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幾度
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いくたび
ふりがな文庫
“
幾度
(
いくたび
)” の例文
さて一同の目の前には天下の浮世絵師が幾人よって
幾度
(
いくたび
)
丹青
(
たんせい
)
を
凝
(
こら
)
しても到底描き
尽
(
つく
)
されぬ
両国橋
(
りょうごくばし
)
の夜の景色が現われ
出
(
いづ
)
るのであった。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
と、気がついて、
幾度
(
いくたび
)
もスイッチを入れ直してみたが、機械はもう役に立たなかった。いつの間にやら、故障になっていたのである。
二、〇〇〇年戦争
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それから十分間も過ぎたらまた戸を明けて汁を肉の上へかけて
幾度
(
いくたび
)
もその通りにしますと、バターや塩胡椒の味がよく肉へ浸みます。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
根岸氏はその豆腐の一つを、ボウル箱に入れて、
態々
(
わざ/\
)
正金銀行の支店まで
僮
(
ボオイ
)
に持たせてやつた。根岸氏は
幾度
(
いくたび
)
か
僮
(
ボオイ
)
に言つて聞かせた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「どうぞ、お
母
(
かあ
)
さま、わたしを一
度
(
ど
)
下界
(
げかい
)
へやってくださいまし。」と、
幾度
(
いくたび
)
となく、その
小
(
ちい
)
さな
天使
(
てんし
)
の
一人
(
ひとり
)
は、お
母
(
かあ
)
さまに
頼
(
たの
)
みました。
海からきた使い
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
▼ もっと見る
幾度
(
いくたび
)
幾通
(
いくつう
)
の
御文
(
おんふみ
)
を拝見だにせぬ我れ、いかばかり憎くしと
思
(
おぼ
)
しめすらん。
拝
(
はい
)
さばこの
胸
(
むね
)
寸断になりて、常の決心の消えうせん
覚束
(
おぼつか
)
なさ。
軒もる月
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
『もつと
近
(
ちか
)
うお
寄
(
よ
)
りなさい。それで
檢死
(
けんし
)
の
役目
(
やくめ
)
は
濟
(
す
)
みますか。』と
言
(
い
)
ひ/\、
玄竹
(
げんちく
)
は
腐
(
くさ
)
つた
死體
(
したい
)
を
右
(
みぎ
)
に
左
(
ひだり
)
に、
幾度
(
いくたび
)
もひつくりかへした。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
私までが
幾度
(
いくたび
)
も幾度も引っ張り出されたが、今更となると、どうにも気恥かしいのだが、後からただ
蹤
(
つ
)
いてまわるには蹤いてあるいた。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
来年の天長節は——いや、来年のことは
措
(
お
)
いて、明日のことですらも。斯う考へて、丑松の心は
幾度
(
いくたび
)
か明くなつたり暗くなつたりした。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
彼は酔うと同じ言葉を何遍も繰返す癖のある男だったが、ことにこの感謝の意は少しずつ違った形式で、
幾度
(
いくたび
)
か彼の口から
洩
(
も
)
れた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
お
品
(
しな
)
は
林
(
はやし
)
を
幾
(
いく
)
つも
過
(
す
)
ぎて
自分
(
じぶん
)
の
村
(
むら
)
へ
急
(
いそ
)
いだが、
疲
(
つか
)
れもしたけれど
懶
(
ものう
)
いやうな
心持
(
こゝろもち
)
がして
幾度
(
いくたび
)
か
路傍
(
みちばた
)
へ
荷
(
に
)
を
卸
(
おろ
)
しては
休
(
やす
)
みつゝ
來
(
き
)
たのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
往来
(
ゆきき
)
に
馴
(
な
)
れて、
幾度
(
いくたび
)
も蔦屋の客となって、心得顔をしたものは、お米さんの事を
渾名
(
あだな
)
して、むつの花、むつの花、と言いました。
雪霊記事
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
勿論、一種の
玩具
(
おもちゃ
)
に過ぎないのであるが、何しろ西郷というのが呼物で、
大繁昌
(
おおはんじょう
)
であった。私なども母に
強請
(
せが
)
んで
幾度
(
いくたび
)
も買った。
思い出草
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
と申す
仔細
(
しさい
)
は、信長卿のお供をして
幾度
(
いくたび
)
か京都に在るうち、ご主君とご
昵懇
(
じっこん
)
な
近衛前久
(
このえさきひさ
)
様から
屡〻
(
しばしば
)
おうわさが出たものでござる。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
此の
類焼
(
やけ
)
の中で又しても/\そう/\
内所
(
ないしょ
)
へ
談
(
はなし
)
をした処が、おまはんが年季を増したのも
幾度
(
いくたび
)
だか知れない、亭主のためとは云いながら
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
昨夜
(
ゆふべ
)
の収めざる
蓐
(
とこ
)
の内に貫一は着のまま
打仆
(
うちたふ
)
れて、
夜着
(
よぎ
)
も
掻巻
(
かいまき
)
も
裾
(
すそ
)
の
方
(
かた
)
に
蹴放
(
けはな
)
し、
枕
