石碑せきひ)” の例文
伯父をぢさんも、きちさんも、友伯父ともをぢさんも、みんなおさるさんのわきまして、がけしたにあるふる石碑せきひ文字もじみました。それには
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
石碑せきひちからだ==みぎけば燕州えんしうみち==とでもしてあるだらうとおもつてりや、陰陽界いんやうかい==は氣障きざだ。思出おもひだしても悚然ぞつとすら。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
中央ちうあう青竹あをだけ線香立せんかうたてくひのやうにてられて、石碑せきひまへにはひとつづゝ青竹あをだけのやうなちひさなたなつくられた。卯平うへい墓薙はかなぎむれくははつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
駿州すんしゅう清見寺内せいけんじない石碑せきひあり、この碑は、前年幕府の軍艦咸臨丸かんりんまるが、清水港しみずみなとたれたるときに戦没せんぼつしたる春山弁造はるやまべんぞう以下脱走士のめに建てたるものにして
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
仙台で生まれて、維新の時には国事に奔走ほんそうして、明治になってからここに来て、病院を建てて、土地の者に慈父のように思われたという人の石碑せきひもあった。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
二人ふたりは、石碑せきひっているみぎひだりばんをしていました。いたってさびしいやまでありました。そして、まれにしかそのへんたびする人影ひとかげられなかったのです。
野ばら (新字新仮名) / 小川未明(著)
左に高くそばだちたるは、いはゆるロットマンが岡にて、「湖上第一勝」と題したる石碑せきひの建てる処なり。右に伶人れいじんレオニが開きぬといふ、水にのぞめる酒店さかみせあり。
うたかたの記 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
寺院にはうむ石碑せきひを建て回向料ゑかうれうなどあつく寄附し萬事手落なくすませければ下人共を下たる跡にて明朝屋敷を引拂ひ候旨屆け出其翌朝よくてうくだんの二品を腰に付泣々岡山の城下を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
さて日本人につぽんじんふるはか今日こんにちのように石碑せきひ石塔せきとうてたのではなく、たいてい土饅頭つちまんじゆうのようにたかくなつてゐるので、私共わたしどもはこれを高塚たかつかとか、古墳こふんまをしてをります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
世の迷信をわらわんがために一夜墓地に散歩して石碑せきひたたいて幽霊ゆうれいがあるものならあらわれよと言って、一夜を暮らしたという話があるが、これを批評してカーライルが
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
境内けいだい石碑せきひがあつて、慶長けいちょう五年せきはらえきの時に、山内一豊やまのうちかずとよがこゝに茶亭ちゃていを築いて、東海道をのぼつて来た徳川家康をもてなした古跡こせきであるといふことが彫刻されてゐる。
小夜の中山夜啼石 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
それは名前のこくされた大理石の存する限り、永存すべき運命を持つ、石碑せきひられた名前であつた。
すると女は野原の暗がりを十丁程も先に立つて歩るきましたが、女の着いたところは小高い丘になつてゐました、そしてそこの草の茂みの中に二三十の石碑せきひがならんでをりました。
小熊秀雄全集-14:童話集 (新字旧仮名) / 小熊秀雄(著)
そういってタクマ少年は、そこに立っているおごそかな石碑せきひのようなものを指した。
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ついでに、あの信玄しんげん石碑せきひなども、ほりのそこへ投げこんでしまうがいい。あんなものを辻にたてておくから、いつまでも百姓ひゃくしょう町人ちょうにんめが、旧主きゅうしゅをわすれず新しい領主りょうしゅをうらみに思うのだ
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大刀老人だいとうろうじんは亡妻の三回忌までにはきっと一基の石碑せきひを立ててやろうと決心した。けれどもせがれ痩腕やせうで便たよりに、ようやく今日こんにちを過すよりほかには、一銭の貯蓄もできかねて、また春になった。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
日清にっしん 日露にちろ 日華にっか とじゅんをおって古びた石碑せきひにつづいて、新らしいのはほとんど白木しらきのままのちたり、たおれているのもあった。そのなかで仁太や竹一や正のはまだ新らしくならんでいた。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
町はずれの隧道とんねるを、常陸ひたちから入って磐城いわきに出た。大波小波鞺々どうどうと打寄する淋しい浜街道はまかいどうを少し往って、唯有とあ茶店さてんで車を下りた。奈古曾なこそ石碑せきひ刷物すりもの、松や貝の化石、画はがきなど売って居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
