気味悪きみわる)” の例文
旧字:氣味惡
きているのほうが、かいがらよりもきれいでありました。けれど、かずさんは、気味悪きみわるがって、そのろうとしませんでした。
眼鏡 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「あのふかみずたまりの中に、自分じぶんたちをつきとしてころすつもりではないか。」と気味悪きみわるおもいながら、ぼうさんはもどって
人馬 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
ガラガラとガラスの破片はへんのとびちる音が気味悪きみわるくひびいた。同時どうじにくるいたったくまは一声ひとこえ高くうなると、自分を目がけてとびかかってきた。
くまと車掌 (新字新仮名) / 木内高音(著)
もういくら待つても人通ひとゞほりはない。長吉ちやうきち詮方せんかたなく疲れた眼をかははうに移した。河面かはづら先刻さつきよりも一体にあかるくなり気味悪きみわるい雲のみねは影もなく消えてゐる。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
そしてをまっかにして「へろれって、へろれって、けろれって、へろれって。」なんて途方とほうもない声でえはじめました。さあみんなはだんだん気味悪きみわるくなりました。
紫紺染について (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
月の光を受けて、ぽっかりあいた大きな穴は、気味悪きみわるく三人の上にのしかかって来ている。
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
まち玩具屋おもちゃやから安物やすものっててすぐにくびのとれたもの、かおよごはなけするうちにオバケのように気味悪きみわるくなってててしまったもの——袖子そでこふる人形にんぎょうにもいろいろあった。
伸び支度 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
この当時とうじは、武士ぶしのことばに、そうむやみにそむくわけにはいきませんでしたので、法一はなんとなく気味悪きみわるく思いながらも、びわをかかえて、その案内者あんないしゃに手をひかれて寺をでかけました。
壇ノ浦の鬼火 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
みんなは、このランプを気味悪きみわるがりました。そして、不思議ふしぎのランプとして、もうそれをつけないことにして、しまったのであります。
青いランプ (新字新仮名) / 小川未明(著)
こんどもまたおにすまいではないかと、気味悪きみわるおもって、そっとまえとおけてけていきますと、うしろから
人馬 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「電気風呂はよくあったまるね」などと、とにかく珍しもの好きの人気を博することは非常なものであったが、その反対に、入るとピリピリと感電するのを気味悪きみわるがる人々は、それを嫌って
電気風呂の怪死事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「そでない、そでない。」みんなは一しょにさけんだ。ぺきちがまた一人出て来て、「そでない。」とった。しゅっこは、気味悪きみわるそうに川のほうを見た。けれどもぼくは、みんなが叫んだのだとおもう。
さいかち淵 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
全身ぜんしんくろく、かおだけがしろくて、きつねかさるにて、かたちは、かわいげがないというよりは、なんだか気味悪きみわるがしたのであります。
母犬 (新字新仮名) / 小川未明(著)
けれどどろんとさお気味悪きみわるくよどんだみずそこには、どんな魔物まものんでいるかれないとおもうと、おじけがついて、度々たびたびみかけては躊躇ちゅうちょしました。
鉢かつぎ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
かおが六つもあるような人間にんげん気味悪きみわるいもののほかに、とりやさるや、ねこなどのかおつくったものがいくつもならんでいたからです。
空色の着物をきた子供 (新字新仮名) / 小川未明(著)
いったい「いつものもの」というのはなんだろうと、三にんものめずらしさが半分はんぶんに、気味悪きみわるさが半分はんぶんで、なにが出るかとちうけていますと、やがてさっきのぼうさんが、大きなうまのくつわと
人馬 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
これをゆうちゃんは、あまり真剣しんけん姿すがたに、気味悪きみわるくなって、もうこのうえへびをいじめるにはなれなかったのです。
少年の日二景 (新字新仮名) / 小川未明(著)
つたやかつらの気味悪きみわるかおにまつわりつくのをはらいのけて、たびたびこけにすべりながら、やっとおやしろまえまで出ますと、もうすっかり雨風あめかぜやぶれたふるいほこらが一つ、そこにっていて
しっぺい太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
子供こどもは、そとしました。そらは、気味悪きみわるいほのじろさで、ぶなのが、こしれそうにげて、かぜおそうたびにくびをれるのがられました。
縛られたあひる (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして、氷山ひょうざんが、気味悪きみわるひかって、魔物まものきばのようにするどく、ところどころに、灰色はいいろそらをかもうとしていたからです。
白いくま (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのくろかみは、つやつやしなかったけれど、なんとなくくろいへびのからんだように、気味悪きみわるられたのであります。
灰色の姉と桃色の妹 (新字新仮名) / 小川未明(著)