(
まくら
)
に
辛
(
から
)
うじてその
端
(
はし
)
に
幾度
(
いくたび
)
か
置易
(
おきかへ
)
られし
頭
(
かしら
)
を
載
(
の
)
せたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
半左衞門は大いに
憎
(
にく
)
く思ひ
否々
(
いな/\
)
其口上は
幾度
(
いくたび
)
申すも同じ事なり決して申譯には相成ず
猶
(
なほ
)
追々呼出すべしと云るゝ時手代の者立ませいと聲を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
木の芽はいくら
摘
(
つ
)
んでも摘んでも生える。正義はどんなことがあってもやり通す。爆弾事件なぞが
幾度
(
いくたび
)
あったって志士の決心は
挫
(
くじ
)
かれない。
青年の天下
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
景色
(
けしき
)
は
大
(
おほき
)
いが
變化
(
へんくわ
)
に
乏
(
とぼ
)
しいから
初
(
はじ
)
めての
人
(
ひと
)
なら
兔
(
と
)
も
角
(
かく
)
、
自分
(
じぶん
)
は
既
(
すで
)
に
幾度
(
いくたび
)
か
此海
(
このうみ
)
と
此
(
この
)
棧道
(
さんだう
)
に
慣
(
な
)
れて
居
(
ゐ
)
るから
強
(
しひ
)
て
眺
(
なが
)
めたくもない。
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
船
(
ふね
)
のはげしき
動揺
(
どうよう
)
につれて、
幾度
(
いくたび
)
となく
投
(
な
)
げ
出
(
だ
)
さるる
私
(
わたくし
)
の
躯
(
からだ
)
——それでも
私
(
わたくし
)
はその
都度
(
つど
)
起
(
お
)
き
上
(
あが
)
りて、
手
(
て
)
を
合
(
あわ
)
せて、
熱心
(
ねっしん
)
に
祈
(
いの
)
りつづけました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
お雪ちゃんは
幾度
(
いくたび
)
か米友の労をねぎらって、やがてお芋の皮をむくことが終ると、お茶をいれ、お茶菓子を出して、二人で飲みはじめました。
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
同胞兄弟です、僕は
彼
(
あ
)
の
暖炉
(
ストーブ
)
に燃え盛る
火焔
(
くわえん
)
を見て、無告の坑夫等の愁訴する、
怨恨
(
ゑんこん
)
の舌では無いかと
幾度
(
いくたび
)
も驚ろくのです
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
これは単に雪の題ならば俗俳家が古人の雪の句を
剽窃
(
ひょうせつ
)
し来り、または自己の古き持句を
幾度
(
いくたび
)
も出さんとする者多き故にこれを予防するの策なり。
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
幾度
(
いくたび
)
も見たり。幼き頃にもよくこの地に泊りに來ては、その賑かなるさまを面白しと思ひぬ。されど今年ほどよくその光景を觀察したる事なし。
秋の岐蘇路
(旧字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
「然うかい、君も然うなのかい、」と私は引取ツて、「工場の前も
幾度
(
いくたび
)
通
(
とほ
)
ツたか知れないが、今日
程
(
ほど
)
悲しいと
感
(
かん
)
じたことは
是
(
これ
)
まで
一度
(
いちど
)
もなかツた。 ...
虚弱
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
そのために
幾度
(
いくたび
)
か
瞼
(
まぶた
)
を
閉
(
と
)
ぢ/\した。
涙
(
なみだ
)
が
徐
(
おもむろ
)
にあふれ
出
(
い
)
でゝもう
直視
(
ちよくし
)
しようとはしない
眼瞼
(
まぶた
)
に
光
(
ひかり
)
を
宿
(
やど
)
して
止
(
と
)
まつてゐた。
日の光を浴びて
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
幾度
(
いくたび
)
か、そんな風に考えては、余りに恐しい妄想を振い落そうと試みはしたのですが、併し、そのあとから、すぐに又
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
さて
晒
(
さら
)
しやうは
縮
(
ちゞみ
)
にもあれ糸にもあれ、一夜
灰汁
(
あく
)
に
浸
(
ひた
)
しおき、
明
(
あけ
)
の
朝
(
あした
)
幾度
(
いくたび
)
も水に
洗
(
あら
)
ひ
絞
(
しぼ
)
りあげてまへのごとくさらす也。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
立つたり蹲んだりしてる
間
(
うち
)
に、何がなしに
腹部
(
はら
)
が脹つて来て、一二度軽く嘔吐を催すやうな気分にもなつた。早く帰つて寝よう、と
幾度
(
いくたび
)
か思つた。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
最初近いと聞いた
多摩川
(
たまがわ
)
が、家から一里の余もある。玉川上水すら半里からある。好い水の流れに遠いのが、
幾度
(
いくたび
)
も繰り返えさるゝ失望であった。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
「家じゃ島が一番親に世話をやかせるんでございますよ。これまでに、
幾度
(
いくたび
)
家を出たり入ったりしたか知れやしません」
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
何ともいえぬ恥しさと喜ばしさとを一緒に感じながら、私は
幾度
(
いくたび
)
も幾度も自分の着ている着物の袖をあげて見たり、帯のあたりを眺めて見たりした。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
