名前なまへ)” の例文
この埴輪はにわといふ言葉ことばはにといふのは粘土ねんどといふことで、といふのはかたちならべることから名前なまへだといふことであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
その證據しようこには、婦人雜誌ふじんざつし女學校ぢよがくかう校長かうちやうせつなどをむと、色々いろ/\ほん名前なまへげてゐても、ことごとくもつともらしい出鱈目でたらめである。
読書の態度 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
みぎとほり、津浪つなみ事實上じじつじようおいみなとなみである。われ/\は學術的がくじゆつてきにもこの名前なまへもちひてゐる。じつ津浪つなみなるは、最早もはや國際語こくさいごとなつたかんがある。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
つちをなめてもれを立身りつしん手始てはじめにしたきわがひと、れながらくもへたるうそにかためて、名前なまへをも其通そのとほり、當座たうざにこしへらて吾助ごすけとかひけり
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
……(下人に)やい、そちはヹローナぢゅう駈𢌞かけまはって(書附を渡し)こゝ名前なまへいてある人達ひとたち見附みつけて、今宵こよひわがやしきねんごろ御入來ごじゅらいをおまうすとへ。
つぎには、どなたにも名前なまへのしたしい富士山ふじさんへの登山とざんと、その森林帶しんりんたいとのおはなしをして、森林植物帶しんりんしよくぶつたいのおはなしを、なほよくわかるようにしておきませう。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
渡世とせいになし居ると申されしなりと云ければ久兵衞は茲ぞ付込處つけこみどころなりと思ひすれば其市之丞殿の家主の名前なまへ又當時本人の名は何と申され候や紙屑買を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
八十やそみなとといふのは、ひょっとすると、土地とち名前なまへで、いま野洲川やすかは川口かはぐちをいつたのかもれません。さうすると、うた意味いみが、しぜんかはつてます。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
きみきらひだつたいぬ寢室しんしつにはれないでくから。いぬへばきみは、犬好いぬずきのぼつちやんの名前なまへぼく使つかつたね。
「三つの宝」序に代へて (旧字旧仮名) / 佐藤春夫(著)
それ何處どこに」と宗助そうすけいたとき、かれ自分じぶんいまとまつてゐる宿屋やどや名前なまへを、宗助そうすけをしへた。それは三條さんでうへんの三流位りうぐらゐいへであつた。宗助そうすけその名前なまへつてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
さうすれば自然しぜんあのかたのお名前なまへにもきずのつくことでございますから、ふねにおりになるまで、我慢がまんしてゐたはうが、双方さうはう利益りえきだらうと、あにもさうまうしますものですから。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
部屋々々へや/\には、いろ/\な名前なまへむかしからつけてありまして、上段じやうだんおくなかつぎ、それからくつろぎのなぞといふのがりました。祖父おぢいさんはいつでも書院しよゐんました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
ロミオ ローザラインと一しょぢゃと被言おッしゃるか? その名前なまへも、その名前なまへともな悲痛かなしみも、わし最早もうみんなわすれてしまうた。
大島おほしまといふ名前なまへ火山島かざんとう伊豆いづ渡島おしまとにある。伊豆いづ大島おほしまゆうする火山かざん三原山みはらやまたか七百五十五米しちひやくごじゆうごめーとる)とづけられ、噴火ふんかふる歴史れきしゆうしてゐる。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
しづめて御聞あれその市之丞とやらが家主の名も知れずことに當人の名前なまへ住居ぢうきよしらずとは是怪しき證據の第一なり廿五兩といふ大金を受取うけとりながら其人の名前住所を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
本宅ほんたく三番町さんばんちやう何處どこやらにて表札へうさつればむゝひとうちかと合點がてんのゆくほどの身分みぶんいまさら此處こゝにははずもがな、名前なまへはづかしければ病院びやうゐんれることもせで
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そのあひだぽつり/\とくびられる知人ちじん未知人みちじん名前なまへえずみゝにした宗助そうすけは、時々とき/″\うちかへつて御米およね
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それで博物館はくぶつかんには、どうしてもひとつ/\の品物しなもの名前なまへ、そのほか必要ひつよう事柄ことがらしるした目録もくろく出版しゆつぱんせられなくてはならないのであつて、その目録もくろくなかには簡單かんたん品物しなもの説明せつめい
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
馬籠まごめむらはづれには、すぎえたさはさかひにしまして、べつたうげといふ名前なまへちいさなむらがあります。このたうげに、馬籠まごめに、湯舟澤ゆぶねざはと、それだけのさんそん一緒いつしよにして神坂村みさかむらひました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
鳥船とりぶねといふのは大昔おほむかし國語こくごで、ふね名前なまへでもあり、同時どうじふねについていらつしやる神樣かみさまのお名前なまへでもありました。あなたがたならば、ふねはやいからとり見立みたてたのだとおもつていてさしつかへありません。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
カピューレットどの、わしいまカピューレットといふその名前なまへ我名わがな同樣どうやう大切たいせつおもうてゐる、まゝ、堪忍かんにんさっしゃれ。
さて大橋文右衞門一件かゝあひ山崎町質渡世しちとせい家持いへもち五兵衞并びに同人家内の者奉公人に至るまで一同呼出よびだしになりし處此の番頭久兵衞のみ名前なまへこれなきにつき彼一人は留守るす
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
著者ちよしや名前なまへ作物さくぶつ名前なまへも、一新聞しんぶん廣告くわうこくやうでもあり、またまつた新奇しんきやうでもあつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
はあわたしはまだお名前なまへうけたまはりませんでしたといふ、うそをいふとぼんるに㷔魔樣ゑんまさまへおまいりが出來できまいぞとわらへば、れだとつて貴君あなた今日けふにかゝつたばかりでは御坐ござりませんか
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
何度なんども/\も名前なまへばれて、やうやくその生徒せいと正氣しやうきかへつたことがありました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
このひとは、またもの名前なまへばかりあつめて、一首いつしゆうたつくつてゐます。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
れは詮方せんかたなけれどお名前なまへに申わけなしなどゝ、つまりは此金これしときこえぬ。
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
三十ゑんどりの會社員くわいしやゐんつま此形粧このげうそうにて繰廻くりまわしゆくいゑうちおもへば此女このをんな小利口こりこう才覺さいかくひとつにて、良人おつとはくひかつてゆるやららねども、失敬しつけいなは野澤桂次のざわけいじといふ見事みごと立派りつぱ名前なまへあるをとこ
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)