は、はっとおもって、うれしさにむねおどりましたけれど、つぎの瞬間しゅんかんには、気味悪きみわるさでからだじゅうがおののきました。
幽霊船 (新字新仮名) / 小川未明(著)
平常ふだんしずかな山蔭やまかげみなとも、あらしのにはじつに気味悪きみわるみなとでありました。船乗ふなのりらはこのいしおとをきくと、ひやりとからだじゅうがさむくなるといいます。
カラカラ鳴る海 (新字新仮名) / 小川未明(著)
おばさんのあたまにさしているながい二ほんのかんざしは、つきひかりみずなかまでさしこんだので、気味悪きみわるひかったのです。
なまずとあざみの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
てられたお人形にんぎょうは、一晩ひとばん、ものさびしい野原のはらなかで、露宿ろじゅくしました。あらしおとをきいておそれていました。気味悪きみわるひか星影ほしかげておののいていました。
風の寒い世の中へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
「だれも、そこふかいし、気味悪きみわるがって、いい返事へんじをしたものがないのを、あのひとは、一人ひとりはいったのだ。」
海が呼んだ話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
自分じぶんばかりでなく、ほかの子供こどもたちも気味悪きみわるがってそばへいかなかったのだ。それにくらべると、このごろの子供こどもは、なんというりこうで、やさしいことだろう。
村へ帰った傷兵 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ひやりとしたつめたいかぜが、どこからともなくいてきて、やみなかぎていきます。それは、沈黙ちんもく世界せかいに、なにか気味悪きみわるおもをそそらせようとするものでした。
夜風よかぜは、えだたって、かすかにおとをたてています。そして、あたりは、まったくよるとなってしまった。みんなは、ようやく気味悪きみわるさをかんじはじめたのです。
木に上った子供 (新字新仮名) / 小川未明(著)
人々ひとびと気味悪きみわるがって、かつてひとりとして、このとううえのぼったものはなかったのであります。
黒い塔 (新字新仮名) / 小川未明(著)
すずめは、一ぽんえだまって、この気味悪きみわるさむよるごそうとしていたのです。そのとき、ちょうどしたれた草原くさはらを、おおかみがはならしながらとおってゆきました。
春になる前夜 (新字新仮名) / 小川未明(著)
太郎たろうは、気味悪きみわるくなってきて、めてうちはいると、とこなかにもぐりんでしまいました。
大きなかに (新字新仮名) / 小川未明(著)
あざみは、よく、なまずをますと、なるほど、としをとっていました。ちいさなうおたちが、気味悪きみわるがっているおばさんは、このなまずであるかと、しみじみとながめたのでした。
なまずとあざみの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのおじいさんのかおは、しろくてひかっていました。わたしは、このおじいさんが、いつものおじいさんとちがって、愛嬌あいきょうがあるのにもかかわらず、なんとなく気味悪きみわるおもいました。
子供の時分の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
このはなしくと、教師きょうしは、だんだん、秀吉ひできちかおられるのを、気味悪きみわるおもいました。どうかして、あの子供こどもを、学校がっこうへよこさないようにする工夫くふうは、ないものかとかんがえました。
天女とお化け (新字新仮名) / 小川未明(著)
いつまた、あたまうえから、おおきなかねちるかわからないのと、なんとなく、気味悪きみわるいのとで、むら子供こどもらもこのかねつきどうあそびにきません。てらはこうして、れるにまかせていました。
娘と大きな鐘 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかし、よるくらかったから、だれも、気味悪きみわるがってのぼっていくようなひともありませんでした。ただ、したから大声おおごえして、ぶばかりでした。しかし、やはり、なんの返答へんとうもなかった。
木に上った子供 (新字新仮名) / 小川未明(著)
つきが、雲間くもまからもれてなみおもてらしたときは、まことに気味悪きみわるうございました。
赤いろうそくと人魚 (新字新仮名) / 小川未明(著)
なんだかあわれなひとのようにもえ、また気味悪きみわるいようにもかんじられたのです。
青い星の国へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
緑色みどりいろが、あたりをくららして、正二しょうじしろ姿すがた気味悪きみわるせました。
二百十日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
なつ時分じぶんには、小道こみちをふさいで、たかびていた、きびや、もろこしのは、褐色かっしょくれて、くきだけが、しろさびのたとおもわれるほど、かさかさにひからびて、気味悪きみわるひかっていました。
死と話した人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
けれど、また気味悪きみわるくもおもったので、かくれようとしましたが、そんな場所ばしょがなかったので、きゅうりの垣根かきねかげだまってっていますと、薬売くすりうりのこえはだんだんちかづいてきたのでありました。
薬売り (新字新仮名) / 小川未明(著)
それは、吹雪ふぶきのした、さむい、さむばんのことでした。くろねこははたけなかこごえてんでいました。むらひとは、それをつけたけれど、気味悪きみわるがって、その死骸しがいをつけるものはなかったのです。
おばあさんと黒ねこ (新字新仮名) / 小川未明(著)
なにかくろむねさえつけられたような気味悪きみわるさをかんじました。
花の咲く前 (新字新仮名) / 小川未明(著)