木々きぎ)” の例文
はるかぜは、青々あおあおれたそらわたっていました。そして木々きぎ小枝こえだは、かぜかれて、なにかたのしそうに小唄こうたをうたっていたのです。
さまざまな生い立ち (新字新仮名) / 小川未明(著)
つきすると、木々きぎこずえ青葉あおばつつまれ、えだえだかさなりって、小鳥ことりもりこだまこして、うえはならすくらいに、うたしました。
そして実際、その山の木々きぎの秋の葉は、とても美事で、色彩の変化に富んでいたので、波斯ペルシャショールの譬えも決してその現実を誇張したものではなかった。
なつかしい日本にっぽんにかえりついたのは、もう木々きぎのわかが、みどりのにかわる五がつのはじめのことでした。
それからまたあちこちの木々きぎしげみのなかに、なんともいえぬうつくしいとりきこえます。
ふきいづる木々きぎの芽いまだ調ととのはぬみちのく山に水のみにけり
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
雲あかく日の入る夕木々きぎの実の吐息にうもれ鳴く鳥もあり
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ちさき木々きぎたひらにわたり
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
その音色ねいろは、さびしい城跡しろあとっている木々きぎながねむりをばさましました。また、ふるつくっている小鳥ことりをばびっくりさせました。
海のかなた (新字新仮名) / 小川未明(著)
一方、タングルウッドの木々きぎの梢に北西風が高く鳴って、家のまわりに喜びの歌をかなでていた。
また、ひとしきり、かぜがわたりました。そのたびに、木々きぎのえだが、なみのごとくゆれて、ハーモニカのおとも、きえたりこえたりしました。
風七題 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ゆきがまったくえて、まちなかにはあとをもめなくなりました。木々きぎは、みんな銀色ぎんいろをふいて、よるもうすあかるくていい季節きせつとなりました。
牛女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
はるになるとはなき、そして、新緑しんりょくにかわり、やがて、あきになると、木々きぎ黄色きいろく、あかく、いろづいてあめにほろほろとちるのであります。
娘と大きな鐘 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのはずで、いくら、木々きぎのつぼみはふくらんできましても、この垣根かきね内側うちがわには、あたたかな太陽たいよう終日しゅうじつらすことがなかったからであります。
小さな草と太陽 (新字新仮名) / 小川未明(著)
木々きぎいたはなには、あさから、ばんになるまで、ちょうや、はちがきてにぎやかでありましたが、がたつにつれて、はなひらききってしまいました。
赤い魚と子供 (新字新仮名) / 小川未明(著)
やましずかであり、木々きぎ紅葉こうようはこのうえもなくうつくしかったが、ひとかれはなにかこころにおちつかないものをかんじたのでした。
深山の秋 (新字新仮名) / 小川未明(著)
うす緑色みどりいろそらに、あたまをならべている木々きぎのこずえは、いくらかいろづいているようにえました。いろいろのが、もうようとしているのです。
引かれていく牛 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かれかぜおとそうとおもえば、そのふえは、さながらかぜ木々きぎうえわたるときのさわやかなすずしげな、ずれのおとこえるようにわたりました。
どこで笛吹く (新字新仮名) / 小川未明(著)
おそらく、木々きぎがちってしまい、さびしい、さむふゆをどこかですごして、来年らいねんのことであろうとおもわれました。
二番めの娘 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そらは、緑色みどりいろにすみわたっていました。朝日あさひがさして、木々きぎはいきいきとかがやいて、いい気持きもちであります。
鳥鳴く朝のちい子ちゃん (新字新仮名) / 小川未明(著)
ゆきえて、また来年らいねんともなって、木々きぎのこずえにあたらしいみどりきざし、小鳥ことりのさえずるころにならなければ、ここへがってくる用事ようじもなかったのでした。
深山の秋 (新字新仮名) / 小川未明(著)
けれど、あたりは、まったくしんとしていました。木々きぎのこずえにたるかぜおとこえるばかりでありました。
ふるさとの林の歌 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのあいだに、木々きぎのこずえは、はなのしたくをして、つちうええだと、どちらが、はやはなくか、さながらうえしたとで競争きょうそうしているごとくにおもわれました。
さまざまな生い立ち (新字新仮名) / 小川未明(著)
やまには、まだところどころにゆきのこっていました。しかし五がつなかばでしたから、木々きぎのこずえは、生気せいきがみなぎって光沢こうたくび、あかるいかんじがしました。
らんの花 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ながかったなつって、いつしかあきになりました。はやし木々きぎいろづいて、ひかりは、だんだんよわくなりました。
般若の面 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ところどころ木々きぎのすきまからは、黄金色こがねいろひかりがもれて、したくさうえひかりえるようにうつっています。
どこで笛吹く (新字新仮名) / 小川未明(著)
