“袖:そで” の例文
“袖:そで”を含む作品の著者(上位)作品数
泉鏡花77
紫式部43
夏目漱石25
泉鏡太郎22
芥川竜之介17
“袖:そで”を含む作品のジャンル比率
文学 > フランス文学 > 小説 物語28.8%
文学 > 日本文学 > 小説 物語10.9%
文学 > 日本文学 > 小説 物語(児童)3.8%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
渠はいかにしてかなきそでを振りける? 魚は木にりて求むべからず、渠は他日の興行を質入れして前借りしたりしなり。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
富士、喜十六きじゆうろく翠巒すいらんと対して、清風座に満ち、そでの沢を落来おちくる流は、二十丈の絶壁に懸りて
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
京都ではそでのある夜着よぎはつくらぬものの由を主人からうけたまわって、京都はよくよく人を寒がらせる所だと思う。
京に着ける夕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
女の手がこの蓋にかかったとき「あら蜘蛛くもが」と云うて長いそでが横になびく、二人の男は共にとこの方を見る。
一夜 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
晩食。食卓の用意もすでにできたと言って、カションは一同の着席をすすめに来た。その時、宇和島少将は通禧のそでを引いて、
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
おもふと、むらさきも、萌黄もえぎも、そでいろぱつえて、姿すがた其處此處そここゝ
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さと言葉ことばらぬも、こひにはをんなさかしうして、そでたもとおほひしが
妙齢 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
――むね引緊ひきしめ、そであはせて、ゐすくむと、や、や、次第しだい大風おほかぜれせまる。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いへうちをばひろ野原のはらかたなきなげきにひとそでをもしぼらせぬ。
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
被衣かつぎをもるゝそでて、ひら/\とあをく、むらさきに、芍薬しやくやくか、牡丹ぼたん
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
私は翁の書をそでにしたなり、とうとう子規ほととぎすくようになるまで、秋山しゅうざんを尋ねずにしまいました。
秋山図 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
そしてしばらくの間、涙にぬれた姉の顔をまじまじとながめていたが、やがて黙ったまま小さいそででその涙をぬぐい始めた。
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
その度に自分がもらった菓子かし、果物など、食べたりをしてそでに忍ばせ、姫にそっと持って行ってやります。
鯉魚 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
しかしどれ程疎遠な物にもたまたま行摩ゆきずりそでが触れるように、サフランと私との間にも接触点がないことはない。
サフラン (新字新仮名) / 森鴎外(著)
又は眼の前ではさり気なく男の言葉にうなずいていても、いつかどこかで人知れずそでを噛みしめていることなぞがあります。
鼻の表現 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
一人が背中に私をおぶうと、娘は駕籠から出て見送ったが、顔にそでを当てて、長柄ながえにはッと泣伏なきふしました。
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
色合、恰好かっこう、そのままの大革鞄を、下にも置かず、やっぱり色のせた鼠の半外套はんがいとうそでに引着けた
革鞄の怪 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
むらさきそでくれなゐすそすゝきえ、はぎかくれ、刈萱かるかやから
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
名殘なごりか、月影つきかげか、晃々きら/\つやはなつて、やまそでに、ふところ
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
與吉よきち半被はつぴそで掻合かきあはせて、つてたが、きふ振返ふりかへつて、
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
こうも言いながらそでから手を離した。姫君は身を後ろへ引いたが、あちらへ行ってもしまわないのを哀れに思う薫であった。
源氏物語:49 総角 (新字新仮名) / 紫式部(著)
※女うねめそできかへす明日香風あすかかぜみやことほみいたづらに吹く 〔巻一・五一〕 志貴皇子
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
悪体あくたいをつきながら穏坊をんばうそでした掻潜かいくゞつてスーツと駈出かけだしてきました。
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
すそひざ引包ひつくるめて、そであたま突込つツこむで、こと/\むしかたちるのに
