両親りょうしん)” の例文
旧字:兩親
高橋たかはしは、はや父親ちちおやわかれたけれど、母親ははおやがあるのでした。正吉しょうきちだけは、両親りょうしんがそろっていて、いちばん幸福こうふくうえであったのです。
世の中へ出る子供たち (新字新仮名) / 小川未明(著)
『ホンに、あなたがた年齢としなどはないはずでございました……。でもあなたがたにも矢張やはり、両親りょうしんもあれば兄妹きょうだいもあるのでしょうね?』
おかあさんを見ろ、きさまのことを心配してあのとおりやせてるわ。もうそのくらいの年になったらば、両親りょうしん苦心くしんもすこしはわかりそうなものだ
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
ことしの夏、この山奥の小さな村に悪い病気がはやった時、清造の両親りょうしん一時いちじに病気のためになくなりました。
清造と沼 (新字新仮名) / 宮島資夫(著)
わたしはつまおっと両親りょうしんや、かわいらしい天使のようなこどもたちの間にも、まさかとおもわれるようなことが、行われているのを見ました。——またわたしは
宵惑よいまどいの私は例の通り宵の口から寝て了って、いつ両親りょうしんしんに就いた事やら、一向知らなかったが、ふと目を覚すと、有明ありあけが枕元を朦朧ぼんやりと照して、四辺あたり微暗ほのぐら寂然しんとしている中で
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
六部ろくぶはそれから道々みちみちも、人身御供ひとみごくうげられるかわいそうなむすめのことや、大事だいじ一粒種ひとつぶだねられていく両親りょうしんこころおもいやって、人知ひとしれずなみだをこぼしながら、やがてむらを出はずれました。
しっぺい太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
このぼっちゃんのいどころを、すぐご両親りょうしんおしえちまっちゃいけないよ。
いえわたくし両親りょうしんは、身体上しんたいじょう処刑しょけい非常ひじょうきらっていたのです。』
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「なにか、こころからむすめよろこばせるようなうつくしいものはないものか。いくらたかくてもかねをばしまない。」と、両親りょうしんは、ひとはなしました。
笑わない娘 (新字新仮名) / 小川未明(著)
実家さと両親りょうしんたいへんにわたくしうえあんじてくれまして、しのびやかにわたくし仮宅かりずまいおとずれ、鎌倉かまくらかえれとすすめてくださるのでした。
礼子は両親りょうしんの顔をちらと見たままつぎのへでてしまった。つづいて芳輔よしすけが帰ってきた。両親のところへはこないで、台所だいどころへはいって、なにかくどくど下女げじょにからかってる。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
その悲しみの底を割ったと思われるのは、其後そののち両親りょうしんに死なれた時である。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
おじいさんは、つえをついて、ある、そのいえをたずねました。そして、自分じぶんむすめすくいにやってきたことを両親りょうしんはなしました。
笑わない娘 (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたくし決心けっしんあくまでかたいのをて、両親りょうしん無下むげ帰家きかをすすめることもできず、そのままむなしく引取ひきとってしまわれました。
ものざといお政は早くも昨夜のことは自分の胸ひとつにおさめてしまえばなにごともなくすむこととさとって、朝起きるそうそう色をやわらげて、両親りょうしんにあいさつし昨夜の無調法ぶちょうほうをわび
告げ人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
あるがたに、不意ふいむすめかえってきました。両親りょうしんは、見違みちがえるようにうつくしく、快活かいかつになっていたのにおどろいたのです。
笑わない娘 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「わたしには、両親りょうしんもなければ、またうちもないのです。」と、いつか乞食こじきおんながいったことをおもしてこたえられました。
お姫さまと乞食の女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
正雄まさおさんはよろこんで、そのうちかえって、おかあさんやおとうさんにせますと、ご両親りょうしんさまは、たいそうびっくりなさって
海の少年 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「そんなに、かなくてもいい、三ねんたったらわたしたちは、おまえのとこにたずねてゆくから。」と、両親りょうしんはいいました。
海ぼたる (新字新仮名) / 小川未明(著)
両親りょうしんはわがうちれてからさんざんにしかりました。そして、なんでかえってきたか? どうしてとおいところをかえってきたか? ときました。
海へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
たまに両親りょうしんまちへいってってきてくれた絵草紙えぞうしや、おもちゃなどがあると、それを良吉りょうきち文雄ふみおにもせてやったり、してやったりいたしました。
星の世界から (新字新仮名) / 小川未明(著)
弥吉やきちじいさんのまごに、新吉しんきちという少年しょうねんがありました。おかねとはなかよしでありました。新吉しんきちには両親りょうしんがなく、おじいさんにそだてられたのであります。
都会はぜいたくだ (新字新仮名) / 小川未明(著)
なかには、両親りょうしんがそろって、こんなかなしみをらないものもあるんだが。」と、エヌはたばこにをつけました。
はたらく二少年 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「やさしいでもあるし、両親りょうしんがないというのだから、さいわい、うちにしてはどうだな?」と、かおをおばあさんのほうけて、ちいさなこえでいいました。
海からきた使い (新字新仮名) / 小川未明(著)
両親りょうしんは、自分じぶんむすめをもてあましてしまいました。母親ははおやは、ダンスなどというものは、きらいでありましたから