くろはこは、おとこをいれてなかめられました。それから、はるあめは、この墓地ぼちにもりそそぎました。はかほとりにあった木々きぎは、いくたびも若芽わかめをふきました。
銀のつえ (新字新仮名) / 小川未明(著)
あるときはそのはないたそのなかで、楽器がっきらしました。小鳥ことりは、その周囲しゅうい木々きぎあつまってきました。
笑わない娘 (新字新仮名) / 小川未明(著)
小川おがわみずは、さらさらとかがやいて、さびしそうなうたをうたってながれています。木々きぎは、あかくまた黄色きいろにいろどられて、遠近おちこち景色けしきるようでありました。
般若の面 (新字新仮名) / 小川未明(著)
、ときならぬはなびらの、かぜかれたごとく、木々きぎ枝葉えだはがとまっていたのです。それは、また、ちょうど、りかかった、つめたいゆきのようにもられました。
北海の波にさらわれた蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
また、木々きぎかげうつる、かがみのような青々あおあおとした、いけ故郷こきょうこいしくおもいました。しかし、盤台ばんだいなからえられていては、もはや、どうすることもできなかったのです。
千代紙の春 (新字新仮名) / 小川未明(著)
木々きぎが、てらてらとして、太陽たいようねつひかりのためにしおれかけて、ちからなくれているのがられました。そして、せみのこえが、みみにやきつくようにひびいてきました。
僕はこれからだ (新字新仮名) / 小川未明(著)
木々きぎ紅葉こうようして、さながらえついたようにうつくしかったのもつかのであって、をきるようなあらしのたびに、やまはやせ、やがて、そののちにやってくる
空晴れて (新字新仮名) / 小川未明(著)
つまも、そうだとおもいました。そして、それよりほかのことをば、かんがえませんでした。はるになると、緑色みどりいろそらはかすんでえました。木々きぎには、いろいろのはなきました。
ちょうと三つの石 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ことに、収穫しゅうかくのすむあきになると、そらいろえて、木々きぎいろづき、とおくのながめもはっきりとして、ひとしおでありました。ちょうど、そのころ、おまつりがあります。
愛は不思議なもの (新字新仮名) / 小川未明(著)
さむかぜは、かなしいうたをうたってゆきうえいて、木々きぎのこずえは身震みぶるいをしました。永久えいきゅうしずかなきたくに野原のはらには、ただなみおととおこえてくるばかりでありました。
宝石商 (新字新仮名) / 小川未明(著)
とこなつのはなは、みつばちが、よるになっても、かえってこないので、どこでねむったろうとかんがえていました。かぜが、さやかにきわたると、木々きぎつゆがぽたぽたと地上ちじょうちました。
公園の花と毒蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
屋根やねうえかぜのためにしぶきをあげているし、木々きぎ大枝おおえだがもまれにもまれています。
台風の子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのうち、だんだん木々きぎ小枝こえだにも、生気せいきのみなぎるのがかんじられ、こおりのように、つめたくはりつめたくろくもが、あわただしく、うごきはじめて、ふゆっていくのがわかりました。
雲のわくころ (新字新仮名) / 小川未明(著)
むかしからある、しろもんの四かくおおきい礎石そせきは、ひかりびてしろかわいていました。くさ土手どてうえにしげっていました。そして、小鳥ことり四辺あたり木々きぎのこずえにまってないていました。
子供の時分の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのうちに、れかかった。木々きぎのこずえが、さやさやとりはじめて、そらいろは、青黒あおぐろえ、燈火ともしびひかりがきらめき、くさや、のこずえに反射はんしゃしているのがられたのです。
公園の花と毒蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
青々あおあおとした木々きぎが、いつのまにか、みごとにあかく、黄色きいろくいろづきました。
おかまの唄 (新字新仮名) / 小川未明(著)
またやまでは、おいしげる木々きぎに、あらしがおそうと、はげしくえだえだをもみあい、そして、頂上ちょうじょうから落下らっかするたきが、さながらかみなりのとどろくように、あたりへこだまするものすごい光景こうけい
うずめられた鏡 (新字新仮名) / 小川未明(著)
はるになりました。うみうえおだやかに、やまには、木々きぎはないて、野原のはらには、緑色みどりいろくさぐみました。あるのこと、まち人々ひとびとは、うみうえに、不思議ふしぎ景色けしきえるとうわさしました。
海からきた使い (新字新仮名) / 小川未明(著)
このから、この地上ちじょうには、幸福こうふくまれたようにおもわれました。一に、木々きぎのつぼみはふくらみ、さきは、いろづきました。もう、ふゆは、どこかへげていって、はるがやってきたのです。
翼の破れたからす (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのくるも、いいお天気てんきでありました。にまし、はるちかづいてきました。にわ木々きぎ元気げんきづいて、そらんでゆくくもかげ希望きぼうひかっていました。はたして、なつかしい桜草さくらそうはやってきました。
みつばちのきた日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
境内けいだい木々きぎ黄色きろいろづいていました。
火を点ず (新字新仮名) / 小川未明(著)