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それにもかまわずまたしても通りすがりのカッフェーへ這入はいろうとするので、村岡は清岡が羽織のそでとらえながら、
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
一生いつしやう一人ひとりいてくださりませとわつとこゑたてるをかみしめる襦袢じゆばんそで
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
王命おうめいを奉じた金応瑞は高々たかだかそでをからげた手に、青竜刀せいりゅうとうを一ふりげていた。
金将軍 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「あの、主人あるじにお預けなされたふくろは」と、姥竹がしゅうそでを引くとき、山岡大夫は空舟をつと押し出した。
山椒大夫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
そうして故意わざおのれのそですそのあたりをなるほどといったようなまた意外だと驚いたような眼つきで見廻した。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
お延はわざと反対を答えた。そうして窮屈そうなそでへ、もがくようにして手を通す小林を、坐ったまま皮肉な眼で眺めた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
モデル娘は惨ましさに泣きかけた顔をおかしさでゆがみ返させられ、妙な顔になってそでから半分のぞかしている。
食魔 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
吉左衛門はそんなことを半蔵に言って見せて、笑って、おまんの勧めるままに新しいあわせ寝衣ねまきそでに手を通した。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
山吹やまぶきつつじがさかりだのに、その日の寒さは、くるまの上で幾度も外套のそでをひしひしと引合ひきあわせた。
七宝の柱 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
自分のよりは少し色が濃いようであると、源氏が昨夜の直衣に合わせて見ている時に、直衣のそでがなくなっているのに気がついた。
源氏物語:07 紅葉賀 (新字新仮名) / 紫式部(著)
辞しがたくて、一振りゆるゆるそでかえす春鶯囀の一節を源氏も舞ったが、だれも追随しがたい巧妙さはそれだけにも見えた。
源氏物語:08 花宴 (新字新仮名) / 紫式部(著)
今でも緑のそでとはずかしめられた人との関係だけを尊重して、その人以外の人を妻に擬して考えることは不可能であった。
源氏物語:25 蛍 (新字新仮名) / 紫式部(著)
といい、また他行のため洗張あらいはりさせし衣を縫うに、はぎものに午前だけかかり、下まえのえり五つ、そでに二つはぐとて、
樋口一葉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
……ただ松の下で、行李こうりを解いて、雨合羽あまがっぱ引絡ひきまとううちも、そでを絞ったというのですが。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
で、つと小窓をひらくと、其処そこそでれた秋風は、ふと向うへげて、鍵屋の屋根をさら/\と渡る。
貴婦人 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
松虫鈴虫が、虫屋の店で、夏の夜の景物詩を奏でて、浴衣ゆかたそでを翻した夜の散歩の男女で、通りは埋まっている。
雷嫌いの話 (新字新仮名) / 橘外男(著)
一人いちにんづいと行逢ゆきあひ、そでいて、ながいふし、くつどのがを、ひしとにぎつて、
人参 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
小兒こども四五人しごにんばら/\とつて取卷とりまいたときそでおとすやうに涼傘ひがさをはづして
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
すると真奈ちやんが、すぐお君のそばへとんで行つて、お君のそでをひいて、指環のブラ下つてゐる真下へつれて行つていひました。
かぶと虫 (新字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
こたへはぽろり襦袢じゆばんそでつゆきて、はぬ素性すぜうきたきは無理むり
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
果敢はかなき樓閣ろうかく空中くうちゆうゑがとき、うるさしや我名わがな呼聲よびごゑそで
軒もる月 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
はじめ、まだ一度もそでをとおさぬ訪問着が、すっと無くなっているのに気附いた時には、さすがに節子も顔色を変えた。
花火 (新字新仮名) / 太宰治(著)
同時に波を打って鼻の先にひるがえるそでが、濃きむらさき眉間みけんかすめてぷんとする。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
せっかくの思に、そで振り交わして、長閑のどかあゆみを、春のよいならんで移す当人は、依然として近寄れない。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
しかなせるあひだにも、頬のあたり先刻さきに毒虫の触れたらむと覚ゆるが、しきりにかゆければ、そでもてひまなくこすりぬ。
竜潭譚 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