初夏の空で笑う女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
両親りょうしんは、どこか、いいところへやりたいものだとおもっていました。それですから、方々ほうぼうからもらいはありましたが、なかなか承知しょうちをいたしませんでした。
海ぼたる (新字新仮名) / 小川未明(著)
といって、なかにはおこっておやがわざわざ龍雄たつおうちげにやってくるものもありました。こんなわけで龍雄たつお両親りょうしんは、わがにほとほとこまったのであります。
海へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
そうかんがえているうちにおはるは、故郷こきょうではたらく両親りょうしんのすがたが、まざまざとえるようながして
朝の公園 (新字新仮名) / 小川未明(著)
また、あるときは両親りょうしんくした不幸ふこう子供こどもがあります。なかには父親ちちおやだけで、母親ははおやのない子供こどももあります。それらの子供こどもは、よるになるとをさましてきます。
王さまの感心された話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
両親りょうしんは、いつか、むすめ自身じしんがつくときがあるであろうとおもって、なみだながらに、それをゆるしました。
初夏の空で笑う女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
きんさんは、親方おやかたも、自分じぶんのように、両親りょうしんがなく一人ひとりぽっちだったこと、気短きみじかで、しかられるときはこわかったが、人情深にんじょうぶかい、いいひとだったことなど、おもしました。
春風の吹く町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ぞんじのごとく、資力しりょくのないわたしどもに、ひとたすける資格しかくはありませんが、ほかでない、両親りょうしんをなくした、子供こどもかんがえますと、だれも世話せわをするものがなければ
子供は悲しみを知らず (新字新仮名) / 小川未明(著)
両親りょうしんのない自分じぶんは、ついに、こんな渡世とせいにまでとしましたが、いつも、とりつかまえたときの呼吸こきゅうひとつで、どんなあぶない芸当げいとうも、やってのけるのであります。
二人の軽業師 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かれが、子供こども時分じぶん両親りょうしんわかれて、その父母ふぼ行方ゆくえがわからないので、こうして、たびからたびへさすらってさがしているというはなしいたときに、おな孤児みなしごうえから
北の不思議な話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
やがて、玄関げんかんに、かぎをかけてがってきたしん一は、両親りょうしんていられるふすまのそとって
火事 (新字新仮名) / 小川未明(著)
二人ふたりは、両親りょうしんがなかったけれど、おじいさんがかわいがってくだされたので、幸福こうふくでありました。
一本の銀の針 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かれ両親りょうしんにしかられる覚悟かくごをしてうちかえりますと、はたけてなにかしていた母親ははおやは、龍雄たつお姿すがたつけたとき、ゆめではないかとびっくりしました。そしてあきれました。
海へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
きんさんは、おさな時分じぶんから、親方おやかたそだてられて、両親りょうしんりませんでした。らんのはなかおみなみ支那しなまちを、あるきまわって、日本にっぽんわたってきたのは、十二、三のころでした。
春風の吹く町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
若者わかものは、ちいさいときから、両親りょうしんのもとをはなれました。そして諸所しょしょながあるいていろいろな生活せいかつおくっていました。もはや、幾年いくねん自分じぶんまれた故郷こきょうへはかえりませんでした。
あほう鳥の鳴く日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
こうして、武夫たけお両親りょうしんのうわさしたことをつげようとするのを、正吉しょうきちはうちけすようにして
空にわく金色の雲 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かれは、そろそろ仕事しごとができるようになったので、田舎いなか両親りょうしんへあて、はがきをしました。
風雨の晩の小僧さん (新字新仮名) / 小川未明(著)
さむくなりましたが、ご両親りょうしんさまには、おわりもありませんか。わたしのかぜは、もうすっかりなおって、きられるようになりましたからご安心あんしんください。今後こんごよく辛棒しんぼうしてはたらきます。
風雨の晩の小僧さん (新字新仮名) / 小川未明(著)
先生せんせいは、じっと、はや両親りょうしんわかれた小原おばら細々ほそぼそとしたからだていられました。
世の中へ出る子供たち (新字新仮名) / 小川未明(著)
「あのひとは、ちいさい時分じぶんに、両親りょうしんをなくして、おばあさんのそだてられた。そうした、不幸ふこうあじわわないものだったら、どうして、同情どうじょうをするようなことがあろう……。」とこたえました。
海の踊り (新字新仮名) / 小川未明(著)
このひろ世界せかいに、二人ふたり両親りょうしんのこされて、こうしていろいろとつらいめをみなければならなかったが、なかにも弱々よわよわしい、盲目めくらおとうとは、ただあねいのちとも、つなとも、たよらなければならなかったのです。
港に着いた黒んぼ (新字新仮名) / 小川未明(著)
ただ、むすめだけは、両親りょうしんから、ひとりとおはなれてゆくのをかなしみました。
海ぼたる (新字新仮名) / 小川未明(著)
「おれに故郷くにがあるとなあ。」と、父親ちちおやは、ひとみしろくなって、生気せいきうしなったで、あたりをまわしながら、こたえました。おとうさんには、もう、両親りょうしんもなければ、またかえるべきいえもなかったのでした。
青い草 (新字新仮名) / 小川未明(著)
少年しょうねんは、両親りょうしんや、姉妹しまいわかれをげました。
海のかなた (新字新仮名) / 小川未明(著)
かれ学校がっこう先生せんせいからも、また両親りょうしんからも
残された日 (新字新仮名) / 小川未明(著)