寡婦とその子
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
為
常用漢字
中学
部首:⽕
9画
“為”を含む語句
所為
行為
何為
為合
無為
御為
徒為
為替
為様
有為
作為
以為
人為
為出
為立
為掛
為難
当為
為事
為方
...