「あなたがいくじがないばかりに、あの周禎のような男に矢島の家を取られたのです。」この句が
幾度
(
いくたび
)
となく反復せられる鉄が論難の主眼であった。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
礎
(
いしずゑ
)
の朽ちた塔のやうに、
幾度
(
いくたび
)
もゆらゆらと立ちすくんだが、雨風よりも更に難儀だつたは、
怪
(
けし
)
からず肩のわらんべが次第に重うなつたことでおぢやる。
きりしとほろ上人伝
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
尼達の
饒舌
(
しやべ
)
るのを聞いて、
偸目
(
ぬすみめ
)
をして尼達の胸の
薄衣
(
うすぎぬ
)
の
開
(
あ
)
き掛かつてゐる所をのぞいてゐたことは
幾度
(
いくたび
)
であらう。
復讐
(新字旧仮名)
/
アンリ・ド・レニエ
(著)
世帯
(
しょたい
)
もこれで
幾度
(
いくたび
)
か持っては
毀
(
こわ
)
し持っては毀し、
女房
(
かかあ
)
も
七度
(
ななたび
)
持って七度出したが、こんな酒はまだ呑まなかった。
貧乏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
しかし、因襲的につつましやかな日本婦人の血を受け継いだ彼女たちの大部分は、
幾度
(
いくたび
)
か迷いつつ踏みこたえた。
東京人の堕落時代
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
取ろうとして、
幾度
(
いくたび
)
行ったか知れませぬ。けれどそのうち一人として帰って来た人はござりませぬ。恐ろしい所でございます。決しておいでなさいますな
加利福尼亜の宝島:(お伽冒険談)
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
大きくなつて藩の銃隊に入り、幕末に起つた
幾度
(
いくたび
)
かの戦に従軍して、すばらしい手柄を立て、「鉄砲上村どん」と鉄砲の神様のやうに尊敬されたのだつた。
風変りな決闘
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
が、さすがはこれまで
幾度
(
いくたび
)
となく扮装したことのある京山ですから、
突嗟
(
とっさ
)
の間に、ある考えを思いつきました。
稀有の犯罪
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
「自分は
何
(
なん
)
と云う不運な性分に生れついたのだろう。」———こう考えて、己は
幾度
(
いくたび
)
か自分の
前途
(
ぜんと
)
を悲観した。
小僧の夢
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「どうしたものだろう?」という問は日に
幾度
(
いくたび
)
となく胸に浮ぶが、いつも浮ぶばかりで、答を得ずして消えてしまい、その跡に残るものは只不満足の三字。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
子孫の繁盛という事を考えて、江戸へ運び出す途中に
於
(
おい
)
て、腹心の者と申し合せ、
幾度
(
いくたび
)
にも切って人を替え、時を変え、黒姫山麓に埋蔵したという筋道じゃ。
怪異黒姫おろし
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
「私は
幾度
(
いくたび
)
、自殺を計ったか知れませんが、罪が深いと見えまして、どうしても死ねないのでございます」
法華僧の怪異
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
げに汝が汝のおぼゆる時の間に
律法
(
おきて
)
、
錢
(
ぜに
)
、
職務
(
つとめ
)
、
習俗
(
ならはし
)
を變へ民を新たにせること
幾度
(
いくたび
)
ぞや 一四五—一四七
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
狗骨
(
ひいらぎ
)
は
珊瑚珠
(
さんごじゆ
)
の様な赤い実を着けて居た。僕は手帳の上へ
老人
(
らうじん
)
に記念として名を書かせた。「エス・ブリゲデイエ」と署名して僕に
幾度
(
いくたび
)
も声を出して読ませた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
この
境
(
きやう
)
、都を
距
(
へだつ
)
ること遠からず、むかし行きたる時には
幾度
(
いくたび
)
か
鞋
(
わらぢ
)
の紐をゆひほどきしけるが、今は汽笛一声新宿を発して、名にしおふ玉川の
砧
(
きぬた
)
の音も耳には入らで
三日幻境
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
この古い琴の
音色
(
ねいろ
)
には
幾度
(
いくたび
)
か人の胸に
密
(
ひそ
)
やかな
漣
(
さざなみ
)
が起った事であろう。この道具のどれかが己をそういう目に
遇
(
あ
)
わせてくれたなら、どんなにか有難く思ったろうに。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
大森摂津守は名だたる大旗本で、
幾度
(
いくたび
)
か幕府の大官重役に擬せられましたが、その代り今年取って六十二歳、伊奈長次郎の娘お綾とは四十三も年が違って居る
筈
(
はず
)
です。
奇談クラブ〔戦後版〕:04 枕の妖異
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ことに
幾度
(
いくたび
)
となく出会った小歌の挙動に確められなかったことをたゞ一夕の花次の蔭口に決断してしまうことが自分ながら、如何にも不公平の処置のように思われて
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
幾
常用漢字
中学
部首:⼳
12画
度
常用漢字
小3
部首:⼴
9画
“幾”で始まる語句
幾
幾何
幾歳
幾日
幾人
幾許
幾年
幾個
幾干
幾分