寝る時には、厚衾あつぶすまに、このくまの皮が上へかぶさって、そでを包み、おおい、すそを包んだのも面白い。
眉かくしの霊 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そのうちにお民も改まった顔つきで来て、彼のそでを引きながら一緒に裏二階の方にこもるべき時の迫ったことを告げた。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
そこを出ると、和泉屋は不恰好ぶかっこうな長い二重廻しのそでをヒラヒラさせて、一足ひとあし先にお作の仲間と一緒に帰った。
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
ほやり/\水蒸気立つ土には樹影こかげ黒々と落ち、処女おとめそでの様に青々と晴れた空には、夏雲が白く光る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「無くなったな。」赤シャツの農夫はつぶやいて、も一度シャツのそででひたひをぬぐひ、胸をはだけて脱穀小屋の戸口に立ちました。
耕耘部の時計 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
兩方りやうはうあひだには、そでむすんでまとひつくやうに、ほんのりとならぬかをりたゞよふ。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そでもすそも、はないろさつしらけた。ぶる/\とふるへて、退さがる。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そう云ったかと思うと、あれほど気丈な凜々りりしい瑠璃子も、顔にそでおおうたまゝ、しばらくむせび入ってしまった。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
縁側えんがは南天なんてんをみてゐたら、おばさんはうしろからわたしかたそでいて
桜さく島:見知らぬ世界 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
泣く泣くこう言った。もう意識もおぼろになったようでありながら女王は薫のけはいを知ってそでで顔をよく隠していた。
源氏物語:49 総角 (新字新仮名) / 紫式部(著)
トンネルの入り口に近いところで、ひとりの男が左のそでを眼にあてながら、熱狂的にその右の手を振っているのである。
ステッキが邪魔なのでかいなところゆすり上げて、引包ひきつつんだそのそでともに腕組をした。
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
しばれ、縛れ。」と二三度ばかりことばをかはしたと思ふと、や引上げられ、そでそびらへ、肩がとがつて
二世の契 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
まつらす電車でんしやかぜに、春着はるぎそで引合ひきあはごころ風情ふぜいなり。
婦人十一題 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
旦夕たんせきに迫りながら、なおそれまでに、軍務を気にかけておられるのかと、侍医も諸臣も涙にそでを濡らした。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
慈善會じぜんくわいそでひかれたきねがひもかなはず、園遊會ゑんいうくわいものいひなれんたのみもなくて
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
とがめられんつみわすれて此處こヽしのそでにすがりてさとしなげヽば
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
雪は手をぴしゃとって、そう言ってから、私の着物のそでをつかまえ、ひきずるようにしてぱたぱた歩きだした。
断崖の錯覚 (新字新仮名) / 太宰治黒木舜平(著)
細い半襟はんえり半纏はんてんそでの下にかかえて、店のはずれを板の間から、土間へ下りようとして、暗いところで、
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
彼女はそれでまた温順おとなしく、「へえ」とうなずきながら両手の襦袢じゅばんそででそっと涙を拭いている。
霜凍る宵 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
即ち運動する部分(そでとか裾とか)が自由に出来て居るだけは運動のために醜な形を現す場合が多いのも必然である。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
会長さんはまっかになってどなりました。みんなはびっくりしてぱくぱく会長さんのそでを引っぱって無理むりすわらせました。
紫紺染について (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
もし抽斎がわたくしのコンタンポランであったなら、二人のそで横町よこちょう溝板どぶいたの上でれ合ったはずである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
心にもない歎息たんそくをしながら、着がえをして、なお小さい火入れをそでの中へ入れてにおいをしめていた。
源氏物語:31 真木柱 (新字新仮名) / 紫式部(著)
あかねさす紫野むらさきぬ標野しめぬ野守ぬもりずやきみそでる 〔巻一・二〇〕 額田王
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
そでかへして、ひだりたもとしづかにくと、また花片はなびらがちらりとる。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