古いのや新しいのや、無数の石碑せきひが、ジメジメとこけむした地面に、ところせまく立ちならんでいます。空の星と、常夜灯のほのかな光に、それらの長方形の石が、うす白くうかんでいるのです。
少年探偵団 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「俺は知らないよ。お猿の石碑せきひでもあるのかい」
入口いりぐちいし鳥居とりゐひだりに、就中とりわけくらそびえたすぎもとに、かたちはついとほりでありますが、雪難之碑せつなんのひきざんだ、一石碑せきひえました。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
前達まへたち芭蕉翁ばせをおういたことがりませう。あの芭蕉翁ばせをおう木曾きそんだ發句ほつくいしりつけてあります。そのふる石碑せきひ馬籠まごめむらはづれにてゝあります。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
ここはみやこからとおい、国境こっきょうであります。そこには両方りょうほうくにから、ただ一人ひとりずつの兵隊へいたい派遣はけんされて、国境こっきょうさだめた石碑せきひまもっていました。おおきなくに兵士へいし老人ろうじんでありました。
野ばら (新字新仮名) / 小川未明(著)
村落むらものつたあとにはちひさな青竹あをだけ線香立せんかうたてからそこらの石碑せきひまへからぢり/\といてくるしんでもだえるやうにけぶりはうねりながらのぼつて寂寥せきれうたる黄昏たそがれひかりなか彷徨さまようた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
付ず取調て御見分ごけんぶんの御役人へ御わたし申すべしと細々こま/″\御遺言ごゆゐごん有て終にむなしく成給ひし然ば泣々おほせの如く取計ひ御石碑せきひをも建立こんりふして御後の取まかなひ萬事すませ後下人共へは御紀念かたみ金を分與へて暇を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それはまだしも、冷光院殿前朝散太夫のお石碑せきひの上へ、貴様め、汗くさい笠を
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
田中から聞いた、彼女の優しい戒名かいみょうを刻んだ石碑せきひの前に、花を手向たむこうをたいて、そこで一こと彼女に物が云って見たい。そんな感傷的な空想さえ描くのでした。無論これは空想に過ぎないのです。
モノグラム (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
ゆえに折々かの石碑せきひの周囲に雑草がはびこって、見すぼらしくなりはせぬか、石が倒れて見る甲斐かいなきようになっておるまいか、悪戯いたずらの子供らが石の上に落書らくがきでもして不作法ぶさほうになってはおらぬかと
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
「俺は知らないよ。お猿の石碑せきひでもあるのかい」
「はゝあ、だうがある所爲せゐで==陰陽界いんやうかい==などと石碑せきひにほりつけたんだな。ひとおどろかしやがつて、わる洒落しやれだ。」
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
老人ろうじんは、そんなら青年せいねんんだのではないかとおもいました。そんなことをにかけながら石碑せきひいしずえこしをかけて、うつむいていますと、いつからず、うとうとと居眠いねむりをしました。
野ばら (新字新仮名) / 小川未明(著)
しゅばかりは戴くわけにはまいりません。実は、湊川のお石碑せきひへ約束してしまいました。あそこの土担つちかつぎをさせていただく前に。——一生涯のうちには、きっともう一度、お詣りにまいります。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
二三 芭蕉翁ばせをおう石碑せきひ
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
ひつくすべくもあらず、秋草あきぐさ種々くさ/″\かぞふべくもあらじかし。北八きたはち此作このさくごときは、園内ゑんないちらばつたる石碑せきひ短册たんじやく一般いつぱん難澁なんじふ千萬せんばんぞんずるなり。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
伊部熊蔵いのべくまぞうがこの躑躅つつじさき鉱山掘夫やまほりせいぞろいして、小太郎山こたろうざんへでかけようとした同じ日のこと、信玄しんげん石碑せきひへ、香華こうげをあげておがんでいるところを見つけられたひとりの百姓ひゃくしょうが、このたちのうちへ
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
が、此處こゝ成程なるほどおもつた。石碑せきひおもてかいするには、だう閻魔えんまのござるが、女體によたいよりも頼母たのもしい。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「いざ、夜の明けぬうち、お石碑せきひを沈めに行け」
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)