寢床ねどこ)” の例文
新字:寝床
やかた屋根やねうづまいてかゝりますと、晝間ひるま寢床ねどこ——仙人せんにんよるはいつでも一睡いつすゐもしないのです、夜分やぶんたふうへあがつて、つきひざまづき、ほしをがんで
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ながらぢやうさまは何處いづこへぞお姿すがたえぬやうなりと人騷ひとさわがせするもあり乳母うばろく/\あはさずおたかかたへ寢床ねどこなら浮世うきよ雜談ざふだん諷諫ふうかん
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
見廻みまはつひはなしに身がいり大分だいぶんふけたり嘸々さぞ/\草臥くたびれしならん今夜は寛々ゆる/\と休むがよしと漸々盃盞さかづきをさめ女どもに云付て寢床ねどこ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
伯母さまは、昨夜あんたがお夕飯に下りていつた時に、私の寢床ねどこに來て、私が朝、伯母さまや從兄妹いとこたちを騷がせるには及ばないと云つたんですもの。
寢床ねどこうへたふれさっしゃるかとおもふと、やがまたきてチッバルトとばらっしゃる、かとおもふと、ロミオとばって、また横倒よこたふしにならっしゃります。
そして寢床ねどこに入ツても、誰かと話してゐるうちにも、また散歩さんぽしてゐる時、色を此うして出さうとか、人物の表情は此うとか、えず其の製作にいてのみ考えてゐた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
さてその秘密ひみつ如何いかなるものにや、このはたゞちかひをはつて、詳密つまびらかなることは、明日めうにちその秘密ひみつひそめられたる塲所ばしよおいて、實物じつぶつついて、明白めいはくしめさるゝとのことこの其儘そのまゝ寢床ねどこよこたはつたが
日光につくわうやはらかにみちびかれ、ながれた。そのひかりやうや蒲團ふとんはしだけにれるのをると、わたしかゞんでその寢床ねどこ日光につくわう眞中まなかくやうにいた。それだけの運動うんどうで、わたしいきははづみ、ほゝがのぼつた。
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
青い小鳥よ、かしの木づくり、わしの寢床ねどこが見馴れたら
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
わたしは寢床ねどこの上ではつきりと目ざめた
ひとらないぎやうをします——ひる寢床ねどこから當番たうばんをんな一人ひとり小脇こわきかゝへたまゝ、廣室ひろま駈込かけこんでたのですが、みんない! と呼立よびたてます。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その支度したく朝湯あさゆにみがきげてとしもこほあかつき、あたゝかき寢床ねどこうちより御新造ごしんぞ灰吹はいふきをたゝきて、これ/\と、此詞これ目覺めざましの時計とけいよりむねにひゞきて
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
その夜、私の寢床ねどこには何のうれひもなく、獨りぽつちの部屋にも何の恐怖もなかつた。疲れと滿足とで私はぐつすり眠つてしまひ、眼が醒めた時は全く明るくなつてゐた。
ヂュリエットまへまゝ寢床ねどこたふしてゐる。とこにはとばりがかけてある。乳母うば出る。
考へ居たりしが大概おほよそ丑刻やつ時分じぶんとも思ふ頃そつと起上り寢床ねどこにて甲懸かふがけ脚絆きやはん迄も穿はきいざと云へば逃出にげだすばかりの支度をなし夫より後藤がたるそばさしより宵の酒宴さかもりの時見て置きたる胴卷の金を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
翌朝よくあさわたくしはまだ大佐たいさ外出ぐわいしゆつまへだらうとおもつて、寢床ねどこはなれたのは六時ろくじごろであつたが、矢張やはり大佐等たいさらは、今少いますこまへいへたといふのち、またかつたりと、少年せうねん二人ふたりで、二階にかいまどつてながめると
あかんぼはすやすやと寢床ねどこの上
ちごしづかに寢床ねどこうつして女子をなごはやをら立上たちあがりぬ、まなざしさだまりて口元くちもとかたくむすびたるまゝ、たゝみやぶれにあしられず
軒もる月 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
學士がくし昨夜さくや礫川こいしかはなるそのやしきで、たしか寢床ねどこはひつたことをつて、あとはあたかゆめのやう。いまうつゝともおぼえず。
三尺角拾遺:(木精) (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
燃え殘りの炭がにぶい赤色になると、ひもや結び目をひつぱつて、手ばやく着物を脱ぎ、寒さと闇とからの避難所を私の寢床ねどこの中に求めるのだつた。この寢床にはいつもお人形をつれて行つた。
そのころ階下した學生がくせいさんが、みし/\と二階にかいると、寢床ねどこだつたわたしまくらもとで大息おほいきをついて
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
で、頬杖ほゝづゑをつく民也たみやつては、寢床ねどこからいたは、遙々はる/″\としたものであつた。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ねや、いや、寢床ねどこともの、——源語げんごでも、勢語せいごでもない、道中膝栗毛だうちうひざくりげまくらせて、どたりとなつて、もうきさうなものだとおもふのに、どこかのしげりへあらはれないときは、出來できるものなら
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「あれ! おき、」と涙聲なみだごゑで、まくらあがらぬ寢床ねどこうへ露草つゆくさの、がツくりとして仰向あをむけのさびし素顏すがほべにふくんだ、しろほゝに、あをみのさした、うつくしい、いもうとの、ばさ/\した天神髷てんじんまげくづれたのに
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
なさけで、ゑず、こゞえず、しか安心あんしんして寢床ねどこはひることが出來できた。
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ねつのある身體からだはもんどりをつて、もとのまゝ寢床ねどこうへにドツとをどるのがくうなげうつやうで、心着こゝろづくと地震ぢしんかとおもつたが、つめたあせたきのやうにながれて、やがてまくらについて綿わたのやうになつてわれかへつた。
怪談女の輪 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
寢床ねどこうへすわつたひざ掻卷かいまきけてる。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)