膝行いざつて、……雪枝ゆきえ伸上のびあがるやうにひざいて、そでのあたりををがんだ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
手をそでにして遊んでつてはまぬ、えわが先祖せんぞ千軍萬馬せんぐんばんばなか往来わうらいいたし
華族のお医者 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
なるほど殿下ならば、王権のそでに隠れて、一切高見の御見物であろうから、ほんの数時間気付かれぬ程度の模造品でよかったであろう。
グリュックスブルグ王室異聞 (新字新仮名) / 橘外男(著)
口元のやゝ大きい黒子ほくろをビク/\動かして、お光はハンケチで小池の夏インバネスのそでを拂つてやつた。
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
そでそでかさねたのは、二側ふたかは居余ゐあまる、いづれもこゑなき紳士しんし淑女しゆくぢよであつた。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
が、その男は、不意に前へよろめくと、鉾の先に次郎の水干すいかんそでを裂いて、うつむけにがくりと倒れた。
偸盗 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
安井自身もそんな心持がすると云って、わざわざ襯衣シャツそでまくり上げて、青筋の入った腕をひとりでていた。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そのままじっとのぞいていると、薄黒く、ごそごそと雪を踏んで行く、伊作のそでわきを、ふわりと巴の提灯がいて行く。
眉かくしの霊 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「さあ、これから御奉行さまの前だ。」と贄川にえがわの平助は用心深い目つきをしながら、半蔵のそでをひいた。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
めいめいの画家の好む顔の線がそのままにそでのふくらみの線に再現されているのを見いだしてひとりでうなずかれる場合がかなりにある。
浮世絵の曲線 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
そでいておもてはらへば、はるかくもなかに、韓湘かんしやうあり。
花間文字 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
またて、「そつと/\、」と、なんにもはさずそでくので、蒋生しやうせい
麦搗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
式の終わるのを八省院はっしょういんの前に待っている斎宮の女房たちの乗った車から見えるそでの色の美しさも今度は特に目を引いた。
源氏物語:10 榊 (新字新仮名) / 紫式部(著)
「なんというよいにおいでしょう。『折りつればそでこそにほへ梅の花』というように、うぐいすもかぎつけて来るかもしれませんね」
源氏物語:51 宿り木 (新字新仮名) / 紫式部(著)
それで今日もぼんやりしていたのですが、傍の孫がそでを引くので、見返ると岡田八千代おかだやちよ女史が笑顔で立っていられました。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
仮初かりそめに置いた涼傘ひがさが、襤褸法衣ぼろごろもそでに触れさうなので、そっと手元へ引いて、
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
欧洲にても英国風は少しゆるやかなる方なれど、仏蘭西風はキチンと身体に合ふやうにしそで付根つけねなぞ狭くして苦しきほどなり。
洋服論 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
そしてあぐらでもかいた時に、金のかかった着物の裏とか、長襦袢ながじゅばんそでとかいうものを見せるのを無上の喜びとしている。
伝不習乎 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
そしてみづうへいててゐるそでしぼるほど、なみだらしてゐるだらう。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
「六十ぐらい大丈夫だいじょうぶあります。」慶次郎がむこうでそであせきながら云いました。
二人の役人 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
そででかくすやうにしたときなべ饂飩うどんは、しかし、線香せんかうちてたまつた、はひのやうであつた。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
離れで電話をかけて、しわくちゃになったフロックのそでを気にしながら、玄関へ来ると、だれもいない。
葬儀記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
若さと若さとが互いにきびしく求め合って、葉子などをやすやすとそでにするまでにその情炎はこうじていると思うと耐えられなかった。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
その時気づいたことだが、彼は別にふところ手をしている風にもないのだが、左手のそでがぶらぶらし、袖の中がうつろに見えるのであった。
(新字新仮名) / 島木健作(著)
津田はそでを通したわが姿を、奴凧やっこだこのような風をして、少しきまり悪そうに眺めた後でお延に云った。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)